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凍りのくじら [2012年08月09日(Thu)]

辻村深月『凍りのくじら』講談社、2005年。

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藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。
残された病気の母と二人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、
思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。
彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって
事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。
家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く“少し不思議”な物語。
Amazonより


最近本を読む時間がなくなってしまっていたけど、
電車の中の暇つぶしにと駅の本屋さんでたまたま出会った一冊。

それが見事に当たりでした!
翌日までに一気に読んでしまった。

最初は、言葉遣いにやや読みづらい部分があって、
読むスピードがたまに落ちてしまうのがもったいないと思ったけど、
後半はほとんど気にならなくなった。

何より魅力は、ストーリー展開が自然で、それでいて独特の世界観を持ってること。

それに驚くほど少女の本音をストレートに表現する気持ちよさ。
登場人物のキャラクターも多様で飽きさせない。

久々に、はまったーと思わせてくれた。
うん、面白いの一言。

私も、ドラえもんを見て育ったけど、
そんなに道具を詳しく知っているわけではない。
なので、物語中にたくさん出てくる道具にはほとんどついていけなかった(笑)

でも、どこかしら懐かしく、共感できてしまうのがドラえもんの力なのかも。

テキオー灯、私も欲しい〜!(笑)


自然に入り込めたのは、主人公の理帆子に共感するところが多かったんだろうな。
理帆子は「少し・なんとか」と自分の周りの人たちにあだ名をつけるんだけど、
自分自身を「少し・不在」とするところが、客観的にはとても痛々しく感じる。

どこにも実は本当の意味での居場所がない。
実際を懸命に生きている人たちに、ちょっと憧れてる。

でも実は私もそうなのかもな〜って気づいて、さらに胸が痛くなった。


理帆子が、口の聞けない(いろんなことに我慢して、口を聞かない)男の子・郁也に
対して言った言葉…いや、実は自分に対して言った言葉が、心に刺さる。

「『誰かと繋がりたいときは、縋り付いたっていいんだよ。相手の事情なんか無視して、
一緒にいたいって、それを口にしてもー』言いながら気が付く。
それが自分自身に向けての言葉なのだということに。他でもない私がそうしたいのだ
ということに。
私は一人が怖い。誰かと生きていきたい。必要とされたいし、必要としたい」(537頁)



そして、全くミステリーだと思わず読んでたので、最後の「しかけ」にはちょっと
やられた感満載。


余命宣告の2年が終わりを迎えようとしている母と、すでに亡くなっているだろう
(どこかの海の底にいるだろう)父と、両方から受ける本当に大きな愛が、
どうしても涙を誘う。

みんな不器用にしか生きられないんだなって思う。
その中で、どれだけの人に愛情を示せるだろうか。
そして、どれだけの人に必要とされるんだろうか。

そんな不安を少しだけ、薄めてくれた、そんな本です。

今、この本に出会えたことに感謝します。
脳が冴える15の習慣 [2012年03月04日(Sun)]

築山節『脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める』NHK出版、2011年。

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脳神経外科の専門医である著者が、多くの現代人が抱える「なんとなく脳が冴えない」
という症状の原因と改善のための方策について詳しく説明している本です。

築山氏は、これまで脳外科の専門家としてボケ症状の治療に取り組んでいらしたらしく
非常にわかりやすく、具体的でとても納得できました。

そもそもボケ症状の治療というと、なんでまだ20代の私が手に取ったか、と疑問に感じる方も
いるかもしれません。

でも、現代人をとりまく環境はIT技術の進展によって脳の機能をあまり使わなくても良いように
設計されてきているために、脳の使い方を間違い、脳の力を衰えさせてしまっているらしいのです!

要するに、仕事でもシステムから問われる Yes or NOという選択を間違わなければ
なんとなくこなせてしまったり、

PCやiPadなど2次元のものに接する時間が長くなるほど、
目以外の五感から情報を得ることが少なくなり、結局脳を総合的に動かすという習慣が少なくなり、
脳の力が衰えるという悪循環に陥ってしまいがちだということを指摘されています。


思えば、この半年、人間味のある生活や習慣がなくなっていたなと反省。

空を見上げたり、風の匂いを嗅いだり。

土に触ったり、生きているものに触れたり。


外に出ていないわけではないけど、
意識してそういった機械以外からの刺激を受けようとしていなかった。

これではきっと脳も凝り固まって、新しいアイディアなんて浮かぶはずないなって。


もちろん、毎日100%の生活を送ることはできないかもしれない。

でも、自分の人生を豊かにするためには脳のために多様な刺激を受けることが大事だし
睡眠をきちんととることや、朝の過ごし方、小さな整理の効果なんかも再確認。

たまたま本屋さんで手に取っただけなのに、よい本に出会えました!

きっと次のステージに行くためには、環境を変えろってことなのかな。

今日から実践してみようと思って街を歩いていたらさっそく新しいことを発見!!

こういうことか、とさっそく実感。

みなさんもぜひ購入してみてください。
僕と妻の1778の物語 [2011年02月19日(Sat)]

『僕と妻の1778の物語』
脚本 半澤律子  ノベライズ 百瀬しのぶ
角川文庫、2010年。



まずは文庫本を読みました。

電車の中で何度も泣きそうになりました。
話の展開は分かってるのにやっぱりだめでした・・・。

特に辛かったのは節子が母親に甘えて泣くシーン。

「まだまだ生きられるんだって、そう思ってたの。
ずっと、一緒にいたいの、サクと」

「サクの連載の続きが読みたい。サクの本が本屋に並んでるところが
見たい。原稿を書いてる姿も好きだし、年取ったサクと一緒にいたい。
話したいことも、いっぱいあるのに」(170頁)


そして
話の展開が分かってるのに映画も見てしまいました(笑)
やっぱりボロボロ泣きました(笑)

なにがいいのかな〜。
やっぱり、作家がただ1人、自分のためだけに書き続けてくれるなんて
すごく贅沢だからかなぁ。

作家だからこそできる愛情表現ですよね。
自分にしかできない愛情表現を、懸命に続けようとする姿。素敵です。
そして、自分のことより残されるサクのことを気にかける節子の姿も
また泣けるんですよ!


余計な効果音がほとんどない、静かな映画です。
少しずつ、死に向き合っていく夫婦の姿。ごく普通の姿。

たまにはこういう映画もいいかもしれません。
情報調査力のプロフェッショナル [2011年01月13日(Thu)]

上野佳恵『情報調査力のプロフェッショナル』ダイヤモンド社、2009年。



「調べる力」は鍛えられる――
企業、人物、業界、消費者などのビジネスの主要分野で必要な
情報を入手するための実践スキルを、世界有数のコンサルティング会社の
リサーチ部門でコンサルタントのトレーナーを務めた著者が公開。
そのスキルはビジネスの現場で働く人にも十分に応用可能なものである。

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隣のデスクに座ってる同僚がオススメしてくれた本。

ネット社会の現代では、社会人にとっても、知らないことに出会うと
まずググる、ということは当たり前のようになってきています。

でも実際は、ネット上の情報量の多さに、
本当に上手く使いこなせているのか不安でもあります。

この本は、私のような初心者向け。
ググることを最大限に活かすために読むにはヒントを得られます。

でも、著者は、いわゆる「ググる」以外に

自分なりの情報源」を持つことの重要性を訴えています。
改めて、ネットに依存し過ぎていたことに反省。

「ググるのは、見たこともない商品などまったく見当のつかないことを
調べるときの第一歩か、他でほとんど資料が得られないときの最後の
手段」146頁

著者が指摘する「調べるときの必要なスキル」
@知識ギャップの認識
A自分の情報源リストとのすり合わせ
B情報の獲得
C検証、判断
D伝達
E自分の情報源リストの整備

「きちんとリサーチをプランニングし、どのような情報が必要なのかを
リストアップし、それを埋めていくということをしていけば、
(肝心な部分の)抜けや漏れはないはず」147頁

まるで、PDCAのサイクルのようです。


書評がたくさんあって、みなさんメモを残されているので、
それらを読むだけでも非常に参考になりますよ!
デフレの正体 [2010年12月30日(Thu)]

今年のマイベストブックです!!

藻谷浩介『デフレの正体』角川書店、2010年。



「生産性の上昇で成長維持」という、マクロ論者の掛け声ほど
愚かに聞こえるものはない。
日本最大の問題は「二千年に一度の人口の波」だ。
「景気さえ良くなれば大丈夫」という妄想が日本をダメにした。
これが新常識、日本経済の真実。

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日本の今の複雑な世相を、「不景気」の一言で片付けられない。

日本の力が弱まっているといっても、米、中、韓、台、ロシアは
まだまだ対日赤字。
スイスはあらゆるものが対日黒字。
これは「自国製」の「高級ブランド品」があるから。(47頁)

まさに、その通りだと思います。目から鱗!
地場産業を興すことの重要性、中小企業が伝えてきた技術を
衰えさせてはならないということ。
あらゆる問題が、つながっていることがよく分かりました。

日本が抱えている本当の課題とは・・・。
これから先、日本が生き残っていくにはどうすればよいのかを
考える際の足がかりとなる本です。

特に消費年齢人口、生産人口の視点、
首都圏の若者の流入とその加齢による高齢者の絶対数の増加
等の視点は、なるほどとうなずくばかりでした。

私はこの手の話はとんとダメなので何度も読まないと
頭に入らないと思います・・・ので、また読み返します!

とても、勉強になりました。必読です!
KAGEROU [2010年12月30日(Thu)]

齋藤智裕『KAGEROU』ポプラ社、2010年。



第5回ポプラ社小説大賞受賞作。
KAGEROU─儚く不確かなもの。
廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。
「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。
そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。
命の十字路で二人は、ある契約を交わす。
肉体と魂を分かつものとは何か?人を人たらしめているものは何か?
深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。
そこで、彼は一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない
愛することの切なさを知る。
水嶋ヒロの処女作、哀切かつ峻烈な「命」の物語。

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水嶋ヒロの処女作ということでかなり期待してました。

まぁ、扱ってる題材が題材だけに、もっと思い切って
現実離れして書いてもよかったのではないかな〜と思います。

彼が取り上げたかった問題がいろいろ伝わってきましたが、
ただ、生死の問題、自殺、臓器移植、人工心臓、恋愛…と、
いろいろ盛り込みすぎかなとも感じました。

話題の彼ですからやっぱり次回作も期待されます!
きれいにまとめず、もっと奇抜な水嶋ワールドが見たいです。
寄付白書 創刊 [2010年12月24日(Fri)]



(特)日本ファンドレイジング協会編 『寄付白書2010』

日本初の寄付白書が創刊されました!!!
詳しくは、公式サイトから→ http://jfra.jp/2010/12/20/gj2010/


そしてそして、さっそく話題になっています。

ダイヤモンドオンライン: 「社会貢献10代ニュース」1位 日本初の寄付白書の発行

毎日新聞: 「寄付白書:個人は09年5455億円 民間団体が発刊」

「ふるさと」の発想―地方の力を活かす [2010年11月03日(Wed)]

西川一誠『「ふるさと」の発想―地方の力を活かす』
岩波新書、2009年。



雇用の崩壊、地域産業の衰退、加速する高齢化、過疎化。
苦境に立たされる地方をどう立て直すか。「ふるさと納税」など
独自の政策提案で注目を集める福井県知事の著者は
「新しいふるさと」という考えを提唱する。
都市と地方の対立を乗り越え、地域における人の「つながり」の
再生をめざす。自らの実践をもとに、理念と戦略を語る。

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地域間格差をどう解消していくか。

そういった議論の際に出てくる消極的な発想や悲観論ではなく
冷静に現状の「都市ー地方」の関係性を分析されており、
非常に参考になりました。


「都市と地方に優劣の差があるのが当然、と考えてはならない(略)
都市と地方という伝統的な区分の中で、その違いがどういう性質の
ものであるのかを認識し、バランスのとれた理解をしなくてはならない」
(49頁)

多くの人が(しかも実際に地方に住んでいる人が)「地方」に固定的な、
比較的消極的なイメージを持ってしまいがちであるのは確か。

「都市」が「地方」を支えているという意識が当たり前になってしまうと
「地方をどうやって支えるか」という方向にしか議論が動かない。

東京だけがいろいろな意味で突出してしまっている日本。
人口も、税収も、情報発信力も、東京に偏っている。

地域からいろんなものを吸収して、日々拡大している東京。
すごくいびつで、恐ろしい・・・。


西川福井県知事の公式サイトはこちら
http://www.nishikawa-issei.com/index.html


ちなみに西川知事が
@福井出身の由利公正が起草した「五箇条の御誓文」の
草稿を購入し、さらに複製版をすべての中学校に配布したこと

A岡倉天心(両親が福井出身)がニューヨークで『茶の本』を
出版して100周年を迎えた年に、世界中から本(他に『東洋の理想』
『日本の覚醒』も)を購入したというエピソード

これらは、知事として素晴らしいと思いました。

地元出身の偉人の功績について、
県内できちんと閲覧することができるとか、
子どもの頃から聞かされるとか、

そういった体験は郷土への愛着を醸成する意味で
とても重要ですし、やる気につながると思います。
地域の元気につながると思います。


都会にはない地域の豊かな自然や人の温かさみたいなものは
強調しなくても伝わりやすいけれど、
そのような感情論だけでは多分に誤解を生みやすいとも
感じている私にとっては、この本は冷静に書かれていて
なるほどとうなずく一冊でした。
人の10倍の「仕事量」をこなす技術 [2010年10月20日(Wed)]

五十棲剛史『人の10倍の「仕事量」をこなす技術
PHP研究所、2010年



「できる人に仕事が集まる」のはどんな会社でも同じこと。
だが、膨大な仕事量に四苦八苦しているようでは、さらなるステップ
アップは望めない。
本書は有名コンサルタントで、仕事の質を保ちつつ、膨大な仕事量を
どうこなしていくかを説くもの。

「選択と集中の重要性」「人に仕事を振られない人になれ」といった
マインドから、「メールはなるべく使わない」「効率的なアポの取り方」
などの具体論まで、縦横無尽にその極意を明かす。

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トップコンサルタントの著者だけに、
「いかにインプットするか」ではなく「いかにアウトプットするか
という視点に重点が置かれているなぁと感じました。


求められているのは、
意外性があって、かつ質が高い回答を即答できる能力

そして「今自分が立っているフィールドで突き抜けた
長所を持つまでは、戦いを止めないこと
(諦めないこと)」
156頁、()内は補足

効率的に仕事をするためには、技術をたくさん使うよりも、
そのように状況を持っていくこと、環境を変える努力をすることが
一番の近道。


すぐに実践できるものではないけれど、
ただのハウツー本ではなかったので面白かったです。

五十棲剛史さんの公式サイトはこちら→ http://www.isozumi.com/



また、この本の中で違う意味で面白いと思ったのは
「夢」について語っている部分。

五十棲氏は、夢には三つのタイプがあるとし
・自己中心的な夢
・他人中心的な夢
・社会中心的な夢
を挙げていらっしゃいます。(166頁)

これって、今のNPO活動にもすごくあてはまるなぁと思って。

NPOセクターなのに、活動の目的や理念を聞いても、
どうしても「自己中心的な夢」にしか思えない人・・・

「他人中心的な夢」になりすぎて、NPO自体の運営にまで目が
届いていない人・・・

もちろん、どれも大事なんですが最終的には
社会の夢をかなえることに力を注げるようになると、NPOの中でも
すっと、「イチ抜け」するんじゃないかなと勝手に思いました。


最近、ますます非営利のセクターも営利のセクターも
近く感じてきています。
しずかな日々 [2010年09月18日(Sat)]

椰月美智子『しずかな日々』、講談社、2010年。



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講談社児童文学新人賞受賞作家のやさしく、すこやかな、感動作。

そうか、少年って、こんなふうにおとなになるのか。

夜の神様が、どうかどうかぼくが今話したことを
すっかり飲みこんでくれますように。

第45回野間児童文芸賞受賞
第23回坪田譲治文学賞受賞

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素晴らしい。
久しぶりに傑作に出会いました。何度も何度も読み返したい。

夏が終わる頃に静かに読みたい一冊です。

小学5年生の男の子が過ごす単なる夏休みの話なんですが、
いや、「単なる」なんだけど「単なる」話じゃないんです!
複雑な家庭環境が絡まって物語がより深くなっています。


主人公のえだいちは、母親と2人で生活していたのですが
いろいろあって、母親と別れて、おじいさんの家で2人で暮らす
ようになったという設定。

布団をたたんで、顔を洗って、
コップ一杯の100%オレンジジュースを飲み、
玄関と庭と表の道路を掃除、
おじいさんが炊いて握ってくれる大きなおにぎりを食べて
ラジオ体操に一番乗りという日課。

こんなにできた小学生いるんでしょうか(笑)

しっかり生活しているのが、余計にえだいちの小さな心の淋しさ
を表しています。

「夕方になると、ぼくは夕食の支度をしはじめる。
必要があったら買い物に行って、簡単なおかずを作る。
夕食作りはぼくの仕事だ」(111頁)

母親と2人暮らしだったから、周りのことは結構何でも1人で
できるんですよね。


主観の混じった夏らしさの描写も好きです。

「朝のきれいな陽を浴びて、庭の木々たちは満足そうで、
まだ熱風になっていない新しい風が、布団の上で半身
起き上がっているぼくの首をなでる」(101頁)

真夏の朝5時におじいさんが雨戸を開けはじめ、
寝ぼけながらえだいちが見た縁側の向こうの美しい景色。


そのひとつひとつの描写がまぶしくて、キラキラしてて
あったかくて、ちょっと切なくて。

初めてできた友達、押野との少年らしい掛け合い。

自転車を一生懸命走らせて遠くまで行った少年らしい冒険。

おじいさんの優しさ。大きな愛情。


なんとも言えず、暖かい気持ちになれます。

本当に素敵な本です。
出会えてよかった。
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