「新釈・奥鹽地名集」が毎日新聞に掲載されました。
12月25日の毎日新聞宮城県版に「江戸期の地誌を現代語訳」として新釈・奥鹽地名集を紹介する記事が掲載されました。
斎藤善之教授を囲み出版を祝う古文書部会のメンバー
奥鹽地名集:江戸期の地誌を現代語訳 塩釜のNPOが発刊、勉強会を6年重ね /宮城
◇勉強会を6年重ねた労作
塩釜市の歴史と文化の普及活動を続ける「NPOみなとしほがま」(三升正直理事長)が、江戸時代の塩釜の地誌を現代語訳し「新釈 奥鹽(おうえん)地名集」を出版した。23日には同市内のホテルで、監修者の斎藤善之・東北学院大教授の記念講演会を開き、出版を祝った。約6年の勉強会を重ねた労作で、市販するほか市内の学校や公共施設に寄贈し、郷土史の学習に役立ててもらう。
「奥鹽地名集」は1792(寛政4)年、当時の塩釜の検断(町民の代表)を務めた鈴木三郎治宜見(さぶろうじよしちか)(1741〜1820)が、地名▽名所旧跡▽産業産物などの由来や言い伝えを記した地誌。市文化財に指定され、原本は市図書館で保存・展示している。博識、頑健で「塩釜の奇老」と呼ばれた宜見だけに、自分で歩き調べあげた記述は正確で詳細を極め、郷土への熱い思いが伝わる名文だ。
歴史をまちづくりに生かそうと03年に設立された「みなとしほがま」では、「地元住民の視点で書かれた貴重な記録」として古文書部会の7人を中心に復刊に取り組んだ。
斎藤教授の指導でほぼ毎週、約2時間の勉強会を開いた。回数は約250回にのぼった。勉強会ではまず、写真版の原文を読み下して解読(翻刻)。それを分かりやすく現代語訳した。併せて現地調査の考証を重ねた。メンバーの熱意でタイトルの「奥鹽」に関する新資料を発見。また、「名石九ツ」に挙げられた「おつむきの石」「波よけの石」などの所在を突き止めたり、御釜神社に祭られた鉄釜の伝説を推理し、その成果を「解説」欄に結実させた。
現代との対比を重視して写真や古絵図、古地図などの史料は市内外から苦労して収集。約200万円の本の制作費用は、個人や団体から協賛金を募って出版にこぎつけた。
講演会で斎藤教授は「平成版の塩釜地誌を編む意気込みで取り組んだ。埋もれた歴史を新たに確認したことも多く、後代にきちんとつなげていきたい」と強調した。一方、メンバーは「日常の風景や事物が全然違って見えてきた」と口々に話し、早くも次の地元古文書の解読に着手している。
本はカラーのA4判、236ページ。1000部発行、1部2100円で販売する。問い合わせは「海商の館・亀井邸」(022・364・0686)。【渡辺豊】
※毎日新聞宮城県版 2010年12月25日 記事より
斎藤善之教授を囲み出版を祝う古文書部会のメンバー
奥鹽地名集:江戸期の地誌を現代語訳 塩釜のNPOが発刊、勉強会を6年重ね /宮城
◇勉強会を6年重ねた労作
塩釜市の歴史と文化の普及活動を続ける「NPOみなとしほがま」(三升正直理事長)が、江戸時代の塩釜の地誌を現代語訳し「新釈 奥鹽(おうえん)地名集」を出版した。23日には同市内のホテルで、監修者の斎藤善之・東北学院大教授の記念講演会を開き、出版を祝った。約6年の勉強会を重ねた労作で、市販するほか市内の学校や公共施設に寄贈し、郷土史の学習に役立ててもらう。
「奥鹽地名集」は1792(寛政4)年、当時の塩釜の検断(町民の代表)を務めた鈴木三郎治宜見(さぶろうじよしちか)(1741〜1820)が、地名▽名所旧跡▽産業産物などの由来や言い伝えを記した地誌。市文化財に指定され、原本は市図書館で保存・展示している。博識、頑健で「塩釜の奇老」と呼ばれた宜見だけに、自分で歩き調べあげた記述は正確で詳細を極め、郷土への熱い思いが伝わる名文だ。
歴史をまちづくりに生かそうと03年に設立された「みなとしほがま」では、「地元住民の視点で書かれた貴重な記録」として古文書部会の7人を中心に復刊に取り組んだ。
斎藤教授の指導でほぼ毎週、約2時間の勉強会を開いた。回数は約250回にのぼった。勉強会ではまず、写真版の原文を読み下して解読(翻刻)。それを分かりやすく現代語訳した。併せて現地調査の考証を重ねた。メンバーの熱意でタイトルの「奥鹽」に関する新資料を発見。また、「名石九ツ」に挙げられた「おつむきの石」「波よけの石」などの所在を突き止めたり、御釜神社に祭られた鉄釜の伝説を推理し、その成果を「解説」欄に結実させた。
現代との対比を重視して写真や古絵図、古地図などの史料は市内外から苦労して収集。約200万円の本の制作費用は、個人や団体から協賛金を募って出版にこぎつけた。
講演会で斎藤教授は「平成版の塩釜地誌を編む意気込みで取り組んだ。埋もれた歴史を新たに確認したことも多く、後代にきちんとつなげていきたい」と強調した。一方、メンバーは「日常の風景や事物が全然違って見えてきた」と口々に話し、早くも次の地元古文書の解読に着手している。
本はカラーのA4判、236ページ。1000部発行、1部2100円で販売する。問い合わせは「海商の館・亀井邸」(022・364・0686)。【渡辺豊】
※毎日新聞宮城県版 2010年12月25日 記事より
【古文書部会の最新記事】