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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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論議呼ぶ被買収の100人不起訴 [2021年07月09日(Fri)]

ロ事件の不起訴宣明にも似る一律不起訴
“司法取引”の疑い呼ぶ検察判断
河井元法相による大型選挙違反事件


2019年の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、河井克行元法相=公職選挙法違反罪で懲役3年の実刑判決、控訴中=から現金を受け取ったとして同法違反(被買収)の疑いで告発状が出ていた地元政治家ら100人を一律不起訴とした東京地検の処分の妥当性や公平性に強い疑問と批判が出ている。

東京地検の山元裕史・次席検事は臨時の会見で「大規模な選挙買収の刑事責任を負うべきは河井克行氏であり、妻の案里元参院議員=有罪確定=だ」と述べたと報じられている。その一言に「首相の5億円収賄」を立証するため、贈賄側の主役であったロッキード社幹部3人について不起訴を宣明した上で、米国の裁判所に嘱託して証言を得たロ事件にも似た空気を感じる。

公選法の買収と被買収は贈収賄罪における贈賄と収賄と同様、必要的共犯(対向犯)の関係にあり、買収した側とされた側を同時に処分するのが通常の形となる。然るに今回は河井元法相の起訴時に被買収側の起訴は見送られ、7月6日になって市民団体から出されていた告発に対する結論として一律不起訴処分が発表された。

しかし、ロッキード社幹部が日本での取り調べを拒否したロ事件のような特殊な事情はなく、買収資金を受け取った地元政治家ら関係者も受領を認めている。起訴を見送ったのは明らかに異例で、5千円を受け取った運動員も略式起訴し罰金を科してきた過去の公選法違反事件の処分とのバランスも著しく欠く。

あえてロ事件を引き合いに出したのは、一審判決までに7年を要した全裁判をフォローした立場として、贈賄にせよ公選法違反にせよ、自分が置かれた立場に対する危機感、認識の違いが供述・証言内容に微妙に影響すると考えるからだ。元ロ社幹部3人に対する尋問は、検事総長と東京地検検事正が将来にわたって不起訴とすることを宣明(刑事免責)、最高裁がこれを保証する趣旨の宣明書を出した上で、検察から請求を受けた東京地裁が米国の裁判所に尋問を嘱託する形で実現した。

3人の嘱託尋問調書は法廷で証拠調べ(全文朗読)が行われ、淡々と事件の構図を語るその内容と、ロ社と共謀して売り込み工作を進め、贈賄罪で逮捕・起訴された丸紅3被告の検面調書や法廷供述の重く固い口調には際立った違いがあった。国民性の違いもあろうが、不起訴を約束された立場と起訴を免れない立場の違いが大きく投影された結果だと思う。

今回の事件で弁護側が「(検察側が)意図に沿うように供述を誘導しており著しく公平・公正さを欠く」と非難したのも、こうした点を意識した上のことであろう。山元次席検事は「検察が(現金受領側と)何らかの取引をした事実は一切ない」と強調しているが、各社の報道を見ると、「被買収側を不起訴にして有利な供述を引き出す取引をしたのではないかと怪しまれる」と危惧する声は検察OBからも出ている。

一律不起訴処分に対し地元の市民団体が今後、検察審査会に不服申し立てをする方針を明らかにしている。「起訴相当」「不起訴不当」の判断が出れば東京地検が再捜査し、再び不起訴としても、検察審査会があらためて「起訴相当」と議決すれば強制起訴される。それを機会に一括不起訴処分を見直すのが順当と考える。

余談となるが、嘱託尋問調書は一、二審で証拠能力認められたが、事件当時、わが国の刑事訴訟法に刑事免責制度がなかったこともあり、95年の最高裁判決では証拠能力が否定された。ただし5億円のロッキード資金が丸紅を通じて田中角栄元首相に流れた事実は豊富な国内証拠からも動かない。

またロッキード裁判は4ルートに分けて審理が進められ、「田中角栄元首相の5億円収賄」を裁く丸紅ルート公判には「田中角栄研究〜その金脈と人脈」の著者であるノンフィクション作家・立花隆氏=今年4月死去=も毎回傍聴され、休憩時間などに、その日の証言や証拠調べの内容、検察側の立証方針について時に感想をうかがい、意見を交換する機会があった。驚くべき緻密な分析力に毎回、驚かされたことを記憶している。
少子化に悩む日、韓、伊3国 [2021年03月30日(Tue)]

望ましい子ども数は各国とも2人
環境整備で出生率改善の余地
日本財団の8カ国女性意識調査


先進国の少子化が深刻化している。日本財団が欧州4カ国(スェーデン、デンマーク、フランス、イタリア)と東アジア3カ国(中国、日本、韓国)、それにアメリカを加えた8カ国を対象に行った女性意識調査の結果を見ると、日本、イタリア、韓国の危機感がとりわけ高いように見受けられる。3国の合計特殊出生率(女性が15歳から49歳までに産む子供の数の平均)は新型コロナ禍の影響が表面化する今後、一段と低下する可能性が高い。

調査は各国の18歳から69歳までの女性各500人を対象に1月、それぞれの母国語で行われ、少子化の原因や母国の少子化対策に対する評価、理想の子ども数、移民に対する考え方などを質問している。8カ国の合計特殊出生率を2018年の国際比較統計で見ると、最も高いフランスが1・88で対象202ヵ国・地域中129位。8カ国とも、人口が静止状態となる人口置換水準(2・1前後)を下回っている。

前述の3カ国に絞ると日本は1・42で183位、イタリアは1・29で192位、韓国は0・98で202位。日本は19年1・36、韓国は20年0・84とさらに落ち込んでいる。これを反映し調査結果でも、この3カ国に多くの共通点が見られる。

例えば少子化の現状に「問題あり」、あるいは「あなたの国は子供を産み育てやすい国だと思うか」の問いに「思わない」と否定的回答を寄せている上位3カ国は、いずれも日本、イタリア、韓国。少子化の原因として「仕事と子育てを両立できる環境の未整備」を挙げ、今後、必要な対策として「働きやすい環境(フレックスタイム制、テレワークなど)の整備」を求める点でも、やはりこの3国が上位1〜3位に並んでいる。結果、自国の少子化対策に対する評価(5点満点)は8カ国平均の2・7点に対し、日本2・2点、韓国2・3点、イタリア2・4点と逆に下位3国に位置している。

ただし、「子どもを持つ場合、結婚は前提条件となるか」では中国とともに日本、韓国の68〜56%が「なる」としているのに対し、欧州4カ国は逆に84〜76%が「ならない」と答え、際立った対照を見せている。未婚のまま子どもを持つこと、いわゆる婚外子に対する回答も同じ傾向。東洋と西洋の文化的な違いとも言え、この点だけに日本、韓国とイタリアに違いが出ている。

少子化対策としての移民受け入れに関しては、出生率が1・73(18年:世界146位)ながら移民によって引き続き人口増加が予想されているアメリカの7割超が「国を豊かにする」と肯定的回答。これに対し、日本の肯定的評価は8カ国中最低の約4割、8割以上が「自国で出生率の増加などを図るべきだ」と答えるなど、それぞれの国の事情を踏まえ8カ国で異なる傾向を見せている。

多くの国で少子化と並行して高齢化が進んでおり、このままでは次世代を担う若者世代の負担が過大となり、日本で言えば、年金受給額の減少や受給年齢の引き上げ、医療費の自己負担増加など社会制度の劣化は免れない。

スウェーデンやデンマーク、フランスは1980年代から90年代にかけ出生率が1・4〜1・7まで落ち込んだ。これを受け、家族手当など経済的支援のほかに出産・子育てと就労に関し幅広い選択ができるような社会環境の整備に取り組み、2019、20年に1・8を超すところまで回復した。移民が出生率を押し上げている、といった指摘もあるようだが、出生率の改善は国としての取り組みの成果というべきであろう。

調査結果によると、夫婦に望ましい子どもの数は8カ国とも「2人」がトップ。少子化が新しい文化になりつつあると言われるが、素人目には環境さえ整えれば、日本、イタリア、韓国にも改善の余地が十分あるように思える。自国の少子化対策に対する3国の女性の厳しい評価は、各国政府の取り組みの弱さに対する不満の表明と言え今後の動きに注目したい。
50年カーボンニュートラル [2021年03月08日(Mon)]

原子力を電力安定確保の担保に
見通せない再エネ開発の将来
CO2の排出削減は“待ったなし”



温暖化が進む中、「脱炭素」に向けた国際社会の動きが急だ。わが国も2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)に向けた実行計画「グリーン成長戦略」を打ち出している。菅義偉首相が「経済と環境の好循環を生み出す成長戦略」と位置付けるように、今後、政官財を挙げた取り組みが進められよう。

50年の電源構成に対する政府のたたき台は、再生可能エネルギー(再エネ)5〜6割、水素とアンモニア発電約1割、原子力とCCUS(炭素回収・貯留)や二酸化炭素(CO2)を回収・再利用するカーボンリサイクル併用の火力3〜4割。あまりに漠としているが、何より重要なのは電力の安定的確保であり、急速に進む温暖化を前に二酸化炭素(CO2)の排出削減も“待ったなし”である。

島国・日本には、陸続きの欧州のような国境を越えた国際送電線はなく、必要な電力はすべて国内で調達する必要がある。カーボンニュートラルの成否は再エネやCCUSの開発にかかることになるが不確定要素も多く、既存の設備がありCO2を発生しない原子力を電力安定確保の担保として位置付けておく必要があるように思う。

もっとも当の原発は、法律が定める原則40年間の運転期間を前提にすると、現存する計36基のうち、50年時点で稼働できるのは建設中の3基だけとなる。東日本大震災(2011年)で起きた東電・福島第一原発事故の被害があまりに甚大で、10年を経た現在も廃炉の目途さえ立たない現状を前にすると、原発に対する拒否感が和らぐ可能性は低く、新増設には個人的にも抵抗がある。

となると原子力を担保として使える期間は限られ、50年目標の「原子力とCCUS、カーボンリサイクルの併用で3〜4割」の電源構成のうち原子力はほとんど見込めない可能性も出てくる。前述したように「再エネ5〜6割」にも不確定要素が付きまとう。50カーボンニュートラルを実現するためにも、あらためて柔軟で腰を据えた議論が必要ではないか。原発に対する賛否両論が鋭く対立する現状の議論だけで、事態を前に進めるのは難しい。

自然エネルギー財団、日本原子力文化財団など各種資料によると、2019年のわが国の電源構成は石炭32%、石油4%、液化天然ガス(LNG)35%、再エネ20%、その他3%。原子力は福島原発事故の影響で事故前の20%前後から3分の1の6%に落ちた。これに対し30年の見込みはLNG27%程度、石炭26%程度、再エネ22〜24%程度、石油火力3%程度のほか、原子力も20〜22%程度が見込んでいる。

NHKが昨年秋に行った世論調査では、停止中の原発の再稼動に賛成の回答は3140人のうち16%に留まったと報じられている。日本財団が次世代を担う17〜19歳の若者1000人を対象に1月実施した18歳意識調査でも、CO2を削減するために取るべき対策として停止中の原子力発電の再稼動に賛成する声は10・7%と低い数字だった。

この状態で30年に「20〜22%程度」を見込むのは難しい気がする。素人の立場でよく分からないが、仮に「小型モジュール炉」など新しいタイプの原発が社会に受け入れられ、目標を達成できるということであれば、それに越したことはないが、事態はそれほど甘くはないのではないか。

福島第一原発事故の後、国内の原発は11基が廃炉となった。事故を教訓にした新しい規制基準に合格して再稼働した原発は9基に留まる。日本財団調査の結果を見ても、60・4%が「50年カーボンニュートラル」を評価する一方で、実現可能と見る意見は7人に1人(14・4%)に過ぎない。

期待する再エネも太陽光発電(69・1%)や水力発電(39・9%)が上位を占め、政府が主力として期待する洋上風力発電は22・6%=複数回答=と下位に位置している。この辺りにも本来あるべき議論の不足が反映されている気がする。グリーン成長戦略に原子力の活用を一定程度、見込むのであれば、広く理解を得るためにも、もっと幅広い議論が欠かせない。国民の理解と関心が希薄な現状を危惧する。
200万検体の無料PCR検査が持つ意味 [2021年01月25日(Mon)]

無症状感染者見つけ高齢者への感染を防止
社会全体の感染状況占う手掛かり
コロナを「正しく恐れる」データ期待



日々、大量に流れる新型コロナウイルス関連のニュースを見ながら何かと分からない点が多い。確かに連日報じられる都道府県ごとの新規感染者数から感染が拡大している深刻な現実は実感できる。しかし「爆発的な感染拡大」(ステージ4)といわれても、身の回りにどの程度、感染が広がっているのか、その危険性が分かる人は少ないのではないか。新型コロナを「正しく恐れる」ためにも、社会全体の陽性率など分かり易い数字が必要な気がする。

▼19万人対象の日本財団調査

広島市が先に打ち出した市内中心部計4区の全住民・就業者を対象にした無料のPCR検査がその1つの方法と思う。しかし、国内でのPCR検査能力は1月17日現在、1日当たり約12万9000件。一時に比べ整備が進んだとはいえ、全国的に行うのは技術的にもコスト面からも難しい。ここは日本財団が東京都内の高齢者福祉施設や療養型病院の関係者19万人を対象に近くスタートする無料のPCR検査に注目したい。

計画では2月初旬、東京・お台場に拠点となるPCR検査センターを開設、当初は1日3000検体、4月には1日1万4000検体まで検査能力を高め、ワクチン接種が一定程度広がると予想される7月までの半年間に約200万検体を検査する。費用は約200憶円。対象となる施設は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など都内2844カ所の高齢者福祉施設と療養型医療施設(病院)40施設。センターの完成を待って施設単位で受け付けを開始する。

各施設からの申し込みを対象者の約半数の10万人と想定。1日1万4000検体を検査することで1カ月に約40万検体、一人当たり週1回の定期検査を行うとしている。当初は対象となる唾液を直接回収、その後は郵送方式も併用して集め、日々の検査数と感染確認数を特設サイトで公表する計画という。

施設の関係者から無症状の感染者や軽症者を早期に見つけ入所者や入院者への感染を防止するのが狙い。厚生労働省によると昨年11月25日から6日間に全国で発生したクラスター約170件のうち39件が高齢者福祉施設で発生しているほか、70歳以上の感染者の死亡率は4・4%、80歳以上は12%と高い。施設でのクラスター発生を防止することで70歳以上が85%を占める高齢者の死亡率に一定の歯止めが掛かると期待される。

▼何人を検査した結果なのか?

プロジェクトに関し、さらに以下2点に注目する。一つは日々の検体検査数と感染数が併せて公表される点。PCR検査は現在、国立感染症研究所や検疫所、地方衛生研究所、各地保健所や民間の検査機関などで行われているが、データの処理方法などに違いがあるとして日々の速報は感染者数に限られている。「何人を検査した結果なのか」が不明で、感染者数をどう読み取ればいいのか、筆者のような素人には分かりにくい。双方の数字が公表されれば陽性率が推定でき、全体状況を感じ取る手掛かりになる気がする。

もう一つは、検査が施設を支えるエッセンシャルワーカー全員を対象に行われる点。これまでの検査は有症者や濃厚接触者を中心に行われており、昨年12月時点の東京と大阪市の陽性率もそれぞれ6・2%、10・5%と高い数字となっている。全員を対象とする今回の検査では本人が気付いていない無症状者の感染者を発掘できるだけでなく、全体の感染状況を占う指標にもなる。

東京・世田谷区の広報誌には、昨年秋から年明けにかけ健常・無症状の介護職員ら5455人を対象にPCR検査を行った結果、計55人(1%)が陽性だったと報告されている。1%を東京都民1400万に当てはめると14万人。これに対し東京都の累計感染者数は約9万4000人。仮に1%を前提にすると感染者は100人に1人に上り、さらに4万人を超す感染者がいるように読み取れる。果たしてそういう解釈が成り立つか。政府の分科会がPCR検査の陽性率など6つの指標で示す4段階の感染状況も難解だ。

10万人規模となる見通しの日本財団調査でどのような数字が出るか、さらにその数字をどう解釈すべきか。調査には日本医科大付属病院、順天堂大学医学部、東邦大学医療センター大森病院、聖路加国際病院、災害人道医療支援会(HuMA)の医師も参加しており、専門家の立場から分かり易い見解が示されると期待する。民間が取り組む異例の大規模検査の結果に注目したい。
女性議員をどう増やす? [2020年12月16日(Wed)]

クオータ制導入 前向きに検討するとき
1万人の女性調査 賛成は35%だが・・
100ヶ国以上が導入 女性の政界進出加速


候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」が多くの国で導入され、各国の議会で構成する列国議会同盟(IPU)が3月8日の「国際女性デー」にまとめた調査によると、1995年に11・3%だった世界の女性国会議員比率は昨年1月時点で24・3%まで上昇し、女性の政治進出を加速している。

こうした中、日本財団が11月、「女性と政治」をテーマにインターネットで行った1万人の女性意識調査でクオータ制導入の是非を聞いたところ、賛成は35・5%、反対は14・1%だった。過半数の50・4%が「わからない」と答え、議論が熟していないきらいがあるが、個人的にはわが国もクオータ制の導入に向け前向きの議論を加速させる時期に来ていると考える。

クオータ制は世界でいち早く男女平等法を制定したノルウェーで1986年に、内閣の40%を女性とするよう定めたのが始まりとされ、現在、世界100ヶ国以上に拡大。経済開発協力機構(OECD)加盟国のうち昨年時点で採用していないのは日本、アメリカ、ニュージーランド、トルコの4ヶ国にとどまる。欧州各国の中で女性の政治参画が遅れたフランスでは一層の男女平等を図るパリテ法が2000年に制定され、ラテンアメリカ諸国に広がっているという。

わが国の女性議員比率は昨年末時点で衆議院10・1%、参院20・7%、都道府県議会11・4%。世界経済フォーラム(WEF)が経済、政治、教育、健康の4分野を基に男女格差を数値化するジェンダー・ギャップ指数を政治分野でみると2020年は153ヵ国中144位(全体では121位)。IPUが各国議会の状況を昨年2月時点でまとめた調査報告書でも、日本の女性議員数は世界164位と断トツの最下位、先進7ヶ国(G7)の中で唯一100位台となっている。

これに対し1万人女性調査では、こうした女性議員比率や19閣僚のうち女性閣僚が2人に留まる菅義偉内閣の現状について、62〜64%が、「少ない」、「増やす必要がある」と回答。女性閣僚の理想数に関しても56%が「約半数」、40%が「3割程度」と答えている。

女性の国会進出に関してはわが国も、2010年12月に閣議決定された第3次男女共同参画基本計画で20年までに政治家の30%を女性にする目標を掲げたほか、18年5月には国政選挙や地方議会選挙で男女の候補者数ができる限り「均等」になるよう政党に求める「候補者男女均等法」(政治分野における男女共同参画の推進に関する法律)も施行した。クオータ制と同様の狙いと言えるが罰則がなく、努力義務規定にとどまっていることもあって“理念倒れ”に終わっている面もある。

調査では「反対」」、「わからない」の理由として、「相応の能力のある人が政治家になるべきで数値目標化するのはおかしい」、「男女の比率にこだわる必要がない」といった声が50〜30%を占めているほか、「性急な導入に抵抗がある」、「男性への逆差別に当たる」、「日本の政治風土に馴染まない」といった声も出ている。確かに女性議員は有権者の支持で自然に増えていくのが一番、望ましい。

しかし、政治の世界が長く男性中心だった長い歴史からも一朝一夕に変わるのは難しく、多くの国がクオータ制の普及に向け「男女とも候補者の40%を下回ってはならない」、「候補者を男女半々とする」など様々な工夫を凝らしてきた。フランスのように候補者の男女差が2%を超えた場合、政党助成金を減額する制度を設けている国もある。

労働の質や家族の形が変わり、ジェンダー・ギャップの縮小が世の中の流れとなっている。国連もジェンダーの平等をSDGs(持続可能な開発目標)のひとつに掲げている。新型コロナ後の社会は想像を超える変化が予想され、「政治は男の世界」という価値観だけでは通用しない時代になる気がする。

単純に考えても人口の過半は女性であり、日本では寿命も男性より6歳以上長い。高齢化問題ひとつとっても、その分、男性以上に女性に切実な面がある。男性と女性では時に視点も違う。必要な法律や政策の整備に幅広い知恵を活かすには、立法府である国会にもう少し女性議員が必要ではないか。調査結果を見ながら、そんな思いがする。
ミャンマー・ロヒンギャ問題 [2020年11月16日(Mon)]

NLD圧勝の総選挙で争点にならず
依然“解決の糸口”見えず
スー・チー氏が打てる手には限り



米大統領選の陰に隠れる形となったが11月8日、ミャンマーでもアウン・サン・スー・チー最高顧問兼外相の5年間を問う総選挙が行われた。同氏が率いる与党の国民民主同盟(NLD)が上・下院議席の過半数を獲得し引き続き政権を担うことが確実になった。個人的に注目したロヒンギャ問題は何らの争点にもならず、ロヒンギャの多くが住むラカイン州の投票も「治安上の理由」で見送られた。

2期目を迎えるNLD政権、とりわけ事実上の国家元首であるスー・チー氏には欧米各国から、これまで以上にロヒンギャ問題の解決に向けた働き掛け強まると思われるが、以前にもこの欄で触れたように、民主主義が確立した欧米諸国の目線で、民主化の途上にあるこの国に多くを求めるのは無理がある。敵意にも似たロヒンギャに対する国民感情はNLD支持者も含め一様に厳しく、当面、何らかの進展を望める状態にはない。

過去、何度かミャンマーを訪れるたびに国や州の役人、通訳、運転手らにロヒンギャ問題について尋ねたが、温厚なこの国には珍しく、ほぼ一様に激しい口調で「彼らはミャンマー人ではない」、「この問題は話したくない」と答え、排他的ナショナリズの強まりと冷静な議論の困難さを実感した。

今回の選挙では、政府が笹川陽平ミャンマー国民和解担当日本政府代表を団長とする選挙監視団の派遣を決め、その一員となっていたため、可能なら、この辺りの雰囲気を改めて確認したく考えていた。残念ながらミャンマーの新型コロナの感染拡大で監視団を最低人数に限定することになり現地行きは果たさなかったが、恐らく人々の反応に変化はなかったと思う。

人口約5300万人のこの国には約7割を占めるビルマ族のほか、公式に認められているだけでも135の少数民族が住む。しかし、ロヒンギャは「ベンガル系のイスラム」、「不法移民・不法滞在者」と位置付けら“少数民族の外”にある。ラカイン州では仏教徒であるラカイン人との衝突事件も頻発し、国連は17年8月に起きたミャンマー国軍による攻撃でラカイン州に住む100万人超のロヒンギャのうち70万人以上が隣国バングラデシュに逃れ難民生活を送っている、としている。

欧米各国や国際的な人権団体、メディアがミャンマー政府、特にこの国の民主化のリーダーで91年にノーベル平和賞も受賞したスー・チー氏に問題解決の期待を寄せたが、同氏は目立った動きや発言をせず、ノーベル賞の剥奪を求める署名活動も起きた。

今回の総選挙は国軍系の「連邦団結発展党」(USDP)など野党が新型コロナの感染拡大を理由に延期を求める中で実施され、ミャンマー選挙管理委員会は2019年1月以降、ラカイン州とチン州で起きた戦闘を理由に両州(計22議席)の投票を中止。市民権がなく移動の自由も持たないロヒンギャはもともと投票権や立候補権を持たず、ロヒンギャ問題は選挙戦でも完全に蚊帳の外に置かれた。

ミャンマーにとって喫緊の課題は国民和解に向けた停戦合意の実現である。この国では20近い少数民族武装グループが長い間、国軍と内戦を続け、カレン民族同盟(KNU)など10近くと停戦に合意したが、なお半数近くは交渉が続けられている。

国会議席の4分の1を国軍が持ち、国防や国内治安、国境問題を軍のコントロール下に置く憲法の規定もさることながら、ロヒンギャ問題に関してはNLDなど民主化勢力も軍の強硬姿勢を支持する雰囲気が強く、タイやインドネシアなど周辺国もロヒンギャの正規受け入れには否定的だ。こうした中でスー・チー氏が打てる手は限られている。ロヒンギャ問題は依然、解決の糸口さえ見えてこない、というのが実感だ。

内モンゴルに見る少数民族対策 [2020年10月19日(Mon)]

憲法にも反する中国語授業の押し付け
「第2のウイグル化」懸念する声も
気になる中国政府の“強引さ”

中国の動きが何かと注目されている。9月の新学期を前に内モンゴル自治区で打ち出された小中学校各1年の国語教科書をモンゴル語から公用語(標準中国語)に変更する動きもその一つ。習近平国家主席が描く「中華民族の偉大な復興」に向け、中華民族としての共同体意識を植え付けるのが狙いと見られるが、言語や文化は民族の誇りであり、モンゴル族の住民や学生は激しく反発している。

“強引な同化政策”とする国際社会の批判も広がっており、共同電は中国高級幹部の子弟グループ「太子党」の一部が「第2のウイグル自治区になりかねない」と懸念する公開書簡を連名で提出したと報じている。習国家主席も元副首相を父に持つ同じ太子党で、ある意味、身内から内モンゴル政策に疑問が投げ掛けられた形だ。

中国の経済・軍事力が急成長し、米国との覇権争いが本格化する中、国内の緊張感、一体感を高める思惑があるのかもしれないが、国家安全法施行による香港の民主化勢力封じ込めと同様、中国に対する国際社会の警戒感が一段と高まるのは必至。それを承知で、あえて強硬策に踏み切る背景にはどんな事情がるのか、疑問は尽きない。

中国語への切り替えは、8月、唐突に地元政府が発表した。来年以降、さらに道徳・法治(政治)、歴史科目の授業を順次、中国語に切り替える方針とされる。モンゴル族の住民や学生が「母語であるモンゴル語が失われかねない」「漢族中心の文化の押し付け」と反発、抗議デモや授業ボイコットを続けている。米ニューヨークに本拠を置く「南モンゴル人権情報センター」は8月下旬以降、4000人を超すモンゴル族が拘束されたと発表している。

公用語(中国語)の強制は小中学生に、中華民族という共通意識を持たせ中国共産党の価値観を浸透させるのが狙いといわれる。中国外務省の報道官や地元政府は「公用語は国家主権の象徴であり、これを学び使うことは、人々の権利であり義務だ」、「モンゴル語と公用語を使う教育体系に変わりなない」としているが、少数民族の言語や文化を消し去る政策に、誇り高いモンゴル族が反発するのは当然の結果でもある。

中国人民共和国憲法第4条には「いずれの民族も、自己の言語・文字を使用し、発展させる自由を有し、自己の風俗習慣を保持し、又は改革する自由を有する」と明記され、同民族地域自治法38条も「各民族の言語と文字の使用を保護する」と規定している。中国人民共和国教育法も「少数民族を主とする学校など教育機関では、実際の状況に応じて、国で通用する言語と地元で通用する言語の両方を使って双語(2つの言語)教育を実施する」と記され、少数民族文化との“共生”に配慮している。

中国人の知人は「中国政府の教育部が習政権の方針を過剰に忖度した可能もある」というが、同様の制度は2017年に新疆ウイグル自治区、翌年にチベット自治区でも導入されており、内モンゴルで同じ政策を導入することで3自治区の足並みをそろえた感がある。

3自治区の面積は中国全土の41・3%。国境に位置するこの地域は歴史的にも中国本土の安全を左右してきた。近年は石油や希少金属、天然ガスなど戦略物資の埋蔵地域として重みを増している。新疆ウイグル自治区では百万人を超すウイグル人が強制収容され、6月、中印両国軍が45年ぶりに衝突した国境紛争では、死亡したインド軍兵士の棺にインド国旗とともにチベットの「雪山獅子旗」がかけられ、インド軍にチベット兵部隊が存在することが裏付けられた。地域の緊張感は一段と高まっている。

内モンゴルの人口は2017年時点で約262万人。モンゴル族の17%に対し、漢族は移住政策で79%に増え商業や行政の中枢を占める。ともすれば底辺に追いやられたモンゴル族の“抵抗”はさらに強まる。「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」を追う中国と、これを抑え込もうとする米国の対立も一層、激しさを増す。民族対立や所得格差が深刻化している点で両国は似ている。

国際社会の批判に対し中国政府は「あくまで内政問題だ」と反発しているが、「上から目線」でさらに圧政を強めれば、モンゴル族の不満と反発は一層、深く水面下に拡散する。穏やかな「双語教育」で少数民族との共生を図ることこそ賢明な策だと思う。中国政府の“強引過ぎる姿勢“の背景にどんな事情と狙いがあるのか、今後の展開も含め気になるところだ。
東京・渋谷からトイレ文化発信 [2020年09月17日(Thu)]

著名建築家ら16人が“競作”
公共トイレの活性化に一つの「解」
10カ国近くからオファーや照会


日本文化の発信地・渋谷で進む「THE TOKYO TOILET」プロジェクトに関心が高まっている。著名な建築家やデザイナー計16人が提案する斬新で個性的なトイレに外国メディアの関心も高く、早くもインドや中国、カナダなど10カ国近くから照会、引き合いが来ているという。プロジェクトはユニークな日本文化発信策としても注目をされそうだ。

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安藤忠雄氏デザインの「雨やどり」


プロジェクトでは、渋谷区内にある84カ所の公園トイレ、公衆トイレのうち17カ所を来年夏までに「誰もが快適に使用できるトイレ」に“刷新”する。9月7日には7カ所目となる建築家・安藤忠雄氏提案の神宮通公園トイレが竣工した。同公園は山手線脇に位置する小公園。完成したトイレは円筒形の上に庇が大きくせり出し、公園の緑の中に佇む姿から「雨やどり」=写真=と名付けられた。

15日には安藤氏本人が現地で会見。「公衆トイレについて、いろいろ問題を抱えている国は多い。美しい国・日本から、清潔で安心・安全なトイレを世界に発信できるといい」と、プロジェクトにかける思いを語った。

先行した6ヵ所も「現代の厠(厠)」をイメージ(恵比寿公園トイレ、インテリアデザイナー・片山正通氏)、普段は中が透けて見え鍵を閉めると外壁のガラスが不透明になるトイレ(代々木深町小公園など2ヵ所、建築家・坂茂氏)、日本の贈り物文化のシンボルである折形をヒントにした鮮やかな赤いトイレ(東3丁目公衆トイレ、プロダクトデザイナー・田村奈穂氏)など多彩。

プロジェクトにはこのほか、建築家の伊東豊雄、隈研吾、小林純子、坂倉竹之助、藤本壮介、槇文彦の各氏、デザイナーやディレクターの後智仁、佐藤可士和、佐藤カズー、NIGO、マーク・ニューソン、マイルス・ぺニントン各氏も参加、来年夏までに残る10ヵ所にも多彩なトイレが登場する。

安藤氏は同時に「人は汚れていないものは汚さない。2年後も美しいままであってほしい」とも付け加えた。プロジェクトでは日本財団、渋谷区、渋谷区観光協会が協定を結び、維持管理を徹底する方針だ。

トイレは性、年齢、国籍に関わらず誰にも欠かせない存在である。しかし街中にある公衆トイレや公園トイレは、ウォッシュレットの普及など“トイレ先進国”といわれる日本でも、暗い、汚いといった理由で敬遠されがちだ。

同様の悩みを抱える国は多く、パリや北京では観光政策も絡み公共トイレの美化計画が進められている。プロジェクトに対しては前述の3国のほかポルトガル、韓国、ナイジェリア、パプアニューギニアからも照会やオファーが来ているといわれる。

プロジェクトは優れた16人のクリエーターのアイデアとTOTOや大和ハウスの高い技術力が一体となって成り立っている。海外の高い関心はプロジェクトに問題解決の一つの「解」を見出してのことと思う。渋谷発のトイレ文化が内外に広く普及するよう期待する。
夫婦同姓に女性の過半数賛成 [2020年08月31日(Mon)]

9割は戸籍・日常とも夫の姓
女性の生き方多様に
選択的夫婦別姓の導入検討を!


先進国では唯一、法律で義務付けられている日本の夫婦同姓制度に、「どちらかといえば」も含めると18〜29歳の62・7%を筆頭に女性の56・8%が賛成、反対の19・8%を大きく上回り、現実に既婚女性の90・5%は戸籍、日常生活とも夫の姓を使っているー。日本財団が行った初の「1万人女性意識調査」でこんな結果が出た。

夫婦同姓に対しては国連が「差別的だ」として是正を勧告した経過があるほか、夫婦別姓を認める民法改正を模索する動きもあるが反対も根強く実現していない。しかし、調査でも職を持つ女性を中心に20人に1人弱(4・5%)は「戸籍は夫、日常生活は自分の姓」と現実的な使い分けをしており、こうした動きは今後、確実に増える。個人としては現行の夫婦同姓制度に加え、選択的夫婦別姓制度を導入するのが現実的な対応策と考える。

▼日本財団・1万人女性意識調査

調査は18歳から69歳までの女性を人口構成比に合わせて5グループに分け、7月17日から5日間、インターネットで調査し計1万人から回答を得た。夫婦同姓に対する回答は賛成21・7%、どちらかといえば賛成35・1%、反対6・6%、どちらかといえば反対13・2%、分からない23・5%。うち既婚者約6200人の現実の対応は「戸籍・日常とも夫の姓」が90・5%と圧倒的に多く、残りは「戸籍・日常とも自分の姓」3・8%、「戸籍は夫、日常は自分の姓」が4・5%、「その他」1・2%となっている。

年齢別では18〜29歳が賛成29・5%、どちらかといえば賛成33・2%。残る30代以上が50%台にとどまる中、高い数字となっている。理由(二つまで選択)では「子供のことを考えると夫婦同姓の方が現実的」、「夫婦同姓の方が家族になった実感が出る」が50・4〜41・6%。わが国でも選択的夫婦別姓制度を導入すべき、といった意見や「仕事を続けて行く上では夫婦別姓の方が都合がいい」といった声も18・5〜17・2%に上っている。

自由回答を見ると、夫婦同姓賛成派では「基本的に同姓の方が夫婦・家族と分かりやすくていい」、「夫婦になっておきながら無理に別姓にする方が不自然」、「墓や供養はどうするか? 別姓だと困る」といった意見が目立ち、反対派では「自身の苗字に誇りや歴史のある人が、強制的に変えなければいけないような制度はいらない」、「“女性が男性の家に入る”という古い価値観は受け入れられない」といった意見、「入籍・離婚時の手続きが面倒くさく非効率的」、「事実婚が増えており臨機応変に対応すべき」といった指摘も目に付いた。

▼家族の一体感に影響なし

夫婦同姓に関しては、女性の社会進出が進むにつれ結婚に伴う改姓手続きの不便や煩雑さを指摘する声が増え、法制審議会は1996年、選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案要綱を答申、同年と2010年には改正案も用意されたが、根強い反対意見で見送られた。

しかし、内閣府が昨年、家族の法制に関する世論調査で「夫婦・親子の名字(姓)が違うと、夫婦を中心とする家族の一体感(きずな)に何か影響が出てくるか」尋ねたところ、31.5%が「家族の一体感(きずな)が弱まると思う」と答えたものの2倍超の64.3%は「影響がないと思う」と答え、家族法制に関する別の調査では、4割を超す人が選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正を「構わない」としている。

今回の調査結果を見ると、女性の暮らしや働き方が多様化する中、なお夫婦同姓が広く行きわたっている一方で、社会の変化に即した対応を求める女性の声が一定の広がりを見せている現実も示している。今春には自民党の「女性議員飛躍の会」も選択的夫婦別姓制度に対する議論を始めた。同制度導入を巡る動きを、しばし見守りたいと思う。(了)

〚夫婦同姓制度〛民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定め、最高裁は2015年、「夫婦同氏(同姓)は社会に定着し、家族の呼称を一つに定めることには合理性がある」と合憲の判断を示した。日本のような法律の定めを持つ国は世界に少なく、歴史的に結婚後、妻が夫の姓に変えることが多かった欧米も、近年は「同姓、別姓いずれも選択できる」流れが主流になりつつある。
同じ東アジアの中国、韓国では出自を表す「家」を大切にする伝統を受け、夫、妻とも結婚後も自己の姓を名乗る。日本も、一般の人も姓を名乗れるようになった明治当初は「妻は実家の氏(姓)を用いる」と規定され別姓が主流だった。しかし同29年(1896年)、旧民法が夫婦同姓を打ち出し、戦後1947年の改正民法で現在の形となった。規定に従う限り、夫婦のどちらかが姓を変えない限り、法律的には結婚できない。
石炭火力、9割休廃止の代替電源は? [2020年07月27日(Mon)]

優先させるべきは温室効果ガスの削減
原発再稼働して再エネ開発の時間稼げ

         

政府は先に二酸化炭素(CO2)を多く出す非効率な石炭火力発電所を休廃止させる方針を発表した。低効率とされる約110基のうちの90%約100基を2030年度までに削減するという。温暖化による異常気象や海の劣化が加速する中、低炭素・脱炭素に向けた妥当な選択と評価するが、それでは代替電源をどうするか。ここは原発を再稼働させCO2など温室効果ガスの排出を削減する一方、再生可能エネルギーの開発を急ぐしか方法はないような気がする。

原発再稼働にさまざまな反対意見があり、個人としても新増設を一切認めない立場をとるが、温暖化防止と電力の安定確保を調和させながら再生可能エネルギーの開発を加速させるのが最も現実的と考える。いずれにしても政府は代替電源を含めた長期のエネルギー計画を早期に打ち出す必要がある。

国のエネルギー基本計画によると、目標の30年度の電源構成は、火力発電が全体の56%程度、原子力20〜22%程度、再生可能エネルギー22〜24%程度。火力発電の内訳はLNG(液化天然ガス)27%程度、石油3%程度、石炭26%程度となっている。経済産業省などによると、18年度現在、石炭火力が占める割合は32%。非効率な石炭火力発電所を休廃止する一方で高効率の石炭火力発電所の新増設も検討されるという。

しかし、高効率といってもCO2の排出量は非効率に比べ1〜2割の減に留まるようで、低炭素、脱炭素の潮流には合わない。国内外から批判が高まる恐れもあり、30年度の「26%程度」を達成するのは難しく、LNG、石油も同じ問題を抱える。となると頼みは再生可能エネルギー。30年度計画では水力、太陽光、バイオマス、風力、地熱の比率をいずれも18年度に比べ1〜2%アップ、電源構成に占める割合を18年度の17%から22〜24%に増やすとしている。しかし現実にどの程度、実現できるか不確定要素が多い。

一方、原子力発電。東電福島第一原発事故前には全国に54基の原子炉があり、総発電量の約30%を占めていた。事故ですべての原発が停止となり、その後、廃炉が決まった原発を除くと現在は33基、うち9基が稼働している。18年度の電源構成に占める割合は6%、30年度に目標を達成するには30基程度の稼働が必要とされるが、反対も根強く、20〜22%の数字は希望的観測に過ぎない。

となると30年のエネルギー基本計画は現実的裏付けを欠き、石炭火力発電所の休廃止を打ち出す段階で、どう見直すのか、明らかにされるべきであった。政府は今後、有識者会議を設け休廃止の仕組みなどを検討すると言うが、電力の安定確保は国の要であり、後先が逆のような気がする。

海外に目を転ずると欧州は全廃の方向。英国は25年、フランスは22年、ドイツは38年までの全廃を打ち出している。米国は15年現在の火力発電のシェア33%を30年に21%に減らすとしているものの引き続き一定規模で活用する構え。石炭火力はコストが低く、産出地域が多いため調達にも安心感があり、特にアジア、アフリカの需要は高い。ASEAN(東南アジア諸国連合)やインドの使用量は40年に現在の2倍に達するとされている。

通産省は、対象国が温暖化対策に消極的な場合や対応方針が不明確な場合は原則支援しないとしているものの、中国がASEAN諸国などへの輸出を拡大していることもあり、外交上の思惑からも支援を継続したい考え。これに対し環境省は支援を禁止したい意向を示している。日本は昨年12月にスペインで開催された国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で気候変動対策が後ろ向きとして、温暖化問題に取り組む民間活動団体(NGO)から「化石賞」贈られた。両省にはこうした“不名誉”に対する受け止め方の違いもあるようだ。

COP25で発表された「海洋と雪氷圏特別報告書」によると、温暖化で極地や山岳地域の氷河や氷床の融解により海面や海水温の上昇が不可逆的な段階まで進んでおり、脱炭素は国際社会が避けて通れぬ道と思う。再生可能エネルギーの開発を加速させるためにも、ここは原発を再稼働し時間を稼ぐべきと考える。仮に30年度より早期に再生可能エネルギーの安定確保に目途がつけば、再稼働する原発の数を縮小する手もある。(了)

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