復旧から本格復興へモード転換する市民活動 −震災から1年を迎えて[2012年03月06日(Tue)]
復旧から本格復興へモード転換する市民活動
―震災から1年を迎えて
代表理事 大滝 精一
復興予算18兆円がほぼ確定し、2月10日には復興庁・復興局が設置されるなど、復興元年にふさわしい本格的復興がようやく始まろうとしている。沿岸部の被災した市町では既に最大で2割近くの人口減少が生じているなど、本格復興への道のりは決して平坦なものではないが、遅ればせながらも復興の緒にたどり着けたことは喜ばしい限りである。
復旧から本格復興への転換に伴い、市民活動の姿も徐々に変化を遂げつつある。震災直後にジャパン・プラットフォーム(JPF)、仙台青年会議所、パーソナルサポートセンター(PSC)、つなプロの4団体が連携して結成された「みやぎ連携復興センター(れんぷく)」は、支援したい団体と宮城県のNPO・市民活動団体をつなぎ、各団体の専門性を生かし、被災地を支援することを目的としているが、結成当初の復旧のためのヒト、モノ、カネの直接支援から、現在は復旧・復興の進展に伴い、団体間コーディネーションはもとより、地域連携、被災地の見守りやフォローアップ、さらにはまちづくり、人材育成、仕事づくりへと活動の幅を広げつつある。れんぷくの活動は、「つなぐ」「育てる」「調べる」の三本柱からなっているが、「つなぐ」仕事としては、仮設団地自治会長の連携と自治の学び合い、社協の「見守り隊」支援、「次の家」「次の仕事」を先取りした勉強会や生きがい仕事の創出を進めている。また「育てる」仕事としては、市民活動塾、プロジェクト塾、創業塾などの被災地での雇用創出の担い手を育てる塾系事業に注力している。さらに「調べる」仕事では、仮設周辺環境調査に取り組みつつ、さらに在宅やみなし仮設の周辺調査へ活動を広げようとしている。
6月に一般財団法人としてスタートした「地域創造基金みやぎ(さなぶりファンド)」も昨年10月より被災地への本格的資金助成を開始した。この基金は、復興を推進するため既存の金融機関ではカバーできないコミュニティ支援およびソーシャルビジネス/コミュニティビジネス支援の新しい資金の循環をつくることを目的に設立されたものであり、使途指定寄付などを通じた支援者と受益者の顔が見える支援、透明性の高い支援の実現を目指している。既にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、英国ジャパンソサエティ、日本国際交流センター等から数億円近い資金を集め、「子ども育みファンド」「ローズファンド」などの名称で1件当り30万円から200万円位の資金助成を、寄付提供者からの意向も踏まえて実施している。今後は一般財団法人から公益財団法人へと移行するとともに、全国に存在するいわゆるNPOバンクなどとも勉強会を開催しながら、現在はまだ行っていない融資にも取組み、コミュニティ基金/ソーシャルビジネス基金としての内容の充実と活動の拡大を目指している。
平成24年度からは、震災後の被災地において社会のイノベーションを自らの手と行動で生み出し、東北を再生し、日本の新しい未来を東北の地から造り出さんとする挑戦者を育成し支援することを目的とする「東北未来創造イニシアティブ」も本格始動する。これは東北大学経済学研究科地域イノベーション研究センターと東北ニュービジネス協議会が中心となり、岩手、宮城、福島の被災地の現場で地域を支える団体や組織と協働しながら、人材育成、事業創造メンタリング、クロスセクターでの協働を展開するものである。具体的には統括運営事務局を仙台の東北ニュービジネス協議会内に置き、気仙沼(ネットワークオレンジ)、石巻(石巻専修大学)、北上/釜石(いわて連携復興センター)、仙台(せんだい・みやぎNPOセンター)福島(立教大学・ふくしま連携復興センター)(かっこ内は各サテライトの中核事業者)の5つのサテライトおよび東京サテライト(ISL社会イノベーションセンター/クレアン)が連携して事業を実施する。起業支援の内容としては、ビジョン・ミッションの策定、定款作成、経理、情報技術等の支援といった一般的内容に加えて、起業・経営の経験者、経営プロフェッショナルによる伴走(コーチングやメンタリング)を行うことを特徴としている。この点では特に東京サテライトとの連携を重視するとともに、定期的に東北大学の片平キャンパスに各サテライトより個人を集め、起業の進捗状況を相互に共有するとともに、相互触発と切磋琢磨の場を提供し、セクターを横断したNPO、企業、大学、行政の支援連携を実現することを目指している。
以上のように、震災から1年を経過することを契機として、復興支援の市民活動のあり方も大きく変化を遂げようとしている。復興のフェーズが、生活支援、雇用創出、そして産業再生へと徐々に移行していくにつれて、復興支援のあり方や組織も柔軟に変化していくことが求められている。しかし、その主眼は本当に地域コミュニティで必要とされているものが何かを、そこに暮らす住民の視点から丹念に追いかけていくものでなければならないことは言うまでもない。

