落語台本『平成夫婦善哉』
[2011年02月27日(Sun)]
本日の発表会寄席、当初は、昨年と同じ『池田の猪買い』を演じる予定でしたが、
自作の落語を演じることにしました。
『平成夫婦善哉』
上方落語協会「第3回上方落語台本大賞」に応募した作品です。
課題作のテーマは「夢」、400字詰め原稿用紙で15枚までという制約があります。
昨年8月末の募集期限の最終日に投函したので、あれからちょうど6ヶ月。
でも、人前で「通し」で演じるのは、今回が初めてです。(^^ゞ
高座にかけるにあたって、原稿を見直しました。(右上のPDFは昨日の改訂版の台本です)
最初の導入部分が冗長でテンポが悪く、いきなりダレるので、すっきりさせました。
そのほかにもちょこちょこ手を入れ、その結果、原稿用紙で1枚分減りました。
仕事がらみで原稿用紙と向き合うのとは勝手が違いますが、「基本」は同じだと思います。
まずは、構想から・・・
今回の落語台本を創るにあたって、私が最も影響を受けているのは、黒澤明監督が山本周五郎の短編をもとに書いた遺稿の脚本を映画化した『雨あがる』です。
大胆にも、「黒澤監督の覚え書き」を目指しました。
主人公の妻が、城主の名代として来た家老と近習頭を相手に・・・
ラストシーンの晴れやかな青空、そしてふたりの爽やかな笑顔が、とても印象的でした。
そんなこんなで、聴き終えて、晴々とした気持ちになる落語が目標です
そして、「主人公とその妻のドラマ」ということで思い浮かんだのが、織田作之助さんの『夫婦善哉』(新潮文庫)です。
まずは原作を読み、夏の盛りの8月に、法善寺横丁の「夫婦善哉」に食べに行きました。
そのほか、台本の創作にあたってイメージしたものは、応募台本の最後に列挙しています。
主人公の名前は「幸助」です。これは上方落語の人情噺の『幸助餅』と同じにしました。
そして、女房の名前を「お福」にしたのは、「幸助とお福」、、、はい、ご想像どおりです。(^^)
人情噺にサゲは要らないとも言われていますが、上方落語協会の台本コンテストの応募条件に「あらすじとサゲを1枚にまとめたものを添付」とあります。
林家花丸さんが『幸助餅』を演じられた時のサゲ「持ちつ持たれつ」を使わせていただきました。
ちなみに、「幸助」→「幸之助」→「松下幸之助」とくれば、「持ちつ持たれつ」→「共存共栄」です
「二つのお椀で一人前」の法善寺横丁のご本家に対して、わしらの夫婦善哉は「一つのお椀に小ぶりの丸餅が二つ」にしてみました。(^^)
それから、映画『夫婦善哉』での森繁久弥さんの名台詞「おばはん、頼りにしてまっせ」も、しっかり使わせていただいています。(^^)
「ぜんざい」を題材にしたので、上方落語の『ぜんざい公社』の展開も使わせていただきましたが、これは今回のメインテーマではありません。このテーマに関してイメージしたのは、むしろ、本田宗一郎さんの『俺の考え』(新潮文庫)です。
それから、「店なんて後から勝手についてきますがな。ええもん作るのが先でっせ」というあたりの展開は、NHKの連続テレビ小説『あすか』を思いっきりイメージしています。
また、「たかがリストラされたぐらいで「わしの人生しまいや」なんてしょぼくれてるおっさん」うんぬんは、矢沢永吉さんの『アー・ユー・ハッピー?』(角川文庫)から思い浮かんだ展開です。
最後に、改訂版のサゲで「人生希望落語の一席」としたのは、五代目 柳家つばめ師匠の本(『落語政談 私は栄ちゃんと呼ばれたい』)の影響を受けています。
そんなこんなで創りあげた私の第一作ですが、台本コンテストの結果は見事に
確かに、ちっとも面白くないですもんね
けど、清々しい気分になって、明日への希望が沸いて、、、きませんか?
本日、実際に高座にかけてみて、今後の課題がよくわかりました。
話そのものが面白いわけではないので、台本を練り上げることも大事ですが、
それ以上に、いかに喋るか、仕草も含めて、演じ方が大切です。
◆客席にいるもう一人の自分に語りかける
◆風景(絵)が見えるように語る
◆ト書きも機械的に喋らない
◆テンポよく、リズミカルに
◆ボケで笑うのではなく、ツッコミで笑う
…などなど、桂文喬師匠に教わったポイントを紙に書き、懐に入れて高座に臨みましたが、すっかり飛んでしまいました。付け刃で間に合うほど易しくないです。そのためのお稽古です。深く反省!
この一年間、せっかくの稽古もあまり参加できませんでした。そのため、「修了証書」もいただけませんでしたが、こんな落ちこぼれにも関わらず、心優しき桂文喬師匠は、本日も楽屋までわざわざ足を運んでくださいました。こちらこそお世話になりっぱなしなのに、心よりお礼を申し上げます。
**************************
上方落語協会の台本コンテスト、第4回の課題作のテーマは「愛」です。
はい、今年もチャレンジしますよ たとえば、『平成夫婦善哉』の続編(波乱万丈編)、、、とか
持ちつ持たれつ/なかよし地蔵(高野山・奥之院参道)/2009.5.24
自作の落語を演じることにしました。
zenzai.pdf |
『平成夫婦善哉』
上方落語協会「第3回上方落語台本大賞」に応募した作品です。
課題作のテーマは「夢」、400字詰め原稿用紙で15枚までという制約があります。
昨年8月末の募集期限の最終日に投函したので、あれからちょうど6ヶ月。
でも、人前で「通し」で演じるのは、今回が初めてです。(^^ゞ
高座にかけるにあたって、原稿を見直しました。(右上のPDFは昨日の改訂版の台本です)
最初の導入部分が冗長でテンポが悪く、いきなりダレるので、すっきりさせました。
そのほかにもちょこちょこ手を入れ、その結果、原稿用紙で1枚分減りました。
仕事がらみで原稿用紙と向き合うのとは勝手が違いますが、「基本」は同じだと思います。
まずは、構想から・・・
今回の落語台本を創るにあたって、私が最も影響を受けているのは、黒澤明監督が山本周五郎の短編をもとに書いた遺稿の脚本を映画化した『雨あがる』です。
大胆にも、「黒澤監督の覚え書き」を目指しました。
「これは、主人公とその妻のドラマである。
まず、その二人の関係をじっくりと描かねばならない。
(中略)
見終って、晴々とした気持ちになる様な作品にすること。」
まず、その二人の関係をじっくりと描かねばならない。
(中略)
見終って、晴々とした気持ちになる様な作品にすること。」
主人公の妻が、城主の名代として来た家老と近習頭を相手に・・・
「大切なことは、主人が何をしたかではなく、
何のためにしたかということではございませんか。
あなたたちのような木偶の坊にはおわかりいただけないでしょうが・・・」
そして、主人公に・・・何のためにしたかということではございませんか。
あなたたちのような木偶の坊にはおわかりいただけないでしょうが・・・」
「あなたにだけ申し上げます。
これからは、あなたのお望みなさるとき、いつでも賭け試合をなさってください。
そして、周りのものみんな、貧しく、頼りのない、気の毒な方たちを
喜ばせてあげくださいませ」
これからは、あなたのお望みなさるとき、いつでも賭け試合をなさってください。
そして、周りのものみんな、貧しく、頼りのない、気の毒な方たちを
喜ばせてあげくださいませ」
ラストシーンの晴れやかな青空、そしてふたりの爽やかな笑顔が、とても印象的でした。
そんなこんなで、聴き終えて、晴々とした気持ちになる落語が目標です
そして、「主人公とその妻のドラマ」ということで思い浮かんだのが、織田作之助さんの『夫婦善哉』(新潮文庫)です。
まずは原作を読み、夏の盛りの8月に、法善寺横丁の「夫婦善哉」に食べに行きました。
そのほか、台本の創作にあたってイメージしたものは、応募台本の最後に列挙しています。
主人公の名前は「幸助」です。これは上方落語の人情噺の『幸助餅』と同じにしました。
そして、女房の名前を「お福」にしたのは、「幸助とお福」、、、はい、ご想像どおりです。(^^)
人情噺にサゲは要らないとも言われていますが、上方落語協会の台本コンテストの応募条件に「あらすじとサゲを1枚にまとめたものを添付」とあります。
林家花丸さんが『幸助餅』を演じられた時のサゲ「持ちつ持たれつ」を使わせていただきました。
ちなみに、「幸助」→「幸之助」→「松下幸之助」とくれば、「持ちつ持たれつ」→「共存共栄」です
「二つのお椀で一人前」の法善寺横丁のご本家に対して、わしらの夫婦善哉は「一つのお椀に小ぶりの丸餅が二つ」にしてみました。(^^)
それから、映画『夫婦善哉』での森繁久弥さんの名台詞「おばはん、頼りにしてまっせ」も、しっかり使わせていただいています。(^^)
「ぜんざい」を題材にしたので、上方落語の『ぜんざい公社』の展開も使わせていただきましたが、これは今回のメインテーマではありません。このテーマに関してイメージしたのは、むしろ、本田宗一郎さんの『俺の考え』(新潮文庫)です。
それから、「店なんて後から勝手についてきますがな。ええもん作るのが先でっせ」というあたりの展開は、NHKの連続テレビ小説『あすか』を思いっきりイメージしています。
また、「たかがリストラされたぐらいで「わしの人生しまいや」なんてしょぼくれてるおっさん」うんぬんは、矢沢永吉さんの『アー・ユー・ハッピー?』(角川文庫)から思い浮かんだ展開です。
最後に、改訂版のサゲで「人生希望落語の一席」としたのは、五代目 柳家つばめ師匠の本(『落語政談 私は栄ちゃんと呼ばれたい』)の影響を受けています。
そんなこんなで創りあげた私の第一作ですが、台本コンテストの結果は見事に
確かに、ちっとも面白くないですもんね
けど、清々しい気分になって、明日への希望が沸いて、、、きませんか?
本日、実際に高座にかけてみて、今後の課題がよくわかりました。
話そのものが面白いわけではないので、台本を練り上げることも大事ですが、
それ以上に、いかに喋るか、仕草も含めて、演じ方が大切です。
◆客席にいるもう一人の自分に語りかける
◆風景(絵)が見えるように語る
◆ト書きも機械的に喋らない
◆テンポよく、リズミカルに
◆ボケで笑うのではなく、ツッコミで笑う
…などなど、桂文喬師匠に教わったポイントを紙に書き、懐に入れて高座に臨みましたが、すっかり飛んでしまいました。付け刃で間に合うほど易しくないです。そのためのお稽古です。深く反省!
この一年間、せっかくの稽古もあまり参加できませんでした。そのため、「修了証書」もいただけませんでしたが、こんな落ちこぼれにも関わらず、心優しき桂文喬師匠は、本日も楽屋までわざわざ足を運んでくださいました。こちらこそお世話になりっぱなしなのに、心よりお礼を申し上げます。
**************************
上方落語協会の台本コンテスト、第4回の課題作のテーマは「愛」です。
はい、今年もチャレンジしますよ たとえば、『平成夫婦善哉』の続編(波乱万丈編)、、、とか
持ちつ持たれつ/なかよし地蔵(高野山・奥之院参道)/2009.5.24