• もっと見る
特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンターのブログ
特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンターが運営しているブログです。

仙台市、宮城県の市民活動やNPOの情報を中心に、中間支援組織ならではの情報をお届けします!
« 【スタッフ(プロジェクトマネージャー)募集】のお知らせ | Main | 2011年3月〜2012年5月までの活動報告はこちら »
<< 2016年04月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
東北の未来を担う人材育成−若者を育むNPOと大学の役割[2012年10月02日(Tue)]
理事 西出優子

私は大学で非営利組織論(NPO論)を担当している。「知性と市民性、地域貢献意識と国際感覚を併せもつ人間力溢れる人材の育成」を教育理念としているが、学生が座学だけではなく何らかの形でNPOに関わってこそ、市民性や人間力が育まれ大きく成長すると実感している。
最近、NPO論ゼミへの志望理由として、「震災を機にボランティアに関心を持った」、「被災地でボランティアをしたい」、「復興の役に立ちたい」、「自分ができることで社会貢献をしたい」、という学生が一気に増えてきた。震災復興に関わるために国家公務員を辞めてNPOで働きはじめ、さらに復興における行政とNPOの協働について研究してそれを実践にも活かしたいと今月大学院に入学した社会人学生もいる。中国やマレーシア、ロシア、メキシコ、インド等からの留学生も一緒にNPOについて学んでいる。

学生のNPOでの活動
 実際、学生たちは様々な行動を起こし、学生の視点から復興の現場や課題解決にコミットしてきた。
 震災直後、「被災地をNPOとつないで支える合同プロジェクト(つなプロ)」で数週間活動したゼミ生は、避難所間の連携の仕方に課題を感じ、今後の他地域での震災対応をも見据えた避難所間の効果的な連携のあり方を探る卒業論文を執筆した。彼は公認会計士を目指して進学したが、こうしたNPOでの経験と市民感覚を併せ持つ会計のプロとして社会で活躍することを大いに期待したい。
 NHKの番組「東北発☆未来塾」に出演したゼミ生は、「街を計画するチカラ」や「人を支えるチカラ」をテーマに、現場に行って話を聞き活動しながら、問題を考え抜くことや本当の支援とは何かを学んだ。
 夏休みの二週間、原爆投下からスピーディに目覚ましい復興を遂げた広島から、東北復興へのヒントを学ぶため、復興に向けた新しいアイディアや視点を生み出すため、広島でのNPOインターンシッププログラムに参加したゼミ生も4名いる。参加した中国からの留学生は、広島の原爆と平和に関する絵本を中国語に翻訳して、中国や海外に向けた効果的な情報発信方法を学びつつ自分の強みを生かして貢献することができた。
被災した子供たちに学習支援を行っているNPOでは、ゼミ生の発案で約10名の学生が関わり、子供たちにミサンガの作り方を教えるミサンガ教室を開催した。自分にできること、子どもに喜んでもらえること、自分たちも楽しめることで、満足感も高かった。

学生のキャリアとNPO
 では、このようにNPOと関わりを持った学生の就職先はどうなっているか。 NPO論ゼミを受講したからといって、新卒でNPOに就職する学生は、私のゼミ生では現在までほぼ皆無である。民間企業に就職したり公務員になる学生がほとんどであるが、学生時代にNPOと関わったことが今の仕事に生かされている場合もある。地方自治体に就職したゼミ生は、NPOと連携した地域活性化の仕事に携わっていたり、NPO設立の相談を受けたりと、今でも何らかの接点を持っている。また、記者を目指している学生が復興に取り組んでいる人や団体の取材記事を書くボランティアをしているケースもあるが、学生時代のNPOでの関わりが就職と直結することはあまりない。とはいえ、就職活動をする中で、NPOへの新卒就職について関心を持ち、大学卒業後すぐにNPOに就職した方達にインタビューを行って卒業論文を執筆している学生もいる。
 今月末には、ゼミ生の企画で、せんだい・みやぎNPOセンター代表理事・みやぎ連携復興センター事務局長の紅邑晶子氏に、「目指すべき社会、目指すべき自分〜人の数だけ、道がある〜」というテーマで講演をしていただく。様々なキャリアを積んできた同氏に、NPO で働くことになった経緯や志、人生観や仕事観をお話しいただくことで、学生が自身のキャリアについて考えを深める機会として捉えている。実際に自らNPO で活動をしたい人や、将来のキャリア・パスやNPO との関わり方について具体的なイメージを持ち、自分の将来にNPO を視野に入れていない人でも、NPO に関する知識や経験を社会の中で活かせるようにしたいというのが、企画した学生たちの思いである。
 このように、NPOのリーダーが、自らの働きざま、生きざま、志や価値観を伝えていくのも、学生や若者がNPOでのキャリアや活動に関心を持ち、社会問題の解決に関わる重要な契機となるであろう。

[紅邑代表理事講師 プロデューサー塾]
10月31日15時―17時半@東北大学経済学部第三講義室、当日一般参加歓迎
(主催:東北大学大学院経済学研究科地域イノベーション研究センター)

東北の未来を考える
「社会を変革するNPOのリーダーシップ」の授業を受講した1年生は、社会起業家を支援するアショカ・ジャパンのアショカ東北ユースベンチャー・プログラムに参加し、東北復興に向けて学生がキャンパスで東北の農産物や加工品(スィーツ)を販売する学生市場の実施を活動プランとして提案した。大学のキャンパスで物品販売をするにはハードルもあるが、仲間を見つけ、連携先をみつけ、その実現に向けて活動を進めている。
 なお、来週も、学生が東北の未来を変えるために何ができるかを考える、アショカ東北ユースベンチャー説明会+ワークショップを開催する。
[10月9日14:40-17:50@東北大学北キャンパスA401]
http://www.econ.tohoku.ac.jp/~ynishide/files/tohokumirai.pdf
11月には、障害があっても才能と情熱で豊かな人生を歩める社会づくりに向けて活動しているカナダの社会起業家(アショカフェロー)の講演会を開催する。[11月7日15時―17時半@東北大学経済学部第三講義室、一般参加歓迎]
いずれの事例も、NPOとの連携なしには実現できないことであり、協力していただいたNPOの皆さんには深く感謝する。今後も、学生が自ら東北の現状や直面している課題に目を向け、NPOと関わりながら、課題解決のために自分に何ができるかを考え行動する契機を継続的に設けていきたい。私自身、試行錯誤しながらではあるが、学生がNPOで様々な経験を積み、市民性、人間性を育み、東北の未来を担う人材に成長していく応援をし続けていきたい。

NPOと大学の役割
NPOの皆さんは、これらの事例のように、未来を担う若者が活躍し、成長する場と機会を提供している。ドラッカーは著書『非営利組織の経営』の中で、市民性を創造し、人を変革するNPOの役割を唱えている。若者が社会の問題解決の担い手として、さらに新しい社会的価値の創造者として成長し活躍する役割を担っているNPOと大学の連携をこれからも大切にしていきたい。
この記事のURL
https://blog.canpan.info/minmin/archive/547
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
 
コメントする
コメント
最新コメント
月別アーカイブ