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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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日本の新型コロナ対応をめぐって [2020年05月18日(Mon)]

死者数が奇跡的に少ないのは何故?
感染者死亡率も 各国から驚きの声
医療関係者の奮闘と国民の自律意識?

世界的大流行(パンデミック)となった新型コロナウイルス禍で日本の死者数、感染者死亡率の低さが各国の注目を集めている。PCR検査の実施率が低く、中国や欧州各国のような罰則付きの外出禁止やロックダウン(都市封鎖)がとられていないのに「何故」という訳だ。感染者死亡率はともかく、人口100万人当たりで見た死者数は確かに欧米各国に比べ驚くほど低い。

▼死者数は各国の実態占う指標

死者の数え方は国によって若干の違いがあるようだが、PCR検査の実施数などに大きなバラつきがある現状を踏まえると、死者数こそ各国の感染実態を占う合理的な指標と考える。今後、専門家によって解明されるべきテーマであり、第2波・第3波の感染拡大の可能性も有り得る状況で拙速な判断は避けるべきだが、死者数を見る限り、日本はウイルスとの戦いでよくやっている、というのが率直な感想だ。

共同電によると、米外交誌フォーリン・ポリシーは5月14日付の電子版に「奇妙な成功」と題する東京発の論評記事を掲載。「死者数が奇跡的に少ない」日本の現状について「結果は敬服すべきものだ」とする一方、「単に幸運だったのか、政策が良かったのかは分からない」と驚きと疑問を呈している。

一方、翌15日のNewsweek日本版。「日本の『生ぬるい』新型コロナ対応がうまくいっている不思議」との見出し記事で、「感染者の死亡率が世界で最も低い部類に入り、医療システムの崩壊も免れ、感染者数も減りつつある」日本の現状について、「PCR検査の実施件数は極端に少なく緊急事態宣言には強制力が伴わないのに感染者数が着実に減りつつあるのは何故か」と問い掛けている。

PCR検査の少なさだけでなくソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)も要請ベースで中途半端、国民の過半数も政府の対応に批判的で何から何まで間違っているように思えるのに、すべてがいい方向に向かっているように見える現状は理解し難い、と指摘。その上で人口100万人当たり死者数を取り上げ、アメリカ258人、スペインは584人、ウイルスとの闘いに成功したと見られているドイツでさえ94人なのに日本は5人に過ぎない、としている。

5月17日現在の日本の感染者数は1万6336人、死者数は756人。感染者の死亡率は4・6%。少な過ぎると批判があるPCR検査の実施人数は5月15日現在で約23万人に留まっており、実施率が高まれば感染者(陽性者)の数はほぼ間違いなく増加する。母数が増えることで感染者の死亡率がさらに低下する可能性も高い。焦点の死者数は4月1日現在の日本人口(1億2596万人)で100万人当たりに換算すると6人。今後も増えるが、それでも欧米に比べ、あまりにも低い。

▼指摘される様々な要因

様々な要因が指摘されている。@日本には国民皆保険制度による質の高い医療があるA手洗いやマスクなどが習慣化しているB高齢化が進み呼吸器疾患の治療が進んでいるC欧米のようなハグやキス、握手の習慣が少ないDCTやMRIが広く普及し肺炎患者の早期発見につながっているEBCGワクチンが新型コロナウイルスの予防に役立っているーなどだ。@~Dに関してはなるほどと思う。特にDに関しては、人口100万人当たりで見た日本のCTやMRIの保有数はOECD(経済協力開発機構)諸国の中でも断トツ。具体的な活用数は示されていないが大きな力を発揮したと思う。Eは医療の専門分野の話であり、期待を持って今後の研究結果を待ちたい。

その上で、日本の現状について特筆すべきはやはり病床や防護具の不足で医療崩壊が懸念される中、日夜、奮闘を続ける医療関係者の努力だと思う。同時に“お願い”ベースの自粛要請に国民が予想以上に協力している現実もあると思う。確かに3月末の花見シーズンに桜の名所に多数の人が押し寄せ、休業要請にかかわらず開店したパチンコ店に客が列をなした、といった事実もあった。しかし人影が消えた街の風景を前にすると、予想以上に多くの人が3密(密閉、密集、密接)を避ける努力をしたように感じる。

▼新しい日本型モデルを

日本財団が4月、17~19歳の1000人を対象に実施した「18歳の意識調査」でも、78・6%が人との接触を8割程度減らしたとしているほか、30%近くは「全く外出しなかった」と答えている。理由のトップは「自分が感染したくない」(74・8%)、2位には「感染すると家族や他人にうつす恐れがある」(68・1%、複数回答)が続いており、「外出禁止」ではなく「外出自粛要請」であったが故に、かえって個々人が自分の行動を律する結果になったような気がする。

日本は2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や2012年のMERS(中東呼吸器症候群)の被害がほとんどなく、教訓の無さが台湾や韓国に比べPCR検査など備えの薄さにつながった。クラスター(小規模な集団感染)を一つひとつつぶす作戦もその意味で“窮余の一策”であったのではないか。

第2波だけでなく、世界的な温暖化や森林伐採の進行でウイルスや細菌との戦いは今後、大幅に増えると予想されている。抗体検査などで感染の実態が判明すれば、日本はさらに強力な感染防止モデルを確立することが出来る。そんな期待を込めて事態の推移を見守りたいと思う。
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