UAEによる静かなムスリム・バン(ムスリム入国禁止)[2020年11月27日(Fri)]
2017年1月トランプ大統領の就任後間もなく、イスラム教徒多数7か国の国民の米国入国を制限するいわゆる「ムスリム・バン」がとられたことを記憶されている方が多いと思われるが、アラブ首長国連邦(UAE)が、ムスリム多数の13か国国民に対して、訪問査証と就労査証の申請受付を一時停止したことが明らかになった。この背景を中東メディアの報道からまとめてみる。
1. UAE、イスラエルともコロナ・ウィルス感染拡大の影響を受けており、感染防止策として、今回の措置がとられたと考える人もいるが、感染が拡大している欧州や米国、インドなどは対象となっておらず、コロナの影響と考えるには無理がある。
2.最近のサウジアラビア・ジッダでの2回のイスラム過激派による襲撃事件攻撃に対応していると考える人もいるが、一連の襲撃は、マクロン仏大統領のイスラム教徒への発言を発端になっていると考えられ、UAEがマクロン発言の関連で過激派に狙われると考えるのは無理がある。
(参考)サウジにおける仏を標的にしたとみられるテロ事件
• 10月29日:サウジアラビアの都市ジッダにある仏領事館の外にいた警備員がナイフ攻撃で負傷した。サウジアラビア市民である加害者が逮捕された。
• 11月12日、ISISは、、サウジアラビアのジッダにある非イスラム教徒の墓地で11日に起きた爆発に関して声明を発出し、「十字軍の国の領事」が複数人集まっていた墓地でISの「兵士」が手製の爆弾を爆発させたと主張。この事件では数人が負傷。
3.最も考えられるのは、UAEのイスラエルとの最近の国交正常化である。 以下の展開に関連して、UAE当局が治安措置を講じた可能性が高い。
@UAEのフライトのテルアビブ便就航開始:11月26日、格安航空会社のフライ・ドバイは、ドバイ・テルアビブ間の直行便の運航を開始した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、初フライトの到着に合わせて催されるテルアビブ・ベングリオン空港での記念式典に参加。フライ・ドバイは1日2便運航する。11月初旬フライ・ドバイのガイス・アル・ガイスCEOは「定期便の開始は経済発展に貢献し、投資のさらなる機会を生み出すであろう」と語っていた(ちなみに、イスラエルの航空会社ElAlとIsrairは両方とも12月に両国間で商用サービスを開始する予定で、アブダビ首長国が運営するエッテハド航空は、2021年3月に週7便定期便を就航する予定。)A特にイスラエル人は、タイムズ・オブ・イスラエルで報じられたように、今週の終わりには早くもUAEへの入国が許可されるためである。これに加えて、両国は間もなく発効するビザ免除プログラムに合意した模様。ビザ免除はイスラエルとその最大の同盟国である米国の間にさえ存在しないものである。一時的に査証発給を禁止された13カ国のうち、11カ国はイスラエルとの関係の正常化を非難している。UAEの人口は約1千万人だが、その9割近くが在留外国人で、中東や南アジア出身者が多数を占める。UAEとイスラエルの関係正常化に不満を抱く者も多いと考えられる。UAE当局が、とくにイスラエル人の入国開始に合わせて、テロが起きないよう予防措置を講じたと考えてもおかしくない。
BUAEは、イスラエルと協力して、アルアクサモスクへのアクセス改善、安全の確保に取り組んでおり、これまでは自由に訪問できなかったイスラム教徒にとっての第三の聖地エルサレム訪問を湾岸諸国人の観光の目玉のひとつにしようとしている。パレスチナ人は、自分たちを置き去りにして、イスラエルと一部アラブ諸国の関係が発展することに反発しており、また、イスラム教徒の中には、UAEがアルアクサモスクをめぐる対応で、主導権をとることに警戒がある。
https://www.aljazeera.com/news/2020/11/26/flydubai-launches-first-scheduled-dubai-tel-aviv-flight
https://www.trtworld.com/opinion/the-uae-s-silent-muslim-ban-politics-or-security-41817
1. UAE、イスラエルともコロナ・ウィルス感染拡大の影響を受けており、感染防止策として、今回の措置がとられたと考える人もいるが、感染が拡大している欧州や米国、インドなどは対象となっておらず、コロナの影響と考えるには無理がある。
2.最近のサウジアラビア・ジッダでの2回のイスラム過激派による襲撃事件攻撃に対応していると考える人もいるが、一連の襲撃は、マクロン仏大統領のイスラム教徒への発言を発端になっていると考えられ、UAEがマクロン発言の関連で過激派に狙われると考えるのは無理がある。
(参考)サウジにおける仏を標的にしたとみられるテロ事件
• 10月29日:サウジアラビアの都市ジッダにある仏領事館の外にいた警備員がナイフ攻撃で負傷した。サウジアラビア市民である加害者が逮捕された。
• 11月12日、ISISは、、サウジアラビアのジッダにある非イスラム教徒の墓地で11日に起きた爆発に関して声明を発出し、「十字軍の国の領事」が複数人集まっていた墓地でISの「兵士」が手製の爆弾を爆発させたと主張。この事件では数人が負傷。
3.最も考えられるのは、UAEのイスラエルとの最近の国交正常化である。 以下の展開に関連して、UAE当局が治安措置を講じた可能性が高い。
@UAEのフライトのテルアビブ便就航開始:11月26日、格安航空会社のフライ・ドバイは、ドバイ・テルアビブ間の直行便の運航を開始した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、初フライトの到着に合わせて催されるテルアビブ・ベングリオン空港での記念式典に参加。フライ・ドバイは1日2便運航する。11月初旬フライ・ドバイのガイス・アル・ガイスCEOは「定期便の開始は経済発展に貢献し、投資のさらなる機会を生み出すであろう」と語っていた(ちなみに、イスラエルの航空会社ElAlとIsrairは両方とも12月に両国間で商用サービスを開始する予定で、アブダビ首長国が運営するエッテハド航空は、2021年3月に週7便定期便を就航する予定。)A特にイスラエル人は、タイムズ・オブ・イスラエルで報じられたように、今週の終わりには早くもUAEへの入国が許可されるためである。これに加えて、両国は間もなく発効するビザ免除プログラムに合意した模様。ビザ免除はイスラエルとその最大の同盟国である米国の間にさえ存在しないものである。一時的に査証発給を禁止された13カ国のうち、11カ国はイスラエルとの関係の正常化を非難している。UAEの人口は約1千万人だが、その9割近くが在留外国人で、中東や南アジア出身者が多数を占める。UAEとイスラエルの関係正常化に不満を抱く者も多いと考えられる。UAE当局が、とくにイスラエル人の入国開始に合わせて、テロが起きないよう予防措置を講じたと考えてもおかしくない。
BUAEは、イスラエルと協力して、アルアクサモスクへのアクセス改善、安全の確保に取り組んでおり、これまでは自由に訪問できなかったイスラム教徒にとっての第三の聖地エルサレム訪問を湾岸諸国人の観光の目玉のひとつにしようとしている。パレスチナ人は、自分たちを置き去りにして、イスラエルと一部アラブ諸国の関係が発展することに反発しており、また、イスラム教徒の中には、UAEがアルアクサモスクをめぐる対応で、主導権をとることに警戒がある。
https://www.aljazeera.com/news/2020/11/26/flydubai-launches-first-scheduled-dubai-tel-aviv-flight
https://www.trtworld.com/opinion/the-uae-s-silent-muslim-ban-politics-or-security-41817
Posted by 八木 at 11:00 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)