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特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンターのブログ
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東日本大震災とNPO法改正:新川達郎 [2012年05月08日(Tue)]


理事オピニオン 新川達郎

1 東日本大震災とNPO法改正

 2011年は、東日本大震災におけるNPOの活動に注目が集まったが、もし仮にこの大災害がなかったとしたら、おそらくNPOにとって最も大きな出来事の一つは、NPO法改正であった。2012年4月から施行されたこの法改正の詳細は別に譲るとして、かえすがえすも残念だったのは、少なくとも2年前に、この法律が成立・施行されていたらという点である。過去を取り戻し、やり直すことはできないということは承知の上での思いである。


 今次改正の主たる論点は、所轄庁制度の改革と併せて、やはり寄付税制優遇の措置にある。認定を受けたNPO法人に対して寄付をすると、その寄付者への税制上の優遇措置が公益法人並みに実施されることになったのである。


 阪神淡路、中越(沖)、そして東日本とこれまでの大災害に際しては、多数の市民からの寄付が集まっている。しかしそれらは、現場で直接の救援に当たるNPOにではなく、赤十字や共同募金、あるいは地方自治体などに巨額の資金が集まる傾向にあった。阪神淡路大震災以来、従来のこのお金の流れを変えることが大きな課題とされてきていたが、残念ながら東日本大震災においてもその傾向は変わらず、それを変えようとする試みの一つである法改正は間に合わなかったのである。


2 法改正の意義を考える

 もちろん、本格的な復興がこれから始まることを考えれば、この改正は歓迎すべきであるし、未来に向けて大いに活用すべきである。とはいえ、被災後の東北地方で、この法改正の施行を迎えて、早速、認定NPO法人を目指すところがどれほど出てくるのだろうか。それぞれのNPOの事情もあるが、多くが被災しながら、それを乗り越えて復興に向けてのNPO活動を展開しているところで、認定に向けての作業は重い。一方、資金の流れは、徐々に細り始めているように思える。大震災後1年以上を経過していれば当然かもしれない。 


こうした状況にあるからこそ、今改めて、この国の市民活動の発展と寄付の文化とを根付かせるためにも、改正法の施行を貴重な機会ととらえたい。より多くのNPOが認定を目指し、その活動のために積極的に寄付を募り、そしてそれにこたえて多くの市民あるいは企業が必要だと考える事業やNPOに寄付をしていく姿を、この機会を奇かととらえて、できるだけ早く実現させられないものかと考えている。


200万円の上限など制約もあるが、寄付額の半分近くを税額控除できる仕組みは、例えば、10万円を寄付しても約5万円は戻ってくることになるし、逆に5万円を出すだけで10万円分の寄付をすることができる。税金の使い道に疑問を抱き、志を実現してくれる市民活動に税金を回せないかと考えている多くの市民にとって、また幅広く市民からの支持を集めて寄付を募ろうとするNPOにとっては、理想的な仕組みに近付いたといえるだろう。


3 認定NPO法人への道

今次法改正の目的は、NPO活動を活発にしていくこと、その活動を支える寄付の文化を日本に根付かせること、そして、それらを通じて「新しい公共」をつくりあげていくことにあるとされている。そのために、従来の認定基準や手続きを大幅に改めて、認定が容易になるように規制緩和をするとともに、認定の枠組みそれ自体を組み替えている。


大きな変化の第一は、認定NPO法人の認定をするところ(所轄庁)である。従来は国税庁であったが、都道府県と政令指定都市がNPO法人認証を行うとともに税制優遇措置の対象となるかどうかの認定をも行うことになった。


第2に、従来の認定において、大きなハードルとなっていたパブリック・サポート・テスト(PST)の基準を新たに追加するなど、認定を受ける範囲を広げようとしている。一つは、寄付額が収入額の5分の1以上という従来からあった基準、二つには、3000円以上の寄付を100人以上から集めていることという絶対基準、三つには、都道府県や市区町村の個人住民税控除の対象に条例で指定を受けることである。


第3に、仮認定NPO法人制度を導入した点である。PST基準を満たしていないNPOについても、その他の基準(組織、活動、財務の適正や透明性確保などの基準)を満たしていれば、仮認定をして、認定への準備期間にしてもらおうというのである。仮認定期間中(3年間)に寄付の実績をつくり、いずれはPST基準を満たして、認定に向かってもらおうというのである。


 第4に、前述した地方公共団体による条例指定がある。これは、当該団体の個人住民税に関する税制優遇措置であるが、同時に条例で指定を受けると、法律上の認定条件であるPST基準を満たしたものとされるのである。すでに神奈川県では、県の条例での指定を行うべく制度を整え、NPOからの申請を受け付けている。その基準は、住民の福祉の増進のためにという観点から、各都道府県や政令指定都市で工夫することができる。


4 みんなで「認定NPO法人」になろう

宮城県でも仙台市でも、この4月からは認定NPO法人そして仮認定NPO法人の申請を受け付けている。もちろん、実際には、多くの書類仕事が待っているので、事前の相談をというのが、県と市によるおすすめであるが、ともあれ、相談に行ってみなければ話にならないし、認定を受けようという気持ちにならなければ、そもそもこの制度は動かない。最初から認定制度というのが厳しいとすれば、その多くはPST基準にあるので、それ以外の要件についてこれまでの法律通りに運営をされてきたところは、まずは、仮認定を試みられてはいかがだろうか。先鞭を切って、私たちこそはというところが、たくさん登場することを期待したい。


ところで、仮認定は3年間の期限付き、そしてPST基準はやはり敷居が高いという方々には、宮城県か仙台市の条例指定はいかがだろうか。おそらく、県と市では比較的類似した基準を用意して、条例指定をされることになる。その場合に宮城らしさ、仙台らしさをどう出していくのかが課題になりそうである。法律の趣旨を受けて、地域の特性を生かした地域住民のための活動を積極的に指定し認定NPO法人になっていく、そんな基準づくりが望まれている。例えば、過疎の小規模な集落で地域づくりに也福祉の活動を行うNPOにとっては、人口が少ないところで寄付者を募ることが難しいとしても、地域福祉の活動内容から判断されるという、もう一つの機会が生まれることになる。


さて、せんだい・みやぎNPOセンターでは、この条例指定の基準について、勉強会を始めている。その成果を、勉強会として宮城県や仙台市に提案したいと考えてのことである。NPOが自分たちの指定基準について考え提案することが重要である。NPOが自分自身から声をあげないでいては、仙台・宮城、さらに東北に寄付の文化が花開き、市民活動が活発になることは望めまい。法律論争よりも寄付をするに値するNPOとはどのような条件なのか、その基準づくりに、多くの方々のご参加と議論をいただきたいと考えている。



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