Aさん(仮名)はこのところ、ずっと微熱が続いていて、食欲もありません。

顔がすっかり細くなり、別人のようです。
私「明日、内科に一緒に行きましょうよ」
Aさん「外は暑いですよね。もう少し、涼しくなってから。。。」
内科受診は気が進まないようです。ニュースなどの雑談。
Aさん「テレビつけると、いやなニュースばかりで。。。京アニの放火事件、ひどいですね」
私「ひどいことしますね」
Aさんは視線を落としました。
私「犯人のこと、どう思います?」
Aさんは、つぶやくような小さな声で
「(ニュースで)訪看が入ってたそうですよ。」
間もなくAさんは、主治医の指示で内科を受診することになりました。
内科の外来受付で渡された問診票に、Aさんは「治療中の病気」「服薬中の薬」の欄でしばらく鉛筆を止めました。そして「なし」にチェックしました。
Aさんは精神疾患で、長い期間、服薬治療を続け、訪問看護も受けています。
「なし」にチェックをした時、Aさんには小さな葛藤があったかもしれません。
先の、私「ひどいことしますね」は「ニュース報道側が、ひどいことをしますね」という意味もあります。