キツネノカミソリ[2026年02月27日(Fri)]
泉谷公園の森の中でキツネノカミソリが青々とした葉を広げています。冬枯れでモノ
トーンの林床で一層よく目立っています。キツネノカミソリはヒガンバナ科の多年草
で、晩夏に鮮やかな橙色の花を咲かせます。名は細長い葉をカミソリに見立てたも
の。特徴的なのは生活史で、早春に葉を伸ばして光合成を行い、初夏には地上部が枯
れて休眠、真夏に花茎だけを立ち上げます。この「春に葉・夏に休眠・晩夏に開花」
という型は、里山の落葉広葉樹林に適応した戦略と考えられます。早春は林床まで日
光が届くため効率よく養分を地下の鱗茎に蓄えられますが、林が繁茂する初夏以降は
光が乏しくなります。そこで地上部を失って蒸散を抑え、地下で休むことでエネル
ギー消費を最小化します。いわば“季節をずらして生きる”ことで、他種との光競争
を避ける生態的ニッチを確保しているのです。



