政治評論家 唐沢 忠雄
自民党の総裁選について、国民がその中に引き込まれず、日本の将来の方向をしっかり示せる政治家が誰なのか?を見透かされるのかどうかが一番大きな問題である。
ぼやぼやしていると再び国民はだまされかねない岐路に立っている。
経済もそうであるし、外交もアメリカや中国とどういう関係を保っていったらいいか、これまで通りのずるずるべったりの対米外交では最早立ち行かなくなることは大恐慌が云々される今日、最大の問題点なのである。
それにも拘わらず一部の政治家をのぞき、国会でそのことについては正面から論ずる人はいない。論じさせないのである。
しかしこれまでやって来たことを俄に取り戻せと言っても無理だから、経済的行き詰まりがここまでひどくなってる以上、はっきりしたことを言わざるを得ない。
遂に来た。日本では九月十五日(敬老の日)の祝日で日本中でそこそこの祝賀会などを開き、ここのところ痛めつけた老人たちの機嫌取りに励んでいたことだろう。
ところが、ニューヨーク市場で五〇〇ドルも株の暴落があったということで、世界中が大騒ぎをしている。
既に大手証券のリーマンブラザーの破綻で一五六年の歴史を持つ会社が倒産したとなると、一体、世界の金融はどうなるのかといった不安が一気に広がり、一週位い前には日本でも、ポールソン財務長官やバーナンキFRB議長などが記者会見をして、住宅金融会社二社については政府資金で救済すると言った唇の乾かないうちに、国民の税を民間会社に投入することは出来ないとあべこべのことを平気で言ってのける、狼狽ぶりである。
これで、アメリカ国民や世界中を信用させるというのは無理な話である。
日本側に連絡もなく、いきなり、日本国内保有、住宅保有金融債券、農林中金五兆三千億円、三菱UFJ二兆八千五百億円、三井住友四三〇八億円、みずほ四〇億円、日本生命二兆九千億円、第一生命一兆三千億円など十兆超の数字を公表してしまった。
これは発表する方は勝手かも知れないが、される方は迷惑どころかパニックになる。
預金させるときには、相当の利益率があるとか、債券だから国家や公共団体の保証があるからとかいって、預金者や投資家の不安感を取り除き苦労に苦労を重ねた金である。
それが、サブプライムローンのようなあやしげなシステムの中に巻き込まれ、それがきっかけで世界恐慌の引き金を引いたのではないかなどということになって来たのでは断じておだやかではあり得ない。
売る時に国家や公共団体の裏付けや保証があるかの如く見せかけて、いよいよ破綻したとなると、民間のやったことで政府はなんの係わりもないという態度をとって行くことについて、世界のマネーのことなど誰にもわかるものかと高をくくっていたら、これまで偽政者のやってきたことは余りに複雑で広範囲で世界金融そのものの本質やスケールまで深く突っ込んで研究するだけの資料、統計も、計算機の発達もなかった。
しかし、今日の状況になると、そらを使えば使えないこともないが、それは使えなくなってきている。新興国や発展途上国、或いは遠く離れた小国であっても、それなりの武器を備えるようになっている。
誤魔化すことは大変むずかしくなっている。
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