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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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望まれる司法の前向きな判断 [2016年12月16日(Fri)]

外務省職員署名の陳述書 どう評価
比残留日系人2世の国籍取得問題


戦後、半世紀近くも忘れ去られてきたフィリピン残留日系人2世の日本国籍取得問題にわずかな前進の兆しが見えてきたような気がする。残留2世の陳述書作成に外務省職員が立会い、フィリピン政府も2世が戦後長らく無国籍のまま暮らしてきたことに対するペナルティー(罰金)を免除する措置を打ち出している。後は2世が求めている就籍に迅速かつ前向きに対応する司法判断の流れが確立されれば問題解決は前に進む。老境に達した残留2世に残された時間は少なく個人的な期待も込め、そんな思いを強くする。

ドゥテルテ新大統領が長く市長を務めたミンダナオ島の港町ダバオ市に住む残留2世、永田オリガリオ・マサオさん(71)が11月28日来日、翌日、日本国籍の取得に向け就籍の審判を申し立てた熊本家庭裁判所の調査官面接に臨んだ。就籍が許可されると、申立書に記した住所で新たに戸籍を作り、晴れて日本国籍を取得する。

永田さんは2013年にも東京家裁に就籍を申し立てたが却下され、状況証拠から父親の出身地である可能性が強い熊本家裁に再申し立てを行った。裁判所が違うとは言え、同一の証拠で就籍許可を勝ち取るのは難しい。再申し立てには、外務省職員が立会い、署名した永田さんの陳述書が“新証拠”として提出されている。外務省の立会いは、早期解決に向けた関係者の強い要望を受けて今年5月にスタート、永田さんに対する聞き取りは同月末、他の残留2世9人とともにダバオで行われた。

陳述書は物的証拠がほとんどない就籍の審判の“重要証拠”。これまで日本財団の支援で国籍取得に取り組むフィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)のメンバーが、本人からの聞き取りを基に作成してきた。外務省職員が立ち会ったからと言って、2世が日本人の子であること自ら隠して生きざるを得なかった戦後の空白を埋める新たな事実や証拠が出ることはまず有り得ない。

5月の調査には在フィリピン日本大使館の参事官が立ち合い、筆者も取材を兼ねて同席したが、これといった新しい事実は出なかった。日本政府の代表である外務省職員が自ら質問・署名することで、2世の申し立てに少なくとも嘘や偽りがないことを確認した点に意味があり、裁判官がこの信用性をどう見るかがポイントとなる。

 残留2世と同様、終戦前後の混乱で両親と離れ離れになった中国残留孤児は同じ就籍手続きで既に約1300人が日本国籍を取得している。国籍取得が順調に進んだ背景には、日中両国の合意の下、中国政府が発行した「孤児証明書」を手掛かりに司法が肉親の身元が未判明な孤児の申し立てにも柔軟に対応した点がある。

 残留2世に関してもフィリピン政府が近年、2世の出生証明書や婚姻証明書について遅延登録を認める措置を取っており、外務省職員が立ち合い、署名した陳述書を持って、中国残留孤児と同様、前向きの対応ができないものかー。証拠に基づく厳格な証明が司法の原則であることは理解するが、国の名によって行われた戦争により2世やフィリピン人の母親が置かれた戦中・戦後の過酷な状況を踏まえれば、戦後71年も経て新たな証拠を2世に求めるのはあまりに酷であり、不可能を強いるに等しい。

 これまでに家庭裁判所の審判で就籍が認められた残留2世は188人、なお1000人を超す2世が日本国籍を求めている。5月以降、外務省職員が聞き取り調査に立ち合い陳述書が作成された2世は計18人に留まり、仮にこの陳述書の信用性が前向きに評価されても、PNLSCや外務省の現有人員でどう聞き取り調査を加速させるか、別の問題も残されている。

 しかし、司法が前向きに評価しない限り何も前に進まない。永田さんの申し立てに対する熊本家裁の審判をあらためて注目したい。残留2世の平均年齢は既に75歳を超え、問題解決は時間との戦いである。(了)
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