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宇宙を目指すエルドアン・トルコ大統領の野望−進むロシアとの協力− [2021年03月31日(Wed)]
(投稿者)拓殖大学非常勤講師、当研究会会員 新井春美

トルコのエルドアン大統領が、2023年までに月面に着陸することを含む宇宙プログラムを推進していくと発言した(2021年2月 11日)ことが、ヨーロッパ諸国のメディアで取り上げられた。ひと昔前であれば、こうした発言は夢の話にすぎないとして大して注目されることはなかったかもしれない。しかし最近のトルコの技術、とくに兵器や装備開発といった軍事技術の発展は目覚しいものがあり、無視できなくなっている。2020年夏に勃発したアルメニアとアゼルバイジャンの紛争では、トルコ製ドローンの活躍がアゼルバイジャンに勝利をもたらしたと言ってよい。ドローン以外にも、国産戦車や攻撃型ヘリなどの開発、実用化が着々と進んでいる。こうした状況を鑑みれば、トルコの宇宙進出が近いうちに実現する可能性は低くない

NATO加盟諸国が懸念しているのは、トルコがロシアからミサイル防衛システムを購入したためにトルコと他の加盟国間の関係がぎくしゃくし、解決の緒が見えないことだ。そしてそのロシアがトルコの宇宙分野でのパートナーになりつつある。両国の話し合いが、積極的に進められていることが明らかにされている。

宇宙での戦争はもはやSF映画の世界の話ではなく、各国は宇宙進出にしのぎを削っている。このため宇宙利用に関しては、新たな国際的なルールや枠組み作りも急がれているところだが、実際には「早い者勝ち」の様相を帯びつつある。

トルコはこのままロシアをパートナーとしていくのか、あるいはNATOの一員として他の加盟国とも協力を進めていくのか、それにはトルコとヨーロッパ諸国の関係改善が前提となる。「宇宙情勢」は大きな岐路に差し掛かっているといえよう。

Posted by 八木 at 11:24 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イランと中国の25年間の戦略的パートナーシップ締結[2021年03月29日(Mon)]
王毅中国外相は中東歴訪6か国の外遊の3番目の訪問国として、イランを訪問した。王毅外相は、サウジ、トルコ訪問を終え、イランのあと訪問するのは、UAE、バーレーン、オマーン。王毅外相は、3月27日に、イラン・中国外交関係樹立50周年記念式典に出席したほか、今後25年にわたる戦略パートナーシップに署名した。合意文章は公表されていないが、ニューヨークタイムズなどによれば、昨年報道されたドラフトとほとんど相違がない趣き
(プレスTV解説)blob:https://www.presstv.com/73e4bd85-e07c-407b-a9b9-14e7289a691a

(関連報道)
●2020年7月5日、ザリーフ・イラン外相は中国との戦略的パートナーシップ交渉は「秘密ではない」と発表した。外相は、さまざまな分野への投資に関して、「確信を持って、中国と25年間の戦略的合意を交渉している、北京との進行中の交渉には何も秘密はなく、合意達成次第、公表される、と述べていた。

●中国外相のイラン訪問は、イランが中国との間の協定案の最終草案を承認したことをうけて行われることになった。イラン政府のスポークスマン、アリー・ラビエイ氏は、政府は直近の閣議で、イランと中国の間の25年間の包括的協力協定の最終草案を承認したと述べていた。

(コメント)
イランは、米国と貿易戦争を戦い、また、米国の人権批判や内政干渉を行っていると反発する中国や、世界の金融支配を通じて他国の取引を管理し、中国同様米国の人権批判に反発するロシアに、米国が支配する金融システム外での取引に期待をかけている。たとえば、自国通貨やドル以外の通貨バスケットによる取引の推進である。中でも、中国とは、25年間のイラン・中国戦略的パートナーシップを結ぶ協議を昨年来続けてきた。

(戦略的パートナーシップについて)
●パートナーシップ合意文自体は発表されていないが、ドラフト段階の主要点は次のとおり。
1. イラン政府は、中国との間で総額4千億ドル相当の25年間の経済・安全保障の戦略的パートナーシップ合意の締結する(発効には議会承認が必要)。

2.合意の柱
@中国が、イランの石油、ガス、石油化学セクターの開発に2800億ドルを投資(当初5年間。のち追加投資ありうる)。
A中国が、イランの輸送、製造インフラ整備のために1200億ドルを投資(当初5年間。のち追加投資ありうる)
3.合意のメリットとデメリット
(1)イラン
(ア)メリット
•米国の経済制裁に対する防波堤が確保できる
•米国がイラン核合意への復帰に二の足を踏んでいれば、イランは、中国との結びつきを一層強め、核合意なし(すなわち、経済制裁の解除なし)でも国民経済を維持することができるとのメッセージを内外に発信することになる
•懸案のサウス・パース・ガス田の開発が加速される
•中国が、北アサデガンや西カロン油田からの原油生産量を2020年末までに50万b/d増やす。また、イラクと共有している西カロン油田の原油回収率を現在の5%から2021年末までに25%に増やすこと、ならびに中国が、イラン産原油の輸入量を米国の制裁にもかかわらず増やす
•中国の治安部隊5千名がインフラ防衛のため駐屯することによって米軍あるいは、イランにとっての潜在的な敵対国に対する抑止力となる

(イ)デメリット
• 中国にイラン経済の根幹部分を全面的に依存することになる。
• 仮に米国の経済制裁が緩和されても、欧米企業がイラン進出に慎重になる可能性がある。

(2)中国
(ア)メリット
•イランを巻き込むことで、中国の一対一路構想実現に向けての強力な足がかりを得ることになる
•石油・ガス田開発、石化プロジェクトにおいて、中国企業は優先買取権を付与される。
•イラン国内の中国プロジェクトを保護する目的で、5千人規模の治安要員がイラン国内に駐屯する。また、石油、ガス、石化製品の輸送のため、必要があれば、追加治安要員が派遣され、イラン国内に中国権益確保の要員を駐屯させる口実ができた。
•中国は、すべてのイラン産石油、ガス、石化製品を過去6か月のベンチマーク平均価格から12%割引で購入できる。さらにリスク調整割引、為替変動割引を利用すれば、最大32%割引で購入可能。
•中国は、イラン産品・製品の支払いを最大2年間猶予される。
•中国は、必要に応じ、支払いを人民元またはソフト通貨(アフリカの通貨や、旧ソ連圏の通貨)で支払うことが可能になる。
•中国は、イラン国内で、安価な労働力を利用して、中国国内と同じ仕様、運用で、中国の大手製造企業が設計、管理する工場建設が可能になる。
•中国は、イラン国内の鉄道プロジェクトにも関与しており、テヘランとマシュハドを結ぶ900kmの鉄道の電化事業の契約を結んでいる。さらに、テヘラン・コム・イスファハンを結ぶ高速鉄道にも関与する可能性がある。この鉄道網をタブリーズを経由して、延長する計画がある。

(イ)デメリット
●イランとの関係強化で、中国の人権問題への対応や貿易面で対立が生じている米国との関係が一層悪化する可能性がある。
●イランの域内での影響力拡大を懸念するサウジやUAEの不安に対処する必要が生じる(但し、王毅中国外相は、サウジ、UAEも訪問しており、両国と直ちに緊張関係が拡大することはない。また、サウジは、米国の人権批判にさらされており、米国の対応如何によっては中国との関係強化をちらつかせることができるので、イランを理由に中国との関係を悪化させることは当面考えていないとみられる)
https://www.presstv.com/Detail/2021/03/26/648124/China-foreign-minister
https://www.presstv.com/Detail/2021/03/27/648172/Rouhani-Wang-Yi-Iran-China-cooperation-US-terrorism-JCPOA-coronavirus
https://www.presstv.com/Detail/2021/03/27/648176/Iran-China-dashed-US-bid-to-isolate-Tehran

Posted by 八木 at 11:29 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

3月23日は、イスラエルで過去2年間4度目となるイスラエル総選挙[2021年03月23日(Tue)]
本3月23日はイスラエルで全国区の比例代表制によりイスラエルの国会であるクネセト議員の議席(定数120)を争う総選挙が実施される。イスラエルでは2019年4月と9月に総選挙が実施されたが連立工作に失敗し、その後、2020年3月の総選挙後、リクードとガンツ代表が率いる「青と白」の大連立でネタニヤフ氏が率いる政権が発足した。しかし、政権は、予算案を巡る対立で昨年12月にクネセトを解散した。過去2年間で4度目の総選挙となる。イスラエルの総選挙は、1948年の建国以来、単独過半数を獲得した政党はない。
ネタニヤフ首相の続投が焦点で、リクードを率いるネタニヤフ首相は、(1)新型コロナワクチンの人口当たり接種率世界最速と国民の生活を正常化させるグリーン・パスの発行、(2)2020年後半のアラブ諸国4か国との国交正常化、の実績を掲げ、総選挙に臨む。追い風の一方で、昨年リクードを離党したサール元内相の右派新党「新たな希望」立ち上げで、保守分裂が起きており、さらに、自らが抱える汚職疑惑も懸念材料である。検察は収賄、詐欺、背任の罪で2019年にネタニヤフ首相を起訴し、2020年に初公判が開かれている。
1.新型コロナ・ウイルスへの対応
(1)イスラエルは世界最速のワクチン接種実施国
●国・地域別の人口100人あたり累計接種回数(3月22日更新)
第一位 イスラエル107.0回
第二位 UAE73.5回
第三位 英国44.7回
第四位 チリ44.7回
第五位 米国37.5回
(2)国民生活正常化への取り組み
●保健省によるグリーンパス等の発行
@ワクチン接種証明書:予防接種証明書は、2回目の接種を受けたことを確認する公式文書。 2回目のワクチン接種を受けた場合は、証明書を申請することができる。 2回目の接種後1週間後から6ヶ月間有効。
Aグリーン・パス:グリーンパスは、2回目のワクチン接種またはコロナからの回復を確認する公式文書。 回復証明書または予防接種証明書の資格がある場合は、グリーンパスを申請できる。 ワクチン接種を受けた個人のパスは6か月間有効。 回復証明書所持者は、2021年6月30日まで有効
・ジムとスタジオ
・プール
・レストランやカフェ
・ホテル
・スタジアム、ピッチ、スポーツイベント、会場
・劇場、映画館、文化施設
・文化行事
・展示会(美術館以外)
・イベントガーデン
・アトラクション
・男性のためのミクヴェ(ユダヤ教において、水槽に浸る行為)

Bコロナ回復証明書:回復証明書は、COVID-19ウイルス感染がなくなったことを確認する公式文書。 この証明書は、回復したコロナ・ウイルス患者であったすべての人に与えられ、2021年6月30日まで有効。
https://corona.health.gov.il/en/green-pass/

2.2020年後半のアラブ諸国4か国との国交正常化
●イスラエルは、1979年のエジプト、1994年のヨルダン後ながらく、アラブ諸国との関係正常化は実現しなかったが、トランプ政権の働きかけもあり、2020年以下の4か国が新たにイスラエルとの国交正常化に踏み切った。今回の総選挙直前にネタニヤフ首相は、UAEに乗り込んで、国交正常化を実現した取り組みを国民にアピールしようとしたが、ヨルダンが特別機の領空通過を認めなかったことを理由として、選挙前の訪問を断念した。
2020年8月13日 UAEがイスラエルとの国交正常化発表
2020年9月11日 バーレーンがイスラエルとの国交正常化発表
2020年9月15日 ホワイトハウスで、UAE、バーレーン、イスラエル、米国間の「アブラハム宣言」に署名
2020年10月23日 スーダンがイスラエルとの国交正常化発表
2020年12月10日 モロッコがイスラエルとの国交正常化発表

Posted by 八木 at 11:11 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

ローマ教皇の古代都市ウル訪問の意味[2021年03月10日(Wed)]
3月6日、イラクを訪問中であったフランシスコ・ローマ教皇は、預言者アブラハム生誕の地であると信じられている古代イラクの都市にある巨大なシュメール神殿があるウルのジグラット(神殿)で異なる宗教間の融和行事に臨んだ。MEEがウル訪問の見ごたえのある写真を公開しているので、URLを紹介する。
https://www.middleeasteye.net/news/pope-francis-visit-ur
(MEEの関連記事)
●教皇のウルでの行事は、世界が注目する中、ウルの考古学的な価値を浮き彫りにし、歴史的な教皇の訪問の中で最も重要な瞬間の1つとなるように設定されていた。
●ウルはイラク南部のジーカール県にあり、県都ナシリヤから17kmの場所にある。エリドゥ、ギルス、ラガシュと並んで、この県にある4つの古代シュメールの都市の1つである。ウルはシュメール人の首都であり、彼らが灌漑システムを開発し、洗練された農業手法を実践し、メソポタミア周辺の都市と広範囲に交易した場所であった。
●かつて楕円形だったこの街は、紀元前3800年にまでさかのぼると考えられており、最初は1千年以上後にテキストで記録された。もともと、ウルはイラク南部のユーフラテス川の河口の位置にあった。しかし、何世紀にもわたって地形は大きく変化し、現在は川の南岸から離れた内陸に位置している。
●19世紀になると、欧州の考古学者は、聖書や他の古代のテキストで言及されているように、テルアルムカイヤルの遺跡をウルの街と結び付け始めた。英国の副領事であるジョン・ジョージ・テイラーは、1853年に大英博物館に代わってジッグラト神殿の発掘を始めた。1922年、英国の考古学者であるレオナード・ウーリー卿が最も大規模な発掘調査を行い、10年間に泥レンガで造られた16の王墓を発見した。
●ジッグラトは、泥レンガの3層の固い塊と、瀝青にセットされた焦げたレンガの表層で構成されている。 下の層は元の構造の一部であり、上の2つの層は紀元前6世紀の新バビロニアの修復物の一部である。
●寺院は、ウルの守護神である月の神ナンナールに捧げられている。その表層と記念碑的な階段は、1980年代にサダムフセインの下で復元された。
●聖書では、ウルという名前の都市は、紀元前2千年紀に住んでいたと考えられているユダヤ人、キリスト教徒、イスラム教徒の信仰の総主教であるアブラハム(アラビア語でイブラヒーム)生誕の地であると言われている。
●20世紀初頭の発掘調査中に、ウーリー卿は、アブラハムという名前の付いたジッグラトに隣接する複合構造物で円筒形のシールを発見した。紀元前1900年頃に建てられたこの複合構造物は、アブラハムの家であると彼は信じるようになった。
●ナシリヤ文明博物館の館長であるアメル・アブドルラザックは、ウルがアブラハムの生誕の地である限り、それは世界中のすべての人々、すべての宗教にとって重要な場所である。この場所を訪れることは、キリスト教の巡礼者にとって非常に重要である。何年もの間、エルサレムの聖墳墓教会とウルとの間に巡礼路を設けるための計画が滞っていた、と語った。
●何年にもわたる内政不安により、イラクのキリスト教徒の人口は大幅に減少した。 2003年時点では、イラクの4,000万人のうち150万人がキリスト教徒であった。今日、キリスト教徒の人口は約150,000〜400,000人とみられている。バスラのカルデア教会の大司教であるハビブ・ホルムズは、教皇フランシスコの訪問がキリスト教徒の帰国を促すことを望んでいると述べたが、彼らの帰還を促すには、さらに多くのことを行う必要があるとして、教皇の訪問後も、治安、良好なインフラ、法執行、正義、人権の尊重の進展が見られない限り、キリスト教徒が帰国するかどうかはわからない、と語った。
https://almasalah.com/ar/news/61378/%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%B3%D9%84%D8%A9-%D9%81%D9%8A-%D8%A8%D9%8A%D8%AA-%D8%A7%D9%84%D9%86%D8%A8%D9%8A-%D8%A5%D8%A8%D8%B1%D8%A7%D9%87%D9%8A%D9%85-%D9%85%D9%86-%D9%87%D9%86%D8%A7-%D8%A8%D8%AF%D8%A3-%D8%AA%D8%A3%D8%B1%D9%8A%D8%AE-%D8%A7%D9%84%D8%AA%D9%88%D8%AD%D9%8A%D8%AF

(コメント)昨年9月15日、ワシントンD.C.のホワイトハウスで、トランプ大統領がネタニヤフ・イスラエル首相とアブドッラーUAE外相、ザヤニ・バーレーン外相と署名した関係正常化のための宣言文書は、「アブラハム合意」宣言と呼ばれている。アブラハムは、一神教の父と呼ばれ、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒すべてに共通する預言者である。預言者とは、神の言葉を預かられた人という意味で、イスラム教の聖地メッカのグランドモスク内のカーバ神殿の前にもイブラヒーム(アブラハムをアラビア語で表記するとイブラヒームとなる)の足跡があるモニュメント(マカーム・イブラヒーム)が祀られている。ユダヤ教徒は、アブラハムが、神から現在のイスラエルに位置するカナンの地を与えられたと信じている。
https://vid.alarabiya.net/images/2017/01/23/ef2ee2e1-7b15-4dd9-bbfe-127654dc6453/ef2ee2e1-7b15-4dd9-bbfe-127654dc6453.jpg
https://english.alarabiya.net/features/2017/01/23/The-story-behind-Abraham-s-shrine-at-the-Kaaba

Posted by 八木 at 11:07 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

韓国・イランは凍結イラン資産の一部を新型コロナ・ワクチン供給による返済で合意[2021年03月09日(Tue)]
KBSならびにイラン国営通信などによると、韓国は、トランプ政権下で、凍結させていたイラン資産の一部を、自国内で製造しているアストラゼネカ・ワクチンのイランへの供給を通じて返済することで合意した模様。韓国は、イラン産原油の主要輸入国の一つであったが、トランプ政権が宣言した2019年5月以降のイラン産原油輸入による第三国への金融制裁を回避するため、イランに支払うべき代金70億ドル分を韓国の銀行内に凍結していた。トランプ政権下でも、医薬品や人道的物資のイランへの輸出は、禁止されてはいなかったが、事実上、貿易停止状態に置かれていた。韓国側は、事前に米政府に連絡をとり、凍結イラン資産の一部解除につき、米国の了承を得ていた趣き。本年1月、韓国のケミカル・タンカーが、イランのIRGCに拿捕(下記URL参照)され、船員の一部は解放されたが、船と船長は解放されておらず、イラン韓国間の外交問題に発展していた。同問題の解決に向けても、良い影響が期待される。
https://blog.canpan.info/meis/monthly/202101/1
(参考1)イランは韓国からアストロゼネカ・ワクチン調達
イランは韓国で製造されるアストラゼネカ(AstraZenaca)ワクチンを300万回分以上輸入する予定である。
3月8日のイラン国営通信社IRNAによると、イランの保健省は、世界保健機関が支援する世界的なワクチン供給プロジェクトCOVAXファシリティを通じて、今年韓国からアストラゼネカのワクチンを310万回分輸入すると発表した。先月、同省は、イランが今年、COVAXファシリティを通じてアストラゼネカ・ワクチンを420万回分を輸入すると発表していた。
アストラゼネカとオックスフォード大学が共同で開発したワクチンは、韓国のSKBioscienceを含む世界中の12のサイトで製造されている。
イラン保健省は、韓国の食品医薬品安全省がアストラゼネカ・ワクチンの安全性を検証したと述べた。 先月、イラン保健省は韓国が製造したワクチンの使用について緊急許可を与えた。
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=e&Seq_Code=160020

(参考2)韓国の銀行に凍結されていたイラン資産解放の動き
イラン中央銀行によると、韓国のイランに対する債務総額は70億ドル。トランプ(前)大統領が包括的共同行動計画(JCPOA)から撤退した後、2018年以降、米国がイランに制裁を課した後、韓国はソウルの銀行とともに70億ドルのイラン資産を凍結した。
イランは、米国との交渉を行うことなく、食品や医薬品を含む制裁下にない商品をバーター(物々交換)メカニズムを利用することができる。
イラン保健省は韓国にCOVID-19のワクチンを含む医薬品のリストを提示示、リストは韓国が債務を支払うために使用できると付け加えた。
韓国外交部は、資金の一部を解放することでワシントンと合意に達したと発表していた。韓国の外交部とイラン中央銀行の当局者は、米国財務省の承認後、金額とその送金メカニズムに関する合意を発表した。
ヘマティ・イラン中央銀行総裁によると、合意に基づいて、最初に10億ドルが解放され、その一部は、イランの延滞金1,600万ドルを手当てするために国連に支払われることになる。
さらに、イランと韓国は、トランプ政権の承認を受けて2020年2月に設立されたスイス人道貿易協定(SHTA)が提供するチャネルを通じて、さらに多くの資金を移転することに合意した。
https://en.irna.ir/news/84244993/South-Korea-to-pay-Iran-s-frozen-funds-based-on-requested-items

Posted by 八木 at 10:51 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

スイスで「ブルカ禁止」国民投票案が僅差で可決 [2021年03月08日(Mon)]
3月7日、スイスで実施された国民投票で、公共の場で顔を覆い隠す服装を禁止する案が賛成51.2%、反対48.8%の僅差で可決された。表面上は、ムスリム女性の衣装を特定していないものの、禁止対象にはムスリム女性が顔全体を覆うブルカや顔を覆い目だけを出すニカーブなどが含まれる。

有権者のうち、1,426,992人が禁止に賛成し、1,359,621人が反対するという僅差の投票結果であった。スイス政府は、案に反対するとの立場を表明していた。

イスラム教中央委員会は、今日の決定は古傷に触れ、法的不平等の原則をさらに拡大し、少数派のイスラム教徒を排除するという明確なシグナルを送るものだ」と、声明で述べた。

この案は右派のスイス国民党(SVP)が提案したもので、同党は「過激主義を止めろ」と主張するスローガンを含むポスターを掲げていたが、イスラム教徒と過激主義を結びつけていたのは明らかであった。
https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/1546C/production/_117484178_066080821.jpg
この案は、レストラン、スポーツスタジアム、公共交通機関、または通りを歩く際など公共の場所で顔を覆うことを禁止することを規定している。一方、宗教的な場所や、COVID-19から保護するために人々が現在着用しているフェイスマスクや、伝統的なカーニバルのお祝いなど、セキュリティや健康上の理由から、例外が予想されている。当局は実施細目の法律を作成するまで2年の猶予がある。

ルツェルン大学の推定によると、スイスでは実際にブルカ(顔も覆う全身ベール)を着用している人はおらず、ニカーブを着用しているのは約30人の女性だけであるとのこと。 ムスリムは、860万人のスイスの人口の5%を占めており、そのほとんどはトルコ、ボスニア、ヘルツェゴビナ、コソボにルーツがある。

仏は2011年にフルフェイスのベールの着用を禁止し、デンマーク、オーストリア、オランダ、ブルガリアではフェイスカバーの着用を全面的または部分的に禁止している。
https://www.aljazeera.com/news/2021/3/7/swiss-look-set-to-approve-ban-on-facial-coverings
(参考)BBCは、ムスリム女性が着用する様々なべールは、@ブルカ(体や顔を完全に覆うタイプ。目元はメッシュカバーで覆われている)、Aニカーブ(顔を覆うタイプ。目元は見える)、Bヒジャーブ(頭と首を覆うスカーフ)、Cヒマール(髪の毛、首、肩を覆うケープ型のもの)、Dアル・アミラ(ツーピースのヘッドスカーフ)、Eシャイラ(頭に巻く長いスカーフ)、Fチャドル(全身を覆うマント型のもの)を紹介している。日本語版記事の図を参照
https://www.bbc.com/japanese/56316923

Posted by 八木 at 15:36 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

メッカ巡礼者に適用される見通しが高まるコロナ・パスポート[2021年03月08日(Mon)]
サウジアラビアのタウフィーク・アル・ラビーエ(Tawfiq al-Rabiah)保健相は、本年7月に予定されるイスラム教徒にとっての5日間の行である大巡礼(ハッジ)に参加するすべての巡礼者にはCovid-19に対する「強制的予防接種」が必要であると述べた。サウジアラビアは、王国外からの巡礼者がメッカ巡礼を行うことを許可されるかどうかを明確にしなかったが、ワクチン接種が参加の「主な条件」になると述べた。サウジでは、昨年7月の宗教的義務である大巡礼の参加者をサウジ王国内の1000名に限って実施していた(参考1)。昨年10月には、宗教的義務ではない小巡礼(ウムラ)が再開された(参考2)。人口比でワクチン接種が世界で最も進んでいるイスラエルでは、すでに公共の施設入場の際に、コロナ・グリーンパス(ワクチン接種証明書)の提示が求められており(参考3)、新型コロナ・ワクチン接種の有無が、人々の旅行、行動に今後大きく影響する可能性が広がっている(但し、イスラエルはグリーン・パス所有者の海外旅行を推進しようとしているが、ジェルサレム・ポストは、グリーン・パスを有するイスラエル人旅行者を認めている国は、3月7日時点では、ジョージアだけであると報じている)。
(MEEオンライン)https://www.middleeasteye.net/news/hajj-saudi-arabia-covid-vaccine-pilgrims-must
(JPオンライン)https://www.jpost.com/israel-news/coronavirus-georgia-only-country-to-recognize-green-passports-report-661180
(参考1)2020年のハッジの模様(AFPを引用したMEE記事。記事掲載の写真に注目
@ ハッジ(大巡礼)は毎年5日間の巡礼であり、通常、何百万人(注:2年前は外国人巡礼者約250万人)ものイスラム教徒が世界中からサウジアラビアの聖地メッカに旅行する。今年(2020年)は、コロナウイルス(AFP)の蔓延を防ぐため、巡礼者の数を1,000人に制限した。

A ハッジはイスラム教徒にとっての義務である5行の1つ。身体的および経済的に能力のあるイスラム教徒は、生涯に少なくとも1回はそれを実行しなければならない。サウジアラビアは今年の巡礼者(1000人のうちから)、巡礼者の3分の2は王国の外国人居住者、3分の1は王国の治安および医療スタッフから選んだ。

B 巡礼への参加者は、オンラインポータルを介して選ばれ、20〜50歳である必要があった。免疫不全、末期疾患、またはコロナウイルス症状を示す人は誰でも参加を禁じられた。

C ハッジの最初の儀式の間に、イスラム教徒は神への祈りを暗唱しながらカーバ神殿を反時計回りに7回周回する。イスラム教徒は、世界中のどこにいても、毎日5回の祈りを捧げるときにマスジド・ハラームとして知られるメッカのグランド・モスクに位置するカーバ神殿の方向を向いている。社会的距離を維持するために、巡礼者は地上の指定された線を使用してカーバ神殿を周行するように求められた。

D 巡礼者には、メッカ巡礼中に着用するための独自の祈りの敷物と特別な服装も与えられた。サウジアラビアは、巡礼者にバクテリアを殺し、衣服を耐水性にするのを助けるために銀ナノテクノロジーを組み合わせた服装を与えた。

E 巡礼は通常、世界中から少なくとも250万人を引き付ける。

F 巡礼者はペットボトルに詰められた聖なるザムザムの水のみを飲むことができ、通常メッカ巡礼のルートで拾われる小石は事前に滅菌され、袋に入れられる。ハッジの儀式の一環として、アブラハムがサタンを拒絶したことにちなんで、メッカの東にあるミナの3本の柱に向けて小石が投げつけられる。)

G 巡礼者が安全な距離にとどまるのを助けるために、社会的距離のステッカーもメッカのグランド・モスクのさまざまな部分に貼られている。

H サウジ・メディア省からの配布資料の写真は、巡礼者が他の巡礼者からそれらを分離する色付きのリングに沿って色付きの傘を持っていることを示している。

➉メッカのグランド・モスクは3月から閉鎖されていた。清掃チームは、グランド・モスクのタワーフエリア(巡礼者がカーバ神殿を一周する場所)を定期的に消毒する。
https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-hajj-2020-saudi-arabia-muslim-pilgrims-mecca

(参考2)ウムラ解禁
2020年10月、サウジアラビア当局はコロナウイルスの制限を緩和し、何千人もの巡礼者がメッカのグランド・モスクに立ち入り、7か月ぶりに一年中行うことができるより小巡礼と呼ばれるウムラを行うことを許可した。
巡礼者はメッカとメディナの都市を訪問することを許可されたが、コロナウイルスの拡散を防ぐためにさまざまな制限が設けられていた。医療従事者はグループに同行し、緊急時には医療チームが立ち会いことになった。その他、巡礼者がカーバ神殿(注:神殿の一角に黒石があり、巡礼者はそれに接吻するのが常になっていた)に触れることを禁止することが含まれる。

(参考3)イスラエルのコロナ・グリーンパス(NHK報道骨子)
@イスラエルでは、去年12月中旬から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、世界でも速いペースで接種が進んでいる。イスラエルは、接種を2回受けてから1週間以上経過したことを示す証明書「グリーン・パス」を発行した。
A「グリーン・パス」は、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたことを示すイスラエルが発行する証明書で、2月21日からワクチン接種を2回受けた人なら誰でも証明書を受け取ることができる。イスラエルでは、政府の公式ウェブサイトで自身のIDカードの番号や電話番号を入力することで発行されるほか、政府が開発したスマートフォンの専用アプリでも表示できるようになる予定。
Bインターネットを使わないユダヤ教の教えを厳格に守る「超正統派」と呼ばれる人たちや高齢者は、公的な保険機関の窓口などで受け取ることができる。
Cグリーン・パスはスポーツジムやプール、それにイベント会場などで提示が義務づけられていて、利用にあたっては施設側が専用のアプリで利用者のグリーン・パスに掲載されているQRコードを読み込むと、ワクチンの接種時期などについて確認できるようになっている。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210224/k10012882101000.html

Posted by 八木 at 10:22 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イラク訪問中のローマ教皇とシーア派最高権威であるシスターニ師との会見[2021年03月07日(Sun)]
3月6日、前日から歴代教皇としては初めてイラクを訪問中のローマ教皇フランシスコは、イラク・シーア派の聖地であるナジャフでイラク・シーア派最高の権威である大アヤトラ・アリー・シスターニ師との間で50分間に及ぶ「歴史的な」会見を行った。そこでは、両者は宗教的寛容へのコミットメントを強調した。
(参考)ナジャフとは:イスラム教4代目正統カリフでシーア派初代イマームである預言者ムハンマドの甥で娘婿であるアリーの廟があり、シスターニ師の本拠でもある。
●シスターニ師が外国要人と会見することはめったにないが、宗教間対話の率直な支持者であるフランシスコ教皇の会見を受け入れた。シスターニ師との会見実現には、半年間の調整を要したとされる。
●宗教間対話の強力な支持者である教皇フランシスコは、バングラデシュ、モロッコ、トルコ、アラブ首長国連邦など、イスラム教徒が多数を占めるいくつかの国でスンニー派の聖職者トップと会見してきたが、世界で2億人を占めるシーア派(イスラム世界内では少数派ながら、イラクでは過半数を占めている)宗教指導者トップと会見するのは初めて
●シスターニ師は5歳で宗教学を始め、1990年代にシーア派の聖職者の仲間入りをしてシーア派最高権威である大アヤトラに登りつめた。サッダーム・フセインが政権を握っている間、彼は何年も自宅軟禁で苦しめられたが、2003年のサッダーム政権崩壊後、イラク・シーア派に最も影響力を有する宗教指導者として、公的役割を担い、2014年6月のISISのカリフ国宣言に対しては、ISISを打倒し、イラクを過激派の支配から救うために公式動員勢力(PMF、PMU、ハッシュド・シャアビィともいう)立ち上げを呼びかけた
(ローマ教皇のイラク訪問マップ)https://www.aljazeera.com/wp-content/uploads/2021/03/INTERACTIVE-POPE-VISIT-TO-IRAQ2_1-x-1-with-photos.jpg?w=770&resize=770%2C770
(関連記事)https://www.middleeasteye.net/news/pope-francis-meets-iraqs-top-cleric-ali-sistani-historic-meeting
(参考)ローマ教皇とイスラム世界とのこれまでの接触
1.ローマ教皇とイスラム世界との接触を振り返りたい。パウロ6世は1964年に最初の聖地巡礼を行い、ヨハネ・パウロ2世は2001年にモスクに足を踏み入れた最初の教皇であった。フランシスコ教皇は、在任開始後トルコからパレスチナ、エジプト、ヨルダン、バングラデシュ、中央アフリカ共和国やアラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、現場のモスクでイスラムの指導者と共に祈り、二つの信仰の崇拝者たちの間の寛容と平和を呼びかけてきた
2.2019年2月3日夜、ローマ・カトリック教会の第266代教皇であるフランシスコ教皇は、就任後初めてアラビア半島に足を踏み入れ、UAEを訪問した。空港では、UAEの実質的な最高指導者であるシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン(通称MBZ)アブダビ皇太子兼UAE国軍副司令官(注:UAEのトップ兼国軍最高司令官はハリーファ大統領であるが、行政の執行は弟のMBZに委ねている)による出迎えを受けた。教皇は3日間のUAE滞在中、アブダビのザーイド・スポーツシティ・スタジアムで約13万5千人の信者を対象にミサを行い、2月3日から2日間の日程で、2019年を「寛容の年」として宣言したUAEのアブダビにおいて開催されている「人類の友愛に関する世界会合」に出席した。同会合出席の機会に、フランシスコ教皇は、イスラム世界での最高の宗教的権威のひとつであるエジプトのアズハル機構を代表するシェイク・アハメド・アル・タイイブ・グランド・イマームとも会合した。
3. 湾岸諸国が、宗教対話を主導するのは今回が初めてではない。2007年11月には、アブドッラー・サウジ国王がバチカンを訪問し、ローマ教皇と対話した。翌2008年6月、アブドッラー国王は、メッカにおいて、イランのラフサンジャニ元大統領をはじめとするシーア派代表も招き、イスラム対話を実施。その成果を踏まえ、7月には、イスラム、キリスト、ユダヤ教の融和を目的とする世界宗教対話会合をマドリッドで開催した。それは、同年11月の国連における世界信仰対話会合の開催に結びついた。日本も河野洋平外務大臣のイニシアティブの下、外務省が2002年に「イスラム世界との文明対話」との称する対話を開始し、板垣雄三東大名誉教授らが中心となり計8回対話会合を実施した。文明間対話サウジ会合では、対話出席者へのアブドッラー国王による接見が実現した。
4.ここ数年間は、イスラム世界との間で、スンニー派の代表格であるサウジとシーア派世界を代表するイランとの確執が目立っているが、アブドッラー国王時代は、イランとの間で様々な問題を抱えつつ、イランとの間でも必要以上に関係が悪化しないよう努めてきたことが伺われる。今回のフランシスコ教皇のイラク訪問が、異なる宗教間、民族間の融和を促し、緊張と対立を緩和させるきっかけとなることが期待される。

Posted by 八木 at 10:42 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)