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第7回京都ものづくり講座「町家で座談会」報告 [2008年02月11日(Mon)]
2月9日(土)、京都市伝統産業振興館(四条京町家)にて、第7回の京都ものづくり講座を開催しました。

今回は、「町家で座談会」と題し、2007年8月から実施してきた「京都ものづくり講座」を振り返りつつ、活発な意見交換が行われました。
主な内容は以下のとおり。
 今日のわが国におけるものづくりを取り巻く問題として、技術継承、生産拠点、新たな価値創出といったことがある。

1.技術継承について
・20世紀、生産手段が人の手から機械に移ることによって、「人間対機械」という問題が突きつけられることになった。
・技術者はものづくりにとっては「資本」であり、人材育成していかなくてはならないものである。しかし、バブル経済崩壊以降の不況によって、下請けの時間的、金銭的コストを削りだした。価格や、あるいは「仕事を出したってんねや!」という認識だけでなく、職先にきっちり伝えていかなければ成らないことである。
・伝統産業の世界で「次の担い手がいない」ということがよく言われるが、正確には「担い手がいない」のではなく、「雇い主の力がなくなった」というべきだろう。伝統産業に関心を持ち、それを職業としたい若者はいるのに、そのような人たちを雇う雇用者が少なくなった。
・技術継承については、雇用に関する新たな仕組みを作り出すことが重要である。その過程で、消えていく技術があるとすれば、それは仕方ないこともある。
・以前、象嵌で新しいものづくりを試みたことがあったが、「象嵌でなければならない」ものは少なかった。
・イタリアやドイツには、クラフトマンシップを価値に繋いでいく仕組みがある。また、欧米においてはデザインにも価値を置いている。日本人はものを見る力がないのではないか。
・(日本において「ものを見る力」は)昔はあったし、 良いものがたくさんできる要因があった。しかし、高度経済成長以降、ものの価値判断基準が変わったのではないか。

2.生産拠点について
・日本で言えばアジアに生産拠点が流れてしまった。
・欧米のクラフトマンシップとデザインの話があったが、欧米でもデザインなど知的生産拠点のみを本国に残し、製造拠点の多くは、途上国に流れてしまったのではないか。
・伝統産業とて例外ではなく、きものの刺繍や縫製が、15年ほど前から中国やベトナムに流れ出した。
・企業が競争において優位に立とうとすると、コストを抑えるか、付加価値を高めるしかない。コストだけで判断すると、どうしても海外に流れてしまう。
・EUを中心に、流通コストをCO2換算するような動きが出てきた。行き過ぎた海外生産依存を見直すきっかけになるかもしれない。

3.新たな価値創造に向けて
(1)地球環境問題と絡めて
・地球環境問題に関連付けて言うと、炭素税の導入等、環境負荷はコストとして自分の問題に跳ね返ってくるようになった。
・グローバル経済の流れの中で、先進国はこぞって途上国に製造拠点を移したが、自分の国でつくることを考え始めるのではないか。
・食糧の問題がまさにそれ。安心安全の問題と含め、自給できなくなると国が崩壊していく。

(2)素材や技術の新たな可能性
アウラ が伝統的な素材を新たな用途に転用し、新しい商品に生かしている。
・繊維メーカーも、衣料よりも医療や産業資材の方にシフトしている。
・伝統技術と先端技術が離れているのではないか。もともと京都のものづくりは、伝統的な技術がベースになったものなのに。

(3)ヒトとモノとの対話
・世界的に機械と人間の差別化はみんな考えている。つまり「人間と機械の棲み分け」が重要であり、伝統産業は、人間にできることに特化していくことが求められる。
・大量生産の工業製品は、買ったときが価値のピーク。一方、(伝統工法の)家具や家といったものは、人の手に馴染んでいくことによって味わいや価値を増す。今日、携帯電話などでも経時変化の価値を生み出すような試みが行われているらしい。

(4)最後に〜実際に事業を生み、循環させるために
・かつて、伝統産業の世界において、価値を創造してきたのは問屋であった。例えば室町の問屋がきものの雛形や、図案を持っており、それを具現化できる職人や絵師を雇うことで、自社にしかできないものを創り出し、価値になっていた。つまり知的価値を握り、流行を生み出していたからこそ力を持っていた。
・モノを通した価値観、考え方を伝えることが重要。
・マインド、ストーリー、価値観を伝えるものは媒体でしかないのか。
・身近に触れる「自分のモノ」の中に、価値を伝えていくことができれば良い。
・ベテランの職人マインドは、カネ以上に、「誰かに自分の技を伝えておきたい」ということに重きを置く傾向がある。ボランタリーな意識で若手職人に技を伝えていくことで、雇用も生み出され、技も継承できるだろう。
・伝統産業とツーリズムの関係。ツーリズムを通じて伝えていく価値。
・「モノ」の一部でも持ち主が関われる部分を作ること。実際に、自分の手のかかったものは愛着がある。


このように、「ものづくり」をキーワードに、文化論、価値論、地球環境問題へと展開し、時間内ではおよそ語りつくせないものでした。また機会を見つけて「続編」が実施できれば面白いと思います。

当日は雪の中、お集まりいただいた参加者の皆様、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。


次回「第8回 京都ものづくり講座」は、3月15日(土)19:00〜ウィングス京都会議室1にて実施いたします。
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コメント
 きくところによると「ものづくり」の「もの」は「もののけ」
「もののふ(武士)」、「もののぐ(武具)」から考えると「鉄」
を意味するらしいです。
 出雲の語源も「いずもの(出鉄)」からきたとか。ものづくり
という言葉に日本文明の深遠さを感じてしまいます。
Posted by:斎藤  at 2008年11月07日(Fri) 20:02
 安来ですかスサノオノミコトと関連が深い場所ですね。
私などは吉野裕氏のスサノオ鉄神論をふと思い浮かべて
「ものづくり」との関連付けをしたくなるところですね。
 もうひとつ機械の大和言葉である「からくり」の語源
ともいわれる嘉羅久利(からくり)神社というところが
ありますよね。エンジニアとしては一度行ってみたい
ところですね。
Posted by:山中  at 2008年09月21日(Sun) 13:05
>ヤハタノオロチさん
コメントありがとうございます!

>クラフトマンシップを復活させないと文化自体が駄目になり
おっしゃるとおりだと思います。
確かに「世界の工場」は中国などに移っていますが、「文化としてのものづくり」は日本ならではのもので、それなくしては、日本の文化はないと考えます。
そうした「文化としてのものづくり」から生み出された「モノ」の価値をいかに高め、発信し、良いと認めてもらうか、今後の課題でしょうね。
Posted by:塾長  at 2008年04月14日(Mon) 19:41
 島根県安来市で「出雲の造り(いずものづくり)講座」があったので聴講しました。
同じようなツーリズムとの融合が不可欠だという主張もありました。とにかく
いまクラフトマンシップを復活させないと文化自体が駄目になり日本人が無国籍人
になるとの考えに感動しました。ここは刃物業界では有名なヤスキハガネの産地で
それをつくる日立金属のお膝元です。それで高級ナイフをひとつ土産として買って
帰りました。
Posted by:ヤハタノオロチ  at 2008年03月21日(Fri) 22:04