四季折々の雑記
https://blog.canpan.info/miyazaki/
30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。
ja
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/212
―少子化時代の教育に若者は何を望むかー
大学の定員削減には40%が反対財源確保 年金・介護費の削減を世代を越えて痛みを分かち合う時代日本の出生数は昨年、75万8631人。8年連続で減少し、過去最少となった。出生数と密接に関係する婚姻数も48万9281組と戦後初めて50万組を割り、少子化は今後、一層、深刻化する。これに伴い大学や短大への進学者数も減る。文部科学省の学校基本調査によると、2023年度の進学率は大学が57.7%、短期大学3.4%、専門学校21.9%。女性を中心に進学率が上昇しているが、文科省の試算では20..
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日本財団 宮崎
2024-03-06T15:33:59+09:00
大学の定員削減には40%が反対
財源確保 年金・介護費の削減を
世代を越えて痛みを分かち合う時代
日本の出生数は昨年、75万8631人。8年連続で減少し、過去最少となった。出生数と密接に関係する婚姻数も48万9281組と戦後初めて50万組を割り、少子化は今後、一層、深刻化する。
これに伴い大学や短大への進学者数も減る。文部科学省の学校基本調査によると、2023年度の進学率は大学が57.7%、短期大学3.4%、専門学校21.9%。女性を中心に進学率が上昇しているが、文科省の試算では2040年度の大学進学者数は50万6000人。22年度の64万人から20%以上減る。
これを受け、生き残り競争も激しさを増している。1990年以降、39の女子大が共学化に踏み切り、複数の大学の統合あるいは学部を増やし総合大学化を目指す動きも目立つ。外国人留学生の受け入れも90年の約4万人から20万人近くまで増えた。
自治体が地元の私立大学を公立大学に衣替えし若者流出に歯止めを掛ける試みも顕著。この結果、90年に39校だった公立大学は昨年、100大学まで増えた。若者が地域に留まったまま学べるオンライン大学の設立許可申請も増える傾向にある。
こうした動きを若者はどう見ているか。日本財団が1月、全国の17~19歳1000人を対象に行なった調査によると、通学不要のオンライン大学の増設、留学生の受け入れ増加、公立大学の増加にはほぼ半数、大学の総合大学化や女子大の共学化にも40%以上が賛成している。
6割が大学無償化に賛成する一方で、4割は大学定員削減に反対している。望ましい入試の形としては、男性が「学力検査を中心とした試験」、女性は「総合的な評価を中心とした評価」を求める声がいずれも4割を超えている。
▼世代間の意見の違い、どう調整するか?
教育強化に欠かせないのは公的支出の強化。初等、中等、高等教育に対する我が国の公的支出は一般支出の7・8%、OECD(経済協力開発機構)に加盟する38国平均の10・6%(19年)を下回っている。
調査では28%がOECD平均程度、13%が15%以上に増やすよう提案。そのための年金、国際協力、防衛、介護、医療の順で歳出を減らすほか、法人税や所得税増税、新税の創設による財源確保を求めている。ただし、消費税増税を適切とする声は7・1%に留まっている。
国の財政が逼迫する中、将来の人材を育てる教育費をどう確保していくかー。歳出削減策の上位に年金や介護費の減額が挙がっている点から見て、若年層が高齢層の”自己負担増”を求めているのは間違いない。受給年齢の引き下げや受給額の減少など年金サービスの低下が目立つ中、高齢者には難しい選択となるが、膨張する社会負担に耐えるには、世代を越えて痛みを分かち合うしか方法がない気がする。
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/211
―若者は将来をどう見ているか―
7割が国、6割が自分の将来に不安GDP4位への転落は“国力の低下” 若者の7割が国の将来、約6割が自分の将来に「不安がある」と回答ー。日本財団が昨年12月、全国の17~19歳1000人を対象に行なった60回目の18歳意識調査の結果だ。 調査は日本のGDP(国内総生産)について、IMF(国際通貨基金)が先に「近くドイツに抜かれ世界4位に後退する」との見通しを公表したのを受け、国の将来を中心に聞いている。次代を担う若者の6、7割もが国や自分の将来に不安を持つ姿は尋常ではない。 ..
ミニコラム
日本財団 宮崎
2024-02-06T09:48:19+09:00
7割が国、6割が自分の将来に不安
GDP4位への転落は“国力の低下”
若者の7割が国の将来、約6割が自分の将来に「不安がある」と回答ー。日本財団が昨年12月、全国の17~19歳1000人を対象に行なった60回目の18歳意識調査の結果だ。
調査は日本のGDP(国内総生産)について、IMF(国際通貨基金)が先に「近くドイツに抜かれ世界4位に後退する」との見通しを公表したのを受け、国の将来を中心に聞いている。次代を担う若者の6、7割もが国や自分の将来に不安を持つ姿は尋常ではない。
少子高齢化に伴う社会の縮小、GDP(国内総生産)の2倍を超す国の借金、政治の停滞など、わが国を取り巻く環境はあまりに厳しい。世界が大きな転換期を迎える中、この国の将来はどうあるべきか、あらためて考えさせられる思いがする。
名目GDPの国際比較は米ドル換算で行われ、GDPを人口で割って算出される1人当たりのGDPはその国の平均所得の指標にもなる。折からの円安が日本の落ち込みを加速している面はあるが、個人所得は「失われた30年」の中で一貫して低迷しており、4位後退の一番の原因は「国の力」そのものの低下にある。
これを受け、調査では3人に2人が日本のGDPランキングは「今後も下降する」と見ている。若者が将来を不安視する材料はあまりに多く深刻だ。急速な少子高齢化に伴い65歳以上の高齢者1人を支える生産年齢人口(15歳~64歳)は、2020年の2.1人から70年には1.3人と若者の負担感は一段と厳しさを増す。
国債や借入金など “国の借金”(政府の債務)も23年3月末でGDPの2倍、1270兆円余と先進国では例を見ない額に膨れ上がり重く圧し掛かる。財政の硬直化が柔軟な政策投資の大きな足かせともなっている。
国の将来、目指す方向を示すべき政治も機能していない。19年に言論NPOが実施した調査では、「日本の政党や国会を信頼できない」と考える人は6割を超え、政治的無関心が膨れ上がっている。あえて否定的な面を列記したが、18歳調査の結果は、こうした厳しい現実がそのまま反映された形だ。
一方で、1月から年間投資枠や非課税保有期間が拡充された新NISA制度に4割以上が「関心がある」と答えている。過半数は魅力的な投資先などについて「分からない」としているものの、自力による資産形成の必要を感じている若者が4割を超しているのは、予想以上に多い気もする。将来に対する若者の不安が反映された結果と理解し、社会の立て直しを急ぐ必要がある。
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/210
能登半島地震
被災地支援の要は“初期対応”役割大きい災害ボランティア小回り効く小型重機活用を 国際社会が大きく変動する中、「失われた30年」で沈滞した日本の「新たな30年」はどんな時代となるかー。そんな思いで新年を迎えた途端、能登半島地震が起きた。 日本は世界で起きるマグニチュード6以上の地震の20%が発生する地震大国。常に大地震と隣り合わせとはいえ、家屋やインフラが壊滅し、確認された死者も地震発生から3週間を経て230人を超えた。輪島市北西部などで地盤が4㍍も隆起し、海岸線が200㍍以上..
ニュース
日本財団 宮崎
2024-01-22T10:17:31+09:00
被災地支援の要は“初期対応”
役割大きい災害ボランティア
小回り効く小型重機活用を
国際社会が大きく変動する中、「失われた30年」で沈滞した日本の「新たな30年」はどんな時代となるかー。そんな思いで新年を迎えた途端、能登半島地震が起きた。
日本は世界で起きるマグニチュード6以上の地震の20%が発生する地震大国。常に大地震と隣り合わせとはいえ、家屋やインフラが壊滅し、確認された死者も地震発生から3週間を経て230人を超えた。
輪島市北西部などで地盤が4㍍も隆起し、海岸線が200㍍以上沖合に移動した地域もある。もともと海底が隆起して形成された能登半島で恐らく数千年に一度の現象と報じられ、想像を絶する自然の脅威に唖然とする。
▼ボランティア元年から30年
全国から延べ100万人以上が被災地に駆け付けボランティア元年と呼ばれた阪神淡路大震災からほぼ30年、医療、家屋の清掃、炊き出し、心のケアなど様々な支援を行う多彩なボランティアも育ってきた。複数の自治体が被災自治体を1対1で支援する「対口(たいこう)支援」も広がってきた。
ボランティア活動も含め被災地支援は、いかに迅速に被災地に入るか、換言すれば道路確保が初期対応の要となる。今回の地震は、大半を海抜三百㍍以下の低山地と丘陵地で占める能登半島の特殊な地形もああって、入り組んだ道路が至る所で崩落、陥没した。
折からの豪雪も加わって自衛隊や消防、警察の大型、中型車両や重機の被災地入りが困難を極めた。被災地に入れない限り復興支援は進まない。特に被災者救出は「災害が発生してから七十二時間が勝負」といわれるように時間との闘いだ。
地震発生翌日、特に被害がひどかった珠洲市や輪島市に入った日本財団・災害対策事業部のメンバーによると、当初、多くの車両や重機が半島入り口の金沢市などで待機を余儀なくされ、災害ボランティアの助けで被災地入りする車両も目立った。
近年、ショベルカーやユンボ(油圧ショベル)など小形重機の扱いに慣れた災害ボランティアも多数育っている。普段から小型重機を使うメンバーも多く、ボランティアという名のプロ集団だ。
こうしたNGOと連携協定を結んで普段から災害発生に備える日本財団のような取り組みもある。自衛隊や警察、消防などと共に災害ボランティアを加えた初動態勢の強化、ネットワークの整備が急務と考える。
▼守りの強化こそ
政府が14年、30年以内の発生確率を「70%」とした首都直下型地震や、昨年、今後20年以内の発生確率が「50%~60%から60%程度」に引き上げられた南海トラフ地震が何時、起きるか分からない。
ひたすら備えを強化することが「守り」につながる。能登半島地震の報道を見ながら、そんな思いを強くする。(了)
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/209
―生成AI にどう向き合うか?―
積極的評価から懸念まで反応は多彩加速度的な進化にどう調和「規制」の動きに注目 「生成AI」を巡る議論が盛んだ。単純作業や大量のデータ処理をスピーディーにこなすAIの能力が少子化で労働力不足が進む我が国を救うといった積極的な評価から、個人情報など機密情報の漏洩から不正確な情報や偽情報の拡散を懸念する声まで内容も幅広く多彩だ。 歴史を振り返れば、第一世代AIとも表現される電卓が登場した時、誰もがその計算力の速さと正確さに驚いた。AIの進歩は加速度的に進み、今後、どのように進化して..
ミニコラム
日本財団 宮崎
2023-09-06T14:25:05+09:00
積極的評価から懸念まで反応は多彩
加速度的な進化にどう調和
「規制」の動きに注目
「生成AI」を巡る議論が盛んだ。単純作業や大量のデータ処理をスピーディーにこなすAIの能力が少子化で労働力不足が進む我が国を救うといった積極的な評価から、個人情報など機密情報の漏洩から不正確な情報や偽情報の拡散を懸念する声まで内容も幅広く多彩だ。
歴史を振り返れば、第一世代AIとも表現される電卓が登場した時、誰もがその計算力の速さと正確さに驚いた。AIの進歩は加速度的に進み、今後、どのように進化していくか、この世界に疎い身には予測がつかない。ただし、その発展形の一つとして登場したのが生成AIということであろう。
日本財団が8月、生成AIをテーマに行った18歳意識調査では、対象1000人のうち3人に1人強(36%)がテキスト生成AIを中心に使用経験がある、と答え、使用経験のない人の約60%も「使ってみたいと思う」としている。使用目的は40%近くが「学校の宿題や職場で使う資料の文書を手伝ってもらうため」、「暇つぶし」も60%を超えた。
「暇つぶし」は選択肢の表現として適格性を欠く気もするが、AIがどんなものか、試しに使ってみたということであろう。生成AIを知っている人の20%弱は、「生成AIの登場で自分の将来の夢・就きたい職業や興味のある科目・学問に影響・変化があった」とも答えている。具体的イメージが固まるのは、これからであろう。
生成AIは、文章、画像から動画、作曲まで何でも“本物らしく”こなす能力を持つといわれる。定型的な文書や簡単な報告文書を作成する便利なツールとして活用する動きは確実に広がると思われる。
米国では、全米脚本家協会(WGA)が5月から、ハリウッドの俳優労組「映画俳優組合 - アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)」が7月から、労働環境の改善と併せAIの規制を求めてストライキに入ったと報じられている。
生成AIを使った映画・テレビ番組やChatGPTによる脚本制作が急速に進む中、執筆業自体が機械化される事態を懸念したストライキと理解し、一瞬、19世紀前半の産業革命期に、急速な機械工業の発展に抵抗してイギリスで起きたラダイツ運動を思い出した。
しかし、報道を見ると、最近は俳優本人がAIでコピーされ知らない間に映画やテレビ番組に登場するケースも増えているという。「AI俳優」と表現されるそうだが、これでは将来の危険性も深刻度も違う。肖像権など法的問題もあり、規制を求める声は当然と思う。
今後、AIは加速度的に進化しよう。多くの人の想像を上回る変化が生まれると思う。AIが人間をしのぐ力を発揮する分野は増々、増える。同時に人間にしかできない「分野」も鮮明になり、それを活かして行くことがAIを便利なツールとして使う道につながる。
欧州連合(EU)などでAIを規制する動きが報じられている。それらの動きを、しばし注目したいと思う。
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/208
迷走するマイナンバーカード
マイナ保険証一本化若者の過半数「政府の対応は不適切」まずは国民の不安を払拭すべき! マイナンバーカードを巡る政府の対応が迷走している。岸田文雄首相は8月4日の記者会見で、来年秋に予定していた健康保険証の廃止(マイナ保険証一本化)時期をどうするか、最終判断を今秋に持ち越すとともに、マイナ保険証未取得者に対し一律に交付する「資格確認書」の有効期間を当初の1年から5年に延長する考えを示した。 岸田政権の看板である「こども政策」、「防衛費増額」の財源確保と同様、先送り感が否めず、国民..
ミニコラム
日本財団 宮崎
2023-08-06T12:14:28+09:00
マイナ保険証一本化
若者の過半数「政府の対応は不適切」
まずは国民の不安を払拭すべき!
マイナンバーカードを巡る政府の対応が迷走している。岸田文雄首相は8月4日の記者会見で、来年秋に予定していた健康保険証の廃止(マイナ保険証一本化)時期をどうするか、最終判断を今秋に持ち越すとともに、マイナ保険証未取得者に対し一律に交付する「資格確認書」の有効期間を当初の1年から5年に延長する考えを示した。
岸田政権の看板である「こども政策」、「防衛費増額」の財源確保と同様、先送り感が否めず、国民の不安払拭につながるとはとても思えない。7月、報道各社が行った世論調査では、「岸田内閣を支持しない」が「支持する」を軒並み上回り、その原因としてマイナンバーカードトラブルへの政府の対応の拙さが指摘されている。
日本財団が7月、全国の17~19歳1000人を対象に行なった「18歳意識調査」でも、マイナーバーカードを巡る一連のトラブルに対する政府の対応を「適切」とする若者は「どちらかといえば」を含めわずかに18%、3倍を超す57%が「不適切」と答えている。
行政手続きのデジタル化は煩雑で複雑な事務作業を効率的に進めるためにも必要と判断する。18歳調査でも3人に2人(64%)は「進めるべき」と答え、一定の理解は得られている。現に申請中も含めると8割(79.5%)がマイナンバーカードを取得している。
しかし、今回、資格確認書の有効期間が延長されたことで、マイナ保険証を持たなかった場合の不便・不利益感は大幅に緩和される。
マイナンバーカードには、ほかにも①国民全員への番号割り当て②自宅でも行政サービス手続きができる国民ID制度③自分が誰であるか、写真付きで証明する「身元証明制度」など多彩な機能が盛り込まれる。
その一方で、少子高齢化が急速に進み国の財政の大幅に悪化する中、マイナンバーで国民の資産情報を把握し、所得に応じて税や保険料を公平・公正に負担してもらう狙いも込められている。同様の狙いで2009年から住民基本台帳カード(住基カード)が試みられたが、取得率が上がらないまま新規発行が停止された経過もある。
マイナンバーカードを持つかどうかはあくまで任意。政府の拙速な取り組みが本来の狙いを希薄にしている面もあり、これ以上、迷走が続けば、返還者が増える事態さえ懸念される。ここは時間を掛けて十分な対策を講じ、国民の不安を払拭し理解と納得を得るのが先決と考える。(了)
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/207
日本の新たなフロンティア
中央アジア外交にどう向き合うか!親日色強く「歴史的しがらみ」なし 近年、中央アジア5ヵ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)が日本外交のフロンティアとして注目を集めている。石油や天然ガスなど資源も豊富で、わが国にとってアジア諸国のような「歴史的しがらみ」もない。親日色が強いこの地域との外交をどう切り拓いていくかー。5カ国は1991年まで旧ソ連邦に属し、連邦崩壊後、独立した。その後もロシア、中国の影響力が強く、トルクメニスタンを除く4カ国は..
ミニコラム
日本財団 宮崎
2023-07-01T15:56:07+09:00
中央アジア外交にどう向き合うか!
親日色強く「歴史的しがらみ」なし
近年、中央アジア5ヵ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)が日本外交のフロンティアとして注目を集めている。石油や天然ガスなど資源も豊富で、わが国にとってアジア諸国のような「歴史的しがらみ」もない。親日色が強いこの地域との外交をどう切り拓いていくかー。
5カ国は1991年まで旧ソ連邦に属し、連邦崩壊後、独立した。その後もロシア、中国の影響力が強く、トルクメニスタンを除く4カ国は、中ロ両国が主導する上海協力機構(SCO)に所属している。ウクライナ戦争でロシアの影響力が低下する中、5月には中国が5カ国との首脳会議(サミット)を開催、巨大経済圏構想「一帯一路」への協力を呼び掛けるなど新たな動きも出ている。
わが国は2004年、対話プラットフォーム「中央アジア+日本」を設立。ODA(政府開発援助)を柱に、近年は筑波大学を中心とした留学生受け入れなど関係強化に取り組んでいるが、ロシアや中国に比べれば存在感は薄い。
ウズベキの大学に初の日本語図書寄贈
そんな中、日本財団の姉妹団体である日本科学協会が6月、日本語図書寄贈事業の一環としてウズベキスタンの世界経済外交大学に日本語図書約700冊を贈った。1999年に始まった同事業で中央アジアの大学に日本語図書が贈られるのは初めて。
首都タシケントにある大学構内で同8日に行われた贈呈式で、アマノフ・ドゥルベック副学長は「多くの学生が日本文化に関心を持ち日本を目指している」と謝辞を述べ、日本財団の尾形武寿理事長は「若い人に日本を知ってもらうためにも寄贈図書を10倍、20倍に増やしたい」と語った。
事業は中国の各大学への図書寄贈で始まり、既に中国の86大学に400万冊を超える図書が贈られている。昨年、インドのバナラス・ヒンドゥー大学など2大学、タイのタマサート大学への寄贈が決まったのに続き、今年はフィリピンのフィリピン大学ディリマン校にも初の寄贈が行われ、これで寄贈先大学は計5カ国に広がった。
一方、日本財団は2004年に設立された日本・トルコ・中央アジア友好協会(JATCAFA)を通じて、この地域の学生の奨学支援に取り組み、2016年までに300人を超す学生が卒業、各国政府や研究機関、金融などで要職に就いている。
16年7月にトルコで発生した大規模なクーデター未遂事件を機に翌年、事務局をドバイに移し、新たに日本・中央アジア友好協会(JACAFA)を設立。現在は中央アジア5ヵ国にアゼルバイジャンも加えた6カ国の学生を対象に奨学事業を進めている。
何よりもシルクロードのイメージが強い地域だが、昨年と今年、ウズベキスタンの首都タシケントと古都サマルカンドを訪れ、日本に対する興味の高さと親しみを強く実感した。この地域との新たな関係構築には、例えささやかであっても、まずは奨学生支援や図書寄贈のような地道な事業の積み重ねが不可欠との思いを強くする。
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/206
少子化の背景
日本社会における「婚外子」とは!全出生児の2・4% 仏の25分の1欧米では出生率押し上げ効果も 少子化に関連して欧米では近年、婚姻関係がない男女の間に生まれた婚外子が社会に広く認められ、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)を押し上げる効果を生んでいる、と指摘されている。 そんな中、日本財団が3月、全国の18~69歳の女性1万人を対象に行なった調査で、婚外子の権利を認めることが出生率の上昇に繋がるか尋ねたところ、3割(30・9%)が「そう思う」、2割強(23・9%..
(カテゴリなし)
日本財団 宮崎
2023-05-25T00:34:21+09:00
日本社会における「婚外子」とは!
全出生児の2・4% 仏の25分の1
欧米では出生率押し上げ効果も
少子化に関連して欧米では近年、婚姻関係がない男女の間に生まれた婚外子が社会に広く認められ、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)を押し上げる効果を生んでいる、と指摘されている。
そんな中、日本財団が3月、全国の18~69歳の女性1万人を対象に行なった調査で、婚外子の権利を認めることが出生率の上昇に繋がるか尋ねたところ、3割(30・9%)が「そう思う」、2割強(23・9%)が「そうは思わない」と答える一方で、「分からない」との回答も半数近く(45・2%)に上った。
「年金広報」の昨年7月号に掲載された神奈川県立保健福祉大の山﨑泰彦名誉教授のコラムなどによると、2020年、わが国で生まれた子どものうち婚外子が占める割合は2・4%。これに対し欧米各国の数字を19年で見ると、フランスが61.0%、スウェーデン54.5%、イギリス48.2%、アメリカ40.0%、イタ リア35.4%、ドイツ33.3%(イギリスは17年)と日本とは極めて大きな開きがある。
キリスト教など宗教に基づく婚姻倫理の変化など様々な要因が考えられるが、欧米で近年、婚外子が増えてきた背景には、結婚していなくとも結婚した場合と同等の法的保護が受けられるよう諸制度が整備されてきた点があるようだ。
我が国でも、婚外子(非嫡出子)が受け取る法定相続分の遺産はかつて婚内子の半分(2分の1)と定められていた。しかし2013年、最高裁大法廷が婚外子と婚内子で相続分に差を設ける民法の規定は「違憲」と判断し、現在、相続に関し婚外子と嫡出子の間に法律上の差はない。
ただし、欧米とアジアを比較した場合、とりわけ東アジアは儒教文化の影響というか、結婚に対する考えの違いが大きく、婚外子の増加には繋がっていない。その結果、合計特殊出生率にも歴然とした差が出ている。1993年に1.66まで落ち込んだフランスは2020年1・83にまで回復、スウェーデンも1・66の数字を維持している。
1・83は人口が静止状態となる置き換え水準(2・06前後)より低く人口は減少するが、穏やかな人口減少の実現に向け日本が20年に初めて設定した希望出生率1・8より高い。ちなみに日本の合計特殊出生率は21年1・30。コロナ禍の影響もあって22年は1・27前後まで落ち込むと見られ、昨年、0・78と世界で最も低い数字を記録した韓国は婚外子の割合も1・9%と日本以上に低い。
フランスやスウェーデンでは1970年代以降、カップルの形の多様化が進み、結婚しないカップルが増加。それに伴って婚外子が増え、合計特殊出生率の低下に一定の歯止めが掛かる形となっている。
内閣府男女共同参画局の資料によると、100年以上前の1903(明治36)の我が国の婚外子の比率は9・4%と現在の約4倍の数字だった。社会の変化に伴って男女の関係、子供の誕生の形を変わるということであろう。
今後、わが国でも事実婚や同棲など法律婚以外のカップルが増えるのは確実。婚外子が権利に基づき遺産を相続し養育費を払ってもらうには、「認知」手続によって父親との親子関係が法律的に裏付けられる必要がある。
1万人女性調査では、婚外子の権利を「もっと認められるべきだ」とする意見が過半の51・9%を占め、「認めるべきではない」(8・6%)を大きく上回った(残る39・6%は「分からない」)。
遺言による「認知」も含め難航するケースが多い現実もある。嫡出子と非嫡出子の間には今もなお差があるというべきであり、少なくとも婚外子の権利は婚内子と同等でなければならない。最高裁判決の言葉をそのまま引用すれば、「父母の婚姻関係の有無という、子どもにとって選択・修正する余地のない事柄を理由に、その子どもに不利益を及ぼすことは許されない」。(了)
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/205
低迷する地方議会
道府県議選 25%が無投票当選低い若者の関心と信頼ネット投票導入など見直しを! 2023年統一地方選の前半戦となる9知事選と41道府県議選、17政令市議選の投票が4月9日に行われる。近年、目立つのが地方議会の“定員割れ”。今回も計41道府県議選の約4割に当たる348選挙区の立候補届出が定数に満たず、総定数2260の25%に当たる565人が無投票当選となった。前回2019年統一地方選の道府県議選で計371選挙区612人(26・9%)が無投票当選となったのに次ぐ数字で、4月1..
ニュース
日本財団 宮崎
2023-04-05T09:30:33+09:00
道府県議選 25%が無投票当選
低い若者の関心と信頼
ネット投票導入など見直しを!
2023年統一地方選の前半戦となる9知事選と41道府県議選、17政令市議選の投票が4月9日に行われる。近年、目立つのが地方議会の“定員割れ”。今回も計41道府県議選の約4割に当たる348選挙区の立候補届出が定数に満たず、総定数2260の25%に当たる565人が無投票当選となった。
前回2019年統一地方選の道府県議選で計371選挙区612人(26・9%)が無投票当選となったのに次ぐ数字で、4月18日に告示される政令指定市以外の市区町村議選でも、かなりの定員割れが出るのは必至の情勢だ。
「なり手不足」に伴う地方議会選挙での定員割れや、次代を担う若者の低投票率を前にすると、急速な人口減少で、ただでさえ活気が失われつつある地方の再生は一段と難しくなる。論戦も投票もない選挙とは一体、何なのか。選挙制度の見直しが急務な気がする。
2月、日本財団が「地方議会」をテーマに全国の17~19歳1000人を対象に行なったインターネット調査では、住民票がある出身地で選挙があることを認識している若者はわずかに15・4%。うち81・5%が「投票する」、「多分投票する」と答えているものの、全員が投票しても投票者は12・5%、8人に1人に留まる計算だ。
地方議会に対する信頼度も26・8%と首長(知事や市区町村長)の32・9%、地方自治体の同31・5%に比べ低く、「信頼していない」(31・1%)の方が4%以上多い。3人に2人(67・7%)が「統一地方選の実施自体を知らない」と答えている点を合わせると、地方議会に対する関心・信頼の低さは尋常ではない。
対策の一つとして2002年には電子投票法が施行され、自治体が条例で定めれば地方選挙でタッチパネルなどを使う電子投票が可能になり、全国の10自治体の首長選挙や議員選挙で導入された。しかし、岐阜県可児市の市会議員選挙で機器の不具合が発生、選挙をやり直すなどトラブルも発生し2016年以降、行われていない。
選挙コストを抑える点でメリットがあり、総務省は今後も自治体の要望があれば支援する構えだが、投票所に足を運ばなければならない点に変わりはない。古里を離れて都会の大学に進学、住民票を移さないまま都会で暮らす若者の投票率を上げるのに、さほどの効果があるとは思えない。
その意味で注目されるのはネット投票。パソコンやスマホを使った投票も可能で投票率アップが期待され、2019年には東京都や福岡県で実証実験も行われた。しかし、本人確認など課題も多く、政府は当面、海外に住む有権者の在外投票での導入を目指す構えだ。
SNSを通じた政策発信などインターネットを使った選挙運動は既に2013年の参院選から解禁されている。選挙に対する若者の関心を高める一定の効果はあろう。民主主義が機能するには、選挙でそれなりの投票率が確保される必要がある。ネット投票を含め新たな選挙の仕組みが急務と考える。
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若者は政治の現状をどう見ているか?
「期待できる」は5人に1人過半が「国会は政策論議の場となっていない」“時宜に応じた必要な決断”にも疑問符国会の現状について2人に1人(52・3%)が「有意義な政策論議の場になっていない」、さらに3人に2人(64・6%)は「若者の意見が取り入れやすい場となっていない」と指摘。「不測の事態に適切な対応をしている」、「必要な決断が適時できている」といった日常活動に関する評価も30~22%と低く、政治・国会を「期待できる」と回答した若者は5人に1人(20・1%)に留まっている。日本財..
ミニコラム
日本財団 宮崎
2023-03-07T22:19:28+09:00
「期待できる」は5人に1人
過半が「国会は政策論議の場となっていない」
“時宜に応じた必要な決断”にも疑問符
国会の現状について2人に1人(52・3%)が「有意義な政策論議の場になっていない」、さらに3人に2人(64・6%)は「若者の意見が取り入れやすい場となっていない」と指摘。「不測の事態に適切な対応をしている」、「必要な決断が適時できている」といった日常活動に関する評価も30~22%と低く、政治・国会を「期待できる」と回答した若者は5人に1人(20・1%)に留まっている。
日本財団が「国会と政治家」をテーマに年明けに行った18歳意識調査の結果だ。林芳正外相が3月1日にインドで開催された主要20ヵ国・地域(G20)外相会合への出席を見合わせ、批判を浴びた異例の事態も、こんな日本の政治・国会の“弱さ”に起因している。
国会には予算案を衆参両院で審議する際、冒頭の基本的質疑に首相と全閣僚が出席する与野党の申し合わせ(慣例)がある。報道によると、政府がG20への外相の出張を認めるよう求めたのに対し、自民、立憲民主両党が「国会ルールの優先」を主張し、外相会合への出席が見送られた。
外交より国会の慣例が優先された形。参議院予算委員会への外相出席時間は計7時間。この間、質問は1問のみ。答弁時間はわずかに53秒。世論の批判も強く、外相会合2日後に開催された日米豪印4カ国の「クアッド」外相会談には林外相が出席したが、議長国インドの関係者やメディアからも日本の対応に疑問が出た。
我が国は今年1年間、主要7カ国(G7)の議長国として5月には広島でG7サミットを開催する。G20外相会合は、ロシア、中国をはじめメンバー各国に、ウクライナ戦争などで混迷する国際社会の新たな秩序構築に向けた我が国の決意を伝え、G7サミットへの流れを作る格好の場であった。
増して我が国は、昨年12月に閣議決定した新たな国家安全保障戦略で「総合的な国力の主な要素」として外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力の5項目を挙げ、その筆頭に外交力を位置付けたばかり。とかく外交の弱さが指摘されてきた日本にとって、外交力は激動する国際社会を生き抜くための要でもあり、G20への対応はあまりに緊張感を欠く。
若者の政治不信を生む一つに、年を追うごとに膨らむ財政赤字がある。ちなみに23年度予算の一般会計は過去最大の114兆3812億円。過去最高の69兆4400億円の税収を見込む一方で、不足分を35兆6230億円の新規国債発行で賄う。ただし、国債の償還や利払いに充てる国債費も25兆2503億円に上る。かくてGDP(国内総生産)の2倍超、約1200兆円に上る国債と地方債の発行残高(借金)はさらに増え、次代を担う若者の双肩に圧し掛かる。
急速な少子高齢化の進行で、かつて10人を超えた65歳以上の高齢者1人を支える現役世代(15~64歳)の数は現在2・1人、やがて1・3人まで減る。そこに巨額の国の借金が加わる現状を前に若者が明るい将来像を描くのは難しい。
政治家である以上、「票」の行方が最大の関心事であろう。しかし、
耳にやさしい公約ばかりをばらまくのは悪しきポピュリズムが現在の閉塞状況を生んだ。若者の信頼度は内閣が24・3%、国会24・4%、政権を担う与党22・3%、野党21・2%―。厳しい数字を見るにつけ、改めて政治家に覚悟と決断力を求めたく思う。
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/203
若者は今後5年の日本の安全保障をどう見る!
約半数が「日本への武力攻撃」挙げる脅威感じる国 北朝鮮、ロシア、中国の順防衛予算の増額 30% 台で賛否割れる現在の日本を取り巻く状況を3人に2人(64・2%)が「平和」と認識している。しかし今後5年間で見ると、「日本周辺で他国が行う戦闘や多国間での紛争の影響」や「他国による日本への武力攻撃」を脅威ととらえる声がそれぞれ51・7%、47・2%に上り、3人に1人(32・4%)は「日本が今後5年間に他国と武力衝突する可能性が50%以上ある」と答えている。日本財団が今年1月、「国家..
(カテゴリなし)
日本財団 宮崎
2023-02-14T13:39:45+09:00
約半数が「日本への武力攻撃」挙げる
脅威感じる国 北朝鮮、ロシア、中国の順
防衛予算の増額 30% 台で賛否割れる
現在の日本を取り巻く状況を3人に2人(64・2%)が「平和」と認識している。しかし今後5年間で見ると、「日本周辺で他国が行う戦闘や多国間での紛争の影響」や「他国による日本への武力攻撃」を脅威ととらえる声がそれぞれ51・7%、47・2%に上り、3人に1人(32・4%)は「日本が今後5年間に他国と武力衝突する可能性が50%以上ある」と答えている。
日本財団が今年1月、「国家安全保障」をテーマに全国の17~19歳1000人を対象に行なったインターネット調査の結果だ。軍事的脅威を感じている国として66・8%が北朝鮮、54・6%がロシア、48・8%が中国(複数選択)を挙げ、ロシアのウクライナ侵攻、中国による台湾武力統一、北朝鮮のミサイル開発など一連の動きが若者の危機意識を高めていると思われる。
半面、岸田政権が打ち出した防衛関係予算の増額に関しては「賛成」38・9%、「反対」32・2%と意見が分かれ、平和を維持するための方策でも「日本経済の安定」(26・2%)がトップ。「日米同盟関係の強化」や「自衛隊の増強」はいずれも10%台にとどまっている。質問形式が違い一概に言えないが、各種世論調査で防衛費増額に対する賛成が60%を超えている点と比較すると、若者世代の意見は、より多様に広がっているように見える。
徴兵制度の導入に対しても「反対」が80%を超え、特に女性の反対は85%に上っている。その上で、徴兵制度が導入され自身が戦闘員として戦地で戦う可能性について、18・3%が「ない」とする一方で19・5%は「50%以上の確率である」とするなど、将来に対する不安感もうかがわせている。
関連して、敵国の攻撃を受け国民に危害が及ぶ可能性が発生した場合の対応では、全体の9・7%、特に男性の15・2%が「戦闘員として志願し戦う」としているほか、29・2%が寄付やボランティアとして戦闘員を支援すると答える一方で、4人に1人(26%)は「何もしない」と回答。ここでも意見が割れている。
安全保障問題は尽きるところ、戦争や紛争に巻き込まれる危険性をどう回避し、そのための有効な策は何かが一番のテーマ。古来、多くの議論が積み重ねられているが、時代の流れ・状況によって左右される要素が多く、「解」のない難問とも言われている。とは言え、次代を担う若者の意見が一層、重視されるべきは言うまでもなく、改めて同種調査の積み重ねが必要な気がする。(了)
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/202
「異次元の少子化対策」に思う
背景に縮小社会の先行き不透明感少子高齢化は早くから予測できた岸田文雄首相が打ち出した「異次元の少子化対策」が議論を呼んでいる。世界の最先端を進むわが国の少子高齢化は統計上、4半世紀も前に十分に予測できた。手をこまねいているうちに賃金水準は国際社会の中で急落し、国債と地方債を合わせた発行残高(借金)は1200兆円、GDP(国民総生産)の2倍を超すまでに膨らんだ。当面、児童手当の拡充に伴い新たに必要となる2兆5千億円の財源をどう確保するかが焦点となっているが、赤字国債の発行は次世..
(カテゴリなし)
日本財団 宮崎
2023-01-22T14:09:52+09:00
背景に縮小社会の先行き不透明感
少子高齢化は早くから予測できた
岸田文雄首相が打ち出した「異次元の少子化対策」が議論を呼んでいる。世界の最先端を進むわが国の少子高齢化は統計上、4半世紀も前に十分に予測できた。手をこまねいているうちに賃金水準は国際社会の中で急落し、国債と地方債を合わせた発行残高(借金)は1200兆円、GDP(国民総生産)の2倍を超すまでに膨らんだ。
当面、児童手当の拡充に伴い新たに必要となる2兆5千億円の財源をどう確保するかが焦点となっているが、赤字国債の発行は次世代にそのツケを回し課題解決を先送りすることになり、個人としては賛成できない。強いて言えば幅広い国民に負担を求める増税の方が理に適っていると考える。
様々な観点から少子化の原因が論じられているが、その一つに縮小社会の先行き不透明感がある。1人の女性が一生に産む子供の数(合計特殊出生率:以後・出生率)は2021年1・30。昨年の出生数はピーク時の3分の1以下、80万人を切る見通しとなっている。
社会は支える側と支えられる側のバランスが取れて初めて安定する。65歳以上の高齢世代1人を支える現役世代(15~64歳)の数は半世紀前の7・7人から現在は2・3人、さらに40年後には1・3人前後まで減ると予測されている。一段と重くなる負担が現役世代、とりわけ次代を担う若者の閉塞感を増している。
▼8割強が「政府の対策不十分」
日本財団が昨年12月、「価値観・ライフデザイン」をテーマに全国の17~19歳1000人を対象に行なったインターネット調査でも、4割強(43・8%)が「将来結婚したい」と答えながら「必ずすると思う」は2割弱(16・5%)、同様に4割弱(35・7%)が「将来、子どもを持ちたい」と答えたものの「必ず持つと思う」は1割強(12・4%)に留まった。
同時に7割超(74・1%)が少子高齢化の進行に「危機感を感じる」と答え、政府の対策を「不十分」とする声も82%に上っている。これを受け、今年生まれる子どもの将来が自分たちの世代に比べ経済的に「豊かになる」とする回答は26・6%。「貧しくなる」が46・2%と2倍近い数字に上り、特に女性は2人に1人が「貧しくなる」と答えている。
厚生労働省によると2019年の平均初婚年齢は男性が31・2歳、女性が29・6歳。50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合を示す生涯未婚率は20年、男性28・25%、女性17・81%。このままでは双方ともさらに上昇しよう。
▼突出する東アジアの少子化
人口は出生率が2・06~2・07で静止状態となる。江戸時代、特に18世紀の人口は3100万~3300万人だった。昨年11月、80億人を突破した世界人口も、地球温暖化や資源の枯渇を前にすれば地球の包容力を上回っており、長い目で見れば少子化に伴う人口減少は歓迎すべき事態かも知れない。
しかし、調査結果は少子化が一層加速する可能性をうかがわせ、急速な少子化で年金や医療など国の基幹システムの維持が困難になりつつある。政府が目標とする 1.80 程度まで出生率が回復し、緩やかな人口減少の中で時代に合わせ諸制度を作り変える形が望ましく、フランス、スウェーデンの成功例もある。
21年の出生率は、中国が1・16、台湾1・07、韓国0・81。東アジア地域の少子化は世界の中でも突出している。中国の覇権主義で東アジアの安全保障環境が急速に悪化しているが、少子化にどう向き合うか、互いに知恵を出し合うことこそ急務ではないか。そんな思いさえしている。(了)
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/201
ウズベキスタンを訪ねて
“シルクロードのロマン”再び中央アジア外交の一層の強化を日本に対する熱い期待を実感 11月末に6日間、中央アジア・ウズベキスタンの首都タシケントを初めて訪問した。旧ソ連邦の崩壊に伴って1991年に独立したこの国の昨年の経済成長率は7%、地下資源も豊富で、経済進出が目立つ中国、韓国に比べ日本は大幅な後れを取っている。しかし、わずか数日の滞在ながら、日本に対する信頼、期待の高さを随所で実感した。中央アジアを横断する古代の東西交易路「シルクロード」にロマンを感じる日本人は昔も今も多..
外国に思う
日本財団 宮崎
2022-12-08T16:14:37+09:00
“シルクロードのロマン”再び
中央アジア外交の一層の強化を
日本に対する熱い期待を実感
11月末に6日間、中央アジア・ウズベキスタンの首都タシケントを初めて訪問した。旧ソ連邦の崩壊に伴って1991年に独立したこの国の昨年の経済成長率は7%、地下資源も豊富で、経済進出が目立つ中国、韓国に比べ日本は大幅な後れを取っている。
しかし、わずか数日の滞在ながら、日本に対する信頼、期待の高さを随所で実感した。中央アジアを横断する古代の東西交易路「シルクロード」にロマンを感じる日本人は昔も今も多い。
▼最後のチャンス
しかし、ウズベキスタンなど中央アジアの国々との近年の交流は今一つの状態にある。加えて中央アジアの国々は今、急速に変わりつつある。ある意味で、我が国が“親日”の強みを生かす最後のチャンスと思われ、一層、積極的な中央アジア外交に転換するよう期待する。
今回の訪問は日本財団が2019年からウズベキスタンとトルクメニスタン、キルギス、タジキスタン、カザフスタンの中央アジア5ヵ国にアゼルバイジャンを加えた計6カ国で実施する奨学制度で新たに奨学生に選ばれた計43人に、その旨を記した証明書を手渡すのが目的。首都タシケント市内のホテルで授与式が行われ、日本財団の尾形武寿理事長から学生一人ひとりに証明書が手渡された。
▼2度の大地震に無傷で残る
滞在中、先の大戦でシベリアに抑留された元日本兵が建設に携わったナボイ劇場や日本人墓地を訪れた。ナボイ劇場は戦後、2度にわたって現地を襲った大地震で街がほぼ崩壊する中、無傷で残り、今も“現役”のオペラハウスとして使われ、今も元日本兵の貢献をたたえる声が引き継がれている。
今も”現役”で活躍するナボイ劇場
先の大戦では約60万人の日本兵が旧満州などでソ連(当時)に抑留され、うち約2万5000人がウズベキスタンに送られた。資料によると、ナボイ劇場の建設に従事したのは257人。うち2人を含め計813人が現地で死亡し、ウズベキスタンの13カ所の墓地に埋葬されている。
ナボイ劇場は茶色っぽい煉瓦作り、3階建ての堂々たるビザンチン風建物。夕方に訪れたため既に閉館いたが、総床面積1万5000平方メートル、中には1400席の客席が設けられているという。正面に向かって左側の壁面に取り付けられたプレートには建物の由来が3ヵ国語で記され、日本文には「1945年から1946年にかけて極東から強制移送された数百名の日本国民が、このアリシェル・ナヴォィー名称劇場の建設に参加し、その完成に貢献した」とある。
劇場から南西方向にしばらく移動した一角にも日本人墓地があり、地元民の墓と同様にきれいに整備され、他地区にある日本人墓地の場所や埋葬れている人数を示す碑も設けられていた。既に日没を過ぎていたが、墓を見守ってくれている人だろうか、日本語で「こんにちは」と声を掛け、親切に案内してくれた。
墓地のすぐ隣には、地元の研究者が元日本兵の貢献を研究し、遺品などを展示した資料館があり、もう少し広い場所が必要とのことで、隣接した建物の改修工事が進められていた。近くには日本から送られた桜の木も目に付いた。桜が送られた経緯は、中山恭子・元ウズベキスタン大使の著書「ウズベキスタンの桜」=KTC中央出版=に詳しく記されている。
こんな親日的な雰囲気がどの程度、国民に共有されているか、何人かに聞いてみた。そのうちの一人、横浜国大への留学経験を持つ政府の役人は「日本の進出は中国や韓国に比べ大幅に遅れているが、車やテレビなど日本の技術に対する信頼は厚い。誰もが日本に強いあこがれを持っている」と語る。
元日本兵の貢献だけでなく、この国でもヒットしたテレビドラマ「おしん」や日本の漫画文化の影響も大きいようで、授与式の会場では「将来は日本に留学したい」、「日本の企業はもっと積極的に中央アジアに進出してほしい」といった声が多く聞かれた。
▼日本に対する評価、信頼は80%の高い数字
外務省が今年1月にトルクメニスタンを除く中央アジア4ヵ国の男女各300人を対象に実施した対日世論調査でも、日本との信頼関係や地域に対する我が国の貢献を高く評価する声が80%前後に上り、「今後の重要なパートナー」として日本に期待する声は、歴史的に関係が深いロシア、中国、トルコに次ぎ4番目に位置している。
日本に対する信頼や期待が一部の親日家に限らず、広く国民に共有されていることを示す数字であろう。我が国が今後、中央アジア各国との連携を強化していく受け皿は十分あると確信する。(了)
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/200
伊能忠敬・大日本沿海全図から200年
詳細な浅海域地図わずか2%に驚き期待される地図化プロジェクトブルーカーボン再生にも力 日本全国の海岸の浅海域(水深0~20メートル)を地図化するプロジェクトがこのほど日本財団と日本水路協会(JHA)の協働作業としてスタートした。航空機に搭載したレーザ測深機による航空測量(ALB)で行われ、日本の総海岸線約3万5千㎞のうち90%の浅海域の詳細な地図を10年がかりで完成させるという。発表を聞いて驚いたのは、ALBの手法で作成された詳細な浅海域の地図は現在、総海岸線の2%しかないと..
環境問題
日本財団 宮崎
2022-11-01T10:18:38+09:00
詳細な浅海域地図わずか2%に驚き
期待される地図化プロジェクト
ブルーカーボン再生にも力
日本全国の海岸の浅海域(水深0~20メートル)を地図化するプロジェクトがこのほど日本財団と日本水路協会(JHA)の協働作業としてスタートした。航空機に搭載したレーザ測深機による航空測量(ALB)で行われ、日本の総海岸線約3万5千㎞のうち90%の浅海域の詳細な地図を10年がかりで完成させるという。
発表を聞いて驚いたのは、ALBの手法で作成された詳細な浅海域の地図は現在、総海岸線の2%しかないという点だ。伊能忠敬の詳細で正確な「大日本沿海輿地全図」が完成したのは忠敬の死から3年を経った1821年。それから200年余、海岸線に接する浅海域を含めた本格的な「海の地図」が存在しなかったと聞くと何か不思議な気さえする。
従来の地図は船舶からの音響調査で作成され、岩礁や浅瀬で測量範囲が制約を受け、出来上がった地図も岩場など海底の形状に関する情報が不十分とされた。しかし、アポロ11号が月面着陸に成功してから既に半世紀以上経過するなど測量技術は飛躍的に発展しており、素人の立場には何が原因だったのか、今一つ分からない。
プロジェクトでは、上空から「近赤外レーザ」を使って陸地、「緑レーザ」を使って海底を連続的に測定し、陸地から浅海域まで切れ目のないシームレスな地形図を作成するという。船舶調査の90倍、1秒間に2250平方㍍の計測が可能とされ、予定より早い時期の地図完成も期待できるのではないか。
飛行場のない離島や飛行が禁止されている区域など約10%は調査の対象外になるという。地図情報は国の基本であり、必要な法律の見直しをしてでも100%地図化を進めてほしく思う。沿岸浅海域の詳細な地図が完成すれば、海難事故の防止だけでなく津波の予測など防災・減災にも大きな力を発揮する。東日本大震災(2011年)では沿岸域の海底地形によって津波の高さに大きな差が出た。
浅海域に棲息する魚貝類や藻など海洋生態系に関する貴重な情報も得られる。海洋生態系に蓄積されるブルーカーボンは森林や都市の緑など陸のグリーンカーボンとともに炭素を貯留する能力が高く、温暖化防止―脱炭素に果たす役割は大きい。
しかし、近年、海辺の海草藻場(うみくさもば)など沿岸浅海域のブルーカーボン生態系は世界の熱帯雨林の消失を大きく上回る速度で減少しており、このままでは数十年で姿を消すといった指摘もある。そうした流れに少しでも歯止めを掛けるデータとするためにも、まずは「日本の海の地図」の完成に期待したいと思う。(了)
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/199
原発にどう向き合うか!
30年の原子力発電20~22%若者の6割が前向きに評価喫緊の課題は温暖化防止―脱炭素「もっと高めるべき」17・6%、「この程度とすることに賛成」43・6%、「もっと下げるべき」23・7%、「完全に止めるべき」15・1%―。政府が昨年10月に公表した第6次エネルギー基本計画で、2030年の電源構成のうち20~22%を原子力発電としたことに対する17~19歳1000人の反応である。我が国は50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの達成を目指しており..
環境問題
日本財団 宮崎
2022-09-20T20:41:28+09:00
30年の原子力発電20~22%
若者の6割が前向きに評価
喫緊の課題は温暖化防止―脱炭素
「もっと高めるべき」17・6%、「この程度とすることに賛成」43・6%、「もっと下げるべき」23・7%、「完全に止めるべき」15・1%―。政府が昨年10月に公表した第6次エネルギー基本計画で、2030年の電源構成のうち20~22%を原子力発電としたことに対する17~19歳1000人の反応である。
我が国は50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの達成を目指しており、エネルギー基本計画はその実現に向けた“経過目標”でもある。
▼再稼働は7基 発電量の5・9%
東日本大震災(2011年)前、わが国では計54基の原子力発電所が稼働し総発電量の約30%を占めていた。しかし東電福島第一原発事故後、「世界一厳しい」とされる原発の新規制基準が設けられ、21基が廃炉となったほか、電力各社が原子力規制委員会に審査を申請した27基のうち17基が“合格”したものの再稼働にこぎつけたのは7基、総発電量に占める割合も5・9%と30年の目標値には程遠い状況にある。
一方でロシアのウクライナ侵攻という予期せぬ事態で天然ガスが不足し、多くの国で二酸化ガス(CO₂)の排出量が多い石炭、石油発電が増えるなど脱炭素に逆行する流れが顕在化。温暖化による異常気象で熱波や旱魃、豪雨災害や巨大台風などが激しさを増し、世界各地で甚大な被害が発生している。
加えて国内では6月、季節外れの厳しい暑さで東電管内に電力需給逼迫注意報が発令され、政府が7月1日から3ヵ月間、一般家庭や企業に節電を要請する事態となった。この夏は何とか乗り切れる情勢だが、電力需要は例年、冬場に最も高まり、今後も切迫した情勢は続く。これを受け政府は8月、来夏からの既存の原発7基の再稼働や次世代型原発の開発などを発表し、福島原発事故以来、封印してきた原発政策の見直しに踏み切った。
冒頭の数字は日本財団が7月末から8月上旬にかけコンピューターで行った18歳意識調査の結果で、半数以上が国のエネルギー政策に関心があるとしているほか、7割弱はエアコンや照明方法の見直しなど節電に取り組んでいると回答。さらに電力供給の予備率が1%を下回る事態が予想される場合に実施される計画停電に関しても約4割が「行ってもよい」と答えている。
温暖化防止の決め手が、原因となる温室効果ガスの排出削減―脱炭素にあるのは論を待たない。CO₂を発生しない太陽光、風力など再生可能エネルギーや水素発電などで必要な電力を確保できる体制を実現するのが理想である。しかし、現状ではコスト・技術両面から早期の実現は難しい。安全性が確認された原発の再稼働で電力不足をカバーする一方で、再エネなどの開発を急ぐのが現実的な選択と考える。
もっとも東電福島原発事故を見るまでもなく原発はひとたび事故が起きれば未曽有の被害が発生する。福島原発の廃炉作業は事故から10年以上経た現在もいつ終わるのか、未だにめどが立っていない。新増設に関しては多分に判断に迷う面がある。しかし現存する原発の将来の廃炉処理や原子力の平和利用を研究する上で、原子力に関わる人材の育成・確保は欠かせない気がする。
「止めるべき」は6人に1人弱
原発再稼働など政府方針に対し「70%が支持」(日経新聞)といった世論調査結果も報じられている。電力不足のほか、ロシアのウクライナ侵攻後、英、独、仏など各国が相次いで原発重視政策を打ち出した影響などで東電福島原発事故に伴う原発アレルギーが緩和されつつある、ということであろう。
今回の日本財団の調査結果では原発を「完全に止めるべき」との回答は15%となっており、質問の形が違い一概に比較しにくいが、恐らく全世代平均より低い数字と思われる。それだけエネルギー政策や原発の在り方に柔軟な若い世代の考えが反映されている気がする。
温暖化が人類の社会・経済活動の結果であり、元の環境に戻すのは最早、不可能との指摘も聞かれる。仮にそうであっても地球環境を少しでも健全に維持する努力は欠かせない。最大かつ喫緊の課題は脱炭素の取り組みである。少なくとも政府には、30年の電源構成、とりわけ原発20~22%をどう実現していくのか、誰にも分かる説明を求めたい。(了)
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https://blog.canpan.info/miyazaki/archive/198
避難民と難民
「避難民」の名称は窮余の一策「難民」認定は1%以下どう整合性を取るか? 出入国在留管理庁によると、ロシアの侵攻から逃れ来日したウクライナ避難民は8月24日時点で1783人に上る。一方、2021年に難民認定された外国人は74人。避難民はウクライナ情勢を受けた一種の特例措置で、難民条約に基づき認定される難民とは違いがあるが、望まぬ理由で祖国を離れた点で共通する。ロシアの暴挙に抗する上でもウクライナ避難民支援は当然として、国際社会が我が国の取り組みの弱さを非難する難民対策とどう整合..
ニュース
日本財団 宮崎
2022-08-28T17:39:08+09:00
「避難民」の名称は窮余の一策
「難民」認定は1%以下
どう整合性を取るか?
出入国在留管理庁によると、ロシアの侵攻から逃れ来日したウクライナ避難民は8月24日時点で1783人に上る。一方、2021年に難民認定された外国人は74人。避難民はウクライナ情勢を受けた一種の特例措置で、難民条約に基づき認定される難民とは違いがあるが、望まぬ理由で祖国を離れた点で共通する。
ロシアの暴挙に抗する上でもウクライナ避難民支援は当然として、国際社会が我が国の取り組みの弱さを非難する難民対策とどう整合性を取るか難しい。そんな中で日本財団が7月、全国の17~19歳1000人を対象に行なった18歳意識調査では、ウクライナ避難民に絞った受け入れと、同避難民を含めた難民全体の受け入れの賛否にかなりの差が出た。
まずウクライナ避難民の受け入れ。62・4%が「非常に賛成」、「どちらかと言えば賛成」と答えたのに対し、「どちらかと言えば反対」、「非常に反対」は10%に留まった。一方、同避難民を含めた海外からの難民受け入れに賛成は49・4%、反対は16・4%。賛成数に10%以上の開きがあり、後者を「難民」だけに絞って質問した場合、賛成数はさらに低い数字が予想される。
難民条約は、1951年に採択された「難民の地位に関する条約」と67年に採択された「難民の地位に関する議定書」の双方から成り、日本は70年代後半のインドシナ3国(ベトナム、ラオス、カンボジア)からの難民大量流出をきっかけに1981年に加入した。
難民は人種、宗教、国籍、政治的意見、特定の社会集団に属することを理由に自国から迫害される恐れがあるため他国に逃れ、国際的保護を求める人々を指す。有効なパスポート、日本での身元保証人のほか、「迫害を受ける、あるいは受ける可能性の証明」が必要で、わが国は「迫害」を厳しく解釈することで認定数を厳しく絞り込み、21年の74人は過去最高の数字だった。
各国の20年実績を見ると、ドイツ6万3456人(認定率41.79%)、カナダ1万9596人(同55.2%)、フランス1万8177人(同14.6%)などとなっており、日本の47人(同0.5%)はあまりに低すぎ、各国の批判も止むを得ない状況にある。
ただし、今回はロシアの暴挙に制裁を課す一方で、ウクライナを支援するG7の一員としての責任・立場もあった。従来の難民対応では受入数が限られ、間口を広げれば、これまでの難民政策との一貫性を欠く。「避難民」の名称は“窮余の一策”として登場した特例措置と言っていい。
難民と認定されると、5年間の定住資格が与えられ、法律上の要件を満たせば永住許可も得られる。ウクライナ避難民は最大90日間の「短期滞在」の在留資格で入国しているが、既に8割以上が就労可能な「特定活動」(最大1年間)に変更しており、日本財団の別の調査によると3人に2人が、しばらく日本に滞在する意向を示している。
戦争が終結すれば、避難民の多くはウクライナの復興に向け帰国し、わが国に永住し日本の社会づくりに参加する人も出よう。いずれの場合も日本とウクライナの相互理解は進み、避難民としての受け入れ自体は評価されていい。
18歳調査では、57・6%がウクライナ支援に賛成し、反対は8・1%に留まっている。数字を見る限り、若者は今回の事態をシリアやアフガニスタンなど各地で発生している難民問題とは切り離して見ているように思われる。
我が国で難民問題の議論が歴史的に低調な一因として、海洋国家日本には、難民の多くが避難する陸続きの隣国が存在しなかった点などが指摘されている。
しかし、UNHCR(国連難民高等弁務官)本部が今年6月に公表した報告書によると、紛争や迫害により故郷を追われた人の数は世界で8,930万人に上り、国際社会が激動期を迎える中、難民はさらに増える勢いにある。クローバル化で国境の概念も変わりつつある。避難民と難民が併存する現状をどう打開していくか、喫緊の課題となる。(了)
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