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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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伊能忠敬・大日本沿海全図から200年 [2022年11月01日(Tue)]
詳細な浅海域地図わずか2%に驚き
期待される地図化プロジェクト
ブルーカーボン再生にも力

 日本全国の海岸の浅海域(水深0〜20メートル)を地図化するプロジェクトがこのほど日本財団と日本水路協会(JHA)の協働作業としてスタートした。航空機に搭載したレーザ測深機による航空測量(ALB)で行われ、日本の総海岸線約3万5千qのうち90%の浅海域の詳細な地図を10年がかりで完成させるという。

発表を聞いて驚いたのは、ALBの手法で作成された詳細な浅海域の地図は現在、総海岸線の2%しかないという点だ。伊能忠敬の詳細で正確な「大日本沿海輿地全図」が完成したのは忠敬の死から3年を経った1821年。それから200年余、海岸線に接する浅海域を含めた本格的な「海の地図」が存在しなかったと聞くと何か不思議な気さえする。

従来の地図は船舶からの音響調査で作成され、岩礁や浅瀬で測量範囲が制約を受け、出来上がった地図も岩場など海底の形状に関する情報が不十分とされた。しかし、アポロ11号が月面着陸に成功してから既に半世紀以上経過するなど測量技術は飛躍的に発展しており、素人の立場には何が原因だったのか、今一つ分からない。

プロジェクトでは、上空から「近赤外レーザ」を使って陸地、「緑レーザ」を使って海底を連続的に測定し、陸地から浅海域まで切れ目のないシームレスな地形図を作成するという。船舶調査の90倍、1秒間に2250平方bの計測が可能とされ、予定より早い時期の地図完成も期待できるのではないか。

飛行場のない離島や飛行が禁止されている区域など約10%は調査の対象外になるという。地図情報は国の基本であり、必要な法律の見直しをしてでも100%地図化を進めてほしく思う。沿岸浅海域の詳細な地図が完成すれば、海難事故の防止だけでなく津波の予測など防災・減災にも大きな力を発揮する。東日本大震災(2011年)では沿岸域の海底地形によって津波の高さに大きな差が出た。

浅海域に棲息する魚貝類や藻など海洋生態系に関する貴重な情報も得られる。海洋生態系に蓄積されるブルーカーボンは森林や都市の緑など陸のグリーンカーボンとともに炭素を貯留する能力が高く、温暖化防止―脱炭素に果たす役割は大きい。

しかし、近年、海辺の海草藻場(うみくさもば)など沿岸浅海域のブルーカーボン生態系は世界の熱帯雨林の消失を大きく上回る速度で減少しており、このままでは数十年で姿を消すといった指摘もある。そうした流れに少しでも歯止めを掛けるデータとするためにも、まずは「日本の海の地図」の完成に期待したいと思う。(了)
原発にどう向き合うか! [2022年09月20日(Tue)]
30年の原子力発電20〜22%
若者の6割が前向きに評価
喫緊の課題は温暖化防止―脱炭素


「もっと高めるべき」17・6%、「この程度とすることに賛成」43・6%、「もっと下げるべき」23・7%、「完全に止めるべき」15・1%―。政府が昨年10月に公表した第6次エネルギー基本計画で、2030年の電源構成のうち20〜22%を原子力発電としたことに対する17〜19歳1000人の反応である。

我が国は50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの達成を目指しており、エネルギー基本計画はその実現に向けた“経過目標”でもある。

▼再稼働は7基 発電量の5・9%

東日本大震災(2011年)前、わが国では計54基の原子力発電所が稼働し総発電量の約30%を占めていた。しかし東電福島第一原発事故後、「世界一厳しい」とされる原発の新規制基準が設けられ、21基が廃炉となったほか、電力各社が原子力規制委員会に審査を申請した27基のうち17基が“合格”したものの再稼働にこぎつけたのは7基、総発電量に占める割合も5・9%と30年の目標値には程遠い状況にある。

一方でロシアのウクライナ侵攻という予期せぬ事態で天然ガスが不足し、多くの国で二酸化ガス(CO₂)の排出量が多い石炭、石油発電が増えるなど脱炭素に逆行する流れが顕在化。温暖化による異常気象で熱波や旱魃、豪雨災害や巨大台風などが激しさを増し、世界各地で甚大な被害が発生している。

加えて国内では6月、季節外れの厳しい暑さで東電管内に電力需給逼迫注意報が発令され、政府が7月1日から3ヵ月間、一般家庭や企業に節電を要請する事態となった。この夏は何とか乗り切れる情勢だが、電力需要は例年、冬場に最も高まり、今後も切迫した情勢は続く。これを受け政府は8月、来夏からの既存の原発7基の再稼働や次世代型原発の開発などを発表し、福島原発事故以来、封印してきた原発政策の見直しに踏み切った。

冒頭の数字は日本財団が7月末から8月上旬にかけコンピューターで行った18歳意識調査の結果で、半数以上が国のエネルギー政策に関心があるとしているほか、7割弱はエアコンや照明方法の見直しなど節電に取り組んでいると回答。さらに電力供給の予備率が1%を下回る事態が予想される場合に実施される計画停電に関しても約4割が「行ってもよい」と答えている。

温暖化防止の決め手が、原因となる温室効果ガスの排出削減―脱炭素にあるのは論を待たない。CO₂を発生しない太陽光、風力など再生可能エネルギーや水素発電などで必要な電力を確保できる体制を実現するのが理想である。しかし、現状ではコスト・技術両面から早期の実現は難しい。安全性が確認された原発の再稼働で電力不足をカバーする一方で、再エネなどの開発を急ぐのが現実的な選択と考える。

もっとも東電福島原発事故を見るまでもなく原発はひとたび事故が起きれば未曽有の被害が発生する。福島原発の廃炉作業は事故から10年以上経た現在もいつ終わるのか、未だにめどが立っていない。新増設に関しては多分に判断に迷う面がある。しかし現存する原発の将来の廃炉処理や原子力の平和利用を研究する上で、原子力に関わる人材の育成・確保は欠かせない気がする。

「止めるべき」は6人に1人弱

原発再稼働など政府方針に対し「70%が支持」(日経新聞)といった世論調査結果も報じられている。電力不足のほか、ロシアのウクライナ侵攻後、英、独、仏など各国が相次いで原発重視政策を打ち出した影響などで東電福島原発事故に伴う原発アレルギーが緩和されつつある、ということであろう。

今回の日本財団の調査結果では原発を「完全に止めるべき」との回答は15%となっており、質問の形が違い一概に比較しにくいが、恐らく全世代平均より低い数字と思われる。それだけエネルギー政策や原発の在り方に柔軟な若い世代の考えが反映されている気がする。

温暖化が人類の社会・経済活動の結果であり、元の環境に戻すのは最早、不可能との指摘も聞かれる。仮にそうであっても地球環境を少しでも健全に維持する努力は欠かせない。最大かつ喫緊の課題は脱炭素の取り組みである。少なくとも政府には、30年の電源構成、とりわけ原発20〜22%をどう実現していくのか、誰にも分かる説明を求めたい。(了)
石炭火力、9割休廃止の代替電源は? [2020年07月27日(Mon)]

優先させるべきは温室効果ガスの削減
原発再稼働して再エネ開発の時間稼げ

         

政府は先に二酸化炭素(CO2)を多く出す非効率な石炭火力発電所を休廃止させる方針を発表した。低効率とされる約110基のうちの90%約100基を2030年度までに削減するという。温暖化による異常気象や海の劣化が加速する中、低炭素・脱炭素に向けた妥当な選択と評価するが、それでは代替電源をどうするか。ここは原発を再稼働させCO2など温室効果ガスの排出を削減する一方、再生可能エネルギーの開発を急ぐしか方法はないような気がする。

原発再稼働にさまざまな反対意見があり、個人としても新増設を一切認めない立場をとるが、温暖化防止と電力の安定確保を調和させながら再生可能エネルギーの開発を加速させるのが最も現実的と考える。いずれにしても政府は代替電源を含めた長期のエネルギー計画を早期に打ち出す必要がある。

国のエネルギー基本計画によると、目標の30年度の電源構成は、火力発電が全体の56%程度、原子力20〜22%程度、再生可能エネルギー22〜24%程度。火力発電の内訳はLNG(液化天然ガス)27%程度、石油3%程度、石炭26%程度となっている。経済産業省などによると、18年度現在、石炭火力が占める割合は32%。非効率な石炭火力発電所を休廃止する一方で高効率の石炭火力発電所の新増設も検討されるという。

しかし、高効率といってもCO2の排出量は非効率に比べ1〜2割の減に留まるようで、低炭素、脱炭素の潮流には合わない。国内外から批判が高まる恐れもあり、30年度の「26%程度」を達成するのは難しく、LNG、石油も同じ問題を抱える。となると頼みは再生可能エネルギー。30年度計画では水力、太陽光、バイオマス、風力、地熱の比率をいずれも18年度に比べ1〜2%アップ、電源構成に占める割合を18年度の17%から22〜24%に増やすとしている。しかし現実にどの程度、実現できるか不確定要素が多い。

一方、原子力発電。東電福島第一原発事故前には全国に54基の原子炉があり、総発電量の約30%を占めていた。事故ですべての原発が停止となり、その後、廃炉が決まった原発を除くと現在は33基、うち9基が稼働している。18年度の電源構成に占める割合は6%、30年度に目標を達成するには30基程度の稼働が必要とされるが、反対も根強く、20〜22%の数字は希望的観測に過ぎない。

となると30年のエネルギー基本計画は現実的裏付けを欠き、石炭火力発電所の休廃止を打ち出す段階で、どう見直すのか、明らかにされるべきであった。政府は今後、有識者会議を設け休廃止の仕組みなどを検討すると言うが、電力の安定確保は国の要であり、後先が逆のような気がする。

海外に目を転ずると欧州は全廃の方向。英国は25年、フランスは22年、ドイツは38年までの全廃を打ち出している。米国は15年現在の火力発電のシェア33%を30年に21%に減らすとしているものの引き続き一定規模で活用する構え。石炭火力はコストが低く、産出地域が多いため調達にも安心感があり、特にアジア、アフリカの需要は高い。ASEAN(東南アジア諸国連合)やインドの使用量は40年に現在の2倍に達するとされている。

通産省は、対象国が温暖化対策に消極的な場合や対応方針が不明確な場合は原則支援しないとしているものの、中国がASEAN諸国などへの輸出を拡大していることもあり、外交上の思惑からも支援を継続したい考え。これに対し環境省は支援を禁止したい意向を示している。日本は昨年12月にスペインで開催された国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で気候変動対策が後ろ向きとして、温暖化問題に取り組む民間活動団体(NGO)から「化石賞」贈られた。両省にはこうした“不名誉”に対する受け止め方の違いもあるようだ。

COP25で発表された「海洋と雪氷圏特別報告書」によると、温暖化で極地や山岳地域の氷河や氷床の融解により海面や海水温の上昇が不可逆的な段階まで進んでおり、脱炭素は国際社会が避けて通れぬ道と思う。再生可能エネルギーの開発を加速させるためにも、ここは原発を再稼働し時間を稼ぐべきと考える。仮に30年度より早期に再生可能エネルギーの安定確保に目途がつけば、再稼働する原発の数を縮小する手もある。(了)

中国・大気汚染 [2013年10月31日(Thu)]
それにつけても北京の空は!
環境問題に国境なし


 10月中旬の4日間、中国・北京を訪れ、到着した19日にこの街で久し振りに“青い空”を見た。この2年間で7、8回、北京を訪れているが、いつも霧がかかったように薄暗く、梅原龍三郎の「北京秋天」にあるような青く澄みきった秋の空は最早、無縁と思っていただけに、正直、意外でもあった。

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霧にかすむ北京の空

 直前の雨と風で上空に淀んでいた空気が一掃されたのが原因で、たまたま翌日、3万人が出場する北京国際マラソンの開催が予定されていたこともあって、同行の中国人女性も「天の助け」と歓喜の声を上げた。しかし1日ごとに空は明るさを失い、色合いも青から灰色に。帰国した22日朝は霧が掛ったようないつもの光景に変わり、スモッグで光を失った太陽は鈍いオレンジ色、直視しても陽光の眩しさはなかった。

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太陽も光を失い鈍いオレンジ色

 帰国後、事態はさらに深刻に。外電によると27、28両日は大気1平方b当たりの微小粒子状物質「PM2・5」の値が中国の基準値(1立方b当たりの1日平均75マイクログラム=μg)の3倍強を記録、6段階の予報の最悪「厳重注意」となった。

 大気汚染は工場のばい煙、車の排ガス、工場や家庭での石炭燃焼、ほこりなどが複合して発生し、暖房のため石炭消費が増える冬場に最も深刻化するが、今年は早くも10月から深刻な汚染が始まり、黒竜江省の省都ハルビンでは21日、PM2・5が1000μgを突破、観測不能となり、空や鉄道のダイヤが乱れる騒ぎとなった。

 大気汚染はどこまで深刻化するのか。青い空が見えた19日でさえ、ホテルへ帰るとワイシャツの襟は黒く汚れ、鼻の調子も悪い。上空の風が弱く汚染物質が拡散しにくい地形的特徴もあるようだが、かつての日本と同様、環境を二の次にした高度成長策が原因であるのは間違いない。

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この時は比較的遠方まで見えた

 駆け出しの新聞記者だった1970年初頭の3年間、四日市と並ぶ公害の街・川崎で支局記者として公害問題を担当した。気管支ぜんそくの発作で子どもが窒息死するなど大気汚染の悲惨な実態は今も鮮明な記憶として残る。手元に比較データはないが、最近の北京やハルビン、さらにモンゴルの首都ウランバートルの大気汚染の深刻さは、恐らく当時の川崎や四日市の比ではあるまい。当時の川崎で20b先が見えない、などということはなかったし、これでは同行の女性が「もう北京には住めない」と嘆くのも無理はない。

 帰国後、以前からの予定で長野県の八ヶ岳山麓に出掛けた。澄み切った空気の中、赤や黄色の染まった木々の葉が真っ青な空とコントラストを描き、言語に絶する美しさ。感動とともに、自然に恵まれたこの国に住む幸せを実感した。

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八ヶ岳山麓の紅葉 絶景の一語

 中国政府も4月、北京で開催された日中大気汚染対策セミナーで「環境問題に国境はない」と日本の協力に期待を寄せているが、尖閣諸島や歴史認識問題の陰でどこまで真剣な取り組みが行われているのか、はっきりしない。仮に北京に青い空が戻るとして、その実現には10年、20年の時間が必要となろう。

 尖閣諸島や歴史認識問題で中国の対日強硬姿勢ばかりが目立つが、環境改善や食の安全こそ庶民が願う「政治課題」であり、こうした問題の解決に日中が協力して取り組む態勢ができた時、初めて未来志向の両国関係も視野に入ってくる。中国政府の対応を見守りたいと思う。(了)
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