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注目のインド・中東・欧州新経済回廊構想の打ち上げ[2023年09月11日(Mon)]
2023年9月9日、ニューデリーでのG20首脳会議の機会に、米国、インド、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、EUの首脳は、インド・中東・欧州新経済回廊構想実現に向けての覚書に署名した。
@ インドからUAE、サウジアラビア、ヨルダン、イスラエルを経由して欧州までの鉄道路線と港湾接続を統合し、スムーズかつ迅速な物流を実現する。
Aエネルギーインフラを開発し、グリーン水素の製造とすべてのパートナーへの輸送を可能にする。
Bこの地域を接続する新しい海底ケーブルを設置し、電気通信とデータ転送を強化する。

(解説)G20サミットには、中国の習近平国家主席、プーチン大統領は出席せず、期待された米中トップ会談は実現しなかった。具体的な成果が懸念される中、議長役のモディ首相は、9月9日の初日に、ウクライナ侵攻を行ったロシアを直接名指し批判せず、当初難航が予想されたG20首脳宣言をまとめて発出することに成功した。今回のG20には正式メンバー国以外に多数の国の首脳が招かれたが、その中のひとりは、UAEのムハンマド・ビン・ザーイド大統領である。正式メンバーであるサウジアラビアの代表は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(首相)であった。首脳会議の機会を利用して、中東の2首脳にバイデン米大統領、モディ首相、EUのフォンデアライエン委員長が加わり、インド・中東・欧州新経済回廊構想実現に向けての覚書が署名された。先の2023年8月のBRICS首脳会議では、サウジ、UAE、エジプト、イラン、エチオピア、アルゼンチンの6か国に加盟正式招待が発出され、2024年1月に、11か国に拡大の予定となっており、7月に開催された上海協力機構(SCO)にはイランが正式メンバーとなり、さらに、サウジ、カタール、エジプトが対話パートナー国となり、欧米とは一線を画し、中国が影響力を有するブロックが中東の主要国を取り込むことになり、G7・EUブロックとの間で世界秩序の二極化が進むのではないかとみられていた。
こうした中で、今回のインドから中東を経由して欧州を結ぶ新経済回廊構想の打ち上げは、グローバルサウス台頭における米国のメッセージであり、@拡大BRICSやSCOは、G7・EUブロックと対立するものではないとのインドや中東産油国の立場、A欧米やインドによる中国の一帯一路構想とは別の経済回廊構築を進める意向を反映したものと考えられる。この関連で、イタリアのメローニ首相は中国代表の首相に一帯一路構想参加辞退を伝えたといわれる。欧州にとっては、14億人の人口を抱えるインドとの物流の大幅向上が可能になり、中東の産油国UAEやサウジにとっては、イスラエルを巻き込んだ地域開発を加速することになる。とくにサウジは、イスラエルにも近い地域でNEOMという新未来都市、物流拠点、娯楽スポーツ施設の建設を開始しており、イスラエルとの関係正常化、ハイテク分野での協力推進を後押しするとみられる。なお、イスラエルは、今回の署名には加わっていないが、新経済回廊構想は、米、イスラエル、UAE、インド、EU間で話し合われてきたとされ、鉄道の発着点がハイファ港になること、また、グリーン水素をはじめとする新エネルギーの輸送や電気通信・データ送信のための海底ケーブルがイスラエルと欧州を結んで設置される計画であることから、イスラエルにとっての利益は大きく、既にイスラエルは実質的な計画の推進者となっている。カショギ殺害事件で冷却化したMBS・バイデン関係は、昨年7月のバイデン大統領のサウジ訪問でもぎくしゃくしていたが、今回のニューデリーでMBSとバイデン大統領は、モディ首相を交えて満面の笑みを浮かべていたのが印象的であった。ただし、サウジアラビアは、ロシアとも協力してOPECプラス枠内で原油の減産調整を継続し、ガソリン価格は高騰を続けており、サウジは、欧米寄りに再び舵を切ったというより、自国にとって利益のある国々とは、欧米の価値観にかかわらず、協力を続けるということである。なお、この計画実現で影響が出るとみられるのは、スエズ運河通行収入が減少するエジプトであるが、サウジは、地域開発にエジプトも巻き込む形で、違う形でエジプトも恩恵を受けることができるよう配慮するとみられる。
https://www.ndtv.com/india-news/g20-summit-in-delhi-the-significance-of-europe-mid-east-india-trade-corridor-plan-explained-4375429
https://www.opindia.com/2023/09/pm-modi-joe-biden-india-eu-gulf-rail-shipping-corridor/amp/

Posted by 八木 at 10:58 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)