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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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音禅法要 [2010年05月10日(Mon)]
澄んだ音に驚き 音禅法要
言葉、理屈より感性の世界


4月末、「音禅法要」を初めて聞いた。場所は京都・大徳寺の国宝「大方丈」。小堀遠州作の枯山水の庭を背に誦経とサヌカイト、尺八、横笛、さらにシリアの女性歌手ノーマ・オムランさんによる古代キリスト教の聖歌が織り成す澄んだコラボレーションを聞くうち、宗教とは言葉や理屈ではなく感覚・感性で感じるものだ、と妙な納得をした。



国宝大方丈と前庭

音禅の“主役”を務めるのは香川県・讃岐地方で産出される火山岩で作った石の楽器サヌカイト。透明感のある高い音を出し、演奏者である世界の打楽器奏者ツトム・ヤマシタ氏は「奇跡ともいえる音色」と表現しており、この石との出会いが音禅を生んだと言われる。古代中国には「磬」(けい)と呼ばれる石の楽器があり、初めて磬を復元したのがサヌカイトともいう。



さらに驚いたのは音禅法要事務局長・山田宗正氏の話。中国古代の殷周時代、祭政一致の政(まつりごと)の最大の役割は人心を穏やかにして国を治めることであり、その手段として音律が使われ、磬はこの中で大きな役割を果たした。日本でも平安時代、この思想を受け、京の都にあった多数の寺の梵鐘が調和の取れたハーモニーを奏でるよう全体を調律してあったという。都の人はあちこちの梵鐘が奏でる音律を聞きながら心の安らぎを覚えていたというのだ。都全体を“舞台”にしたスケールの大きさ驚く。

招待状でヤマシタ氏は「古来より宗教、芸術、科学は共に手を携え真善美を追求してきた」と指摘し、美しく調和に満ちたサヌカイトの清音こそ濁音に満ちた社会の再生につながる、としている。混迷と混乱が続く現代、ともすれば「迷信や妄想の代名詞の如く誤解を受けている」宗教こそ本来の役割を果たすべきで、古代キリスト教の聖歌も交えた今回の音禅法要についても同氏は「異文化と異文化が織り成す世界が宗教音楽に新風を吹き込むだけでなく、混迷する世界に新たな希望を提示できる」と期待を寄せている。


本番前のリハーサル

近世は政治や社会、科学などと同様、宗教も独立したひとつのジャンルとして論理的に解釈される傾向が強いが、言葉や理屈を超え、まずは五感で感覚的に理解されるべき世界かもしれない。オーバーな言い方をすれば、音禅を聞きながら感じた不思議な透明感は、そんな考えの入口のような気もする。

大徳寺は一休禅師や沢庵和尚で知られ、信長の葬儀も営まれた。日本臨済禅の源として塔頭22ヶ寺が甍を連ね、本坊大方丈への拝観は今も認められていない。音禅法要は禅の心を分かりやすく伝えるために04年に始められた、と聞く。2005年、笹川日仏財団の支援でフランスのカトリック教会で初めて披露され、大きな評判を呼んだ。それ以後も何度かフランス公演が行われている。求心力を失くして久しい宗教界の意欲的で新しい試みとして注目したい。(了)
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コメント
ずぶの広報素人の知ったかぶった雑音への真摯な対応、本当にご苦労さまです。素晴らしい記事での対応にプロの凄さを感じます。
これからも楽しみにしております。

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Posted by:TNF広報ファン  at 2010年05月31日(Mon) 20:22
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