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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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50年カーボンニュートラル [2021年03月08日(Mon)]

原子力を電力安定確保の担保に
見通せない再エネ開発の将来
CO2の排出削減は“待ったなし”



温暖化が進む中、「脱炭素」に向けた国際社会の動きが急だ。わが国も2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)に向けた実行計画「グリーン成長戦略」を打ち出している。菅義偉首相が「経済と環境の好循環を生み出す成長戦略」と位置付けるように、今後、政官財を挙げた取り組みが進められよう。

50年の電源構成に対する政府のたたき台は、再生可能エネルギー(再エネ)5〜6割、水素とアンモニア発電約1割、原子力とCCUS(炭素回収・貯留)や二酸化炭素(CO2)を回収・再利用するカーボンリサイクル併用の火力3〜4割。あまりに漠としているが、何より重要なのは電力の安定的確保であり、急速に進む温暖化を前に二酸化炭素(CO2)の排出削減も“待ったなし”である。

島国・日本には、陸続きの欧州のような国境を越えた国際送電線はなく、必要な電力はすべて国内で調達する必要がある。カーボンニュートラルの成否は再エネやCCUSの開発にかかることになるが不確定要素も多く、既存の設備がありCO2を発生しない原子力を電力安定確保の担保として位置付けておく必要があるように思う。

もっとも当の原発は、法律が定める原則40年間の運転期間を前提にすると、現存する計36基のうち、50年時点で稼働できるのは建設中の3基だけとなる。東日本大震災(2011年)で起きた東電・福島第一原発事故の被害があまりに甚大で、10年を経た現在も廃炉の目途さえ立たない現状を前にすると、原発に対する拒否感が和らぐ可能性は低く、新増設には個人的にも抵抗がある。

となると原子力を担保として使える期間は限られ、50年目標の「原子力とCCUS、カーボンリサイクルの併用で3〜4割」の電源構成のうち原子力はほとんど見込めない可能性も出てくる。前述したように「再エネ5〜6割」にも不確定要素が付きまとう。50カーボンニュートラルを実現するためにも、あらためて柔軟で腰を据えた議論が必要ではないか。原発に対する賛否両論が鋭く対立する現状の議論だけで、事態を前に進めるのは難しい。

自然エネルギー財団、日本原子力文化財団など各種資料によると、2019年のわが国の電源構成は石炭32%、石油4%、液化天然ガス(LNG)35%、再エネ20%、その他3%。原子力は福島原発事故の影響で事故前の20%前後から3分の1の6%に落ちた。これに対し30年の見込みはLNG27%程度、石炭26%程度、再エネ22〜24%程度、石油火力3%程度のほか、原子力も20〜22%程度が見込んでいる。

NHKが昨年秋に行った世論調査では、停止中の原発の再稼動に賛成の回答は3140人のうち16%に留まったと報じられている。日本財団が次世代を担う17〜19歳の若者1000人を対象に1月実施した18歳意識調査でも、CO2を削減するために取るべき対策として停止中の原子力発電の再稼動に賛成する声は10・7%と低い数字だった。

この状態で30年に「20〜22%程度」を見込むのは難しい気がする。素人の立場でよく分からないが、仮に「小型モジュール炉」など新しいタイプの原発が社会に受け入れられ、目標を達成できるということであれば、それに越したことはないが、事態はそれほど甘くはないのではないか。

福島第一原発事故の後、国内の原発は11基が廃炉となった。事故を教訓にした新しい規制基準に合格して再稼働した原発は9基に留まる。日本財団調査の結果を見ても、60・4%が「50年カーボンニュートラル」を評価する一方で、実現可能と見る意見は7人に1人(14・4%)に過ぎない。

期待する再エネも太陽光発電(69・1%)や水力発電(39・9%)が上位を占め、政府が主力として期待する洋上風力発電は22・6%=複数回答=と下位に位置している。この辺りにも本来あるべき議論の不足が反映されている気がする。グリーン成長戦略に原子力の活用を一定程度、見込むのであれば、広く理解を得るためにも、もっと幅広い議論が欠かせない。国民の理解と関心が希薄な現状を危惧する。
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