東北の復興と「次の大規模災害」に備えた取り組みのこれから(代表理事 紅邑晶子)
[2012年04月03日(Tue)]
東北の復興と「次の大規模災害」に備えた取り組みのこれから
代表理事 紅邑晶子(べにむらあきこ)
●地域を支える人材育成が急務
いま、被災地のNPO/NGOの人たちの間で口をついて出る言葉は、「誰か
いい人いない?」。人材がいない。お金よりも人がいない。即戦力となる人。
2歩も3歩も先を見越して復興に向けて絵を描ける人。企画書を書ける人が
いない。人と人をつなぐ人がいない。絵が描ければ、お金も付いてくるけれど、
お金があってもそれを動かして行くコーディネーターがいない。そして1年が
過ぎて、震災後に絵が描いていた人も、けん引してきた人も、かなり疲れが
出てきた。これは、復興に向けて次なる動きを加速したいタイミングでつらい
ところだ。
一方で、こういった被災地の現状を見て、これまで首都圏やインターナショ
ナルな現場で活動していたコンサルタントと呼ばれる人たちが、続々と被災
地3県に入り込んでいる。行政が描けないビジョンをてんでバラバラに持ち
込んでは、プレゼンして、復興に向けての事業を展開しようとしている。
そこで思うのは、この先10年、20年後もこの人たちはここで生活している
のだろうか?未来の東北を私たちと一緒に作る覚悟はあるのだろうかと。
先日、復興庁から各市町村に第1回目の復興交付金の配分額が示された。
これをもとに、各自治体が復興計画を実施していくことになるわけだけれど、
すでに出ている復興計画がどれだけ熟考されたものであるか、市民がどれ
ほど参画して作られている計画であるかというと、ほとんどNPO/NGOが関
わっての計画というものが見受けられない。東北の復興を考えるならば、
福島原発の事故あるいは沖縄の基地問題が市民参画ということをないがし
ろにした政策によりもたらされたものであるという事実を踏まえて、今回の復
興計画には市民参画の機会を十分に作ることが必要である。なによりも、被
災者・市民との対話を丁寧に時間をかけて行う国づくりがいまの東北の復興
には必要だと思う。東北の課題は、日本の国の首都圏を除く地方の市町村
における共通課題である。少子高齢化、第1次産業の担い手不足、経済活
動の停滞。この課題解決をするには、その地域にもともとある資源を生かす
知恵が必要であり、その底力になるのはそこに住む市民だ。
●防災・防犯につながる、市民参加のまちづくり
被災した地域の一つ、宮城野区岡田地区ではそれまで地域であまり活発
な活動をしていなかった若者たちが大人と一緒になって、震災後、岡田地
区の復興に向けて未来の岡田地区をつくる取り組みにチャレンジしている。
岡田地区で育った若者、この地域に長年住んでいる年配の方々、そして復
興に向けて応援したいと駆けつけたNPOが一緒になって、まちづくりに取り組
んでいる。このような取り組みは、被災地のコミュニティのあちこちで展開し
ている。
人の気持ちを脇に置いて白地図にプランを書き込むというまちづくりではなく、
その街に住んでいる人、土地の歴史や文化、街のシンボルとこのたびの震災
で受けたダメージを重ね合わせて、多様な世代の声を反映した住民参加によ
る街づくりが、愛着のある街をつくる。それこそがこれからの地域の在り方だ
と思う。このような市民参加でまちの在り方について話し合うことが日常化し
ていれば、それは防災にもつながり、防犯にもつながる。市民の多くが自分
が住む町のことをよく知り、愛着を持つことで、少しでも日常と違う違和感を感
じた時に、住民たちがどのように対処すればよいかを共通認識していれば、
災害時も速やかに対処できるはずだ。
●災害時に備えた、広域連携の必要性
もうひとつ、大規模災害に向けての対策としては、広域連携の必要性を
実感している。岩手県遠野市は、三陸沿岸で津波被害が起きた際に後方
支援拠点として機能するといった役割を震災が起きる前から準備していたと
いう。日本は、まさに地震が起きるプレートの上にある国だ。いつどこで、今回
のような災害が起きてもおかしくない。その際に、エネルギーや食糧の供給、
被災地を支える拠点となる先を平常時に見据えて、準備を怠らないことが求め
られる。場合によっては、国内に限らない国際的な連携も必要と考える。東京
に本部を持つあるNGOは、首都直下型地震に備えて、それを支える拠点を東
北におくことで準備を進めているとのこと。当センターでは昨年8月より「みやぎ
連携復興センター」として、岩手・福島の2つの連携復興センターと月1回の合
同会議を実施、震災復興関連の情報交換を行っている。3月11日には「いわて・
みやぎ・ふくしま 3県連携復興センター共同宣言」を発表した。
このような関係づくりの中から、災害時に何を提供できるか、人・物・金・
情報といった連携の在り方について、団体間で話し合い準備をしておく必要が
あると痛感した。震災から1年たったところで、各機関や団体から今回の震災
を振り返っての報告書やデータが出そろってくると思う。それを生かして、大規
模災害を見越した団体間の連携について、地域を超え、セクターを超えて検討
する機会をつくっていきたいと思っている。
いわて・みやぎ・ふくしま
3県連携復興センター共同宣言
*本原稿は、つなプロ報告書より転載した原稿に加筆したものです。

