昨日3月8日、実行委員会としてまとめた要望書を宮城県・仙台市へそれぞれ提出しました。
提出した要望は以下の通りです。
2022年3月吉日
仙台市長 郡和子 殿
みやぎアピール大行動実行委員会
仙台市への障害福祉施策に関する要望項目
【新型コロナウィルス感染症対策】
新型コロナウィルス感染症の拡大が繰り返されています。障害者・高齢者などの要支援者はもちろん、要支援者を支援する支援者が感染したり、濃厚接触者となった場合には、それまで利用していたサービスを休止し高感染リスク下で家族が看護にあたるケースや入院時に家族の付き添いを求められるケースが報道されています。自己隔離が困難な場合に速やかに入院などの適切な医療や支援が受けられる体制を整備してください。
同様に、主たる支援者が濃厚接触者・感染者となった場合にも障害者・高齢者が困難な状況に陥らないように体制を整備してください。
【医療】
1.4病院(県立がんセンター・東北労災病院・仙台赤十字病院・精神医療センター)統合ではなく、現地で存続させてください。
2.新型コロナウィルス感染症の流行が示した課題は医療体制の整備です。市民の生命・健康を守るためにも、さらなる医療体制の充実を求めます。
3.新型コロナウィルス感染症感染拡大による医療提供体制の逼迫、崩壊を懸念しています。すでにいくつかの国では、障害者は救命救急・人工呼吸器等の重症患者の治療対象にならないというガイドラインを策定し、高齢者が装着している人工呼吸器を外して、より若く治療効果のある人に付け直すということが起きました。
宮城県においては、こうした障害を理由とした命の選別ともいえることを決して行なわないよう求めます。
【災害時個別支援計画について】
2021年に災害対策基本法が改正され、努力義務ですが個別避難計画の作成を市町村で行なう事となりました。内閣府は「要介護度3以上の高齢者や身体障害者手帳1・2級を所持している者等の自ら避難することが困難な者のうち、ハザードマップで危険な区域に住む者や、日常から見守りが必要な独居または夫婦二人暮らしの者など、個別計画策定の優先度が高いと地方公共団体が判断する者について、概ね5年程度で個別計画の作成に取り組むこと」を要請していますが、一日でも早い個別避難計画を実現させ私たち災害弱者を守ってください。
【仙台市障害者差別解消条例関連】
1.仙台市障害を理由とする差別をなくし障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例」(以下、市条例)が施行されて5年を迎えようとしています。この間の成果と課題について、各区役所に配置した担当職員の対応状況等もふくめてどのようにお考えかお聞かせください。
2.仙台市障害を理由とする差別をなくし障害のある人もない人も共に暮らしやすい街をつくる条例(市条例)の運用状況運用状況及び相談件数等がまとめられたものは、仙台市障害者施策推進協議会(施策協)への年次報告資料のみです。例年指摘している通り、これらには相談内容・対応内容が記述されていません。施策協は市条例のモニタリング機関であり、条例の適切な執行・運用を監視する役割がありますが、対応事例について検討ができないことは、条例が適切に機能しているか、運用されているか評価ができず、その役割が十分果たせません。さらに、差別事案対応状況を公開しないということは、客観的な評価検討をさまたげることであり、条例運用上も大きな問題です。
再三指摘している通り、差別解消において重要な「差別を知ること」に大きな影響が出ます。さきの回答における「相談内容等について、個人特定を懸念して掲載しない」というのは、個人が特定されない記載方法は充分可能であり、掲載しない理由にはなりません。施策協資料のみではなく,他自治体のように年次報告書としてまとめてください。
3.今年度から来年度にかけて市条例の見直しが検討されています。十分な時間を確保し、市民(障害当事者・家族・支援者・事業者等)の意見も十分反映させ実施してください。
4.障害を理由とする差別をなくすためには、「障害理解」がとても重要と考えます。
仙台市は制定した差別解消条例を柱の一つにしています。様々な施策を展開していますが、それらを通じて外見からは分かりにくい障害も含めた様々な障害についても理解啓発の取り組みをいっそう進めてください。
【移動支援】
障害がある人の地域生活、自立支援に必要不可欠な移動支援•行動援题•同行援證の支給時間上限を撤廃し、障害者の社会参加を進めてください。
【就業・就学中の介護保障】
1.障害者の就労を支援する効果的な施策として、2020年10月より下記の「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」が開始されています。
@重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金
A重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金
B雇用施策との連携による重度障害者等就労支援
この事業を仙台市においても実施してください。
2.就学中に介護が得られないことが希望する就学先に就学できない大きな原因の一つになっています。現在、市町村で実施されている重度訪問介護利用者の大学等の就学支援事業の実施を促進してください。
また、移動支援事業において仙台市をはじめ多くの市町村で通勤・通学での利用は認められておりません。生活の基盤ともなる通勤通学の支援が制度でなされるよう、国及び県との協議・要請・調整等を行ってください。
【災害時医療連携】
災害時の医療及び医療相談について、患者団体等の協力•連携を認識し平時からの体制整備に努めてください。
患者団体や支援団体は、それぞれの病気や患者家族についての情報を持ちネットワークもあります。仙台市が災害時医療救護活動を迅速、的確に行うために、患者団体や支援団体を活用してください。そのことが市民の安全安心につながります。
仙台市と患者団体等との連携について、昨年8月に仙台市(健康政策課・障害企画課)とみやぎアビール大行動実行委員会及び宮城県患者•家族団体連絡協議会とで意見交換会を実施しました。
その後、仙台市としてのご返答がありません。患者団体等との連携について具体的にお考えいただいているのでしょうか。8月の意見交換会で、実際に当事者である患者家族の話を閧ュことで、気付かれたこともあるのではないでしょうか。
災害時医療に関して、患者団体や支援団体との連携の体制をとってください。定期的に意見交換会を設け、平時から連携できるようにしてください。
【グループホーム】
親の高齢化や予期せぬ疾病等に伴い、障害のある方の住まいの場の確保が急務となっています。特に医療的ケアが必要な方や、行動障害を伴う自閉症の方などは、グループホーム等への受け入れが難しいこともあり、親は在宅での支援に疲弊しています。他方、事業所としては、グループホームの必要性を感じながらも、夜間勤務のある求人に対して、働き手はなかなか見つからず、人材の確保が課題となっています。ついては、グループホームの運営が円滑に行われるための独自の補助や、福祉人材確保のための施策を講じてください。
【仙台市営バス】
地域の公共交通網の維持・充実は、市民生活を支える仙台の持続発展に繫がります。障害のある人にとって大切な移動手段となっています。
少子齢化の進行により、自動車を運転できない交通弱者の増大が予想され、公共交通による移動手段の確保が必要であるほか、過度な自動車利用による環境負荷の増大への対応など、公共交通の果たす役割は重要なものとなっています。
まちづくりなど住民福祉の向上を図るため、交通空白地域・不便地域の解消、高齢者等の外出促進、公共施設の利用促進を通じたまちの活性化など、真摯に市民の声を聞き入れ、必要とされるバス路線確保・充実及び復活させてください。
【仙台市議会傍聴スペース】
当会はこれまで議会に対して、本会議場傍聴席への経路が階段しかなく、車いすユーザーの傍聴権を妨げていることを指摘し、具体的な改善案を示し昇降リフトではなく本会議場内のスペースを傍聴席とするよう、再三求めてきました。しかし、要望は受け入れられず、理由も示されず、協議にも応じていただけないままに市議会本会場傍聴席への階段に昇降リフトが設置されました。
昨年2月に発生した地震によって本会議場の一部が破損した際に特別委員会室で議事がを進められ、この場合の傍聴席は室内後方でした。当会からの提案と同様であり、なぜ特別委員会室で可能なことが本会議場でできないのか不可解です。
また、安全・防災上の懸念もぬぐえません。リフトの底面は非常に狭く、リフト旋回時には車いす位置の微調整が必要な場合もあり、非常に恐怖を感じます。また、議場へのリフトを使用中に地震等の災害や故障が起こった場合、傍聴席からの避難経路をふさぐことになります。そうした課題を解消するためにも、本会議場後方に傍聴席を設けるよう求めます。
【情報保障】
1.手話通訳や要約筆記は、聴覚障害のある人と、音声話者とをつなぐ大切な情報・コミュニケーション保障です。意思疎通支援者派遣事業の制限をなくし、幅広く利用できるようにしてください。
現状では、市民活動の定例会の参加などの場合に利用を認められていません。事業の実施要綱にある派遣対象外の4項目に市民活動は含まれていませんが、派遣対象事項に関する表において、福祉、行政の「月単位の定例的な会議等」が派遣対象外にされています。これは社会参加を阻むもので、事業の目的である「自立と社会参加の促進に資する」ことに反します。定期的に参加することで周りの人との関係が深まり、情報も得ることができるのです。手話や要約筆記がなければ、情報が得られず、十分なコミュニケーションがとれません。社会参加が阻まれている状況です。
聴覚障害の有無にかかわらず市民活動の社会参加が保障されるよう、時間帯や回数、活動内容の制限をせず通訳者を派遣できるようにしてください。
2.上記と関連して、仙台市においても遠隔手話通訳・遠隔文字通訳のシステムを導入してください。パソコンやスマホ、タブレットを利用すれば、離れていても遠隔で通訳は可能です。感染症対策のみならず、台風・大雪などの悪天候にも備えられ、移動の拘束時間の短縮にもつながります。生活のなかでは、急な受診や交通事故などのトラブル、学校からの呼び出しなど、時間帯を問わず急に通訳が必要になることがあります。また、震災や水害等で通訳者がすぐにその場へ駆けつけられない場合もあります。
事業の実施要綱では、市長が必要と認める場合に手話通訳事業団体に遠隔通訳を依頼できるとしていますが、現状システムが構築されておらず、実施できるようになっていません。遠隔通訳のシステムを備えることにより、利用者・通訳者双方の安心・安全が守られます。早急に導入し、聴覚障害のある人がいつでも利用できるように広報活動を行ってください。
3.意思疎通支援者派遣事業実施要綱別表1の派遣対象事項〈文化・教養〉に「講演・講座・研修等の講師を務める場合」を追加してください。
【障害者の居住支援・環境整備】
1.障害者の地域移行を進める場合に必須なのが居住の場ですが、その中心である民間賃貸物件はと
ても借りにくい状況にあります。それは、差別や偏見、改修の必要性、改修への理解・許可が得られにくい、保証人が立てられないことなどが主な原因です。これらの問題について、仙台市障害を理由とする差別をなくし障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例を活用し、地域移行を基本方針とする仙台市から市内不動産業者へ啓発をよりいっそう強化してください。
2.前回要望に対する回答において、精神障害者を中心にしたアンケートの実施ついて記述がありました。その進捗についてお教え願います。
また、この調査を精神障害者に限らず、全障害及び支援者・宅建業者にも広げて実施し、実態に即した対策を講じてください。
3.障害者の居住支援において、特に有効な施策である住宅改造費等助成・住宅改修費等の関連事業について、宅建業者等への周知を強化してください。
【障害者による文化芸術活動の推進】
国は、障害者差別解消法のもとに、福祉・教育/生涯学習・文化芸術・経済の各省庁がさまざまな政策を打ち出しています。
宮城県と仙台市においても、障害のある人の芸術文化活動ならびに生涯学習への參加促進と環境醸成に向けて、宮城県障害者芸術活動支援センター(事務局:NPO法人エイブル•アート•ジャパン、以下支援センター)とのさらなる協働をお願いします。
平成30年6月13日に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号)」が公布、施行され、地方公共団体も国と同様に施策を講ずる必要性があります。宮城県では「宮城県障害福祉計画(第6期第6期障害福祉計画•第2期障害児福祉計画)」、「第3期文化芸術振興ビジョン」に当該テーマおよび支援センターの記載がされました。仙台市では、計画への反映はまだですが、文部科学省令和3年度『学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業』を支援センタ一と仙台教育委員会が共催し活動の連携はすすんでいます。
今後も、宮城県と仙台市、行政内の課を横断して、中間支援組織や民間団体とのさらなる連携を求めると同時に、真に有描的な情報交流や活動推進がすすむことに力をお貸しください。
【障害者虐待防止法を機能させるために】
グループホームAをめぐっての障害企画課・障害支援課の対応は、精神障害者を虐待から守ろうという気など微塵もないことを明白にしたと思います。
Hさんの突然の不審死をうけて、宮精連、アピール大行動実行委員会による再三の申し入れ、元職員によるリアルな内部告発、利用者の証言があったにもかかわらず、市は「もう終わったこと」として、あゆの風への処分や業務改善に真剣に取り組むことはありませんでした。
Hさんの死は、警察発表の通り直接的な暴力などによるものではありませんが、通院援助を怠ったグループホーム側のネグレクトによりもたらされた死なのです。こうした虐待防止法に抵触するネグレクトが常態化していたことは、利用者や元職員の証言からも明白な事実です。それは当然、担当課でも把握しているはずですが、一体なぜ監督義務を果たさないのでしようか?お答えください。
また、障害者虐待防止法を法の趣旨に則って機能させるために、担当課だけでは限界があると痛感しました。弁護士や有識者、当事者団体などからなる第三者委員会を設置し議論のうえで策務改善や処分を決定する仕組みが必要なのではないでしょうか。是非とも検討してください。
【教育】
医療的ケアの必要な子どもも、安心して地域の学校で学ぶことができるための環境整備を早急に進めて下さい。
障害や病気を抱えたこどもたちも地域の小学校を希望することがあります。しかしながら、医療的ケア児や重症児の支援はまだまだ十分ではありません。
学校への保護者の付き添いの問題や通学にかかる負担など、「制度jがないという一言で当事者親子に負担がかかっているのが現状です。
仙台市障害を理由とする差別をなくし障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例等を踏まえ策定された「仙台市特別支援教育推進プラン2018」においては、テーマ2の中に、多様なニーズに対応するための支援体制の充実という項目があり、医療的ケア対象児への支援体制整備が明示されています。
また、国においては2021年6月に医療的ケア児とその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)が成立し、9月18日に施行されています。
同法においては、医療的ケア児とご家族の意思を最大限に尊重し、地域間格差を解消すること、家族の離職防止を含め、個々の人生における選択肢を増やしていこと、成長後の医療的ケア児者を地域の中で支え台い、共に生きる社会をつくるという理念が示されています。
その理念を具体化するために、地方自治体は自主的かつ主体的に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有するとされています。また、学校設置者は、在箱する医療的ケア児に対し、医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるよう最大限に配慮しつつ、児および保護者の意思を最大限に尊重して、適切な支援を行う責務を有するとされています。
私たちのもとには、現に通学・付き添いの件での相談がよせられています。当事者親子の相談に耳を傾け、関係する部署が連携して、まずは現状においてもできることを、知恵を出して対応して下さい。さらに、仙台市特別支援教育推進プラン2018・医療的ケア児支援法に基づき、医療的ケア児や重症児が安心して地域の学校で学ぶことができる環境整備を進めて下さい。
【投票所における障害者への対応】
仙台市区選挙管理委員会作成の「投票所における障害者・高齢者への対応」には、「耳の不自由な方」への対応として、「ゆっくり話す」「口話」「身振り手振り」が記述されています。手話による対応がないのはなぜでしょうか。
投票所数が膨大になる投票期日は無理としても、期日前投票所となる各区役所及び市内全選挙区の投票が可能なAER(アエル)会場に手話通訳者を配置してください。
以上
2022年3月吉日
宮城県知事 村井嘉浩 殿
みやぎアピール大行動実行委員会
代表 鷲見(すみ)俊雄
宮城県への障害福祉施策に関する要望項目
【新型コロナウイルス感染症対策】
新型コロナウィルス感染症の拡大が繰り返されています。障害者・高齢者などの要支援者はもちろん、要支援者を支援する支援者が感染したり、濃厚接触者となった場合には、それまで利用していたサービスを休止し高感染リスク下で家族が看護にあたるケースや入院時に家族の付き添いを求められるケースが報道されています。自己隔離が困難な場合に速やかに入院などの適切な医療や支援が受けられる体制を整備してください。
同様に、主たる支援者が濃厚接触者・感染者となった場合にも障害者・高齢者が困難な状況に陥らないように体制を整備してください。
【医療】
1.県内各圏域においても障害児・者が安心して受診できる体制の整備は必須です。これまで数少ない拠
点病院(東北大学医学部付属病院、こども病院)において提供されている医療を、病状の度合いによって各圏域の拠点病院または地域医療機関(開業医等)で受診できる体制を整備してください。
2.「重度心身障害者医療費助成制度」を、現在の償還払い制度ではなく、窓口での自己負担を必要としない現物給付制度に変更してください。
3.4病院(県立がんセンター・東北労災病院・仙台赤十字病院・精神医療センター)統合ではなく、現地で存続させてください。
4.新型コロナウィルス感染症の流行が示した課題は医療体制の整備です。県民の生命・健康を守るためにも、さらなる医療体制の充実を求めます。
5.新型コロナウィルス感染症感染拡大による医療提供体制の逼迫、崩壊を懸念しています。すでにいくつかの国では、障害者は救命救急・人工呼吸器等の重症患者の治療対象にならないというガイドラインを策定し、高齢者が装着している人工呼吸器を外して、より若く治療効果のある人に付け直すということが起きました。
宮城県においては、こうした障害を理由とした命の選別ともいえることを決して行なわないよう求めます。
【災害時の避難及び救援体制の整備】
東日本大震災から11年を迎える状況で、障害者の災害時避難体制及び救援体制整備状況についてお教え願います。
宮城県災害福祉広域支援ネットワーク協議会が昨年行った市町村向けのアンケートの調査回答結果によると、避難所におけるよう配慮者の支援方法の決定、その他支援を行う職員についてという問いに対する回答では、一般の避難者と同様に支援するが56.3%となっており、また、避難所における配慮者の支援のマニュアルについての回答では、今後策定予定が43.8%、策定の予定なしが43.8となっています。この結果からは市町村における取組があまり進んでいないことがうかがえます。「課題」に関する自由記述欄では、マンパワー不足が挙げられています。
体制整備の現状と合わせ、課題とその解決に向けた方策についてもお教え願います。
【災害時個別支援計画について】
2021年に災害対策基本法が改正され、努力義務ですが個別避難計画の作成を市町村で行なう事となりました。内閣府は「要介護度3以上の高齢者や身体障害者手帳1・2級を所持している者等の自ら避難することが困難な者のうち、ハザードマップで危険な区域に住む者や、日常から見守りが必要な独居または夫婦二人暮らしの者など、個別計画策定の優先度が高いと地方公共団体が判断する者について、概ね5年程度で個別計画の作成に取り組むこと」を要請していますが、一日でも早い個別避難計画を実現させ私たち災害弱者を守ってください。
【災書時医療連携】
災害時の医療及び医療相談について、患者団体等の協力・連携を認識し平時からの体制整備に努めてください。
患者団体や支援団体は、それぞれの病気や患者家族についての情報を持ちネットワークもあります。宮城県が災害時医療救護活動を迅速、的確に行うために、患者団体や支援団体を活用してください。そのことが市民の安全安心につながります。
災害時医療に関して、患者団体や支援団体との連携の体制をとってください。定期的に意見交換会を設け、平時から連携できるようにしてください。
【就業・就学中の介護保障】
1.障害者の就労を支援する効果的な施策として、2020年10月より「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」が開始されています。
@重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金
A重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金
B雇用施策との連携による重度障害者等就労支援
について市町村及び就労支援機関に周知徹底し、事業を実施するよう強く促してください。
2.就学中に介護が得られないことが希望する就学先に就学できない大きな原因の一つになっています。現在、市町村で実施されている重度訪問介護利用者の大学等の就学支援事業の実施を促進してください。
また、地域生活支援事業の中心事業である移動支援事業において、多くの市町村で通勤・通学での利用は認められておりません。生活の基盤ともなる通勤通学の支援が制度でなされるよう、国及び市町村との協議・要請・調整等を行ってください。
【差別禁止】
1.2021年4月に施行された「障害を理由とする差別を解消し障害のある人もない人も共生する社会づくり条例」および「宮城県手話言語条例」関係事業の実施状況についてお教えください。
2.上記条例の趣旨をより具体化するために以下のことに取り組んでください。
@障害当事者(元 障害のある人もない人も共生する社会づくり条例検討会構成員など)を講師とした県内事業者に対する研修
A圏域におけるタウンミーティング(仙台市における「ココロンカフェ」のようなもの)
Bすでに障害者人権擁護に取り組む団体との連携の強化
C事業者・県民による社会的障壁の除去のための設備・体制整備にかかる助成制度の拡充
D圏域ごとの相談体制整備
【旧優生保護法一時金支給法】
2019年4月24日に成立し、公布・施行された『旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給に関する法律』について、記録のある対象者については、プライバシーを確保したうえで個別通知をおこなってください。宮城県では、厚労省の記録上1406件の優生手術が行われており、県の調査で929件の記録が確認されています。一方、2021年12月末現在、一時金支給が認定されたのは103件にとどまっています。
一時金支給法では、期間が5年(2019年4月24日から2024年4月23日)と定められていますが、対象者の多くが齢であり、十分に情報が行き渡っていない可能性があります。法施行当初はポスタ一掲示や福祉事業者への通知を行っていましたが、その後、県が積極的に被害者を探し出し、一時金の支給を行なうための広報活動を行っているようにも見られません。プライバシーの問題で個別通知を実施しないのであれば、記録が残る被害者を確実に含んだ上で、優生保護法廃止時点で一定年齢(例えば9歳)以上の県内すべての障害者と児童養護施設在籍歴のある者へ、法の概要と申請方法を通知してください。
また、障害者福祉に関連する事業者だけでなく、病院•齢者施設•図書館•公民館等多くの人が目にする場所にポスター等の掲示を行い、本人または家族に情報が届くよう積極的に広報活動を行なってください。
同時に、法の期間延長を国に要請し、被害者が正当な権利として一時金を受け取れるように働きかけてください。
加えて、2022年12月に兵庫県明石市において、旧優生保護法被害者を支援するための条例が成立・施行したこと踏まえ、宮城県においても人工妊娠中絶を含む被害者の、被害と尊厳を回復するための条例を制定してください。
【教育】
医療的ケアの必要な子どもも、安心して地域の学校で学ぶことができるための環境整備を早急に進めて下さい。
障害や病気を抱えたこどもたちも地域の小学校を希望することがあります。しかしながら、医療的ケア児や重症児の支援はまだまだ十分ではありません。
学校への保護者の付き添いの問題や通学にかかる負担など、「制度がない」という一言で当事者親子に負担がかかっているのが現状です。
国においては2021年6月に医療的ケア児とその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)が成立し、9月18日に施行されています。
同法においては、医療的ケア児とご家族の意思を最大限に尊重し、地域間格差を解消すること、家族の離職防止を含め、個々の人生における選択肢を増やしていこと、成長後の医療的ケア児者を地域の中で支え合い、共に生きる社会をつくるという理念が示されています。
その理念を具体化するために、地方自治体は自主的かつ主体的に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する資務を有するとされています。また、学校設置者は、在籍する医療的ケア児に対し、医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるよう最大限に配慮しつつ、児および保護者の意思を最大限に尊重して、適切な支援を行う寅務を有するとされています。
医療的ケア児支援法に基づき、医療的ケア児や重症児が安心して地域の学校で学ぶことができる環境整備を進めて下さい。
【販売支援】
県では2021年度より「BPOを活用した工賃向上モデル事業」を展開しております。BPO企業を通じて、共同受注方式により県内の就労支援事業所が受注し、工賃の向上につなげるビジネスモデル構築を目指しています。
しかしながら、実際の受注内容は、IT関係の案件が多く、ITになじまない障害当事者が多い事業所は受注が出来ません。また清掃等の請負業務では仙台市内の案件が多く、気仙沼の事業所からは受注できないという声も間こえてきます。2年目3年目に向けて改善策を検討して下さい。また、今後もこのモデル事業が施策の中心となると思いますが、それ以外のエ貫向上に向けた販売支援策をさらに検討して下さい。
【障害者による文化芸術活動の推進】
国は、障害者差別解消法のもとに、福祉・教育/生涯学習・文化芸術・経済の各省庁がさまざまな政策を打ち出しています。
宮城県と仙台市においても、障害のある人の芸術文化活動ならびに生涯学習への參加促進と環境醸成に向けて、宮城県障害者芸術活動支援センター(事務局:NPO法人エイブル•アート•ジャパン、以下支援センター)とのさらなる協働をお願いします。
平成30年6月13日に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号)」が公布、施行され、地方公共団体も国と同様に施策を講ずる必要性があります。宮城県では「宮城県障害福祉計画(第6期第6期障害福祉計画•第2期障害児福祉計画)」、「第3期文化芸術振興ビジョン」に当該テーマおよび支援センターの記載がされました。仙台市では、計画への反映はまだですが、文部科学省令和3年度『学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業』を支援センタ一と仙台教育委員会が共催し活動の連携はすすんでいます。
今後も、宮城県と仙台市、行政内の課を横断して、中間支援組織や民間団体とのさらなる連携を求めると同時に、真に有描的な情報交流や活動推進がすすむことに力をお貸しください。
【県立精神医療センターの移転•統台について】
県立精神医療センターは老朽化が進み、建てかえが必要になっていることは理解しています。
しかし、移転先が富谷では賛成しかねます。なぜなら、通院患者の大部分が県南や仙南地区に居住しており、地理的に富谷への通院はとても困難だからです。通院困難による治療中断と、それに伴う症状悪化の可能性は少なくないと思われます。
また、精神障害者が地域で暮らすには、単身者向けのアパートやグループホーム、事業所などの社会資源が必要になってきますが、こうした社会資源も富谷周辺には、ほとんど存在しません。精神障害者が地域で暮らすには、彼らを寛容に包摂するコミュニティーが必要です。富谷の住民が病院移転に伴って移り住んできた精神障害者たちにどんな目を向けるか心配です。精神障害者に対する偏見や差別は、残念ながらまだまだ大きいのです。住民とのトラプルを恐れ、病棟運営は、ますます閉鎖的なものになってしまうでしょう。
それに加えて、病院経営が成り立ってゆくのかも心配です。富谷移転により、大半の通院患者は周辺の精神科クリニックや他の精神科病院に転院するでしょう。通院患者は大きく減少し、病院側は、外来での収入減少を、精神科救急や入院医療で経営を成り立たせようという意識が働いてしまうのではないでしょうか。これは、地域医療から入院中心医療への逆行です。
県立精神医療センターの移転は、単なる八コモノの移転新築であってはなりません。「患者本人のための精神医療とはいかなるものか?」という根源的な問いから始めなくてはなりません。
そのためには計画を一旦白紙に戻し、患者本人や家族、病院スタッフなどの声を聞き、開かれた議論の場を保障することから始めてほしいと強く思います。
以上