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イスラエル議会UNRWA国内活動停止法案成立の意味[2024年10月30日(Wed)]
イスラエルの議会クネセトは2024年10月28日、パレスチナ難民救済を目的に1950年に活動を開始し、ガザでの支援活動の主力を担ってきた国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)関連の二つの法案を可決した。ひとつはUNRWAのイスラエル国内およびイスラエルが占領する東エルサレムでの活動を3カ月間禁止する法案で、もうひとつは、UNRWA職員とイスラエル当局者との連絡を禁止する法案UNRWA職員はイスラエル国内での法的免責を剥奪(はくだつ)されることにもなる。今回の採決は、クネセトのアラブ系議員の激しい反対と西側諸国からの強い国際的圧力にもかかわらず強行された。一つ目の法案は賛成92票、反対10票で承認され、二つ目は賛成87票、反対9票で承認された。パレスチナ・ガザ地区だけでなく、東エルサレムにある本部も閉鎖されるとのこと。さらにイスラエルが占領するヨルダン川西岸での活動も大きく制限される。UNRWAがイスラエルの支配下にある地域でパレスチナの避難民にサービスを提供することを認めた1967年の条約を無効にするものとなり、国際法にも違反する。UNRWAがガザに支援物資を運び入れるには、同地区に通じるすべての検問所を管轄するイスラエル軍との連携が不可欠。国連のグテーレス事務総長は同日、イスラエル議会の決定を「深く憂慮する」とする声明を発表し、「法律の施行は、イスラエルとパレスチナの紛争の解決や、地域の平和と安全にとって有害であり、パレスチナ人救済のためUNRWAの活動は不可欠だ」と強調し、イスラエルが法律を実施すると国際法違反になるとして法律を施行しないよう強く求めた。
(参考1)UNRWAとは:UNRWAは第一次中東戦争後、1949年12月8日に採択された国連総会決議302(IV)により、パレスチナ難民のための救済と事業実施を目的として設置され、1950年5月1日に活動を開始した「国連パレスチナ難民救済事業機関(United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East: UNRWA)」のこと。パレスチナ人は、西岸・ガザだけでなく、ヨルダン、シリア、レバノンの58か所のパレスチナ難民キャンプで生活している(ガザ9、西岸19、シリア9、レバノン12、ヨルダン10か所)。キャンプ以外を含めて約590万人のパレスチナ人がUNRWAに登録し、教育、医療保健、社会保障サービス、難民キャンプのインフラ・環境改善、保護、小規模金融、緊急支援などの分野で支援を受けている。イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区(東エルサレムを含む)とガザ地区では、約250万人のパレスチナ人がUNRWAに登録されている。

(参考2)パレスチナを巡るタイムライン
1947年 国連パレスチナ分割決議(イスラエル55%、パレスチナ45%
1948年5月 パレスチナの地にイスラエル建国、多くのパレスチナ人故郷を追われる
1967年、73年 第三次・第四次中東戦争でアラブ敗北。イスラエルにヨルダン川西岸・ガザを占領される。
1970年9月 ヨルダンはPLOを追放。アラファト議長は女装してヨルダン脱出(ブラックセプテンバー)。PLOは、レバノン南部に移動。
1979年 エジプトはイスラエルとの和平協定締結
1981年10月6日 エジプト・サダト大統領、軍事パレード中、ジハード団により暗殺
1982年 イスラエルのレバノン侵攻。アラファト議長ほかPLOメンバー・チュニスに脱出。同年9月16-18日にはベイルートのサブラ・シャティーラ・パレスチナ人キャンプで、イスラエル軍包囲の中レバノンキリスト教民兵組織に約3千人のパレスチナ人殺害)
1993年9月13日 クリントン大統領の仲介の下、ラビン・イスラエル首相、アラファトPLO議長がワシントンDCでオスロ合意署名式に出席
1994年 ヨルダンはイスラエルとの和平協定締結
1994年 ガザ・ジェリコ合意
1995年 パレスチナ暫定自治政府発足
2004年 アラファトPLO議長死去(2004年11月11日仏で死亡。ヨルダン川西岸に埋葬。ポロニウム暗殺説あり)

2007年 ガザではハマスが実効支配開始
2018年 米トランプ政権国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への支援停止

2020年8月13日 UAEがイスラエルとの国交正常化発表
2020年9月11日 バーレーンがイスラエルとの国交正常化発表
2020年9月15日 ホワイトハウスで、UAE、バーレーン、イスラエル、米国間の「アブラハム宣言」に署名
2020年10月23日 スーダンがイスラエルとの国交正常化発表
2020年12月10日 モロッコがイスラエルとの国交正常化発表
2021年4月7日 バイデン米政権は、トランプ前政権が打ち切っていたパレスチナ向け支援としてUNRWAなどへの拠出再開を表明(2億3500万ドル)
2021年11月26日 英国はガザを実効支配するハマスをテロ組織に指定
2023年10月7日 ハマスがガザ境界線を越えてイスラエル領内への越境攻撃で1200名前後殺害、250名人質
2024年1月26日 バイデン政権は、イスラム組織ハマスによる昨年10月7日のイスラエル攻撃に、同機関のスタッフが加担したとするイスラエルの主張を受け、UNRWAへの資金拠出を停止した。
2024年7月31日 イスマイール・ハニーヤ・ハマス政治局長、イラン大統領就任式典出席のためテヘラン滞在中に暗殺(モサド工作員の犯行とする見方が有力。ベッド下に爆発物がしかけられ、爆死したとみられている)
2024年7月13日 イスラエル軍カッサーム旅団司令官ムハンマド・ディーフ(2004年〜24年までカッサーム旅団司令官を務める)殺害と主張
2024年10月16日 ヤヒヤ・シンワル・ハマス政治局長(ハニーヤ前局長の後任。23年間イスラエルの刑務所に収監されていたが、2011年出所。越境攻撃の責任者といわれる)殺害
2024年10月28日 イスラエルの議会は、UNRWAのイスラエル国内およびイスラエルが占領する東エルサレムでの活動を3カ月間禁止する法案を可決

(コメント)UNRWA関連法案をクネセトに提出したイスラエルのユリ・エデルシュタイン外交・安全保障委員長は、UNRWAが「テロ活動の隠れみの」として使われ、「テロ組織(ハマス)とUNRWAの間には深いつながりがあり、イスラエルはこれを放置することはできない」と非難した。イスラエルは、UNRWAの職員がガザのイスラム組織ハマスと結託していると指摘し、19人の職員が、昨年10月7日のハマスのイスラエル襲撃に参加したと主張している。UNRWA職員の襲撃関与の疑惑が生じたことから、2024年1月米国バイデン政権は、UNRWAへの拠出の停止を発表し、欧米主要国や日本がそれに倣って、一時期UNRWAへの支援を停止したが、その後、ほとんどの国が支援を再開していた。ガザでは、危機発生から1年以上が経過し、約4万3千人が殺害され、10万人以上が負傷している。インフラ設備も7割が破壊されたとされており、病院、学校なども深刻な被害を受けており、住民の水や食料、医薬品へのアクセスも大きく制限され、生存を援助にほぼ全面的に依存している200万人のガザ住民に人道物資・サービスの供給を確保するため、UNRWAの現地で死活的重要性を有する役割を果たしてきた。
イスラエル軍は、10月7日襲撃の責任者とみられているヤヒヤ・シンワル政治局長と、ムハンマド・ディーフ・カッサーム旅団の司令官を殺害し、政治部門のトップだったイスマイール・ハニーヤも暗殺した。子ども、女性も多数含むイスラエル側犠牲者の40倍の犠牲者も発生させている。復讐という側面でも、主要な責任者を抹殺しており、今こそ、戦闘を停止し、人質解放とガザへの支援活動再開を認めるべきであるのに、米大統領選挙前に、29日未明までにもガザ地区北部のベイトラヒヤでおよそ150人が避難していた5階建ての建物が爆撃されて、レバノンと併せて120名以上が犠牲になったと報じられており、ネタニヤフ政権は、このタイミングをとらえて停戦と事態鎮静化を目指す動きとは間逆のことをやっているとしか思えない。
トランプ(前)大統領は、前の任期中の2018年UNRWA支援を全面的に停止した。トランプ政権は、当時イスラエルの建国で離散したパレスチナの最初の世代以外は、難民として扱うべきではない、支援の対象にはならないという立場をとっており、もし政権が復活すれば、現世代のパレスチナ人を支援する必要はもはや存在しない、としてイスラエルの期間限定の今次決定だけでなく、UNRWAの解体を含め支持し、少なくとも米国政府はUNRWAに資金拠出することを拒否する可能性が高いと思われる。イスラエルは、ガザの200万人のパレスチナ人をどうするつもりなのかガザの復興には、停戦がすぐに実現しても、10年以上かかるとみられる。その間、パレスチナ人は、どこでその動きを見守るのであろうか。国籍を与えて、イスラエルに迎い入れるつもりはあるのか、民主党・共和党の違いにかかわらずイスラエルの軍事行動を自衛権の行使として一貫して支持してきた米国は、住む場所を失ったパレスチナ人を大量に迎い入れ、市民権を付与するのであろうか、特に、移民排斥を訴え、2017年には、ムスリム・バンというイスラム教徒入国阻止の措置をとったトランプ氏が政権に返り咲いたら、パレスチナ人をどう扱うつもりなのか、かつては「アラブの大義」と「領土と平和の交換」の原則を掲げ、パレスチナ支持を表明していたアラブ諸国は、二国家共存のスローガン自体は捨てていないものの、事実上、パレスチナ人を見捨てている状況にある。パレスチナ難民を、自国に受け入れ、二重国籍であれ在留資格を与え、パレスチナ人を受け入れる用意があるのか、世界全体が、パレスチナとの面倒なかかわりを回避し、パレスチナ人がこの世界から消えていくのを待っているとしか思えない。
https://www.bbc.com/japanese/articles/c0lpg72dy9ro
https://www.cnn.co.jp/world/35225435.html

Posted by 八木 at 11:28 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イランによる「真実の約束作戦その2」の実行[2024年10月02日(Wed)]
2024年10月1日、イランイスラム革命防衛隊(IRGC)は声明を発表し、「殉教者ハニーヤ(殺害されたハマス前政治局長)、サイイド・ハッサン・ナスラッラー(殺害されたヒズボラ書記長)、ニルフォルーシアン(IRGC作戦副指揮官、27日のナスラッラー殺害の際、一緒に死亡したとみられている)の暗殺への報復として、占領地(すなわちイスラエル)の中心部を標的にした」と述べた。さらに声明では「イスラエル」に対し、「シオニスト政権がイランの作戦に報復すれば、暴力的な結末を迎えることになる」と警告した。イスラエルの報道によると、イランからは181発のロケット弾が発射され、ネタニヤフ首相は直後に「(イランは)大きな過ちを犯した。この代償を支払うことになる」との警告を発した。イランの今回の攻撃は、「真実の約束作戦その2(True Promise 2)」と名付けられた。IRGCの作戦は、その前身である「真実の約束作戦」にちなんで、作戦その2と宣言された。前の作戦は、4月1日にイスラエル軍によるダマスカスのイラン大使館への攻撃とその際のIRGC司令官の殺害への報復として、4月13日から14日にかけてイランから「イスラエル」に対して前例のないイラン本土からのドローンとミサイルによる攻撃が行われた。但し、前回は、イラン側は、近隣諸国などに攻撃を予告し、イスラエルや同国を支える米軍などが十分迎撃態勢を整えることができるタイミングで実施されたため、ほとんど実質的な被害はなかったとされる。IRGCは、2度目の声明で、テルアビブのネバティム、ハツェリム、テル・ノフ空軍基地の3つの軍事基地が標的になったことを確認した。これは、ネバティム基地にはF-35戦闘機が、ハツェリム基地には殉教者サイイド・ハッサン・ナスラッラーの暗殺に使用されたF-15戦闘機が配備されており、ヒズボラの殉教指導者の暗殺への報復として標的にされたと断言した。
さらに、IRGCの2回目の声明によると、イランが占領下のパレスチナ領土に向けて発射した第一波の弾道ミサイルと飛翔体の少なくとも90%が標的に命中したとしている。タスニム通信によると、攻撃は占領下の都市アスカラン近郊のガス・プラットフォームにも命中したとしている。一方、イスラエル側の被害ははっきりしていない。イスラエル側ではパレスチナ人1人が死亡し、二人が負傷したと報じられている。

(コメント)イランは、10月1日のイスラエル軍による南部レバノンへの限定的侵攻開始と伝えられたタイミングで間髪を入れず、イラン本土からのイスラエルへの弾道ミサイル攻撃に踏み切った。この作戦を、イランは、「真実の約束作戦その2」と名付けた。イランのハメネイ師は、7月31日、テヘランでハニーヤ・ハマス政治局長が暗殺されたあと、イスラエルへの報復を誓ったが、実施されていなかった。そして、9月27日、イランにとって最も重要な同盟勢力であるレバノンのシーア派組織ヒズボラのナスラッラー書記長が、ベイルート南部で米国製の通常兵器では最も破壊力が強いといわれるバンカーバスター爆弾の投下により、ビルの地下に待機していたとされるナスラッラー師を爆殺した(但し、遺体は損傷がなく、圧迫死か酸欠死かとみられている由)。イスラエル軍は、ヒズボラのテロ指導者ハッサン・ナスラッラー書記長を暗殺する作戦を「新秩序(New Order)」と名付けたと発表していた。この意味は、ハマスのハニーヤを殺害し、ナスラッラーを殺害し、場合によっては、ハメネイだって狙えますよと脅して、イスラエルの周りの「テロリスト」をすべて殲滅し、6万人の北部イスラエルの避難者を自宅に戻し、ネタニヤフ戦時内閣の下、完璧な安全を回復したと国民に訴え、支持を回復させようとする狙いだと思われる。しかし、ネタニヤフ政権は、ガザでの人質解放を実現したのであろうか、少なくとも、歴代のイスラエル政権は、人質の解放に最優先度を置いていたように感じていたが、ネタニヤフ政権からはまったくそれが感じられない。ナスラッラー師の殺害は、まさにネタニヤフ首相が、これまで、維持されてきた「交戦ルール」を破棄して、イスラエルに脅威を与えると「現政権」が決定すれば、政治指導者であれ誰であれ、他国の首都であれ、どこにでもいって、圧倒的優位なIT技術を駆使して、市民を巻き込んでも標的の暗殺、襲撃を実行するという政策変更を意味する。イランの最高指導者ハメネイ師も居場所を変更したとされる。また、盗聴、ピンポイント爆撃などを避けるため、イラン側の通信機器をロシア製に変更する計画も進められているとされる。米国大統領候補のドナルド・トランプ前大統領は、自身のSNS投稿で「この戦争は完全に防ぐことができた。決して起こるべきではなかった。私が大統領だったら、こんなことは起こらなかっただろう!」と投稿した。トランプ前大統領の発信をそのまま受け取ることはできないが、バイデン政権が、ガザ危機の発生からレバノン危機への移行、そして、イスラエルとイランの直接戦争に至る事態の深刻化を全く止めることができない、あるいは止めようとはせず、レバノン全土とシリアで市民多数を巻き込んだ通信機器一斉爆発も非難せずナスラッラー師殺害を支持し、イスラエル軍の南部レバノン地上侵攻に理解を示し、次に、今回のイランからの攻撃を踏まえ、イスラエルを防衛するためとして、イスラエル軍によるイラン本土への直接攻撃を容認することになれば、まさにネタニヤフ首相が狙ったとおり、緊張を激化し、米国を巻き込むという戦術にのせられたことになる。現在までのところ、原油価格には大きく影響していないが、軍事力で劣るイランが、IRGCだけでなく、政治指導者が狙われたりすれば、戦闘は泥沼化し、ホルムズ海峡封鎖が現実のものとなる危険も排除されない。そうなれば、日本を含めアジア諸国も対岸の火事ではなくなる。従来、このような危機では、大国のバランス感覚が働き、停戦を実現する動きが出てくるが、ウクライナ危機以降、安保理も機能不全に陥っており、状況の悪化が放置されないか懸念が拡大する一方である。
https://english.almayadeen.net/news/politics/iranian-response-has-begun--sirens-sounded-all-over--israel
https://english.almayadeen.net/news/politics/who-was-the-senior-irgc-commander-martyred-alongside-sayyed
https://www.tasnimnews.com/en/news/2024/10/01/3169883/irgc-90-of-missiles-have-hit-israeli-targets
https://www.timesofisrael.com/israel-warns-of-consequences-after-iran-launches-181-missiles-in-major-attack/

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