カワラタケ[2024年11月12日(Tue)]
泉谷公園の草はらの中で立ち枯れしたエゴノキの根元あたりに黒いキノコが密集発生
しています。このキノコは正式な分類ではありませんが、サルノコシカケなどととも
に「硬いキノコ」に分けられています。キノコ愛好家の中でも人気はいまいちで、観
察会でも説明を大幅にカットされることがしばしばです。しかし生態系のなかでは重
要な役割を担っています。植物の体を支えている主成分のリグニン、セルロース、ヘ
ミセルロースはほとんどの動物は消化できません。この役割を担っているのが、カワ
ラタケなどの腐朽菌です。これらがリグニンなどを成長の糧とし分解し無機の分子レ
ベルまでに還元しています。このことにより、植物が無機の炭素を栄養分に変え、動
物を支える糧となっているのですが、彼らが利用できない部分をこのキノコの仲間が
分解し、物質循環を完了させているのです。その目にこれを眺めれば、違った感慨が
あるはずです。