【まち・むすび助成金情報】健康マージャン教室 in 多賀城市高橋東二区町内会【2015年11月19日】[2015年12月03日(Thu)]
「マージャン」と聞いて、皆様はどのような印象をお持ちになりますでしょうか。
一昔前は、「賭博・喫煙・飲酒・徹夜」などのイメージから、「不健康・不健全・悪趣味」といった印象が強かったように思いますが、今回の取材を通じて、「多賀城市高橋東二区町内会 健康マージャン教室」で行われていたマージャンは、随分とイメージが刷新されていたことが分かりました。
まず、開催場所がこれまでの「雀荘」ではなく、ごくありふれた公民館といった感じの「多賀城市高橋生活センター」の一室となり、時間も夕方や夜ではなく、午前中からスタートというところに「健全」な印象を持ちました。
「これなら安心して取材に行ける」と胸を撫で下ろしながら、事前に区長の佐藤さんから伺っていた「午前10時」に合わせて「JR中野栄駅」を降りて、秋の深まりが感じられる整然とした町並みを歩いて行き、10分ほど余裕を持って高橋生活センターの入り口に到着したのですが、すると意外にも会場の方から賑やかな笑い声が響き渡って来るではありませんか。
案の定、会場である和室の襖を開けると、麗らかな陽光が差し込む室内で、3つの雀卓を取り囲む老若男女が楽しそうに語らいながら、ジャラジャラと音を立てて牌を混ぜていたのです。サポーターの大友さんによれば、9時30分から掃除や準備を行うそうですが、待ちきれない生徒たちは、準備完了と同時に開始してしまうとの事でした。
ここで改めて「健康マージャン教室」の説明をしますと、「飲まない・吸わない・賭けない」をモットーに、2015年7月から月2回のペースで実施。「初級者」「中級者」「上級者」と3つの雀卓に分かれてプレイします。マージャンに詳しい方は「サポーター」としてアドバイスを提供するそうです。
入口近くの「初心者」の卓では、手持ちの牌に目を凝らす4人の女性がサポーターの方に質問しながら役を揃えていました。継いで、「あら、リーチかしら」「この点数は何点?」と明るい声が響く「中級者」の卓。一番奥に位置する「上級者」の卓は一転して真剣勝負の空気が漂います。相手の癖や仕草から予想を立て、自分の役をどうしようかと考えている様子がひしひしと伝わってきました。
この日、サポーターを務めておられた竹本さんと大友さんのお話では、当初の4回は「日本認知症予防マージャン協会」の宮野理事長から、同協会のテキストを元にした説明と、サポーターに向けた「初心者への教え方」の講義があったそうです。
現在では、初心者の方もひと通りの役を覚えたため、通常ルールでプレイするようになったとのことでした。生徒たちの上達の速さについて水を向けると、「講師の方からの教え方が良かったから」と謙遜されていましたが、講師の実践的な教え方も然ることながら、サポーターの細やかな気配りがあればこそだと思います。
約20名の参加者のうち、男女比は半々でしたが、家族や友達同士でトランプや百人一首で遊ぶ時のような、どこか懐かしく、心和む雰囲気に、「趣味」としても好ましく感じられました。
「高橋地区は、東一区、東二区、南区、北区の4つに分かれた比較的新しい団地。最初は住人同士の交流が少なかった」と仰るのはサポーターの竹本さん。
有志のゴルフの集いをきっかけに、学校やPTAにも声を掛けて卓球大会や防災訓練などを行い、住民同士が互いの顔を知る機会を増やしていったそうです。
特に東二区は、区長の佐藤さんが、ほぼ毎日ブログで情報発信するなど、町内会活動に積極的な上、「私がやります!」と手を挙げた方が主体的に活動を進められる地区であることを力説されていました。
また、健康マージャンについても、多くの人が「行きたい」と思えるような場作りを大事にしているそうで、それまで町内会活動には積極的になれなかった人でも「マージャンなら」と参加するようになったことが嬉しいと仰っていました。
一方の生徒の皆さんは、会場の高橋生活センターまで歩いて来られるそうで、適度な運動に続いて、麻雀牌の絵柄に集中しながら指先を使うマージャンで頭の体操を行い、その間の会話を通じて心も活性化されるためか、皆さん共通して表情が明るく、充実した時間を「健康的」に過ごされていることが伺えました。
このように、健康マージャンは、住人同士のコミュニケーションを活発化させ、心身の健康を保つのに役立つ取り組みであることがお分かり頂けると思います。高橋東二区町内会では、視察にも応じて下さるとのことでしたので、このブログをご覧になられた方で、健康マージャンにご興味をお持ちになった方は、ぜひ区長までお問い合わせ頂ければと思います。
URL
多賀城市高橋東二区町内会ブログ
http://thigashi2.exblog.jp/
さて、今回の「健康マージャン」は、「みんみんpresents まち・むすび助成金」助成団体のうち、唯一、町内会が主体となった事業でしたが、このような事業は、内閣府推奨の「エイジレス・ライフ」に合致するだけでなく、仙台市のベッドタウンとして発展し、現在は高齢化問題を抱える他の地域においても有益な取り組みであることから、今後は、同様の事業や取り組みを後押しする仕組みが不可欠になるのではないかと考えさせられました。
例えば、従来の町内会活動よりも規模を大きくする必要があるものの、町内会費では賄いきれない場合の相談窓口として、当センターは、「NPOだけでなく町内会や地元のサークルにまで助成金情報や申請書の書き方などのノウハウを提供している」ということの周知徹底に努めると同時に、「協働小口助成」以外にも支援方法の拡充を模索し、企業や行政との連携も深めなければならないと思いました。
町内会は「共益活動」、NPOは「公益活動」と言われますが、共益と公益を兼ね備えた新しい事業モデルは、町内会やNPOの枠を超えた相互交流から生まれるのではないかと思います。その実現のためにも、それぞれがそれぞれの「できること・やりたいこと・やらなければならないこと」を出し合える「場」となるような中間支援施設を目指し、一層精進せねばならないと感じました。
(文責:大町事務局 高荷)