El Greco [2013年01月26日(Sat)]
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これまで、エル・グレコの魅力を知らなかった。
(チケットの題材は『無原罪のお宿り』) 彼の絵は、私の宗教画に対するイメージをさっぱりと裏切ってくれた。 ギリシャ クレタ島が生んだ天才。 久しぶりに自分の価値観が大きく揺らぐのを感じることができた驚きと、 最高の画家を再発見でき、爽快感が残った展覧会だった。 現在、東京都美術館で4月9日まで開催されている、エル・グレコ展。 特別ページはこちら→ http://www.el-greco.jp/index.html 出展作品は51。たっぷりと見ごたえがある。 |
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彼の作品にみられる深い精神性や宗教的情熱は、長い間奇抜、狂信的とされ 晩年から死去後はあまり良い評価を受けていなかったそうだ。 しかし、20世紀初頭から今日にかけて再評価されているという。 私の宗教画に持つイメージは、ふくよかな身体つき、原色を基調とした聖職者の 衣装等からもわかるように、神々しい世界に昇っていく華々しさを感じるものだった。 でも、彼の絵は全く違う。痩せて頬がこけている聖職者たち。 そして、なんといっても目だ! 彼の作品を私なりに解釈しようと見ていて1番感じたのは、 描かれるどの人物の目からも、寂しさや苦しさが感じられるということ。 最初は、世界観が違いすぎて許容できず(笑)、あまり好きじゃないかななんて 思いながら作品を見ていた。 しかし『フェリペ2世の栄光』という絵に出会い、その魅力に絵の前から しばらく動けなくなった。 ※(The Glory of Philip U)1579-1582年 140×110cm | 油彩・画布 | エル・エスコリアル修道院 この絵は、『イエスの御名の礼拝』というタイトルもある。 ※(The Adoration of the Name of Jesus) これまで私が見てきた宗教画は、どれも真実を描いていなかったのかもしれない とさえ思った。本来は、ここまで厳しいものなのだ。 人間の罪をここまでさらけ出している絵を、私はこれまで知らなかった。 とにかく、絵に力がある。 あまりにたくさんの人物が描かれているので、細部は適当なのかと思いきや、そこはやはり天才。 一人ひとりの表情からは、それぞれの過去や思いや祈りが聞こえてきそう。 厳しい絵。でも、引き込まれる。彼はどんな思いでこの絵を描いていたのだろう。 この展覧会のメインは『無原罪のお宿り』で、確かに大きくて迫力もあったけれど 私はこちらの絵が見れたことで非常に満足だった。 他にも、『受胎告知』も彼の独自性が存分に発揮されていてすばらしかった。 ※(Anunciacion) 1597-1600年 315×174cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) 聖母マリアの気持ちの複雑さや、イエスが宿ったという神秘さが、 独特の世界観で表現されている。 『十字架のキリスト』も、他の画家は描いていない表情と身体のラインの美しさに 天才ぶりが発揮されていると感じた。 この題材の絵で「きれいだな」と思ったのは初めて。 ※(Christ on the Cross)1610-1614年 95.5×61cm | 油彩・画布 | 国立西洋美術館(東京) これまでとは違う新しい世界を見せてくれたエル・グレコ展。 知らなかった人も、一見の価値ありです。 |


