イロハモミジの発芽[2026年05月15日(Fri)]
泉谷中学校のおゆみの道側の法面です。おびただしい数のモミジが発芽しています。
樹木は総じてたくさんの種子をつくるのですが、そのどれもが成木になることを期待
しているのではなさそうです。樹木の種子の発芽率は種類によってかなり異なりま
す。その背景には、樹木はそれぞれ異なる生存戦略をとっていることがあります。
「できるだけ早く大量に発芽して一気に定着する」タイプは、発芽率が高く寿命の短
い種子を作ります。逆に、「全部が一度に芽を出さない」ことにも意味を持たせる戦
略もあります。もし一斉発芽した年に干ばつや食害が起きれば全滅しかねません。そ
こで一部の種子は翌年以降まで休眠し、危険を分散させます。これは「賭けの分散」
と呼ばれる生態戦略のようです。さてこの場所のモミジですが、近くに成熟木があ
り、翼のある種子(翼果)が風で運ばれ、法面の裸地にうまく集積したのだと思われ
ます。モミジは「全部が育つ」ことを前提にはしていません。むしろ、膨大な数をば
らまき、その中のごく少数だけが生き残ればよい、という典型的な“多数散布型”の
戦略をとっています。人間から見ると無駄に思えるほどですが、長い時間尺度ではそ
れが最も確実な方法なのでしょう。



