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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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中国は本当に変わりつつあるか? [2006年12月25日(Mon)]
中国は本当に変わりつつあるか?
「氷点」前編集長会見



 先ごろ中国青年報付属週刊誌「氷点」の停刊事件(06年1月)で編集長を解任された李大同氏の講演を聞く機会があった。東京財団が主催、「中国でモノ言う人が増えてきた」と名付けられた講演で李氏は「(毛沢東、ケ小平のような)強者による政治の時代は終わった」「イデオロギーは色あせ誰も信じなくなった」と指摘。言論の高まりにより、共産党政治そのものがソフト化せざるを得なくなっている、との見解を披露した。

 氷点は1995年に発刊。李氏によると、当初は人民日報など政府系のメディアが取り上げない社会の底辺に住む「普通の人々」に焦点を当て体制が持つ問題を提起、次いで党幹部の不正追及などを進め、近年は重要な歴史の真実を探ることに編集の力点を置いた。

 この中で「中国は日本の歴史教科書を批判するが、中国の近代史観にも問題がある」とした中山大学・袁偉時教授の論文「現代化と中国の歴史教科書」を掲載、報道規律に違反するとして停刊処分を受けた。
 
 氷点は3月復刊したが、この間の経過について李氏は「かって報道を取り締まる立場にあった党幹部OBを含め、広範な抗議が起きた。(復刊は)毛沢東やケ小平の時代には考えられなかった」とした上で、政府系報道機関に関しては「58年に始まった大躍進運動で(大幅な収穫増など)インチキな(数字)競走に加担した」「文化大革命で党の宣伝をたきつける役割を果たした」などと批判。

 最近では党の宣伝をするこれら新聞、雑誌を党の関係者すら読まず、報道の自由が認められれば真っ先に姿を消す、と語った。さらに現在の政治状況について毛沢東やケ小平のような強力な指導者の時代は終わり、胡錦濤政権が後継者を指名するのは難しい、とした上で、「(次の次の)18回党大会あたりには選挙によって国家の指導者を決めるような公正で民主的な制度が導入されるだろう」との見通しを語った。

 さらに言論の自由が拡大する中、最近の中国では日本を含めた先進9カ国の発展と台頭を、以前のように「悪の植民地主義」といった捉え方ではなく、客観的に報道するテレビ番組なども登場。激しい日本批判などが展開されるインターネットに関しても「最初からうまく泳げる人はいない」の例えを引用、「日本や台湾に関する書き込みは見るに絶えない内容が多かったが、次第に程度が上昇している」とした。



 これら中国の変化に関する話もさることながら、さらに注目されたのは、近年、党や地方の幹部が指導に当たり、口頭で済まし文書を残さない傾向が強まっているとされた点。政権末期や交代時に見られる現象で、聞きようによっては、共産党一党独裁の将来に不安を持つ党幹部が証拠を残さないことで“保身”を図っているようにも受け取れる。

 あるいは党の指導方針が安定性を欠き、いつ指導が誤りに転化するかもしれない不安がこうした傾向を生み出している可能性もあり、いずれにしても中国共産党の現状を占う意味で興味深い。

 大胆な李氏の講演を聞いて、中国政府が同氏の訪日を認めた背景を想像した。李氏の発言を踏まえるなら、訪日を阻止するような強圧策を中国政府が取れない程度まで、中国国内の民主化を求める動きや声が高まってきている、ということになる。外国での発言だけなら、中国国内への影響はない、といったことかもしれない。さらに李氏の訪日を認めることが「中国政府はここまで言論の自由を認めている」とのメッセージにつながる、との判断が働いた可能性もある。

 中国では伝統的な権力闘争に新富人と呼ばれる金持ち階級の進出、これと権力の癒着に対する農村や都市下層民の批判などさまざまな要素が絡み合って、何が真相か、見極めが付けにくい状況にある。中国政府が漫然と李氏の訪日を認めたとは考えにくく、帰国後の李氏への対応に注目したい。

                                    (了)
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