申請書、報告書、そして卒論の季節となっている土曜日の午後、パソコンぱちぱちやっていると、豚舎から電話がかかってきた。
「今、子豚生まれたけど、母豚が子豚を襲って大変じゃ〜、すぐ来て〜」みたいな。子豚がおなかの皮をさっくり切られてた。
生まれた日なのにおなかがブラックジャック...。
縫う人がへたくそなのでさらに気の毒。
哺乳はさせてくれるけど、落ち着きがなく踏みつぶしそう。
しかも、子豚が顔に近づくとガチで噛みついてしまうのである。どーすんのこれ?
こんな時、頼りになるのは養豚界の生き字引、H高R一先生だ。電話してみた。
「あー、初産でしょ?それはね、授乳嫌悪症といって、わしが書いた本に書いてあるでしょ? なに? 読んでない? あー?
ひとが何日かそばについて、授乳するたびに子豚が顔の方に行かないようにすればいいだけ。私なら1日で治すけど、あんたなら3日かかりそうだな、がははは...」
さすが、口は悪いが心は優しい大先輩である。
Siriよりもはるかに的確なアドバイスを頂いた。
母豚は1時間おきぐらいで授乳するそうだが、今回は興奮のせいか食欲不振でもあり、乳の出が悪いので、2時間おきぐらい。
その夜は養豚界の新星、A方君が付き合ってくれた。
夜半に寝落ちして朝まで爆睡してたようだけど、ありがとう。
それからさらに翌日の真夜中過ぎ頃。
母豚が落ち着いてきたような、慣れてきたような気配があった。
母豚はイライラこころを必死に押し殺しているような...。
噛まないでよー、と母豚にお願いしながら、恐る恐る見守る。
どうにか、母子関係が成立した瞬間を目撃できた。
おなかを縫った子豚も元気になり、やれやれである。
翌 2/10(月)は休みをもらって、所用で関西から来たM田先生に同行し、都城のお知り合いの養鶏場にお邪魔した。
場主はこれまた養鶏界の無尽蔵な博識であり、その場に居合わせた70前の博識3人衆に、文殊の知恵を授けて頂いた。
こちらは飲んだらほぼ記憶できないぼんくらなのが大変残念...。
飼い主の技量は、飼っている生き物をみればいちころだ。
ぴかぴか輝く鶏の群れを見ることができて感動する。
青玉はアローカナ種、赤玉はボリスブラウンの卵だそうな。
朝はTKGをごちそうになり、そのおいしさにおののいた。
無文字社会では口承で知識を継承するため、博識の老人の死は図書館の喪失に匹敵するそうだ。日本における団塊世代も、あとどれくらいかすると、昭和文化とともにごっそり失われてしまう。その智慧と技術の喪失量たるや、すさまじいでしょうね。
2/12は、早くもガジャマダ3人衆が帰国する日となった。
また会える日を楽しみにしております。今年行きたいな。
空港で、かわいい看板を見つけた。英語のできるインドネシア組は大うけしてたが、実際どうなんだろ、これ...。