芸術をもてあの灰色の労働を燃せ
[2021年11月25日(Thu)]
新花巻駅の駅前広場には、「セロ弾きのゴーシュ」も出迎え


宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』より――
何ごとも「働くことは芸術である」という意識で取り組めば、
稲をつくることも、野菜を育てることも、すべての労働は芸術であり、
そこには「不断の潔く楽しい創造」がある。
ゴーシュの「セロ」も然り、私の「ラン」も然り、ということか
(つづく)

足るを知る「吾唯足知」/龍安寺

「日々是好日」
松下幸之助『思うまま』より――
「歩一歩の歩み」

愚直に一歩、一歩、もう一歩
立ち止まってはいられない


宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』より――
(…)
ゴーシュははじめはむしゃくしゃしていましたが
いつまでもつづけて弾いているうちに
ふっと何だかこれは鳥の方が
ほんとうのドレミファにはまっているかなという気がしてきました。
どうも弾けば弾くほどかっこうの方がいいような気がするのでした。
「えいこんなばかなことしていたら
おれは鳥になってしまうんじゃないか。」
とゴーシュはいきなりぴたりとセロをやめました。
するとかっこうはどしんと頭を叩かれたようにふらふらっとして
それからまたさっきのように「かっこうかっこうかっこう
かっかっかっかっかっ」と云ってやめました。
それから恨めしそうにゴーシュを見て
「なぜやめたんですか。ぼくらならどんな意気地ないやつでも
のどから血が出るまでは叫ぶんですよ。」と云いました。
「何を生意気な。こんなばかなまねをいつまでしていられるか。
もう出て行け。見ろ。夜があけるんじゃないか。」
ゴーシュは窓を指さしました。東のそらがぼうっと銀いろになって
そこをまっ黒な雲が北の方へどんどん走っています。
「ではお日さまの出るまでどうぞ。もう一ぺん。ちょっとですから。」
かっこうはまた頭を下げました。
「黙れっ。いい気になって。このばか鳥め。
出て行かんとむしって朝飯に食ってしまうぞ。」
ゴーシュはどんと床をふみました。
(…)
その晩遅くゴーシュは自分のうちへ帰って来ました。
そしてまた水をがぶがぶ呑のみました。それから窓をあけて
いつかかっこうの飛んで行ったと思った遠くのそらをながめながら
「ああかっこう。あのときはすまなかったなあ。
おれは怒ったんじゃなかったんだ。」と云いました。
ゴーシュははじめはむしゃくしゃしていましたが
いつまでもつづけて弾いているうちに
ふっと何だかこれは鳥の方が
ほんとうのドレミファにはまっているかなという気がしてきました。
どうも弾けば弾くほどかっこうの方がいいような気がするのでした。
「えいこんなばかなことしていたら
おれは鳥になってしまうんじゃないか。」
とゴーシュはいきなりぴたりとセロをやめました。
するとかっこうはどしんと頭を叩かれたようにふらふらっとして
それからまたさっきのように「かっこうかっこうかっこう
かっかっかっかっかっ」と云ってやめました。
それから恨めしそうにゴーシュを見て
「なぜやめたんですか。ぼくらならどんな意気地ないやつでも
のどから血が出るまでは叫ぶんですよ。」と云いました。
「何を生意気な。こんなばかなまねをいつまでしていられるか。
もう出て行け。見ろ。夜があけるんじゃないか。」
ゴーシュは窓を指さしました。東のそらがぼうっと銀いろになって
そこをまっ黒な雲が北の方へどんどん走っています。
「ではお日さまの出るまでどうぞ。もう一ぺん。ちょっとですから。」
かっこうはまた頭を下げました。
「黙れっ。いい気になって。このばか鳥め。
出て行かんとむしって朝飯に食ってしまうぞ。」
ゴーシュはどんと床をふみました。
(…)
その晩遅くゴーシュは自分のうちへ帰って来ました。
そしてまた水をがぶがぶ呑のみました。それから窓をあけて
いつかかっこうの飛んで行ったと思った遠くのそらをながめながら
「ああかっこう。あのときはすまなかったなあ。
おれは怒ったんじゃなかったんだ。」と云いました。
いまわれらにはただ労働が生存があるばかりである
宗教は疲れて近代科学に置換され然も科学は冷く暗い
芸術はいまわれらを離れ然もわびしく堕落した
(…)
いまやわれらは
新たに正しき道を行き われらの美をば創らねばならぬ
芸術をもてあの灰色の労働を燃せ
ここにはわれら不断の潔く楽しい創造がある
宮沢賢治『農民芸術概論綱要』
宗教は疲れて近代科学に置換され然も科学は冷く暗い
芸術はいまわれらを離れ然もわびしく堕落した
(…)
いまやわれらは
新たに正しき道を行き われらの美をば創らねばならぬ
芸術をもてあの灰色の労働を燃せ
ここにはわれら不断の潔く楽しい創造がある
宮沢賢治『農民芸術概論綱要』
何ごとも「働くことは芸術である」という意識で取り組めば、
稲をつくることも、野菜を育てることも、すべての労働は芸術であり、
そこには「不断の潔く楽しい創造」がある。
ゴーシュの「セロ」も然り、私の「ラン」も然り、ということか
(つづく)
世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
宮沢賢治『農民芸術概論綱要』

宮沢賢治『農民芸術概論綱要』
足るを知る「吾唯足知」/龍安寺

「日々是好日」
いつかはゴールに達するというような歩き方ではだめだ。
一歩一歩がゴールであり、
一歩が一歩としての価値をもたなくてはならない。
(坂村真民さんが好きなゲーテの言葉)
一歩一歩がゴールであり、
一歩が一歩としての価値をもたなくてはならない。
(坂村真民さんが好きなゲーテの言葉)
松下幸之助『思うまま』より――
「歩一歩の歩み」

愚直に一歩、一歩、もう一歩

立ち止まってはいられない
Thank you very much. この続きはまたいつか
会計は算術ではなく、思想である
会計情報という数字を介して、経営との対話がはじまる。

会計は算術ではなく、思想である

会計情報という数字を介して、経営との対話がはじまる。