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イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。

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イランによる韓国籍タンカーの拿捕[2021年01月07日(Thu)]
1月4日イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、ペルシャ湾で韓国籍の7,200トンの石油化学製品を運搬するタンカー「ハンクック・ケミ(MT Hankuk Chemi)」が「海洋環境法違反」の疑いで拿捕し、バンダル・アッバース港沖に搬送させたことが確認された。イラン側声明によると、船の乗組員は韓国人、ベトナム人、インドネシア人、ミャンマー人20名で構成されていた。この船はサウジアラビアのジュベイルからアラブ首長国連邦のフジャイラまでの運航を予定していた。船は釜山を拠点とする船会社DM Shipping.Coによって運営されている。
1月5日、韓国の外交部は、駐ソウル・イラン大使を招致し、タンカーの即時解放を要求した。韓国政府は、軍がすでに海賊対策で派遣している駆逐艦をこの海域に向かわせるとともに、即時釈放を求めて、交渉のためにイランに代表団を派遣した。
イランは、IRGC海上部隊がホルムズ海峡近くで船の進行を妨げ、乗組員を人質として保持していることを否定した。しかし、イラン政府のスポークスマン、アリ・ラビエイは、今回の行動が米国主導の制裁措置のために韓国の銀行で凍結された約70億ドルの資産の差し押さえに関連していることを確認したようで、5日の記者会見で、「我々は、そのような主張に慣れているが、仮に人質取りがあったとしても、我々が所有者である70億ドルを根拠のない理由で人質に取っているのは韓国政府である。」と指摘し、韓国政府が本来、イラン側に戻すべき差し押え資産の解放を求めた。
(コメント)2019年5月、6月にペルシャ湾周辺で、6隻のタンカーが被弾し、その後、7月にイランタンカー「グレース1」のジブラルタル当局による拿捕を受けて、英国のタンカーであるステナ・インペロがIRGC海上部隊によって拿捕されたこと等を踏まえ、2019年11月7日米主導で、海上交通の安全を守るための有志連合(International Maritime Security Construct :IMSC)が正式に発足し、その連絡事務所が米第五艦隊が本部を置くバーレーンに設置された。韓国は、有志連合を構成する8か国の1か国とみられている。韓国政府は、駆逐艦の派遣を決定したものの、軍事的解決は望んでおらず、外交的に問題の解決を図りたいとの考え。イラン側は、乗組員を人質にしていることを否定したが、トランプ政権の終了を控え、米国の経済制裁によって、諸外国に凍結されていたイランの資産の返還を今後各国に求めていくものとみられる。
https://youtu.be/StvdHJv8OL8

Posted by 八木 at 16:26 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

カタールとアラブ封鎖4か国との関係修復のアル・ウラー宣言[2021年01月06日(Wed)]
1月5日、サウジ北西部のアル・ウラーで開催されたGCC首脳会議で、参加各国代表は「連帯と安定」宣言に署名した(注:宣言の具体的内容は公表されていない)。GCCの封鎖3か国(サウジ、UAE、バーレーン)と今回外相を派遣したエジプトはカタールへの封鎖を解除し、カタールはサウジアラビア、UAE、バーレーンに対する世界貿易機関(WTO)への提訴を取り下げるとみられている(注:5日の現地報道によれば、サウジ・カタール国境は開かれたものの、未だ往来する車両はない模様。またサウジ以外の3か国がどのタイミングで、どのように封鎖を解除するのかは、今後見守る必要がある)。 各国はまた、お互いを攻撃するメディアキャンペーンを終了することに同意した模様。
第41回GCCサミットの参加者は、次のとおり。
@ クウェート:ナワーフ首長(Emir Sheikh Nawaf Al Ahmad Al Sabah)
A カタール:タミーム首長(Sheikh Tamim bin Hamad Al Thani)
B オマーン:ファハド副首相(Deputy Prime Minister Fahd Bin Mahmoud),
C サウジ:ムハンマド皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)
D バーレーン:サルマン皇太子(Crown Prince Salman bin Hamad Al Khalifa)
E UAE:ムハンマド副大統領兼首相(ドバイ首長)(UAE Vice President Sheikh Mohammed bin Rashid Al Maktoum)
F GCC事務局:ナーイフ事務局長(Nayef al-Hajraf, secretary-general of the Gulf Cooperation Council (GCC) )
G シュクリー・エジプト外相
H クシュナー米大統領特別顧問
(コメント)タミーム首長のアル・ウラー空港到着時、MBS皇太子が空港に出迎え、抱擁を交わした。湾岸諸国では、外国要人の来訪時、誰が空港に出迎えるかが重要で、それが、受け入れ国が、来訪者をどのようにみているかを如実に物語っている。今回のサミットでは、サウジ側のトップは、サルマン国王ではなく、MBS皇太子であった。3年半の断交を経て、サウジは、カタールが、封鎖4か国が課した13項目の要求のいずれにも応じなかったにもかかわらず、何事もなかったかのようにカタールのトップを迎え入れたことになる。封鎖4か国の中でも、カタールに対して最も厳しい立場をとってきたのは、サウジではなくUAEであったとみられている。UAEは米政府がカタールを「テロ支援国」に指定するようロビイングをしていたことが明らかになっている。UAEは、エジプト同様、テロ組織に指定しているムスリム同胞団に同情的なカタールへの批判的な見方を変えていない。今回のGCCサミットでは、UAEを代表してムハンマド・ビン・ラーシドUAE副大統領が出席したが、UAEの実質的指導者であるムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子が、ハリーファ大統領代行として、GCC首脳会議に出席してもおかしくないが、MBZは出席を見合わせた。MBZは、未だカタールと全面的な和解を実現したいとは思っていないのではないかと推測される。むしろ、イスラエルとの関係を促進し、カタールとその後ろ盾になってきたトルコの影響力を削ぐ形で、今後の地域戦略を進めていくものとみられる。サウジの実質的指導者MBS皇太子は、米国のバイデン新政権発足を控えて、対米関係の軌道修正を迫られている。イエメンでのハーディ政権と南部暫定評議会の連立政府樹立や今回のカタールとの和解は、サウジが主導する形で、地域の不安定要因を予め取り除いておきたいという思惑がにじみ出ている。さらに、12月28日、サウジの特別犯罪法廷がサウジ国内での女性への運転免許解禁前に解禁を訴えて拘禁されたサウジ人女性活動家ルジャイン・アルハスルール(Loujain al-Hathloul)に5年8か月の刑期を宣告し、人権団体から批判を浴びたが、彼女はこれまでの拘束期間を含めれば、あと2か月で釈放されるものとみられており、バイデン新政権に対してひとつのファイルを閉じることを意味する。MBS皇太子が気にしているもうひとつのファイルは、ナーイフ元皇太子の側近のジャブリ氏殺害未遂に絡みMBS皇太子が米国の連邦地裁に訴えられている件では、トランプ政権に免責を認めてもらいたいとの思惑もあったとみられる。今回のGCCサミットに出席したクシュナー・トランプ大統領上級顧問は、最近のアラブ4か国のイスラエルとの国交正常化の立役者であるばかりでなく、昨年12月に関係国に根回しを行って、今回のカタールと封鎖4か国との外交関係再開の最大の貢献者となった。因みに、今回のカタールと封鎖4か国の和解については、アラブ4か国の封鎖に際して、カタールを支援してきたトルコ、イランは、いずれも関係修復に対して歓迎の意向を表明している。
https://www.aljazeera.com/news/2021/1/5/saudi-says-full-ties-restored-between-qatar-and-embargo-nations
https://www.aljazeera.com/news/2021/1/5/gulf-states-sign-solidarity-and-stability-deal-at-gcc-summit
https://responsiblestatecraft.org/2021/01/05/gulf-states-end-blockade-on-qatar-now-the-heavy-lifting-begins/

Posted by 八木 at 14:10 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

3年半ぶりのアラブ4か国によるカタール封鎖解除の見通し[2021年01月05日(Tue)]
1月4日、湾岸諸国内の関係修復の調整にあたってきたクウェートのアフマド・ナーセル・アル・ムハンマド・アル・サバーハ外相は、サウジアラビアは、2017年6月以来3年半にわたって閉鎖されていたカタールとの国境を開放し、領空と海の国境を再開する予定であると発表した。この画期的な発表は、湾岸協力理事会首脳会議(GCC)の前夜に行われ、サウジとその同盟国がカタールにボイコットを課す原因となった政治紛争の問題解決に向けての途を開くこととなった。サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、バーレーン、エジプトのアラブ4か国は、2017年6月5日にカタールが「テロ」を支援しているとの理由で、カタールと外交関係を断絶し、陸海空の封鎖を行った。この結果、カタール航空は、アラビア半島の上空のほとんどを飛行することができず、カタールと近隣諸国の人の往来も遮断されることになった。アラブ4か国は、カタールに対して、封鎖を解除し、関係を正常化する前提として、トルコ軍の撤収やイランとの関係格下げ、アルジャジーラ等のカタール系メディアの閉鎖を含む13項目の要求を突き付けていたが、カタールはそのいずれにも応じていなかった。
サウジのサルマン国王は、1月5日からサウジ国内で開催されるGCCサミット開催に際して、カタールのタミーム首長に招待を発し、タミーム首長は招待に応じ、サミットに出席するとみられている。GCC諸国内の関係修復を祝う形で、トランプ政権を代表して、クシュナー大統領上級顧問が出席する予定。
(コメント)2017年6月のアラブ4か国によるカタール断交・封鎖は寝耳に水という措置であった。同年6月4日にジュベイル外相がカイロを訪問し、シュクリ外相と会談したにもかかわらず、カタール断交・封鎖についてはひとことも発言はなかった。同5日断交・封鎖が間違いなく実施されるとの最後の念押しのための訪問であったことは間違いない。4か国は、陸海空の封鎖で早晩カタールは干上がってしまい、13項目の要求に応じるか、カタール内部でのタミーム指導体制が崩壊することを想定していた可能性がある。しかし、ムスリム同胞団に対しては同情的で、かつ、エジプトやUAEとは関係が冷却しているトルコが、間髪をいれずに軍隊をカタールに派遣したこと、カタールを陸の孤島にしないため、トルコとイランがカタールを往来する民間航空機の領空通過を認め、サウジやUAE領空から排除されたカタール航空の運航を歓迎したこと、食料品や医薬品等の緊急供給にも応じ、カタール国内住民のパニックが起きないようサポートしたことが心理的・物理的に効果が大きかった。また、米国トランプ大統領とクシュナー上級顧問を含む側近は、トランプ大統領が直前の2017年5月下旬にサウジを訪問し、直後にタミーム首長に関するフェーク報道が流れたことから、少なくともクシュナー顧問はサウジ、UAE等の封鎖措置実施を事前に聞かされていた可能性が強く、反対はしなかったとみられるが、他方で、カタールには、中東・中央アジアを管轄する米中央軍の前線基地であるウデイド空軍基地が存在しており、また、当時はカタールともかつてビジネス関係を有していたエクソン・モビル出身のティラーソンが国務長官であったため、カタールにアラブ4か国の要求をのませる方向で動くことはなかった。結果として、アラブ4か国の動きは、カタールを屈服させることにはならず、逆に、カタールを、サウジと対立するイラン側に押しやり、また、UAE・エジプトと対立するトルコとの関係強化に向かわせることとなった。
●5日の首脳会議では、GCC3か国とエジプトの指導者が一堂に会し、カタールへの封鎖を終了させ、一方、カタールは封鎖によって被ったカタール航空の50億ドルの損害補償訴訟を取り下げる協定に調印するとみられている。
●表面的には、関係修復の途を歩み始めるアラブ4か国とカタールであるが、カタールがトルコにトルコ軍の帰国を求めたり、イランとの関係格下げを実施したり、アルジャジーラの閉鎖を実行したりすることは想定されていない。カタールのテロ支援を最大の理由として、断交・封鎖に参加したエジプトは、カタールが庇護しているムスリム同胞団に強い影響力を有するとされるユースフ・カラダーウィ師の娘とその夫を拘束したままであり、解放が近いとはみられていない。UAE、エジプトは、リビアでハフタル将軍側を支援してきており、トルコとカタールがシラージュ暫定政権側を支援してきたことに反発している。すなわち、カタールとアラブ4か国が当面温かい関係に戻ることは想定されない。
https://www.middleeasteye.net/news/saudi-arabia-qatar-end-blockade
https://www.aljazeera.com/news/2021/1/4/saudi-to-lift-qatar-blockade-live-news

4か国によるカタール封鎖のこれまでの経緯については、次のサイトを参照願います。
http://meis.or.jp/products/gulfstat/QatarBlockadeFourYears.php

Posted by 八木 at 12:07 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

パキスタンに接近を図るイラン[2021年01月04日(Mon)]
パキスタンとイランは、2020年12月19日にグワダル-リムダン地点に、2番目の公式国境検問所を開設した。この新たなゲートウェイ開設によって、パキスタンのグワダル港とイランのチャバハール港が最短の陸路で結ばれることになる。中国が支援するパキスタンのグワダル港と一時期インドが関心を示していたイランのチャバハール港の開発は、ライバル視されていたが、インドのチャバハールからの事実上の撤退と、グワダル-リムダンの国境通過ポイントが開設されることにより、パキスタンのグワダル港とイランのチャバハール港が有機的に結ばれ、アフガニスタン、中央アジア、トルコ他への輸送も視野に入れたイランとパキスタン、中国の経済連携が深まることになる。他方で、インドとの関係を強化しているサウジは、パキスタンにローンの返済を迫り、それを中国が新たなパキスタンへの借款提供でサウジへの返済分を補完するという財政が絡む地域のライバル国間の主導権争いが生じている。

(参考1)イランとパキスタン間の新たな国境通過ポイントの開設
●イランとパキスタンは、2020年12月19日、両国間の貿易・往来拡大のため、両国間に新たな国境通過ポイント開設記念式典を開催した。イラン外務省のスポークスマンは、2020年11月にイランのザリーフ外相がパキスタンを訪問した際、両国がリムダン・ガブド(Rimdan-Gabd)国境通過ポイントを開くことに合意していたと述べた。
●イランのスポークスマンは、友好的な近隣国である両国が国境ゲートウェイを建設し、最近のカフヘラット鉄道プロジェクトの発足は、イランイスラム共和国が近隣諸国との交流と協力を特に優先していることを示していると述べた。イラン東部とアフガニスタン西部を結ぶ共同鉄道プロジェクトは12月10日に開始され、隣接する両国大統領がビデオ会議を通じて鉄道建設が、地域全体の貿易関係を強化することを期待していると述べた。
●パキスタンビジネスカウンシル(PBC)によると、隣接する2か国間の二国間貿易は2018年時点で3億6,900万ドルであった。パキスタンは、イランから液化石油ガス、その他の鉱物燃料、電気エネルギーを輸入する一方で、紙や板紙、米、文房具をイランに輸出している。イランは1,000メガワットの電力をパキスタンに販売しており、これを最大3,000メガワットに増やして、パキスタン国内の約4,000メガワットの不足分を補う計画である。
●70年近くの間、イランとパキスタン間の唯一の公式の国境ゲートウェイは、バルチスタンの州都であるクエッタより北にあるミルジャバ-タフタン(Mirjavah-Taftan)国境検問所であった。
http://en.otaghiranonline.ir/news/22685

(参考2)サウジへの借金返済で露呈したパキスタン・サウジ関係の緊張
サウジアラビアは、2018年後半にパキスタンに30億ドルの融資と32億ドルの石油購入融資枠を提供した。パキスタンは紛争地域のジャンムー・カシミール自治州でのインドによる自治権はく奪に抗議し、イスラム諸国会議機構(OIC)の支援を求めていたが、OICのホスト国サウジアラビアはパキスタンに融資の返済を迫った。
●30億ドルの融資については、2020年7月パキスタンは、10億ドルをサウジアラビアに返済し、さらに12月に10億ドルを返済した。この返済にあたって、パキスタンは中国にサウジへの返済を可能にするための融資を申し入れ、中国が応じた。本年1月中にさらに10億ドルがサウジに返済される予定。
https://www.reuters.com/article/pakistan-china-saudi-arabia-idUSL8N2IW3N2

Posted by 八木 at 11:59 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

ソレイマニIRGCコッズ部隊司令官殺害一周年にあたって[2021年01月03日(Sun)]
1年前の今日1月3日、ソレイマニIRGCコッズ部隊司令官は、バグダッド空港到着時、アブー・マフディ・アルムハンディスPMF(人民動員部隊:ハッシュド・シャアビィ)副司令官とともに米軍のドローン攻撃で殺害された。トランプ大統領退任前にトランプ政権が、イランを叩く口実を探しているのではという見方や、イランがウラン濃縮20%までを目指す旨IAEAに通報したと伝えられる等、イランをめぐる緊張が拡大する中で、2日付、MEEは、ソレイマニ殺害後のイラン・イラク関係について興味深い記事を掲載しているので、注目点を紹介する。

●ソレイマニ司令官の後任には、エスマイル・ガーニー准将が就任した。しかし、ガーニー新司令官は、ソレイマニがアラビア語を話し、所属や宗派に関係なく、ほとんどのイラクの政治家や武装勢力の指揮官と関係を広げており、イラクへの入国もビザなしで入っていたのに反し、入国には査証申請が必要で、かつアラブ人との会談ではアラビア語の通訳が必要で、イラク各界の有力者に浸透することができないでいる。
●ソレイマニが不在となり、アサーイブ・アハル・アルハックのようなイランが支援してきたイラクの準軍組織は、ガーニーの指示を無視して、制御不能に陥っているとされる。イラク内のシーア派武装組織へのイランのグリップの低下により、イランは現在、イラクでのソレイマニが進めてきた計画すべての見直しに取り組んでいる。イランの考え方は、これまでのように、親イラン系武装組織への影響力行使によって、イラク全体を牛耳ようとするのではなく、PMFへのイラク政府支配の強化を容認し、さらにPMF枠外の一部の「抵抗組織」の存続が認められることで、親イラン系組織の存続を維持し、イランの権益の損失を最小限に抑えようとしている。
●イランは次の3つの要素を見直しの中心に据えている。すなわち、@ジョー・バイデン次期政権との関係、Aイラクのグランド・アヤトラ・アル・シスターニ師に忠実な武装勢力がPMFから離脱したことや、親イラン系シーア派組織内で対立が生じ始めていることを踏まえてのPMFとの関係再構築、B本年イラクで行われる議会選挙への対応、である。
●イランにとっての、最初のステップは、武装勢力への影響力とイランへの近さで比類がなかったカタエブ・ヒズボラ準軍組織の共同創設者であるムハンディスに代わる人物を見つけることである(注:すくなくとも、後任のガーニーとPMFの後任のアブー・ファダックの関係は、ソレイマニとアルムハンディスの親密な関係にはるかに及ばないとみられている)。
●2020年12月23日にバグダッドを訪れたガーニー司令官は、カーディミ首相ならびにバルハム・サリーフ大統領に会い、「イランは最近のグリーンゾーン内の米大使館攻撃とは何の関係もないというメッセージを米国に伝えてほしい」と依頼した模様。そして、ガーニー司令官は、イランはソレイマニの死の1周年にあたり、米側に報復する計画はないと強調した模様。ガーニーのイラク訪問は、短時間であったが、12月27日、カディミの顧問の1人が率いるイラクの公式代表団がテヘランを訪問した。公式の代表団がカアニの訪問の数日後にイランに行った理由についての情報は明らかではないが、イラク代表団がイランのメッセージに対して米国の反応を示したことは明らかであるとみられている。
●多くのイラクのシーア派指導者は、イラクの代表団が「統制されていない要素」を追及する上でイランの支援を要請したことを示唆している。イラク側は、イラク政府も、イランも制御できない武装勢力をコントロールするために、カーディミ首相とPMFの参謀長であるムハンマド・「アブー・ファダック」アブドルアジーズの間の調整を強化する方法についてイランとの合意を模索していたと確信している。これは、政府ならびにイランの影響力から外れた小規模かつ制御不能なシーア派民兵組織をPMFや「抵抗勢力」のカバーから外すことを目論むものである。
●これに呼応するかのように、12月23日、イラク治安部隊は、ミサイル技術者であり、強力な武装勢力のリーダーの1つであるアサーイブ・アハル・アルハックの1名と他の3名を「ミサイルで米大使館を攻撃した」罪で逮捕した。その数日前に、誘拐、恐喝、財政的および行政的腐敗で告発されたコラサニ旅団の司令官であるハーミド・アル・ジャザリーとアリー・アル・ヤシーリが逮捕された。その1週間前には、同じグループの他の30人も拘束されていた。コラサニ旅団を解体し、その指導者を逮捕し、その財産を没収することは、PMFを浄化するプロセスが実際に始まったことを示しているとみられている。
https://www.middleeasteye.net/big-story/soleimani-iran-iraq-death-strategy-quds-force

Posted by 八木 at 12:54 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

新年のご挨拶[2021年01月01日(Fri)]
كل عام وانتم بخير

2021年の年始にあたり、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
アラビア語では、平和はサラームسلامです。挨拶の際は、アッサラーム・アライコムالسلام عليكم「平和(安寧)があなたがたのうえにありますように」と呼びかけます。さようならは、マア・サラームمع السلامです。すなわち、隣人との挨拶は、いつも「平和」を祈念します。
緊張と紛争が思い浮かぶ中東ですが、今年は、平和の年となることを期待しています。

Posted by 八木 at 12:20 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)