がん終末期ホスピスの医師が書いた「死ぬときに後悔すること25」を読んで。
本の後半に、関わりを拒む「困難事例」の患者さんの看取りが書かれています。死が間近になり、患者さんの了解が得られないまま、著者の医師はひとつの決断をします。その後、患者さんは穏やかに亡くなります。患者さんの最後に、医師の決断が大きな役割を果たしたと考えて間違いないでしょう。
私の経験の範囲ですが、この患者さんのそれまでの状況から、現場では「患者さんの意向を尊重して」、支援者は見守りに終始するケースが多いのではないでしょうか。しかし、著者の医師はそうせずに決断し行動しました。それは「本気の決断」であったと思います。支援者は、患者さん・利用者さんのすべてに、いつも本気で関わっているわけではありません。目の前の大量の仕事に追われて、事務的に対応ことが多々あります。そのような日常で、支援者の医師が「本気」を出せたのは、身内の方の「本気」だと思いました。患者さん、あるいは身内の方の「本気」が、「支援者の本気を引き出し」、双方が、悔いが残らない、後悔を超えた、経験をする。この本の後半には、本気の支援が、私たちに与えてくれるもの、が書かれています。
「死ぬときに後悔すること25」大津秀一 著
【意見の最新記事】