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パラレル国際連合とも位置付けられるガザ復興を担う米主導「平和評議会」[2026年02月23日(Mon)]
2026年1月22日、ガザ復興を主導する「平和評議会」が正式に立ち上げられた。そして、2月19日、ワシントンDCで第一回目の会合が開催された。平和評議会はとは、如何なる組織なのか、ミドル・イースト・アイの記事を参考に、ポイントを紹介する。
●平和評議会は、国連の平和構築への取り組みと効果が不十分であるとの認識の下、新たな「国際平和構築機関」となることを目指している右矢印1憲章には、ガザ復興を目的とするなどの文字は一言も入っていない
平和評議会への参加資格は、評議会議長の招待を受けた国に限定される右矢印1トランプ大統領の気に入らない国、たとえば、イランはそもそも招待されておらず、カナダは、トランプ大統領の経済政策にカーニー首相が批判的な発言をしたことにより、招待を撤回されている
●加盟国の任期は3年であるが、今後1年以内に10億米ドルを支払う国は、任期は適用されず、常任メンバー国となる右矢印1カンボジアは非常任のメンバー国となる予定
初代(任期なし)評議会議長は、トランプ米国大統領で、議長は、平和評議会の使命を遂行するために必要かつ適切な補助機関を設置、変更、または解散する独占的な権限を有する
平和評議会の出席し投票する加盟国の過半数による議決により行われ、議長の承認を得る必要あり
●世界的権威を有する指導者により構成される執行委員会委員は議長(すなわちトランプ大統領)により選出され、 執行委員会委員の任期は2年とし、議長により解任され、議長の裁量により再任される。
憲章改正は、平和評議会の3分の2以上の多数決による承認と議長の確認を得て採択される。第2章、第3章、第4章、第5章、第8章および第10章の改正は、平和評議会の全会一致(すなわち、米国の賛成が必要)による承認と議長の確認を必要とする

(参考1)評議会参加国
●中東・北アフリカ地域(MENA):これまでに10カ国が理事会への参加を表明。1月19日、最初に理事会に加わったのは、イスラエルとの国交を正常化した「アブラハム合意」署名国のUAE、モロッコ、バーレーン。エジプトは1月21日に参加を表明。同日、サウジアラビア、トルコ、ヨルダン、カタールは数時間後に共同声明を発表し、評議会参加を示唆し、パレスチナの「国際法に基づく自決権と国家としての権利」を支持すると表明し、署名した。クウェートも1月21日に署名した。アルジェリア、チュニジア、オマーン、イラク、リビア、イエメン、スーダンも参加していない。イランは招待されていない。因みに、執行委員会にはパレスチナの代表はいない。ハマスも、パレスチナ自治政府(PA)指導者マフムード・アッバスも、参加を招待されなかった。
イスラエルは、2月12日に正式に署名した。
●中東以外の国々:最初の加盟は1月18日のベトナム。カザフスタンとウズベキスタンは1月19日に署名を表明した。インドネシアとパキスタンは1月21日に署名を表明した。インドネシアは国際安定化部隊の一員として8,000人の兵士を派遣する予定。アゼルバイジャンも1月21日に加盟し、続いてライバル国のアルメニア、そして1月22日にモンゴルが加盟した。EU加盟国の中で、正式加盟を表明したのはハンガリーとブルガリアのみで、両国とも1月22日に加盟を承認した。その他の欧州諸国の署名国には、アルバニア(部分的に承認されているコソボ国家)、そしてロシアの同盟国であるベラルーシが含まれる。ラテンアメリカでは、パラグアイ(1月21日)、アルゼンチン(1月22日)、エルサルバドル(1月28日)の右派指導者も署名した。カンボジアは1月26日、「非常任」理事国として加盟し、10億ドルの会費を支払う必要がないと発表した。
(参考2)不参加、あるいは正式加盟を躊躇している国
●欧州主要国は、正式加盟を見合わせている。フランスは、評議会が国連の権限を脅かすとの懸念から、1月22日に招待を辞退ドイツは1月23日、評議会が自国の憲法に反することを理由に辞退
●ロシア・中国・インド:招待を受けたが、プーチン大統領は検討中と発言。中国は1月20日、招待を受けたものの、まだ受け入れていないと発表した。インドは1月18日、招待を受けたことを確認したが、まだ承諾していない。
●カナダ:カナダは、マーク・カーニー首相が1月20日のダボス会議での演説でトランプ大統領を批判したことを受け、1月23日に招待を取り消された
日本はオブザーバー参加(大久保武大使)
●バチカン:バチカンは、レオ1世が1月21日に招待を受けたことを確認したが、未承諾。
(参考3)平和評議会執行委員会メンバー(現在7名)
- ジャレッド・クシュナー(トランプ大統領の義理の息子)
- マルコ・ルビオ(米国務長官)
- スティーブ・ウィトコフ(米国中東担当特使)
- トニー・ブレア(英国元首相)
- アジャイ・バンガ(世界銀行総裁)
- マーク・ローワン(米国プライベートエクイティ業界の億万長者)
- ロバート・ガブリエル(米国国家安全保障担当副アドバイザー)

(参考4)平和評議会執行委員会とガザ地区行政委員会(NCAG)の調整役
執行委員会は、パレスチナ自治区における物流を担うガザ地区行政委員会(NCAG)の活動を監督する。NCAGは、パレスチナの元計画副大臣アリ・シャース氏が率いる15人のパレスチナ人委員会。政治的役割は持たない。ブルガリアの元外務大臣で国連外交官のニコライ・ムラデノフ氏が、執行委員会とNCAGをつなぐ役割を担うガザ地区担当上級代表に任命された。
https://www.middleeasteye.net/explainers/middle-east-trump-board-peace-gaza
(参考5)平和評議会憲章フルテキスト
前文
永続的な平和には、実際的な判断、常識的な解決策、そしてあまりにもしばしば失敗してきたアプローチや制度から脱却する勇気が必要であることを宣言し、人々が自らの未来に対するオーナーシップと責任を持てる力を与えられたときに、永続的な平和が根付くことを認識し、共有された負担とコミットメントに基づく、持続的で成果志向のパートナーシップのみが、長きにわたり平和の実現が困難であった地域において平和を確保できることを確認し、平和構築へのあまりにも多くのアプローチが、永続的な依存を助長し、人々を危機から救うのではなく、危機を制度化していることを嘆き、より機敏で効果的な国際平和構築機関の必要性を強調し、実践的な協力と効果的な行動にコミットする意欲のある諸国の連合を結成することを決意し、判断に基づき、正義を尊重し、締約国はここに平和評議会憲章を採択する。
第1条:使命
第1章 目的と機能
平和評議会は、紛争の影響を受けている、または紛争の脅威にさらされている地域において、安定を促進し、信頼できる合法的な統治を回復し、永続的な平和を確保することを目的とする国際機関である。平和評議会は、国際法に従い、また本憲章に基づいて承認される範囲において、平和構築の機能を遂行する。これには、平和を希求するすべての国とコミュニティが適用できるベストプラクティスの開発と普及が含まれる。
第2章
構成
第2条1:加盟国
平和評議会への参加資格は、議長により参加を招請された国に限られ、当該国が第11章に従い、本憲章に拘束されることに同意した旨の通告を受けた時点から開始される。
第2条2:加盟国の責任
(a) 各加盟国は、その国家元首または政府首脳により平和評議会において代表される。
(b) 各加盟国は、それぞれの国内法上の権限に従い、平和評議会の活動を支援し、援助する。本憲章のいかなる規定も、加盟国の領域内において平和評議会に管轄権を与えるものと解釈されてはならない。また、加盟国に対し、加盟国の同意なく特定の平和構築ミッションに参加することを要求するものと解釈されてはならない
(c) 各加盟国の任期は、本憲章の発効後3年を超えないものとする。ただし、議長により更新される。 3年間の加盟資格は、憲章発効後1年間に平和評議会に10億米ドルを超える現金拠出を行った加盟国には適用されない
第2条3項:加盟資格の終了
加盟資格は、次のいずれか早い方の時点で終了する。(i) 3年間の任期満了(第2条2項(c)の規定に従い、議長による更新を条件とする)、(ii) 第2条4項に基づく脱退、(iii) 加盟国の3分の2以上の多数による拒否権発動を条件とする議長による解任決定、または(iv) 第10章に基づく平和評議会の解散。加盟資格が終了した加盟国は、憲章の締約国でなくなるが、第2条1項に基づき、再び加盟国となるよう招請されることがある。
第2条4項:脱退
いずれの加盟国も、議長に書面で通知することにより、直ちに平和評議会から脱退することができる。
第3章 統治
第3条1:平和評議会
(a) 平和評議会は、その加盟国によって構成される。
(b) 平和評議会は、その議題となるすべての提案について投票を行う。これには、年間予算、補助機関の設立、上級執行職員の任命、国際協定の承認や新たな平和構築イニシアティブの推進といった主要な政策決定に関するものを含む。
(c) 平和評議会は、少なくとも年1回、また議長が適切と考える時期及び場所において、投票に関する会合を開催する。これらの会合における議題は、執行委員会が決定し、加盟国からの通知及び意見の聴取並びに議長の承認を得るものとする。
(d) 各加盟国は、平和評議会において1票の投票権を有する。
(e) 決定は、出席し投票する加盟国の過半数による議決により行われ、議長の承認を得るものとする。議長は、可否同数の場合には、議長としての立場で投票することもできる。
(f) 平和評議会は、執行委員会と定期的に無投票の会合を開催する。加盟国は、この会合において、執行委員会の活動に関する勧告及び指針を提出することができ、また、執行委員会は、執行委員会の運営及び決定について平和評議会に報告する。これらの会合は、少なくとも四半期ごとに招集され、その日時及び場所は執行委員会の長官が決定する。
(g) 加盟国は、議長の承認を得て、すべての会合において、代理の高官を代表者として出席させることを選択できる。
(h) 議長は、適切と考える条件に基づき、関係する地域経済統合機関に対し、平和委員会の議事に参加するよう招請することができる。
第3条2項:議長
(a) ドナルド・J・トランプが平和評議会の初代議長を務め、また、第3章の規定にのみ従い、アメリカ合衆国の初代代表も務める
(b) 議長は、平和評議会の使命を遂行するために必要かつ適切な補助機関を設置、変更、または解散する独占的な権限を有する。
第3条3項:後継者および交代
議長は、常に議長の職の後継者を指名する。議長の交代は、自発的な辞任または職務遂行能力喪失の場合にのみ行われ、その決定は執行委員会の全会一致の決議によって行われる。その場合、議長が指名した後継者は、議長の職および議長に関連するすべての職務と権限を直ちに引き継ぐ。
第3条4項:小委員会
議長は、必要かつ適切な場合、小委員会を設置することができ、各小委員会の任務、構造および運営規則を定める。
第4章 執行委員会
第4条1:執行委員会の構成及び代表
(a) 執行委員会は議長により選出され、世界的権威を有する指導者により構成される。
(b) 執行委員会委員の任期は2年とし、議長により解任され、議長の裁量により再任される。
(c) 執行委員会は、議長により指名され、執行委員会の過半数の投票により承認される最高責任者(CEO)により率いられる。
(d) 最高責任者は、設立後最初の3ヶ月間は2週間ごとに、その後は毎月、執行委員会を招集する。また、最高責任者が適切と判断する場合には、追加の会合を招集する。
(e) 執行委員会の決定は、最高責任者を含む出席し投票権を有する委員の過半数により行われる。これらの決定は直ちに発効するが、その後は議長によりいつでも拒否権が発動される。
(f) 執行委員会は、独自の手続規則を定める。
第4.2条:執行委員会の任務
執行委員会は、次の各号に掲げる任務を遂行する。
(a) 本憲章に従い、平和評議会の使命を遂行するために必要かつ適切な権限を行使する。
(b) 第3.1条(f)に従い、四半期ごとに、また議長が定める追加の時期に、その活動および決定について平和評議会に報告する。
第5.1条:経費
第5章 財政規定
平和評議会の経費は、加盟国、他の国、組織、またはその他の財源からの任意の資金によって賄われる。
第5.2条:会計
平和評議会は、その任務遂行に必要な会計の設置を承認することができる。執行委員会は、予算、財務会計及び支出について、その完全性を確保するために必要かつ適切な範囲で、管理及び監督の仕組みの設置を承認する。
第6章 法的地位
第6条
(a) 平和評議会及びその補助機関は、国際法人格を有する。これらの機関は、その使命の遂行に必要な法的能力(契約の締結、不動産及び動産の取得及び処分、訴訟の提起、銀行口座の開設、私的資金及び公的資金の受領及び支出、並びに職員の雇用を含むが、これらに限定されない)を有する。
(b) 平和評議会は、平和評議会及びその補助機関並びに職員の職務の遂行に必要な特権及び免除を、平和評議会及びその補助機関が活動する国との協定、又は当該国が自国の法的要件に従って講じるその他の措置を通じて付与することを確保する。平和評議会は、これらの協定又は取決めの交渉及び締結の権限を、平和評議会及び/又はその補助機関内の指定された職員に委任することができる。
第7章 解釈および紛争解決
平和評議会に関連する事項に関する平和評議会メンバー、団体、および職員間の内部紛争は、憲章によって確立された組織上の権限に従い、友好的な協力を通じて解決されるべきであり、この目的のため、議長は、本憲章の意味、解釈および適用に関する最終的な権限を有する
第8章 憲章改正
第8条
憲章の改正は、執行委員会、または平和評議会加盟国の3分の1以上の共同行動により提案することができる。改正案は、投票の少なくとも30日前までにすべての加盟国に送付される。改正は、平和評議会の3分の2以上の多数決による承認と議長の確認を得て採択される。第2章、第3章、第4章、第5章、第8章および第10章の改正は、平和評議会の全会一致による承認と議長の確認を必要とする。関連する要件が満たされた場合、改正は改正決議に指定された日に、または日付が指定されていない場合は直ちに発効する。
第9章 決議その他の指示
議長は、平和評議会を代表して、平和評議会の使命を遂行するため、本憲章に従い、決議その他の指示を採択する権限を有する。
第10章 存続期間、解散及び移行
第10条1項:存続期間
平和評議会は、本章に従って解散されるまで存続し、解散された時点で本憲章も終了する。
第10条2項:解散の条件
平和評議会は、議長が必要又は適切と判断する時、又は奇数暦年の末日(議長が当該奇数暦年の11月21日までに更新しない限り)に解散する。執行委員会は、解散時のすべての資産、負債及び義務の清算に関する規則及び手続きを定める。
第11章 発効
第11条1項 発効及び暫定適用
(a) この憲章は、三か国が拘束されることへの同意を表明した時に発効する。(b) 国内手続を通じてこの憲章を批准、受諾又は承認する必要がある国は、署名時に議長に対し、その適用が不可能である旨を通知しない限り、この憲章の条項を暫定的に適用することに同意する。この憲章を暫定的に適用しない国は、議長の承認を条件として、自国の国内法上の要件に従ってこの憲章が批准、受諾又は承認されるまでの間、平和評議会の手続に投票権のない構成国として参加することができる。
第11条2項 寄託者
この憲章の原本及びその修正は、アメリカ合衆国に寄託する。アメリカ合衆国は、ここにこの憲章の寄託者として指定される。寄託者は、この憲章の原本及びその修正若しくは追加議定書の認証謄本を、この憲章のすべての署名国に速やかに提供する。
第12章 留保
第12条
この憲章に対しては、いかなる留保も付することができない。
第13章 総則
第13.1条:公用語
平和評議会の公用語は、英語とする。
第13.2条:本部
平和評議会及びその補助機関は、この憲章に従い、本部及び現地事務所を設置することができる。平和評議会は、必要に応じて、受入国と本部協定及び現地事務所に関する協定を交渉する。
第13.3条:印章
平和評議会は、議長の承認を得た公式の印章を有する。
以上の証として、下名署名者は、正当に委任を受け、この憲章に署名した。
https://www.middleeasteye.net/news/trump-board-of-peace-charter-full-text

(コメント)平和評議会の憲章の中には、ガザという言葉はひとことも含まれていない。当面、ガザの復興への取り組みが、平和評議会の任務であるとしても、平和評議会が、パレスチナの枠組みを超えた第二次大戦後の国際社会の安全保障を担ってきた国連の役割を代替する、すなわち「パラレル国連」機能を平和評議会が受け持つとの意図が透けて見える。そして、平和評議会の加盟には、「終身議長」ともいえるトランプ大統領の招待があってはじめて可能になるとの制限が設けられている。すなわち、トランプ大統領に従わない、あるいは気に入られない国は排除されるということである。ダボス会議で、トランプ大統領のやり方を批判したカーニー首相率いるカナダは、さっそく招待を取り消された。国連の権限が脅かされかねないとの懸念を有するフランスのマクロン大統領は招待を辞退した。イランなどの反米国家は、そもそも招待されていない。また、ガザの復興には、パレスチナ人の主体的な取り組みが必要であるが、アッバース暫定自治政府議長は蚊帳の外である。長年、パレスチナ支援を行ってきたUNRWAなどの国連機関がまったく排除される中で、ガザ復興の取り組みは本当にうまくいくのであろうか。トランプ大統領は、当面は任期のない平和評議会の議長である。しかし、トランプ大統領が米国内で支持を失えば、平和評議会の推進力がなくなっていくことは自明である。事実、トランプ関税への米国最高裁の判決は、トランプ大統領の政策が無敵ではないことを物語っている

Posted by 八木 at 15:53 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

第一回平和評議会会合におけるトランプ大統領発言の注目点[2026年02月20日(Fri)]
2026年2月19日ワシントンDCでガザの復興などを話し合う第一回平和評議会会合が開催されました。トランプ大統領の発言の中で特に注目されたのは、次の諸点です。

1. 資金拠出関係
●本日、カザフスタン、アゼルバイジャン、UAE、モロッコ、バーレーン、カタール、サウジアラビア、ウズベキスタン、クウェートが、救済パッケージに70億ドル以上を拠出したことを発表できることを嬉しく思います。素晴らしいことです。
米国は平和委員会に100億ドルを拠出することをお知らせします。この拠出金には、多くの方々から多大なご支援をいただいています。戦争の費用と比較すれば、この額はごくわずかなものです。
日本は援助資金調達のための募金会合開催を約束しました。これは非常に大規模なものとなり、既に成功を収めています。韓国、フィリピン、シンガポールなど、この地域の他の国々も参加する予定で、その規模は既に明らかです。中国も参加する予定であり、ロシアも参加すると考えています。(トランプ大統領は、日本の先の総選挙結果に言及して、私はつい先日、日本の首相を支持しました。彼女は接戦でしたが、おそらく勝利するだろうと思っていました。しかも、日本史上最多の支持者から支持を得たのです。ですから、彼女は私のことをとても気に入っています。でも、それは光栄でした、と発言)
2. ガザでの当面の焦点
●ガザでの戦争は終わりました。本当に終わりました。小さな炎、小さな炎が残っています。ハマスは――武器を放棄するつもりだと思います。約束通りです。もし放棄しなければ――厳しい、非常に厳しい対応を受けるでしょう。
3. 国連との関係
●11月、国連安全保障理事会は平和委員会を全会一致で承認し、先月ダボス会議では、この非常に重要な新組織に20名以上のメンバーを迎え入れました。そして、私たちは国連と非常に緊密に協力しています。実は、もうすぐ事務総長と話をするつもりです。事務総長は良い人で、前回のスピーチを除けば良好な関係を築いてきましたが、彼らは私のテレプロンプターをオフにしました。
●私たちは国連と緊密に協力し、彼らを復帰させます。国連には大きな潜在力、本当に大きな潜在力があると考えています。しかし、その潜在力を十分に発揮できていません。8つの戦争について、私は一つも国連と話したことがありません。しかし、私はそれらすべてについて国連と話し合うべきです。
●いつか、私がこの世を去った後、国連はもっと強くなるでしょう。平和評議会は国連全体を監視し、適切に運営されるよう努めることになります。私たちは国連を強化していきます。国連の施設が充実し、国連が支援を必要としていること、そして資金面での支援を必要としていることを確実にします。
4.ノーベル平和賞関係
●メモを見た時、ノルウェーが私にノーベル賞を授与すると宣言するのかと思いました。ああ、これはあまり興奮しません。ノルウェーが私にノーベル賞を授与すると宣言できることを嬉しく思います、と書いてあり、私は「ああ、素晴らしい、ついにノーベル賞を受賞する」と言っているのです。ついに彼らは正しいことを言いました。
https://rollcall.com/factbase/trump/transcript/doanld-trump-speech-board-of-peace-february-19-2026/
(参考)メンバー国、オブザーバー国
(1)平和評議会メンバー
− アルバニア
− アルゼンチン
− アルメニア
− アゼルバイジャン
− バーレーン
− ブルガリア
− カンボジア
− エジプト
− エルサルバドル
− ハンガリー
− インドネシア
− イスラエル
− ヨルダン
− カザフスタン
− コソボ
− クウェート
− モンゴル
− モロッコ
− パキスタン
− パラグアイ
− カタール
− サウジアラビア
− トルコ
− アラブ首長国連邦
− ウズベキスタン
− ベトナム
(2)オブザーバー国
− オーストリア
− クロアチア
− キプロス
− チェコ共和国
− 欧州連合
− フィンランド
− ドイツ
− ギリシャ
− インド
− イタリア
− 日本
− メキシコ
− オランダ
− ノルウェー
− オマーン
− ポーランド
− 韓国
− ルーマニア
− スロバキア
− スイス
− タイ
− イギリス
https://apnews.com/article/trump-board-of-peace-participants-b9b7e438caeca308c153b60c032895b9

(コメント)UNDPによれば、ガザ復興のためには、700億ドルは必要とみられているところ、うち、70億ドルを9か国が拠出すること(うち、7か国は、中東アラブ諸国)、米国は、平和評議会に(ガザとは限定せずに)100億ドル拠出すること、さらに、評議会の正式メンバーになっていない日本が、復興資金調達のためのドナー会合を開催することが注目点である。日本は、過去のアフガニスタン復興支援などで、幾度もドナー会合を開催してきたが、現時点で、700億ドルと拠出表明の170億ドルの差は大きく、3月に訪米する予定の高市総理は、日本としての応分の拠出を表明することになると思われる。とりわけ、トランプ大統領は、衆議院選挙での与党の勝利が、(プラスに影響したのかには一切かかわらず)自分の応援によるものと信じているところに違和感を覚えざるをえない。ガザ復興が実現するには、ハマスの武装解除が進むのかも焦点である。平和維持部隊の派遣を申し出ているのは、インドネシアやモロッコというイスラム教徒多数国が含まれる。トランプ大統領は、ハマスが人質全員を解放したことを評価しつつ、もし、武装解除しないのであれば、厳しい対応に直面すると警告している。最後に、自らが終身議長に就任する平和評議会が国連の機能を代替するのではないかという不安に対しては、国連を無視するものではないとしつつ、国連を米国の意向を受けた運営がなされるべきであると釘を刺している点が注目される。

Posted by 八木 at 16:48 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イラン国内抗議活動の拡大を導いた米国によるイラン通貨安操作[2026年02月09日(Mon)]
イランの通貨リアルは、2025年12月28日に対ドル約140万リアル(2026年2月9日時点で、約160万リアル)とこの半年で、7割価値を失い、史上最安値を記録し、暴落寸前まで下落したことがバザール商人たちの抗議活動を引き起こし、その後、イラン31州に広がる大規模反体制暴動のきっかけとなった。当局は、抗議活動の拡大を抑えるために、インターネットを遮断し、治安部隊による実弾使用も認めて、暴動の拡大の鎮静化に努めた。この間、JETROによれば、イラン統計センターが2026年1月25日に発表したデータによると、イラン暦1404年10月(2025年12月22日〜2026年1月20日)の消費者物価指数(CPI)は、引き続き高水準で推移し、前月比で7.9%上昇、前年同月比で60.0%上昇した。また、当月を含む直近12カ月間の平均では、前年同期比44.6%の上昇となった。項目別の上昇率を前年同月比でみると、上昇率が最も高かったのは「食品・飲料」の89.9%で、特に「パンと穀類」が2.3倍と高い伸びになったとのことで、これが、国民の体制側への怒りと不満爆発の原動力となった。バザール商人たちの昨年12月28日の反体制抗議運動開始のきっかけとなった通貨安については、2026年2月6日の上院公聴会で、ケイティ・エリザベス上院議員がベセント財務長官に対し、トランプ政権のイランに対するいわゆる「最大限の圧力」政策を強化するために講じた措置について質問したところ、長官は、「我々が行ったのは、イラン国内にドル不足を作り出すことだった。イラン最大の銀行の一つ(参考1)が破綻したことで、事態は急激かつ壮大な頂点に達したと言えるだろう。中央銀行は紙幣を刷らざるを得なくなり、イラン通貨は暴落し、インフレが爆発的に進んだ」と答えた。
米国は、イランに対する武力行使の選択肢を放棄しておらず、2月6日のマスカットでの米側との間接協議についてアラグチ外相は、有意義であったとしつつ、協議に参加した米国ウィットコフ中東担当特使とトランプ大統領娘婿のクシュナー氏は、協議終了後、7日に米空母「USSエイブラハム・リンカーン(USS Abraham Lincoln)」に立ち寄った動画を公開し、イラン側は、真剣に交渉に臨む気があるのか不信感を強めている。

(参考1)2025年10月25日、国内270支店(テヘランには150支店)を有するイラン最大の民間金融機関の一つであるアヤンデ銀行が正式に破産宣告を受け、全土でパニックが勃発し、約52億ドルの貯蓄を失う恐れから預金者たちは長蛇の列に並ばざるを得なくなった。政府は直ちに介入し、アヤンデ銀行の資産を国営Bank Melli Iranに移し替え、保護することとなった。
https://caspianpost.com/iran/major-iranian-bank-declares-bankruptcy-sparks-financial-alarm
(参考2)反体制デモ関連死者数
米拠点の人権活動家通信(HRANA)は、25年12月末に騒乱が始まって以降、5633人の抗議参加者を含む6000人近くの死亡を確認したと述べた。また、約3週間に及ぶインターネット遮断にもかかわらず寄せられた、さらに1万7000件の死亡報告について調査を進めているとしている。ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」は(IHR)は、最終的な死者数は2万5000人を超える可能性があると警告した。一方、イラン当局は1月中旬、3100人以上が死亡したと述べたが、その大半は治安要員か、あるいは「暴動参加者」に攻撃された、その場にいた人々だと主張した。

(参考3)2026年2月6日、ホワイトハウスによると、トランプ米大統領は、イランから商品やサービスを購入している国からの輸入品に追加関税を課す大統領令に署名した。大統領令には、「この大統領令の発効日から、イランから直接または間接的に商品やサービスを購入、輸入、その他の方法で取得している国の製品で、米国に輸入される商品には、例えば25%などの従価税率の追加関税が課される可能性がある」とやや一律の制裁発動ではないともとれる記述となっている。これに先立ち、26年1月12日、トランプ大統領は、イランと取引する国は米国とのあらゆる取引に対して新たに25%の関税を課される。即時発効させる。この命令は最終的かつ決定的なものだ」とTruth Socialに投稿していた。ホワイトハウスは、この関税やトランプ政権の実施計画に関する追加情報の開示を拒否し、イランとの「取引」の定義の明示を避けていた。この投稿は、これらの追加関税がどのように機能するのか、どの国が対象となるのか、製品だけでなくサービスにも高い関税が課されるのかなどの疑問を提起した。この発表は、イランと米国双方の主要貿易相手国である中国からの製品の輸入コストが大幅に上昇することを示唆。新たな関税導入により、中国からの輸入品に対する関税率は、現行の20%から最低45%に引き上げられる可能性がある。中国税関のデータによると、2025年の最初の11ヶ月間で、中国はイランに62億ドル相当の製品を輸出し、28億5000万ドルを輸入した。これは中国が公表していない石油購入額を考慮に入れていない数字。アナリストの推計によると、近年のイランの石油貿易の90%以上は、仲介業者を通じて中国が輸入している。中国に加えて、インド、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコもイランの主要貿易相手国とされている。
(参考4)米国などの対イラン制裁
1979年1月 イラン・イスラム革命。シャー・ムハンマド・レザー・パフラヴィ体制崩壊
1979年、米国はイランからの石油輸入を停止し、120億ドル相当のイラン資産を凍結。
1995年、クリントン大統領は、米国企業によるイランの石油・ガスへの投資、およびイランとの貿易を禁止する大統領令を発令。
1996年、米国議会は、イランのエネルギー部門に年間2,000万ドル以上を投資する外国企業に対して米国政府が制裁を課すことを義務付ける法律を可決。
2006年12月、国連安全保障理事会は、イランの原子力関連資材および技術の貿易に対して独自の制裁を課し、それに関連する活動に携わる個人および企業の資産を凍結。
その後数年間、国連は制裁を強化し、欧州連合(EU)もそれに追随。
2015年7月、イランは米国(オバマ政権)、英国、中国、フランス、ドイツ、ロシア、EUとの間で核合意(包括的共同行動計画(JCPOA))に署名。ウラン濃縮は3.67%までに制限することとなった。
2018年5月、米国(トランプ第一次政権)は核合意から一方的に離脱
2018年8月、米国核合意離脱後の第イラン制裁第一弾発動
2018年11月、米国核合意離脱後の第イラン制裁第二弾(エネルギー、金融ほか)発動
2019年4月15日、米国は、IRGC(イスラム革命防衛隊)を外国テロ組織に指定
2019年5月、米国イラン産主要原油輸入国8か国への制裁発動免除措置を終了
2019年5月、米国イランの輸出額の約10%にあたるイランの鉄、鋼、アルミニウム、銅の分野での取引に制裁を発動
2020年9月 米国ポンペイオ国務長官は、2015年7月のイラン核合意で解除された国連によるイラン制裁が、国連安保理決議(UNSCR)2231に基づくスナップバック・プロセスに従って、国連による対イラン制裁が復活したと宣言(バイデン政権発足後撤回)
2020年9月21日、トランプ大統領は、イランの核開発、弾道ミサイルおよび通常兵器への追求を制限するため新たな制裁、規制措置をとったと表明
2021年 米国バイデン政権は、イランとの核合意復帰に向けた交渉開始 進展なし
2025年4月 米国トランプ第二次政権は、イランとの核協議開始(マスカットとローマで5回実施)
2025年6月21日 米軍はイラン本土の核関連施設3カ所を空爆
2025年9月28日 ロシア、中国提出の国連制裁(スナップバック)再発動延期提案が否決され、国連制裁復活
2026年1月29日、EUは、IRGC(イスラム革命防衛隊)をテロ組織に指定
2026年2月 オマーンで米・イラン核協議実施 イラン側は、高濃度の濃縮ウランの海外搬送を提示した趣き
(コメント)トランプ米大統領は、2025年2月4日、ワシントンD.C.のホワイトハウス大統領執務室で、「イランに最大限の圧力を再びかける」大統領令に署名した。これをうけて、米国財務省は、イラン産原油の対中国輸送に関わる国際ネットワークに制裁を発動した。米国は、25年6月21日にイランの核関連施設3カ所を空爆し、さらに、金融面でも、ドル不足に苦しむイランの為替急落を導き、25年末のイランの反体制デモ拡大を支援してきた。さらに、26年2月6日、トランプ大統領は、イランとの取引を継続する国々に、例示的に25%の追加関税を課すとの大統領令に署名した。米軍は、イラン周辺海域に、空母エイブラハム・リンカーンを派遣して、イランに対する軍事的圧力も強化している。EUもこれに呼応して、1月29日イスラム革命防衛隊(IRGC)を「テロ組織」に指定した。これに対して、イランの司法当局は1月10日、国内のデモに参加した市民を「神の敵」と位置づけ、死刑に値する可能性があると表明した(その後、米国の要請などもあり死刑執行は思い止まっているとのこと)。また、国防や外交政策を司る最高安全保障評議会は、デモが米国やイスラエルの支援を受けているとし、「無慈悲に対応する」と警告している。湾岸アラブ諸国は、国内に米軍基地を抱えており、これらの基地が標的になったり、自国領空を通じて、イラン攻撃が実行されることや、ホルムズ海峡の封鎖などを回避するために、米側にも接触し、オマーンでの核協議実施を働きかけたとされる。協議は、高濃縮ウランの国外搬送など前向きな点があったとされるものの、この機会に、イスラム革命体制を崩壊させたいとのイスラエルなどの思惑もあり、米国が、イラン攻撃を控えるのか、予断を許さない状況が続いている。

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UAE大統領の国賓訪日延期にあたって求められるバランスのとれた経済外交[2026年02月08日(Sun)]
アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ザーイド・アールナヒヤーン(通称MBZ)大統領は、本来であれば、2月8日から10日まで、国賓として訪問予定であったが、残念ながら延期になった。報道によれば。イラン情勢の緊迫化などが理由とされる。日本にとって、UAEはサウジと並んで、原油輸入のトップを争う国であり、とりわけ24年、25年には、UAEからの原油輸入量は、サウジをやや上回った(財務省通関統計によれば、25年UAEは約43%で、サウジは約40%。なお同年の日本の原油中東依存度は約94%)。UAEは、OPEC2025年次報告による2024年の確認原油埋蔵量としては、世界第5位(1130億バレル)であり、世界第2位のサウジ(2672億バレル)には及ばないものの、再生可能エネルギーや水素、燃料アンモニアなどの新エネルギー分野でも日本との協力を進めている。UAEとサウジはともにGCC(湾岸協力理事会)メンバー国で親米国家でもあり、伝統的に両国関係は良好であったが、最近、イエメンやスーダンといった地域情勢への対応や地域の経済的主導権争いでも、緊張が目立ち始めている。因みに、サウジの実質的指導者ムハンマド・ビン・サルマン・アールサウード(通称MBS)皇太子兼首相は、2024年5月公賓として訪日予定であったが、直前にサルマン国王の健康状態を理由に、訪日を延期している。MBZ訪日延期の機会をとらえて、両国の特徴と、両者が抱える地域問題を整理しておく。
1.両国の経済的特徴
(1)UAEの強みと課題
外国企業にとっての中東の地域拠点、住環境充実右矢印1日本企業をはじめ多くの外国企業は商業・金融・観光の中心地であるドバイに地域拠点を置いている。一方、サウジが地域統括会社(RHQ)免許を通じて、多国籍企業の地域拠点の選択で、サウジをとるかUAEなのかの踏み絵を踏まそうとしており、その影響を受ける可能性あり。
国際交通の便よし右矢印1エミレーツ航空、エティハド航空などが運航。但し、カタール航空やトルコ航空もライバルであり、最近設立されたリヤド航空との競争も激しくなる可能性あり。
巨額の政府系ファンド運用右矢印1アブダビ投資庁(ADIA)、ムバダラ投資会社など。投資先によっては、サウジやカタール、トルコの政府系ファンドと競合することもある。
再生可能エネルギー・新エネルギー生産拠点造り・活用推進右矢印12009年に国際再生エネルギー機関IRENA誘致。水素製造計画については、2023年11月国家水素戦略2050を公式に発表し、UAEが2031年までに世界有数の水素生産国になる目標を掲げている。水素生産では、サウジが競合国になるとみられる。また、韓国製バラカ原発の運用が開始されており、現在国内電力需要の25%を原発が供給しているとされる。
温暖化対策推進右矢印1COP28ホスト、カーボンニュートラル達成目標年2050年(サウジより10年早い)
イスラエルとの連携により地域のハイテク拠点目指す。米企業とも連携し、AI拠点化も推進右矢印1イスラエルとは包括的経済連携協定を締結。ガザ危機によっても貿易量は拡大してきたが、パレスチナ人の犠牲者が7万にも達する中で、二国間関係を強化するUAEの姿勢にアラブ世界では批判の声もある模様。今後のガザ停戦第二弾においてUAEに如何なる役割が求められるのかが注目される。AI拠点化では、アブダビで建設中の1ギガワット・データセンター・プロジェクト「スターゲイトUAE」は、UAEと米国が共同で計画する巨大なAIキャンパスの中核となる予定。G42のKhazna Data Centersが開発し、OpenAI、Oracle、Nvidiaも参加するこのデータセンターの最初の20%は、2026年のオープン予定。
観光・娯楽・エンタメも推進右矢印1ディズニー・テーマパークも誘致。宗教的寛容をうたい文句としてアブダビで建設されたシナゴーグを含む国立宗教施設「アブラハム・ファミリー・ハウス」を2023年3月1日正式オープンしている。
(2)サウジの強みと懸念
OPECプラスの指導的国家右矢印1今や世界最大の石油生産国は、サウジではなく米国。そのため、OPECの主導的国家サウジは、非OPECの大産油国ロシアと組んで、OPECプラスによる原油生産調整を2017年1月以来開始。2020年5月には、970万B/Dの大幅減産を実行。その後、減産幅を縮小(すなわち、増産)していったが、@2022年11月からは、200万b/dの減産を開始。さらに、A2023年5月には、有志国8か国による166万b/dの追加減産開始。そして、B2024年1月には、220万b/dの追加減産を開始してきたが、2025年以降、方針を転換して、増産を開始。Bについては、25年8月に繰り上げ終了。Aについても、減産幅縮小を進めてきたが、現在、その動きを一時停止中。OPEC創設国ベネズエラの石油が米国の管理下に入ることで、OPECの結束力にくさびが撃ち込まれることになった。
メガプロジェクト推進右矢印1サウジのPIF公式サイトによる設立された新企業数は103。なかでも、ギガプロジェクトNEOM(新未来の意味)のプロジェクトである線状新未来都市建設事業「ザ・ライン」(砂漠に、全長170km、高さ500m、幅200m、端から端まで20分の高速鉄道で結ぶ計画)が注目されてきたが、原油価格低迷の中、費用見積が膨れ上がり、計画の大幅後退を余儀なくされている模様。他に完成時世界最大となる浮上式物流拠点Oxagon、山岳リゾートTrojena、海洋観光リゾートShindalaなどが計画されているが、人工雪を降らすことで2029年アジア冬季スポーツ大会の会場とされていたTrojenaでの開催をサウジが断念して、大会はカザフスタンのアルマティに変更することが決定した模様。
政府系ファンド「公的投資基金(PIF)」による積極的投資右矢印1PIFは、MBS皇太子が推進するサウジ経済の多角化を実現する「ビジョン2030」の各種目標を達成するための主要な手段であり、2030年にPIF管理資産を10兆サウジリアル(2.67兆ドル)に増大させる計画(2024年段階の達成値は9400億ドルで目標を4%上回っている)
再生可能エネルギー・新エネルギー生産拠点造り・活用推進右矢印1紅海沿岸の未来都市「NEOM」で、ACWAパワー、エア・プロダクツ、NEOMの合弁事業として進行中。また、2030年までに電力の50%を再生可能エネルギーにする目標を掲げている。
米企業とも連携し、AI拠点化推進右矢印1政府系ファンドPIFは2025年5月12日、同基金の会長を務めるMBS皇太子がAI企業HUMAINを立ち上げ、よく13日HUMAINとNVIDIAは、サウジアラビアに未来のAI工場を建設するための戦略的パートナーシップを結んだと発表。更に、2025年10月29日、PIFとアラムコは、両社の人工知能(AI)プログラムを統合し、HUMAINを通じて共同事業を展開することを発表
中東地域投資会社を6か国で設立右矢印1PIFは、2022年設立のエジプトに加えて、バーレーン、イラク、ヨルダン、オマーン、スーダンに地域投資会社を設立すると発表
地域統括会社(RHQ)免許取得で外国企業を選別右矢印12024年末段階で当初計画を上回る571件の免許付与。25年10月26日報道によるファーリフ投資大臣の発言によれば、多国籍企業の地域拠点となる675社にRHQ免許が付与されたとされる。RHQ免許が付与されると政府調達への優先的参入と10年間のサウダイゼーション(従業員のサウジ人化)免除などの特典あり
サウジ/中東グリーンイニシアティブ推進右矢印1サウジで100億本、中東で500億本の植樹を行い、CO2の削減を支援する計画を発表
巡礼客・観光客誘致、スポーツ大会誘致、娯楽提供右矢印1サウジは、2030年リヤド万博、2034年FIFAサッカーワールドカップホストが決定している。また、2024年から毎年eスポーツワールドカップをホストすることが決定している。加えて、ゲーム、アニメ分野での日本企業との協力も進んでいる。さらに、2019年観光ビザを解禁し、2024年には、2,970万人の外国人を含む1億1,590万人の来訪者数を記録。
2.地域情勢に関する彼我の立場
(1)イエメンの分離主義勢力STCへの支援
UAEは、イエメン南部の民兵組織、特に南部暫定評議会(STC)を積極的に支援してきたとされる。UAEは、2014年のフーシ派への攻撃ではサウジ主導のアラブ連合軍に参加したものの、その後、参加を見合わせてきた。とくに、2024年12月30日サウジはイエメン南部の港湾都市ムカッラをサウジが空爆し、UAEとの関係が悪化した。それにもかかわらず、UAEはSTC関係部隊に対し、訓練、資金提供、装備提供を行ってきた。サウジからの圧力により、UAEは2025年後半に軍の撤退を宣言したものの、これらのグループとの関係は維持しており、UAEが支援する分離主義とされるSTCはハドラマウトやアデンなどの南部地域での支配を大幅に強化しているとされる。また、BBC報道によれば、イエメンにおけるサウジアラビア主導の連合軍は、イエメン大統領評議会から追放され反逆罪で告発されたSTC指導者アル・ズバイディ議長の国外への密航をUAEが支援したと主張しており、サウジとの緊張が高まっている。
(2)スーダン内戦における対立勢力への支援
スーダン内戦が開始された以降、UAEは即応支援部隊(RSF)という準軍事組織を、サウジはスーダン軍部をそれぞれ支援している。UAEは、スーダン政府軍と対峙する即応支援部隊(RSF)に財政的、政治的、軍事的支援を提供してきたとされる。UAEは公式にはこれらの主張を否定しているものの、スーダン政府は、2025年5月UAEとの外交関係を断絶している。RSFがスーダンで使用している軍事設備には、UAE製の装甲車両、ドローンなどが含まれているとされる。また、UAEはスーダンとの間で、特に金に深い経済的利益を有しており、RSFがダルフールで管理する鉱山から採掘された大量の金がUAEで取引されているとされる。UAEは、スーダンの港湾建設にも参画してきており、紅海周辺海域での影響力確保のため、RSFとの結びつきを重視してきた。
この対峙は、アフリカの角情勢にも影響を与え、サウジとエジプトがソマリアを支援し、UAEとエチオピアとイスラエルが分離独立を目指すソマリランドを支援する構図となっており、トランプ政権も親米国家間の対立に手をこまねいているとされる。
https://www.theguardian.com/world/2025/nov/04/sudan-rsf-militia-uae-united-arab-emirates
https://biz.chosun.com/jp/jp-international/2026/02/05/QKPDSOEKWBCHPPQQN4CC4OPH4I/

(コメント)2025年5月のMBSサウジ皇太子の公賓訪日延期と今回のMBZ・UAE大統領の国賓訪日延期は、石油だけでなく、新エネルギー分野で、連携が期待される両国のトップとの関係構築に結びつかなかったことで残念である。2024年5月下旬に予定されていたMBS皇太子の公賓訪問に際し、日本、サウジアラビア両政府は液化水素のサプライチェーン(供給網)強化に関する協力に合意する方向で最終調整に入ったと報じられていた。しかし、MBS皇太子は、国王の急病を理由に、来日一日前に訪問キャンセルとなった。サウジは、エネルギー資源だけでなく、レアアースはじめ鉱物資源輸出国の潜在性を秘めた国であり、世界中でレアアースの争奪戦が始まっている現在、この分野でもサウジとの関係を強化していく必要がある。一方、UAEのMBZムハンマド大統領は、過去に5度訪日し、うち2度はアブダビ皇太子として訪日(2007年12月、2014年2月)しており、1990年に父であるザーイド大統領(当時)が国賓として訪日した際にも同行した経緯がある。UAEは液化水素運搬実験を行う日本企業に注目しており、2023年4月川崎重工とアブダビの国営石油会社ADNOC社との間で、液化水素サプライチェーン構築に向けた戦略的協業契約の締結している。また、2023年7月、INPEXはアブダビのマスダール社とのグリーン水素・CO2を利用した「e-メタン」製造事業の実現に向けた共同調査に関する契約締結を発表。2024年1月には、東京ガス、大阪ガスが調査参加を表明している。両国は、新エネルギー分野、とりわけ、サプライチェーン構築において、日本にとって重要なパートナーとなる可能性を秘めている。日本は、次の首脳の訪日の機会を待つのではなく、ドイツのメルツ首相が最近、サウジ、カタール、UAEを訪問したように、新内閣は積極的に訪問外交を展開することが望まれる。両国のほか、カタールについては、2月にJERAがカタールエネジーと2028年から27年間のLNG供給の長期契約を結んだことが明らかになった。JERAは、2021年末で、カタールとの長期契約を打ち切ったところで、ロシアのウクライナ侵攻が始まった。日本にとって、サウジ、UAE、カタールは日本のエネルギー安全保障の観点から引き続き、重要な国々である。日本政府要人の中東訪問にあたっては、地域情勢を巡ってサウジ・UAE間の摩擦が発生していることも念頭に、バランスのとれた経済外交を積極的に展開すべきであると思われる。

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