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2020年06月04日

「応援!」コロナ禍のカンボジアーひっ迫する労働状況と生き抜く人々ー

今や世界中に蔓延する新型コロナウイルス感染症。あまり日本では報道されない海外の地域では、一体どのような影響が出ているのでしょうか。認定NPO法人テラ・ルネッサンス 啓発事業部の栗田佳典さんにカンボジアの状況についてお話を伺いました。そこから浮かびあがってくるのは、一変した労働状況による経済的打撃、そして辛い状況の中でも自然と共に生き抜こうとする現地の人々のしなやかさと強靭さです。


目次
1. 止まる移動、なくなる仕事
2. 土地に根ざした暮らしの確かさ
3. リスクに強い柔軟な社会をつくるために
4. 海の向こうに思いを馳せる


1. 止まる移動、なくなる仕事
止まる移動、なくなる仕事 】タイへの出稼ぎから戻ってきた住民へのインタビュー (1).jpeg
(タイへの出稼ぎから戻ってきた住民へのインタビュー)
写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

 現在カンボジアで確認された新型コロナウイルス感染症の感染者は124人。そのうち、122人はすでに回復しました。人々の密集を避けるため、カンボジアのお正月にあたる4月に先立って厳しい移動制限が行われたことが功を奏したとみられています。しかし、新型コロナウイルス感染症の怖さは、実際の感染だけに留まりません。国家間の移動が活発なグローバル社会において人の流れが止まったことは、カンボジアの人々の暮らしに大きな影響を与えました。
 
 テラ・ルネッサンスが事業を行う地域はタイとの国境沿いにあり、ベトナム戦争に端を発する紛争で最後まで戦場となった場所です。埋設された大量の地雷は紛争が終わった後も現地に暮らす人々の脅威となり、たくさんの人の身体の自由や命を奪ってきました。地雷被害者やその家族の多くは農業に従事していますが、目の前の生活にあてる収入を得るため、歩いて国境を越えてタイに出稼ぎに行く人も多いそうです。しかし、3月20日ごろからタイとの国境が封鎖され、一時帰国していた人はもう一度国境を越えて働きに行くこと出来なくなりました。加えて、このような状況下ですぐに国内の仕事を見つけることも難しく、経済的に厳しい状況に陥る人が出てきています。

 また、観光業への打撃も深刻です。日本でも観光地にあるホテルやお店が経営悪化に苦しむ様子がニュースで伝えられますが、カンボジアの観光業も例外ではありません。世界有数の観光名所、アンコールワットを抱えるシェムリアップは毎年多くの外国人観光客で賑わっていました。しかし、各国で出入国管理措置がとられ、外国人観光客の数は激減。観光業で生計を立てていた町の人々は生活の糧を失う事態となりました。
 
 新型コロナウイルス感染症拡大によって国際的な人の移動が制限されたことで、他国への出稼ぎや観光業などで収入を得ていた人々の生活が一変してしまったのです。

2. 土地に根ざした暮らしの確かさ
土地に根ざした暮らしの確かさの部分】住民の高い意識と現地NGO.jpeg
写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

 出稼ぎや観光業に従事する人々が深刻な状況に陥る一方、新型コロナウイルス感染症による影響を比較的受けずに暮らす人々もいます。テラ・ルネッサンスがプロジェクトを行う地域で農業に携わる人々です。彼ら彼女らの暮らしを支えるのは、カンボジアの自然を活かした多様な収入源。ただこれは始めからあった訳ではありません。

 地雷埋設地域の農村部では主に、物価の変動により収入が不安定な換金作物栽培や農作業の日雇い労働に頼らざるを得ない生活が送られていました。地雷被害者を含む障害者、そしてその家族も多いなか、肉体労働による日当でしかその日の生活を賄えない状況があったのです。この地域の状況改善を目指し、テラ・ルネッサンスは現地NGOと協働して村落開発支援や生計向上支援にあたっています。

 現地NGOが指導する農法は、カンボジアに古くからある技術や薬草などの知識を活かすものです。現在では、キャッサバという芋の栽培だけでなく、家庭菜園や家畜・有用昆虫の飼育といった多様な収入源が確保されるようになってきました。最終的には支援団体がこの地域でのプロジェクトを終えても、現地の人々の手で自然資源を活かした安定した生活が営まれていくことが目指されています。複数の収入源があれば、ある一つの作物が売れなくなったとしても別の収入源で生活費を補うことができます。脆弱な立場に置かれているからこそ、様々なリスクに耐えうる生活基盤づくりをしてきたことが、「今回のコロナ禍を乗り越える持久力に繋がったのは嬉しいこと」だと栗田さんは話します。

3. リスクに強い柔軟な社会をつくるために
リスクに強い柔軟な社会をつくるためにの部分.jpeg
(家畜飼育や家庭菜園によって生計向上を進めるナックサヴィさん)
写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

 もともとカンボジアでは、豊かな森の中で食料を調達し、木材を用いて住居をつくるというような自然との共生が行われていました。それが、今日のように「貧困国」と呼ばれる状況になったのは、その生活様式が紛争やグローバル経済の進展といった外因によって崩されたからだと言われています。新型コロナウイルス感染症によって深刻な影響を受けているのも国際移動を前提とする仕事に従事する人々です。

 その中で、テラ・ルネッサンスの活動地である村落の人々が築いてきた「自然と共生する暮らし」は、新型コロナウイルス感染症による社会的な動揺をなんとか乗り越えていくしなやかさに繋がっています。もちろん、農村で暮らすすべての人がそのような状態にある訳ではなく、収入面・衛生面の両方に課題を抱える人もたくさんいます。それでも、グローバル化の中で、地域独自の力を引き出す生活がコロナ禍を乗り越える一つの答えになっているという点には、日本にいる我々も学ぶべきところがあるのではないでしょうか。一つの問題が瞬く間に世界規模の問題へと発展するグローバル社会で、起こりうるリスクにレジリエンス(回復力)を持って対応できるようになる術が何か、問い直すきっかけがここにあります。

4. 海の向こうに思いを馳せる
見出し4 カンボジア観光地.JPG
(コロナ以前のアンコールワット周辺の様子)

 今回は、日本ではなかなか知ることができないカンボジアの現状についてご紹介しました。国境が封鎖され、国際的な人の移動が制限されたことで、観光業や出稼ぎで生計を立てていた人々は致命的な困窮状態に追い込まれています。タイへ出稼ぎに行くことができなくなってしまった人々の中には、明日の食べ物に困る人もおり、テラ・ルネッサンスが食糧支援を行っています。

 「私と地域と世界のファンド」は、新型コロナウイルス感染症で大きな打撃を受けた人々を支援するNGO・NPOに活動資金を届けるプロジェクトです。

 ただ、現地に暮らす人々の中には土地に根ざした多様な収入源を持ち、この困難な状況を乗り切っていこうとする柔の強さがあることも見落とせません。ここまで読んで下さったみなさんが、「海の向こうで必死に生き抜く人たちを応援しよう」と思ったり、自分の生活と照らし合わせて何かヒントになるものを得たりして下さったら幸いです。
 
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posted by 佐野 at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 支援のお願い