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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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少子化に悩む日、韓、伊3国 [2021年03月30日(Tue)]

望ましい子ども数は各国とも2人
環境整備で出生率改善の余地
日本財団の8カ国女性意識調査


先進国の少子化が深刻化している。日本財団が欧州4カ国(スェーデン、デンマーク、フランス、イタリア)と東アジア3カ国(中国、日本、韓国)、それにアメリカを加えた8カ国を対象に行った女性意識調査の結果を見ると、日本、イタリア、韓国の危機感がとりわけ高いように見受けられる。3国の合計特殊出生率(女性が15歳から49歳までに産む子供の数の平均)は新型コロナ禍の影響が表面化する今後、一段と低下する可能性が高い。

調査は各国の18歳から69歳までの女性各500人を対象に1月、それぞれの母国語で行われ、少子化の原因や母国の少子化対策に対する評価、理想の子ども数、移民に対する考え方などを質問している。8カ国の合計特殊出生率を2018年の国際比較統計で見ると、最も高いフランスが1・88で対象202ヵ国・地域中129位。8カ国とも、人口が静止状態となる人口置換水準(2・1前後)を下回っている。

前述の3カ国に絞ると日本は1・42で183位、イタリアは1・29で192位、韓国は0・98で202位。日本は19年1・36、韓国は20年0・84とさらに落ち込んでいる。これを反映し調査結果でも、この3カ国に多くの共通点が見られる。

例えば少子化の現状に「問題あり」、あるいは「あなたの国は子供を産み育てやすい国だと思うか」の問いに「思わない」と否定的回答を寄せている上位3カ国は、いずれも日本、イタリア、韓国。少子化の原因として「仕事と子育てを両立できる環境の未整備」を挙げ、今後、必要な対策として「働きやすい環境(フレックスタイム制、テレワークなど)の整備」を求める点でも、やはりこの3国が上位1〜3位に並んでいる。結果、自国の少子化対策に対する評価(5点満点)は8カ国平均の2・7点に対し、日本2・2点、韓国2・3点、イタリア2・4点と逆に下位3国に位置している。

ただし、「子どもを持つ場合、結婚は前提条件となるか」では中国とともに日本、韓国の68〜56%が「なる」としているのに対し、欧州4カ国は逆に84〜76%が「ならない」と答え、際立った対照を見せている。未婚のまま子どもを持つこと、いわゆる婚外子に対する回答も同じ傾向。東洋と西洋の文化的な違いとも言え、この点だけに日本、韓国とイタリアに違いが出ている。

少子化対策としての移民受け入れに関しては、出生率が1・73(18年:世界146位)ながら移民によって引き続き人口増加が予想されているアメリカの7割超が「国を豊かにする」と肯定的回答。これに対し、日本の肯定的評価は8カ国中最低の約4割、8割以上が「自国で出生率の増加などを図るべきだ」と答えるなど、それぞれの国の事情を踏まえ8カ国で異なる傾向を見せている。

多くの国で少子化と並行して高齢化が進んでおり、このままでは次世代を担う若者世代の負担が過大となり、日本で言えば、年金受給額の減少や受給年齢の引き上げ、医療費の自己負担増加など社会制度の劣化は免れない。

スウェーデンやデンマーク、フランスは1980年代から90年代にかけ出生率が1・4〜1・7まで落ち込んだ。これを受け、家族手当など経済的支援のほかに出産・子育てと就労に関し幅広い選択ができるような社会環境の整備に取り組み、2019、20年に1・8を超すところまで回復した。移民が出生率を押し上げている、といった指摘もあるようだが、出生率の改善は国としての取り組みの成果というべきであろう。

調査結果によると、夫婦に望ましい子どもの数は8カ国とも「2人」がトップ。少子化が新しい文化になりつつあると言われるが、素人目には環境さえ整えれば、日本、イタリア、韓国にも改善の余地が十分あるように思える。自国の少子化対策に対する3国の女性の厳しい評価は、各国政府の取り組みの弱さに対する不満の表明と言え今後の動きに注目したい。
50年カーボンニュートラル [2021年03月08日(Mon)]

原子力を電力安定確保の担保に
見通せない再エネ開発の将来
CO2の排出削減は“待ったなし”



温暖化が進む中、「脱炭素」に向けた国際社会の動きが急だ。わが国も2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)に向けた実行計画「グリーン成長戦略」を打ち出している。菅義偉首相が「経済と環境の好循環を生み出す成長戦略」と位置付けるように、今後、政官財を挙げた取り組みが進められよう。

50年の電源構成に対する政府のたたき台は、再生可能エネルギー(再エネ)5〜6割、水素とアンモニア発電約1割、原子力とCCUS(炭素回収・貯留)や二酸化炭素(CO2)を回収・再利用するカーボンリサイクル併用の火力3〜4割。あまりに漠としているが、何より重要なのは電力の安定的確保であり、急速に進む温暖化を前に二酸化炭素(CO2)の排出削減も“待ったなし”である。

島国・日本には、陸続きの欧州のような国境を越えた国際送電線はなく、必要な電力はすべて国内で調達する必要がある。カーボンニュートラルの成否は再エネやCCUSの開発にかかることになるが不確定要素も多く、既存の設備がありCO2を発生しない原子力を電力安定確保の担保として位置付けておく必要があるように思う。

もっとも当の原発は、法律が定める原則40年間の運転期間を前提にすると、現存する計36基のうち、50年時点で稼働できるのは建設中の3基だけとなる。東日本大震災(2011年)で起きた東電・福島第一原発事故の被害があまりに甚大で、10年を経た現在も廃炉の目途さえ立たない現状を前にすると、原発に対する拒否感が和らぐ可能性は低く、新増設には個人的にも抵抗がある。

となると原子力を担保として使える期間は限られ、50年目標の「原子力とCCUS、カーボンリサイクルの併用で3〜4割」の電源構成のうち原子力はほとんど見込めない可能性も出てくる。前述したように「再エネ5〜6割」にも不確定要素が付きまとう。50カーボンニュートラルを実現するためにも、あらためて柔軟で腰を据えた議論が必要ではないか。原発に対する賛否両論が鋭く対立する現状の議論だけで、事態を前に進めるのは難しい。

自然エネルギー財団、日本原子力文化財団など各種資料によると、2019年のわが国の電源構成は石炭32%、石油4%、液化天然ガス(LNG)35%、再エネ20%、その他3%。原子力は福島原発事故の影響で事故前の20%前後から3分の1の6%に落ちた。これに対し30年の見込みはLNG27%程度、石炭26%程度、再エネ22〜24%程度、石油火力3%程度のほか、原子力も20〜22%程度が見込んでいる。

NHKが昨年秋に行った世論調査では、停止中の原発の再稼動に賛成の回答は3140人のうち16%に留まったと報じられている。日本財団が次世代を担う17〜19歳の若者1000人を対象に1月実施した18歳意識調査でも、CO2を削減するために取るべき対策として停止中の原子力発電の再稼動に賛成する声は10・7%と低い数字だった。

この状態で30年に「20〜22%程度」を見込むのは難しい気がする。素人の立場でよく分からないが、仮に「小型モジュール炉」など新しいタイプの原発が社会に受け入れられ、目標を達成できるということであれば、それに越したことはないが、事態はそれほど甘くはないのではないか。

福島第一原発事故の後、国内の原発は11基が廃炉となった。事故を教訓にした新しい規制基準に合格して再稼働した原発は9基に留まる。日本財団調査の結果を見ても、60・4%が「50年カーボンニュートラル」を評価する一方で、実現可能と見る意見は7人に1人(14・4%)に過ぎない。

期待する再エネも太陽光発電(69・1%)や水力発電(39・9%)が上位を占め、政府が主力として期待する洋上風力発電は22・6%=複数回答=と下位に位置している。この辺りにも本来あるべき議論の不足が反映されている気がする。グリーン成長戦略に原子力の活用を一定程度、見込むのであれば、広く理解を得るためにも、もっと幅広い議論が欠かせない。国民の理解と関心が希薄な現状を危惧する。
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