どんなに文化や生活様式が違っていても、私たちは毎日、いのちを繋いでいくために栄養のある食事をとり、清潔な水を飲むことが必要です。
そして、新型コロナウイルス感染拡大によって日本でも国外でも、この人として必要不可欠な「食べる」ことが難しくなってしまった人たちがいます。
その背景にある問題や課題は、それぞれの人、地域、国で違うかもしれません。
でも今はまず、いのちをつなぐために「食べる」ことを日本でも、国外でもわかちあうための支援を行います。
そこで今日は、日本にたくさんあるある団地で、食を通じたコミュニティ支援をおこなう団体が新型コロナウィルス感染症へどう向き合ったのかご紹介します。
突然の休校で、子どもたちは食事や生活習慣が悪化し、高齢者のみなさんも不安を抱え、外出機会が減ってしまったなか、「食べて、少し話をすると、元気になられます。」という状況を保って地域コミュニティを支えられた、丘の上の惣菜屋さん「やまわけキッチン」の湯川まゆみさんにお話をお伺いしました。
1 団地の一室から生まれる支え合いの場
2 そして、やはり食べて、少し話をすると、元気になられます。
3 食を通じたコミュニケーションは豊かさを生みます。
4 またみんなで楽しくご飯を食べたいな…
団地の一室から生まれる支え合いの場
大阪府堺市南区は泉北ニュータウンの一角にある茶山台団地21棟1階の角部屋で実施されている丘の上の惣菜屋さん「やまわけキッチン」。
団地で食を通じたコミュニティ支援を紡ぎだしています。
丘の上の惣菜屋さん「やまわけキッチン」は、イートインもできるお惣菜屋さんとして、2018年11月にオープンしました。
クラウドファンディングを活用し、住民たちがDIYでリノベーションして生み出したのです。
イベントなどお客さんが多い日には約100名の来場があり、世代を越えて住民が集まり、にぎわいをみせています。
丘陵地にある団地のなかでも見晴らしの良い場所に建つ21棟には、「やまわけキッチン」の看板が目に入り、数段の階段を上り玄関ドアを開けると「本日のお惣菜」のメニューボード。
その奥にはお総菜や調理パン、そして野菜などが展示販売されています。
南側のバルコニーに面した明るいスペースにはキッチンとテーブル席とレジ、北側には座卓の客席スペースがあります。
老人会の役員を務めている男性、その知り合いの人々、小学生の子ども、そして家族連れの親子……。
団地の一室なのでそれほど広くない空間は、いつのまにか満席になるときがあるそうです。
※撮影は2019年夏です
食べて、少し話をすると、元気になるから、やめるわけにはいかない。
大阪は、他府県や政府より先んじて、2020/2/27に大阪府知事が「全ての府立学校を3月2日から休校とする」と明らかにし、イベントや地域の活動もどんどん自粛期間に突入しました。
その後、換気などに取り組みながら様子を見て営業を行っていました。
しかし、政府による緊急事態宣言を受けて、4月7日より当面のところ、コロナウィルス感染拡大防止のため、イートインは60歳以上の茶山台住人さんのみに限定することになりました。
その中でも、「食」を支るために、お惣菜・お弁当などのテイクアウトや配達は継続しました。
やまわけキッチン内は、現在、窓を全開にして扉のシートも外し、度々机やよく触れるところを消毒をし、スタッフはマスクを着用して店を開けています。
また、食べ終わって次の方が来たらすぐに席を立ったり、住民のみなさんの協力で濃厚接触しないための暗黙のルールのようなものもできつつあります。
少しでも何か支えることができるなら・・・と思い、イートインは対象を絞りに絞ってでも開け続けたいと湯川さんは話します。
テイクアウトは、お弁当の種類を増やし、家でご飯がある人向けにはお惣菜などの準備はして、お持ち帰りや配達の注文にも対応していけたらと工夫をしています。
イートインを一切無くそうと思いましたが、そう踏み切れない私たちがいました。
いつもやまわけキッチンでイートインしてくださる人生の先輩方たちの声がその背景にありました。
・日中テレビを見すぎていて、不安がいっぱい。
・普段から買い物に行きにくい上、さらに買い物に行くのが怖い。
・重篤化しやすいのは、ご高齢の方が多いという不安。
・誰かと話したい。
・やまわけでご飯を食べることが、生活のリズムになっている!?
とにかく不安を抱えているようにお見受けしますし、生活のリズムが崩れてしまうのもなー・・・と。
食を通じたコミュニケーションは豊かさを生みます。
一人で留守番をしている家庭の子どもたち、保護者にアンケートを実施した際には昼食の負担という声、またよく聞くとカップラーメンが多いこと、朝は食べていないなど生活リズムの乱れなどを心配する地域の方の声も耳にしました。
お弁当配達を利用してくれいる方のエピソードをご紹介します。
お弁当にカレーに、たくさんの、注文が書いた紙と共に依頼に来てくれた小学校5年生の男の子。
友だちの家にウーバーイーツです!といって、届けに行くのだそう。
そして、お弁当を自前のダンボールにしっかり入れて、やまわけを後にしました。
お弁当を届けてくれて、ありがとう!!
なんと、この入れ物は、発泡スチロールで出来ていて、お父さんと自作されたとのこと。
お弁当が出来たら、このように入れて、お友だちの家に向かっていきました。
地域の子どもたちのアンケートでは、7割の子どもが、家族以外とコミュニケーションをとっていないこともわかりました。
普段はやまわけキッチンのスタッフが配達を通じてコミュニケーションを媒介していますが、子どもたちも運動を兼ねて配達と友達に会えるきっかけを作ったようです。
そんな風に、食を通じたコミュニケーションは豊かさを生みます。
一方で、休校に伴い、子育て世帯には昼食の負担は重くのしかかります。
普段は、学校給食が栄養価も高く、安心安全の食を得られるわけですが、約3ヶ月もの間、各家庭で食事をとることで、体重が増えたなど健康面への負担もあられているようです。
食の支援が大阪でも多様に行われています
私たちのように子ども食堂が地域店舗からお弁当を仕入れて届ける活動や、フードパントリーなど食料や生活必需品配布食料確保支援を行っている団体も増えています。
ただ、私たちもはじめ、こういう活動は見えにくいです。
新聞やメディアにも掲載されません。
口コミで情報が伝わり、ご寄付いただく方もいらっしゃいますが、まずは現場優先のため情報の広がりには限界があります。
またみんなで楽しくご飯を食べたいな…
ふとそんなことが頭をよぎります。元々やっていた、月に一度、住民がご飯を持ち寄るオトナカイギ。
一品持ち寄りごはん会。
なんて贅沢な時間やったんだろうか。
※2019年に撮影しました
コロナなんて関係なくて、毎月、誕生日会になりつつあり、いつも同じような話をして、笑って、おやすみなさいーとさよならする。
でもこんな時間があったからこそ、この緊急時でも励ましあったり、声をかけあったり、支え合ったりできていると今は感じています。
元々あった先輩方の関係性に仲間入りさせてもうて。
あの人見たか?と聞かれて最近見てない…どないしたかな。とか
来たよ!元気そうやった。それやったら大丈夫やなーとか。
そんな会話もできたりしています。
「一部のそんな輪やったけど、緊急時で新しく繋がってきて。
収束後はもっとそんな輪が広がればいいな。」
と店長は語ります。
みんな同じ空の下で、地域で暮らしています。
大阪のニュータウンでの取り組みを見ながら、世界の混乱している状況をイメージしてほしいと心から思います。
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