おそらく、理由のひとつは、この宮司さんにお会いするきっかけが
娘さんからの熱烈なラブコールがあったから。
今思うと、宮司さんの娘さんが一通の手紙を送ってきてくれたのが始まりだ。
当時はほかの審査の真っ最中ですぐに行ける態勢になかったので、
とりあえずFAXを通じて何度か連絡をとりあっていた。
今は両親と離れて暮らしているという彼女は、被災した両親のため、
そして生まれ育った地区のため、
自分の仕事が忙しくて返事をFAXする時間が深夜になっても、送り続けてくれた。
そこに書かれる文章は、毎回とても暖かい愛情にあふれていて、
それを読んでいるうちに宮司さんにお会いする前から、
娘としての目線に自然となっていたのかもしれない。
……それはともかくとしても、宮司さんは、確かに地域から必要とされている。
家族からも、地域の子どもたちからも、
学校の教師たちからも、今は仮設になってしまったけど隣近所に住む氏子からも。
宮司さんを囲んで、地域が復興に向けて動いていけるその姿を
イメージすることができたのは確かだ。
都内に住んでいると、私も地域の宮司さんとの関わりはほとんどないけれど、
何度も東北の沿岸部を訪れていると、神社やお祭りを中心とした地域のまとまりが
当たり前なんだということがわかる。
祭りや伝統芸能のお披露目の場は、最高に盛り上がる。
もちろん、東北だけじゃないとは思う。でも羨ましいほど異常に盛り上がる。
それは地域の神様への感謝の気持ちを表現している場であり、
親から子へ、老から若へ、いろいろな大切なものが引き継がれていく場であり、
それぞれが、地域の中での自分の役割を果たし、存在を確認する場となる。
こうしたつながりは、やはりなくしちゃいけないと今回も強く感じた。
この基金は、芸能に必要な物だけを支援してるんじゃない。
人と人をつなぎ、地域をひとつにする大事なきっかけを取り戻すための支援でもあるのだ。