反省と抱負(その1)オン
[2010年12月29日(Wed)]
曽根英二さんの『限界集落〜吾の村なれば』(日本経済新聞出版社)を読みました。

「過疎」を通り越した「限界集落」の現状の深刻さを「わが事」として感じ、その本質的な問題を見極めるため、3年間で190日間も現地に足を運んで取材されたルポです。とても読み応えがあり、四国の遍路や昨年末の伊勢迄歩講で巡った集落が思い出されました。
本年度の毎日出版文化賞<人文・社会部門>の受賞作品です。
産業構造の変化や東京一極集中で過疎化・高齢化が急速に進行し、「限界集落」と化して「集落として存続するための条件」を失い、集落は消滅する。
この問題に、行政はどう向き合い、どのように対応するのか。
イベント型の村おこしや特産物を販売したり、観光を売り物にするだけでは、その効果は持続性がなく、仮に成功しても、一時的な成功体験でその後の判断を誤ることが少なくありません。ましてや、限界集落の呼称を変えたところで、本質的な問題が解決するのでしょうか。
その場しのぎではなく、現実や将来と真正面から向き合い、問題の本質を見極め、その解決に取り組むことが肝要です。そのために大切なのは「そこに住む人たちが自ら立ち上がる意気込み」であり、それを支援していくことこそ行政の役割ではないかとの曽根さん(著者)の意見に共感です。
「心の過疎」、「心の限界集落」――この本質的な問題は、中山間地域や離島などの過疎地域に限らず、孤独死やコミュニティの崩壊など都市近郊の「無縁社会」にも共通する問題であり、さらには地域の「中小企業の経営支援」や「商店街の活性化」などにも関連するように感じました。
「中小企業金融円滑化法」の期限の1年延長が決まりました。
この法案は、リーマンショック以降の日本経済の激変に伴って悪化した中小企業の資金繰り環境に対処するため 、金融機関に対して中小企業などの借入金の返済猶予を促すもので、昨年12月に施行されて来年3月までの予定でしたが、さらに1年間延長されます。
わが国の実体経済の回復が当初の予定より遅れているとはいえ、この金融円滑化法が真に有用なのか私は常々疑問に思っています。
確かに、業績の悪化している中小企業や金融機関には、それなりのメリットがあります。
しかし、返済猶予を受けた中小企業だけでなく、返済猶予に応じた金融機関にとっても、そのメリットは一時しのぎに過ぎず、根本的な問題の解決になりません。むしろ、問題解決の先送りは、問題をより深刻にするだけで、業績の悪化している中小企業や金融機関はさらに悪化が進むでしょう。
今回の期限延長にあたって、金融庁は「金融機関のコンサルティング機能がこれまで以上に発揮されるよう促すため、検査・監督において対応を行う」とのことですが、そのようなことを金融庁が敢て決定・公表しなければならないことが「金融機関のコンサルティング機能の現実」を物語っています。
中小企業が厳しい経営環境においても健全に事業を展開していくには、厳しい現実を自ら直視し、将来を見据えて、苦難に真正面から立ち向かわねばなりません。
そのために大切なことは、中小企業が自らの誇りとアイデンティティをもって「それぞれが等身大の意思で動き、自立すること」であり、それを力強く支援することが私たちの使命です。
「問題の本質」をしっかり見極め、目先だけでなく将来を見据え、より最適な問題解決策を検討し、実践 ―― 「知恵」と「汗」と「元気」をがんがんアウトプット
、そのための努力を惜しまず、経験を積み、研鑽を深めていきます
。 来年も引き続き、ご指導よろしくお願いします。

「過疎」を通り越した「限界集落」の現状の深刻さを「わが事」として感じ、その本質的な問題を見極めるため、3年間で190日間も現地に足を運んで取材されたルポです。とても読み応えがあり、四国の遍路や昨年末の伊勢迄歩講で巡った集落が思い出されました。
本年度の毎日出版文化賞<人文・社会部門>の受賞作品です。
産業構造の変化や東京一極集中で過疎化・高齢化が急速に進行し、「限界集落」と化して「集落として存続するための条件」を失い、集落は消滅する。
この問題に、行政はどう向き合い、どのように対応するのか。
イベント型の村おこしや特産物を販売したり、観光を売り物にするだけでは、その効果は持続性がなく、仮に成功しても、一時的な成功体験でその後の判断を誤ることが少なくありません。ましてや、限界集落の呼称を変えたところで、本質的な問題が解決するのでしょうか。
その場しのぎではなく、現実や将来と真正面から向き合い、問題の本質を見極め、その解決に取り組むことが肝要です。そのために大切なのは「そこに住む人たちが自ら立ち上がる意気込み」であり、それを支援していくことこそ行政の役割ではないかとの曽根さん(著者)の意見に共感です。
「心の過疎」、「心の限界集落」――この本質的な問題は、中山間地域や離島などの過疎地域に限らず、孤独死やコミュニティの崩壊など都市近郊の「無縁社会」にも共通する問題であり、さらには地域の「中小企業の経営支援」や「商店街の活性化」などにも関連するように感じました。
「中小企業金融円滑化法」の期限の1年延長が決まりました。
この法案は、リーマンショック以降の日本経済の激変に伴って悪化した中小企業の資金繰り環境に対処するため 、金融機関に対して中小企業などの借入金の返済猶予を促すもので、昨年12月に施行されて来年3月までの予定でしたが、さらに1年間延長されます。
わが国の実体経済の回復が当初の予定より遅れているとはいえ、この金融円滑化法が真に有用なのか私は常々疑問に思っています。
確かに、業績の悪化している中小企業や金融機関には、それなりのメリットがあります。
しかし、返済猶予を受けた中小企業だけでなく、返済猶予に応じた金融機関にとっても、そのメリットは一時しのぎに過ぎず、根本的な問題の解決になりません。むしろ、問題解決の先送りは、問題をより深刻にするだけで、業績の悪化している中小企業や金融機関はさらに悪化が進むでしょう。
今回の期限延長にあたって、金融庁は「金融機関のコンサルティング機能がこれまで以上に発揮されるよう促すため、検査・監督において対応を行う」とのことですが、そのようなことを金融庁が敢て決定・公表しなければならないことが「金融機関のコンサルティング機能の現実」を物語っています。
中小企業が厳しい経営環境においても健全に事業を展開していくには、厳しい現実を自ら直視し、将来を見据えて、苦難に真正面から立ち向かわねばなりません。
そのために大切なことは、中小企業が自らの誇りとアイデンティティをもって「それぞれが等身大の意思で動き、自立すること」であり、それを力強く支援することが私たちの使命です。
「問題の本質」をしっかり見極め、目先だけでなく将来を見据え、より最適な問題解決策を検討し、実践 ―― 「知恵」と「汗」と「元気」をがんがんアウトプット

