2月から3月にかけて、新型コロナウイルスの感染が日に日に拡大し、大阪でも学校が休校になりました。
これまで経験のない状況にみんなが戸惑い、しんどい自粛生活を過ごしました。
そんな中、日に日に悲痛になる子育て世帯からのSOSをキャッチして、「ほっとかれへん!」と動き続けている人たちがいます。
大阪府松原市で活動する「NPO法人やんちゃまファミリーwith」の代表、田崎由佳さんにお話を伺いました。
1 地域に元気な大人を増やし、子育てしやすい社会をつくりたい!
2 子育て世代を直撃したコロナ禍、日に日に悲痛になる声
3 どうにかして支えたい、という思いから生まれた工夫
4 「ワラをもつかむ思い」〜「笑顔のおすそ分け」からつながったご縁
5 現場は日々止まらない。活動資金を集めるのもひと苦労・・・
6 第2波が来る前にひとりぼっちをひとりでもなくしたい
地域に元気な大人を増やし、子育てしやすい社会をつくりたい!
「NPO法人やんちゃまファミリーwith」の拠点は、まちの商店街にあります。
1992年に「孤立しないで皆で子育てしよう」と子育て中の保護者同士で立ちあげた子育てサークルからスタートし、2007年8月にNPO法人格を取得。
子育て・親育ちの支援、地域住民によるおたがいさんの助け合いや協力の輪を広げ、地域や人とのつながりづくり、子どもたちの健全育成、安心・安全の地域づくりを目指しています。
活動開始から28年、3000人以上のお母さんと出会い、5000人以上の子どもたちと関わり、子育て支援センターでは年間8000人の親子が集います。
食を通じて子どもたちや保護者とつながる活動を地道に続け、子ども食堂も市内14か所にまで広がっています。
子育て世代を直撃したコロナ禍、日に日に悲痛になる声
新型コロナウイルスの感染者が出始めた2月、「大丈夫やろ?」という空気もある中で、海外の様子を見ながら「これは大変なことになるかもしれない」と感じていた田崎さん。
どんな状況になっても動けるよう、困りごとのセンサーを張ろうと思った矢先に、 学校がお休みに。
3月2日、学校の休校と共に子育て支援センターのひろば事業がすべてストップ。
これまで当たり前のように集まって、歌を歌って、本を読んで、という居場所がなくなる。
みんなでごはんを食べる場、そこでのコミュニケーション、異年齢の交流がなくなる。
「全部がなくなる」という危機感・・・。
田崎さんたちは、これまでつながっていた子育て中の保護者のリアルタイムの声を聴こうと、103人への電話訪問で家での過ごし方や困りごとを聴き取ることから始めました。
(子育て中の保護者103人からコロナ禍での困りごとを聞き取ったアンケート)
日がたつにつれ、悲痛な声を聴くことが多くなりました。
「マスクはどこに売っているの?」
「子どもと2人きりでおうちにいると息が詰まる」
「テレワークでパートナーのご飯や子どもと静かにしとかないといけないのがもう無理」
「このままでは死んでしまいそうになる」
子育て支援センターやひろばが休止し、人との関わりや会話も減って、人と会わなくなることで改めて実感したこと。
それは、普段何気ない会話の中で共感したり、同じ悩みを抱える同士や先輩ママの存在はとても大きかったんだということでした。
どうにかして支えたい、という思いから生まれた工夫
「助けて」「大変」という声になんとか応えたい。
そんな思いから、事務所の軒先に絵本の棚を出して、図書館で消毒した絵本を貸し出ししたり、外に置いているノートに思いを綴ってもらう活動をスタート。
絵本を借りに来てくれた親子にドア越しにエールを送ったり、距離をとりながらほんの少しだけ話を聴いたり、なんとかコミュニケーションをとれるよう工夫を凝らしました。
社協からの委託事業である高齢者への配食での感染予防のノウハウを活かし、「お困りごとお助け Car 」と称して、おもちゃを届けたり、親子の顔を見に訪問活動も始めました。
子ども食堂も休止する中で、食のサポートが必要な子どもたちの顔が浮かびます。
「やっぱり愛情たっぷりのごはんを届けたい」とお弁当の配達をスタート。
毎回元気になるメッセージを添えてお弁当を配る中で、子どもたちの健康状態や表情、おうちの様子がわかったり、保護者との関係もより深くなることを実感しました。
学校や行政との連携の中、「パートをクビになった。」「バイトがなくなった・減った」という声も聴くようになり、そういったお宅にはしてお弁当と一緒に食材も届けるようになりました。
「ワラをもつかむ思い」〜「笑顔のおすそ分け」からつながったご縁
緊急事態宣言が明けたとき、田崎さんがふと思いついたのが、「笑顔のおすそ分け」。
やんちゃまファミリーwithには、フードバンクからの食材提供に加え、活動に共感してくれた企業からの食材や物資の寄贈の申し出も増えていました。
そこで、これまでつながっていなかった子育て中の親子にも呼びかけ、希望する家庭に食材と物資を渡そうというプロジェクトを立ち上げました。
表敬訪問時に市長にそんな話をしたら、市の広報に掲載され、インターネットでの申し込みフォームを通じて200件を越える申し込みがありました。
「広報を見て、ワラをもつかむ思いで連絡しました」「ほんとに困ってます」
中には、今まで大変な状況なのに誰ともつながらず、どうやって生きてきたんやろう、という親子もいたといいます。
「これはほっとかれへん!」とすぐに食材や生活用品を持って訪問したら、とても遠慮がちに「ほんとにこんなことまでしてもらっていいんですか?」という言葉が。
そんなとき、田崎さんはこんなふうに伝えています。
「困ったときはおたがいさんやん。今は誰かの助けが必要だとしても、またいつか、誰かが困ってるときに助けてあげたら…それでいいんやよ。」
現場は日々止まらない。活動資金を集めるのもひと苦労・・・
そんな田崎さんたちの地域活動を継続するためには、当然資金も必要となります。
けれど、一日中市内を走り回って事務所に戻ってからでは、資金集めのための事務作業や、大量に書類を書かないといけない助成金の申請などにはなかなか手が付けられない状況です。
コロナ禍は災害です。
刻一刻と変わる状況の中、当初想定されていなかったニーズにも柔軟にスピード感を持って対応することができるのが市民活動の大きな特徴です。
そんなときに、手続きもできるだけ簡素化されていて、柔軟に使えるような資金の応援があると、地域の草の根の団体はとても助かると、田崎さんは話してくれました。
第2波が来る前にひとりぼっちをひとりでもなくしたい
新型コロナウイルスの影響を受けながらも、いろんな工夫をしながらつながりづくりを続けてきたやんちゃまファミリーwith。
子どもたちからは「いつ始まるんー?」と子ども食堂の再開を待ちわびる声が聞こえます。
「やっぱり会って話したい。お茶飲みながらしゃべると本音が聴けたり、一緒にごはんを食べることってとっても大事。」
今回のコロナ禍はそんなことを再確認する機会になりました。
けれど、地域にはまだまだきっとSOSを出せずにしんどい思いをしてる人がいるんじゃないか、と田崎さんは感じています。
「第2波が来る前につながっておきたい、ひとりぼっちにしたらアカン。」
そんな「ほっとかれへん」思いで今日も田崎さんは車を走らせます。
このファンドでは、今日お伝えしたような課題を解決するために日々活動している団体を支援するために寄付を募っています。(助成先については公募の上、審査によって決定します。)
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