• もっと見る
イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。

« 2022年11月 | Main | 2023年01月 »

検索
検索語句
<< 2022年12月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
最新コメント
タグクラウド
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
プロフィール

中東イスラム世界社会統合研究会さんの画像
日別アーカイブ
https://blog.canpan.info/meis/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/meis/index2_0.xml
1年半で政権に返り咲いたネタニヤフ首相と超強硬派新内閣[2022年12月30日(Fri)]
12月29日、ベンヤミン・ネタニヤフ・リクード党首(73歳)は、120 議席で構成されるイスラエル議会クネセトで64 の連立メンバーのうち 63の信任を得て、イスラエルの第 37代目となる新政権発足に成功した。反対は54であった。ネタニヤフ首相率いるリクードと連立パートナーは、2022年11月1日に実施された総選挙で合計64議席を確保し、以後約2か月間にわたって連立交渉を続けていた。ネタニヤフ新首相は、右派宗教連合が政治的安定をもたらすと表明した。
リクードとその他の 5 つの政党それぞれの間で締結された連立協定、および公開された指針によると、新政府は包括的な司法改革を優先する、すなわち、 行政および立法権に対する司法のチェックを軽減・回避することを意図した法的措置の成立、さらに入植地を拡大し、西岸併合を検討し、物価高騰と闘い、国家のユダヤ人サービスに対する超正統派の管理をさらに一元化することを目論んでいる。
信任投票の前にクネセト本会議で演説したネタニヤフ氏は、新政府の 3 つの最優先事項を提示した。それは、@イランの核開発計画の阻止、A国家インフラの開発、Bセキュリティとガバナンスであった。

ネタニヤフ新首相は、2021年退任以来の返り咲きで、イスラエル首相の座に 2 期、合計 15 年間、イスラエルで最も長く首相を務めてきた。 今回は、ネタニヤフ氏にとって 6 番目の政府であり、極右政党と超正統派の政党をリクードと同盟させることで、対パレスチナ関係、入植地問題、対イラン関係などで、これまでで最も強硬な政府となるとみられている。連立政権に参加する極右政党「宗教シオニズム」や「ユダヤの力」はパレスチナ国家樹立に反対、これらの政党指導者は西岸入植者で、イスラエルの司法制度、少数派アラブ人、LGBTら性的少数者などの権利に反対してきた。
2021年6月13日に発足した第36代ベネット(「ヤミナ党首」)内閣(のちにラピッド暫定首相(「イェシュ・アティド党首」)に交代)は、発足時クネセトで賛成60−反対59−棄権1で成立したが、右派から左派、アラブ政党を含む反ネタニヤフ一点で成立した寄せ集め政権であり、政治の方向性が定まらず、政権基盤も不安定で当初予想されたとおり、短命政権に終わった。
(新内閣における注目顔ぶれ)
1.財務大臣兼国防省大臣右矢印1極右の「宗教シオニズム」党の指導者であるベザレル・スモトリッチは、財務大臣に就任したのみならず、国防省内で彼のために用意された新たな役割を通じて、占領されたヨルダン川西岸を統治する役割を遂行する。 スモトリッチは人種差別主義者、同性愛嫌悪者、ユダヤ人の超国家主義者であるとみなされてきた。 彼は、占領下のパレスチナの土地にユダヤ人入植地を建設することを強く支持している。議会での演説で、彼は国防省の大臣としての役割の一環として、「祖国に対する我々の支配を規則化し、強化する」計画であると述べた。彼は、過去にパレスチナ人への攻撃を企てたとして治安部隊に告発された経歴を持つ。
2.国家安全保障大臣右矢印1極右の「ユダヤの力」党の党首イタマール・ベン=グヴィルが任命された。ネタニヤフ首相との合意に基づき、ベン=グヴィルは、占領下のヨルダン川西岸と東エルサレムで活動する軍の下部組織である国境警備隊を掌握し、アルアクサー・モスクの警備も担当する。 ベン=グヴィルは、ヨルダン川西岸の都市ヘブロンの不法居住区に住んでいる。かつて1994 年にヘブロンのイブラヒミ・モスクで起きた銃撃事件で 29 人のパレスチナ人を殺害したユダヤ系イスラエル人、バルーク・ゴールドスタインへの支持を表明したこともあり、また、2007年イスラエルのパレスチナ人は追放されるべきであるとの発言によって扇動罪で有罪判決を受けたこともある。
(コメント)ベンジャミン・ネタニヤフ首相は、1996年から99年と2009年から2021年までの合計15年、6次にわたるイスラエルの政権を担ってきた。そして、今回の内閣は、歴代のネタニヤフ内閣との比較においても、最も、右寄りで宗教色が強く、パレスチナ人や入植地問題、対イラン関係で最も強硬な政府になるとみられている。すでに、ヨルダンのアブドッラー2世国王も、新内閣が「レッドライン」を超えないように警告を発している。パレスチナ人は、当然、これから何が起きるのか、強い警戒心を持って、身構えている。イランも、従来にも増しての核施設への攻撃や核科学者の殺害などに対して最大限の警戒態勢に入っている。ネタニヤフ首相自身は、贈収賄、詐欺、背任の容疑で起訴されており、容疑を否認しているものの、彼の刑事裁判は現在も続いている。 彼は、権力の座に復帰することによって、司法からの追及をかわそうとしている。そのために、極右、超正統派とも連携する必要があったとみられている。今回の組閣からは、ネタニヤフ首相は、入植地の拡大容認、入植地の併合容認、イランの核開発阻止に向けての一層の対イラン攻撃を容認することは疑い得ない。バイデン政権が、如何にイスラエル新内閣の暴走を止められるのか、UAEなどイスラエルと外交関係を正常化したアラブ国家は、パレスチナ問題の悪化が懸念される中でも、関係強化を継続するのか、など見守る必要がある。

Posted by 八木 at 12:14 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

日本のエネルギー安全保障に向けての巻き返し[2022年12月27日(Tue)]
2022年末に日本のエネルギー安全保障の観点から重要な2つのニュースが舞い込んできた。
1.オマーンからのLNG輸入:報道によれば、三井物産と伊藤忠商事、JERA(中部電力・東京電力出資のエネルギー調達等を行う会社)は、オマーンから3年後の2025年以降、年間で200万トン余りを10年程度の長期契約で新たに輸入する方針を固めた。西村経産大臣出席の下、12月27日にも契約文書が署名される見通し。日本は現在、LNGの輸入量の2.6%にあたる年間190万トン余りをオマーンから輸入している。
2.サウジアラビアとの水素・アンモニアエネルギー開発:報道によれば、西村経産相は12月25日、リヤドでサウジのアブドル・アジーズ・エネルギー相と会談し、水素や水素からできるアンモニア燃料などの生産・輸送技術での協力や、二酸化炭素(CO2)の回収技術に関する覚書を交わした。
(コメント)2021年11月、JERAは世界一、二位を争うLNG輸出大国カタールとのLNG供給の長期契約更新を打ち切りを表明していた。日本は、ロシアや豪州からのLNG輸入に活路を見出そうとしていた。しかし、その目算は、ロシアのウクライナ侵攻で崩れ去った。日本はサハリン1,サハリン2の権益は維持することとなったが、欧州を中心に、ロシア産天然ガス脱却のためにカタールなどの産ガス大国への働きかけを強化し、スポットのLNG市場は草刈り場となり、天然ガス価格の高騰を招いていた。こうした中、日本が中東のオマーンに目をつけて、2025年以降とはいえ、10年間200万トンを新たに輸入する契約にこぎつけたことは、日本経済にとっては大きな安心材料となったことは間違いない。
サウジアラビアとの関係では、ウクライナ危機後、欧米諸国やトルコが、2018年10月のサウジ人ジャーナリスト・カショギ氏のサウジ・イスタンブール領事館における殺害事件で滞っていたサウジの実質的指導者ムハンマド・ビン・サルマン(通称MBS)皇太子との関係修復に一斉に動き出した。3月には当時のジョンソン英国首相、4月には一時ほぼ絶交状態にあったエルドアン・トルコ大統領(6月にはトルコで会談)、7月にはバイデン米大統領、9月にはシュルツ独首相がサウジを訪問し、7月には、マクロン仏大統領がエリーゼ宮にMBS皇太子を迎えて会談し、欧米首脳のほとんどが原油の生産・供給増を訴え、MBS皇太子は、対欧米首脳との関係で、ロシアのプーチン大統領との関係を損なうことなく、これまでの弱い関係から一挙に強い立場に躍り出た。MBS皇太子は、11月には韓国を訪問し、ユン大統領と会談し、ビジョン2030の象徴的メガプロジェクトともいうべき、5千億ドル規模のNEOMプロジェクトへの韓国の参加への意思を確認し、12月には、習近平中国国家主席を招いて二国間会談、GCC中国首脳会談、アラブ中国首脳会談をアレンジし、中国をはじめとするアジア重視の姿勢を鮮明に打ち出していた。そうした中で、MBS皇太子は、11月日本訪問の観測があったにもかかわらず、日本には来訪せず、カタールでのFIFAサッカーワールドカップ開会式に出席し、日本のエネルギー外交は、周辺国との比較で立ち遅れているのではないかとの懸念も生じていた。石油資源国サウジアラビアは、石油売却代金を投資資金として、サウジの政府系ファンドである公的投資基金(PIF)が中心になり、経済の多角化、若者たちや女性への雇用の機会拡大に取り組んでいる。そして、次世代の産業基盤となる水素やアンモニア燃料製造の拠点となることを狙っている。サウジにはふんだんな太陽光照射があり、再生可能エネルギーを使用し、水を電解して得られるグリーン水素、ならびにそこで得られるグリーン水素と窒素を反応させて得られるグリーン・アンモニアの生産に競争力があるとみられている。さらに、化石燃料を燃やして排出されるCO2の貯留にも適した地下岩盤が存在するため、その過程で得られるブルー水素、ならびにブルーアンモニアの生産にも優位性がある。こうした中、遅ればせの感はあっても、水素やアンモニア燃料の開発や運搬手段で優れた技術を有する日本企業がサウジアラビアと連携するメリットは大きいと考えられる。サウジアラビアは、2024年を目途にRHQ(地域統括会社)免許の取得を外国企業に働きかけている。RHQ免許取得には、2つ以上の国で地点や営業拠点を有する多国籍企業であることや、15名以上の常勤スタッフの存在が条件になるとされる。この免許を取得しない場合には、サウジの政府調達から排除されることが懸念される。サウジとのエネルギー関係強化の窓は今回の経産大臣のサウジ訪問で開かれたが、日本の中東進出企業の大半は、ドバイに地域統括拠点を置いており、UAEとの関係を維持させながら、サウジの新たな要求にどう対処するのか、日本政府・経済界の知恵が問われている。

Posted by 八木 at 11:25 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

(締め切り間近)敬愛大学総合地域研究所オンラインシンポジウム 「平和をつなぐ ―いま、自治体が果たす役割―」のご案内[2022年12月04日(Sun)]
本日は、中東国政政治の専門家でもある水口章教授が所長を務める敬愛大学総合地域研究所実施のオンラインシンポジウムのご案内です。ご関心のある方はぜひ、下記敬愛大学関係サイトへのリンクからご応募願います。ウクライナ危機で、世界が揺れ動いている今日、自治体の役割とその外交に焦点をあてたタイムリーな企画です。12月5日が締め切りとなっていますので、お見逃しのないように。
MEIS運営者

★講演内容
2022年12月9日(金)13:00〜16:00
(Zoomにて開催)https://www.u-keiai.ac.jp/events/20221118/

(趣旨)2022年、国際社会ではロシアのウクライナ侵攻や東アジアでの軍事的緊張が見られており、第二次世界大戦後、人々の恒久平和への思いを改めてつなぎとめる必要が生じています。本シンポジウムでは、国レベルで分断された国際社会のなかで生きる私たちが、どのように平和への思いを世界のなかでつなぎとめ、次世代につないでいくのか、自治体の活動に注目して検討します。
(講演者等)
あいさつ 水口章 敬愛大学国際学部教授 総合地域研究所所長
高田洋子敬愛大学特任教授 「戦争と私たちの暮らし」
第一部 基調報告
小泉崇 広島平和文化センター理事長
「世界恒久平和の実現を目指す平和首長会議の取組」
武藤博己 法政大学名誉教授
「日本の自治体の平和への取り組みー自治体外交の意味―」
第二部 暮らしの中で平和をつなぐ
千葉県知事 熊谷俊人からのビデオメッセージ
自治体の取り組み事例紹介
視聴者を交えた意見交換
閉会  中山幸夫敬愛大学学長
(申込締切日) 2022年12月5日(月)
(申し込みサイト)https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeNO9_qV5LgPEKMhsMw2FSvl8y36rNmg8sep9ksJ5W4EvKqbw/viewform

Posted by 八木 at 10:01 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)