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中東でのコロナウィルス感染拡大国別最新状況(2月27日時点)[2020年02月28日(Fri)]
2月27日もイランをはじめ、周辺国での感染が拡大した。イランでは、マアスーメ・エブテカル女性家族問題担当副大統領(Masoumeh Ebtekar, vice president of Iran for Women and Family Affairs)の感染が確認された。ローハニ大統領は、感染した副大統領からわずか2m離れた場所で会合していたことが、TV映像から確認された。イランでは、全土で金曜礼拝の禁止が発表された。27日、米国は企業がイラン国民が必要としている食料、医薬品その他の生活に必要な基礎物資の供給を人道的観点から認めると発表した。サウジアラビアは、巡礼月以外にイスラムの聖地メッカ、メディナに巡礼するウムラ実践者の入国を一時的に禁止した。
2月27日に感染拡大が報告された中東諸国は次のとおり。
クウェート:43件(前日の25件から増加)
バーレーン:33件(前日の26件から増加)
イラン:245件、死者26名(感染数は前日の139から、死者数は前日の19から拡大。保健副大臣に続いて、女性副大統領一名の感染が確認された。)
イラク:6件(前回の5件から増加。新たな感染者は、イランから帰国したバクダッド在住のイラク人青年)
イスラエル:3件(前回の2件から増加。新たな感染者はイタリアからの帰国者。イスラエル政府は、中国、香港、マカオ、タイ、シンガポール、日本、韓国に加え、イタリアからの来訪者の入国を禁止)
レバノン:3件(前回の1件から増加。感染者は、すべて、イランからの帰国者)
その他感染者が確認されたアルジェリア、エジプト、UAE、オマーンでは変化なし。
https://www.aljazeera.com/news/2020/02/coronavirus-outbreak-latest-updates-200227234556140.html
https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-middle-east-iran-israel-kuwait-bahrain-iraq-uae

Posted by 八木 at 11:02 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イラン総選挙の結果[2020年02月27日(Thu)]
2月21日に行われたイランの第11会期議会選挙で、革命防衛隊と密接な関係にある候補者を含めて、保守・強硬派は圧倒的な勝利を収めた。保守・強硬派は290議席中221議席を獲得し、2016年選挙の勢力83議席から躍進した。
米国財務省は、2月20日、護憲評議会による事前の立候補者の審査が不当であるとして、護憲評議会メンバー等5名に制裁を発動した(参考参照)。
【今回の選挙当選者の色分け】
@ 221の保守派/原理主義者
A 20人の改革派と中間派
B 38人の独立者
(参考)2016年に選出された第10議会の議員構成の大まかな内訳。
@ 83人の保守派/原則主義者、A121人の改革派と中間派、B86人の独立者

1. 今回の選挙について
●選挙当日、208選挙区に55,000の投票所があり、議会で合計290議席を選出した。 31の州については、174の単一議員選挙区と34の複数議員選挙区があり、30議席を選出するテヘラン州を除き、それぞれ2〜6人の議員を選出する。 残りは、宗教的少数派(ユダヤ人、ゾロアスター教徒、アッシリア人とカルデア人の共同席、アルメニア人用)に割り当てられた5つの議席。
●合計57,918,000人のイラン人が投票する資格があった。 その数のうち、2,931,000人が初めて投票する資格が得ていた。
●護憲評議会(最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイによって任命された6人の聖職者と彼によって間接的に任命された6人の計12名による選挙審査機関)によって資格を与えられた候補者だけが立候補できた。 15,000人以上が応募した。 うち、7,296人は出馬できなかった7,148の候補者が31の州で290席を争った。そのほとんどが穏健派および改革派であるおよそ90人の現職議員は立候補できなかった。 護憲評議会の審査により、改革派は議会の290議席のうち230議席の候補者を擁立することができなくなった。
2.投票率
内務省の公式結果に基づくと、投票率は42.57パーセント。 合計24,512,404人が投票。 うち48%は女性で、52%は男性。
テヘラン州の投票率は26.2%とさらに低く、同国で最も低かった。 報告された最高の投票率は、KogiluyehおよびBoyer-Ahmad州で71%であった。
投票率は1979年の革命以来過去最低。内務大臣のAbdolreza Rahmani Fazliは、コロナ・ウイルスと政治的雰囲気に対する懸念を考えると、今回の投票率は「完全に許容できる」と述べた。多くのイラン人は、そのほとんどが改革派である何千人もの候補者が護憲評議会によって失格となった後、投票に関心を失い、ボイコットしたとみられている。
(過去の国会議員選挙投票率)
1980年 52%
1984年 65%
1988年 60%
1992年 58%
1996年 71%
2000年 67%
2004年 51%
2008年 55%
2012年 64%
2016年 62%
2020年 43%
3.選挙結果について
●新議会では、現議員の20%未満が引き続き議席を保持する。現在の議会の290人の議員のうち、2人が辞任し、2人が死亡し、1人がイランのロシア大使になっている。残りの285人のうち、多くは護憲評議会によって失格となり、再選のために出馬した170人のうちわずか56名が再選された。このうち、41人は保守派であった。テヘラン州とアルボルズ州を含む31州のうち10州では、どの1人の現職議員も再選されなかった。宗教的少数派の間でさえ、ゾロアスター教徒のEsfandiar Ekhtiariのみが再選され、他の宗教的少数派は新しい議員を迎えることとなった。
●テヘランでは、保守派が30議席すべてを獲得。 テヘランは、31の地方ブロックのうち最大の議席を有している。 前回の選挙では、改革派と中央派がテヘランの30議席すべてを独占していた。 保守派は、改革派の拠点であったヤズドとタブリーズでも議席を伸ばした。テヘランでは政治に意欲的な元市長であるバ-ケル・カリバフだけが100万以上の票を獲得し、次の3人の候補者はすべて約80万票を獲得。これは、すべてのテヘラン議員が少なくとも100万票を獲得した2016年とはまったく対照的であった。一方、テヘランから選出されるのに必要な最低票数は約60万人であったが、改革派の最高得票者は95,393人を獲得したイラン国営労働組合労働者院長のAlireza Mahjoobで、これまで、マジッドアンサリやソヘイラジョロダルザデなどの著名な改革派議員は、それぞれ70,000票未満であった。
●ハッサン・ローハニ大統領の同盟にとっては大きな後退で、わずか20名程度の改革派または中心派が議席を獲得した。 2016年の選挙では、改革派と中央派が121議席を獲得し、今回の6倍の議席を有していた。独立党は改革派の2倍の38議席を獲得。イランには82の国家レベルの政党と34の地方政党がある。
●改革派・中間派の多数が立候補できなかったため、 保守派は、ほとんどのレースで無競争あるいはそれに近かったため、極めて有利な状況にあった。
●4月17日に、残りの11議席を決定するために2回目のラウンドが開催される。 新議会の会期は5月に始まる。
【主な当選者】
@ムハンマド・バーケル・カリバフ(Mohammad Baqer Qalibaf) テヘランの元市長であり、かつて革命防衛隊航空宇宙軍の元指揮官。テヘラン選挙区で、120万票を獲得し1位当選した。
Aムスタファ・ミール・サリーム(Mostafa Mir Salim)保守派イスラム連合党の党首。テヘラン選挙区で第2位。1994年から1997年まで文化大臣を務めた。カリバフとミール・サリムは保守派の指導者のライバル。 どちらも2017年に大統領選に出馬したが、落選。
Bモルタザ・アガ・テヘラーニ(Morteza Agha Tehrani)テヘラン選挙区第3位。 影響力のある聖職者で、イスラム革命のリストの超保守的な持久戦線を率いた。 党は強硬な聖職者アヤトラ・メスバハ・ヤズディと連携。 2020年の選挙の直前に、カリバフのブロックはアガ・テヘラーニのリストと共同リストを作成。
4.今後の見通し
現議会ではローハニ大統領支持ブロックは102議席を有していたものの、新議会ではそのうちの7名しか議席を維持できなかった。保守派と中間派の議席数は2016年選挙と比べると約1/6に激減しており、すでにレームダッグ化しているハッサン・ローハニ大統領をさらに弱体化させる可能性が高い。イランでは2021年5月に大統領選挙が実施される予定であるが、出馬できないローハニ大統領を引き継ぐ改革派大統領の当選が危うくなったのは間違いない。新しい保守系議員の多くは、ローハニ大統領の主要な業績である2015年の核取引に反対しており、新しい議会は、イランの中で軍事的かつ重要な経済的プレーヤーである革命防衛隊の行動を強化する可能性がある。一方、なんとかイランとの細い関係を維持してきた欧州諸国は、穏健・改革派のローハニ大統領とそのグループがイランで力を失い、保守強硬派の意見が強くなることで、米国に同調し、イラン封じ込め政策を強める可能性が高い。さらに今回投票率が過去最低の43%であったことは、選挙結果とうらはらに、イラン国民がイランの革命政権のかじ取りに対して希望を失いつつある前兆ともいえる。こうした中、イラン国民は、経済的困難とコロナウィルス感染の恐怖にさらされ続けることになる。現状に変化が生じるとすれば、米国で政権交代が実現し、対イラン政策が変更することしか突破口は見出しがたい。
(インスティテュートオブピース記事)https://iranprimer.usip.org/blog/2020/feb/24/2020-parliamentary-election-results
(アトランティック・カウンスィル記事)https://www.atlanticcouncil.org/blogs/iransource/factbox-the-outcome-of-irans-2020-parliamentary-elections/
(参考)イランの自由で公正な選挙を妨害するイラン政権高官への財務省制裁に関する財務省記者発表主要点(2月20日付)
●米国財務省の外国資産管理局(OFAC)は本日、イランの最高指導者またはその任命者によって任命されたイランの護憲評議会と選挙監視委員会の5人のメンバーに対して措置をとった。立候補者の「審査」を担当する護憲評議会は、この権限を使用して、イラン人の選挙出馬を禁止している。財務省の措置は、護憲評議会書記のアハマド・ジャンナティと、以前はイランの最初の司法長官だったイランの護憲評議会のメンバーであるムハンマド・ヤズディ、および選挙監督委員会の3人の追加メンバーを標的としている。最高指導者は、彼の過激な見解を反映していない候補者をブロックすることにより、彼の任命者を使用して、イランの人々から自由で公正な選挙の機会を奪っている
●トランプ政権は、政権の悪意に満ちたアジェンダを支持する選挙の操作を容認しない。この措置は、イランの人々が自由に指導者を選ぶことを妨げる責任のある政権側高官を白日の下にさらすものである。米国は、イラン人の民主的な願望を支持し続けるとスティーブン・T・ムニューシン財務長官は述べた。
●この措置は、2019年6月24日の大統領令(E.O.)13876に従って行われている。イランイスラム共和国の最高指導者と最高指導者室(SLO)に制裁を課し、最高指導者またはSLOに関連すると判断された特定のその他の者に制裁を課すことを承認した。本日の措置は、最高指導者を支持し、イラン政権のジャワド・ザリーフ外務大臣、イラン司法長官、エブラヒム・ライシ、最高国家安全保障会議書記アリ・シャムハニを含むイランの政権によるイランの政治機関管理を維持する政権の高官を対象とする財務省の以前の制裁を補完するものである。
https://home.treasury.gov/news/press-releases/sm912

Posted by 八木 at 16:09 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

中東でのコロナウィルス感染拡大国別最新状況(2月26日時点)[2020年02月27日(Thu)]
2月26日に前日からの感染拡大が報告された中東諸国は次のとおり。
クウェート:25件(前日の3件から増加)
バーレーン:26件(前日の17件から増加)
イラン:139件、死者19名(感染数は前日の95から、死者数は前日の16から拡大)

その他感染者が確認されたアルジェリア、エジプト、イスラエル、イラク、UAE、オマーン、レバノンでは変化なし。

なお、イランと国境を接するトルコでは、現時点で感染が報告されていないが、国営アナドール通信によれば、2月23日に国境検問所4か所と両国を結ぶ鉄道ならびに、イランからのトルコ国内へのフライトがすべて閉鎖されたことが、示されている。
(AA通信インフォグラフィック)https://www.aa.com.tr/en/info/infographic/17505
(MEE記事)https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-middle-east-iran-israel-kuwait-bahrain-iraq-uae

Posted by 八木 at 11:01 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

91歳で波乱の生涯に幕を下ろしたムバラク元エジプト大統領[2020年02月26日(Wed)]
2月25日エジプトの元大統領ホスニ・ムバラクが死亡した。1981年10月から2011年2月の大衆蜂起による追放まで、30年間5期連続でエジプト大統領を務めたムバラク元大統領の足跡をアハラーム・オンライン記事から振り返ってみよう。
●元大統領は、1928年5月4日にナイルデルタのメノフィアにあるKafr El-Mosilehaという小さな町で貧しい家庭に生まれた。
●ムバラクは1949年にエジプトの軍事アカデミーを卒業し、1年後に航空訓練を卒業し、パイロットとなりエジプト空軍に所属した。彼は、ソビエト連邦の多くの軍事アカデミーで学び、1964年にエジプトに帰国した。1967年の6日間戦争でのエジプトの敗北後、1969年まで軍隊の航空学部を率い、多数のパイロットを訓練し、空軍の司令官に上り詰めた。
●軍人としてのムバラクの高い評判は、1973年のイスラエルとの第四次中東戦争、とりわけスエズ運河東岸で鉄壁の守りと評されていたイスラエル軍陣地に対するに対する最初の空爆を率い成功させた10月戦争で果たした功績による。
●ムバラクは1975年にアンワル・サダト大統領に副大統領に抜擢され、中将まで上り詰めた国軍ポストを去った。
●1981年10月6日、イスラエルとの和平を進めたサダト大統領が、10月戦争の勝利の7周年を記念する軍事パレードでイスラム過激派に暗殺された。 ムバラクはサダトのすぐ隣でパレードに臨んでいたが、無傷であった。
●サダト暗殺後に非常事態法が宣言された。ムバラクは、1981年10月14日に国民投票の後、公式に大統領就任式で宣誓した。ムバラクは、1987年、1993年、1999年に6年間の任期で国民投票で大統領に再選された。2005年に憲法が変更され、1953年に共和国が宣言されて以来初めて複数の候補による大統領選挙が可能になった。
●政権の初期の数年間、ムバラクは、失業や苦境にあえぐ経済など、エジプトの最も差し迫った問題に取り組むために国民の一般的な支持を得た。彼の前任者のように、ムバラクは米国に近づき、ロシアから離れ、中東で米国の最も頑固な同盟国の1つになった。ムバラク政権に対して米政府は、年間13憶ドルを援助し、政権を支えた。
●最初の数年間のエジプトの内外の問題と課題に焦点を当てたムバラクは、明確な政治的イデオロギーを採用しなかったが、ほとんどが彼の暗殺された前任者の路線を踏襲した。
●ムバラクの政治的業績の1つは、イスラエルとの和平でボイコットされていたアラブ連盟に1989年エジプトが復帰したことと、1989年に国際仲裁によりイスラエルが占領したシナイの最後の占領地であったタバを取り戻したこと。
●一部のエジプトの政治勢力による和平合意への強い反対に直面しているにもかかわらず、ムバラクの支持者は、平和と開発への取り組みに焦点を当てるエジプトの外交政策の一環として、イスラエルとの和平維持を支持した。
●1990年代、カイロの地下メトロシステムの導入、若者の社会住宅プロジェクト、砂漠での新しい都市の設立、および国民の健康と教育の向上改善のための取り組みを含む多くの主要な国家インフラプロジェクトが実施された。しかし、内政は、高い失業率、汚職、インフレの増加、対外債務、政府の官僚主義、急速な人口増加といった課題と困難に直面していた。
●1990年、ムバラクは、イラクのクウェート侵攻に対する有志連合を支援することで、地域のリーダーとして大きな役割を果たした。エジプトは、米、英、仏、サウジアラビアとともに、第二次世界大戦以降に形成された最大の軍事連合への主要な軍事的貢献者の1つであった。この結果、 数十億ドルのエジプトの債務は、米国およびその他の国際債権者によって一掃された。
●1990年代半ばにムバラクが直面した政治的および経済的課題の1つは、政府関係者、警察、観光客、エジプトのキリスト教徒を標的とした過激派イスラム主義者からのテロ攻撃の多発であった。ムバラクは、1995年にエチオピアの首都アディスアベバで暗殺未遂を生き延びた。1997年11月ルクソールで、観光客を標的としたテロ事件が発生し、62人が死亡した。この事件は、エジプト経済の重要な柱であり、外貨の源泉である観光事業に打撃を与えた。
●2000年代初頭までの数年間、ムバラクが試みた政治改革は、エジプトに本当の民主的なプロセスを持ち込むのではなく、国民民主党を利用して、彼の不人気な若い息子ガマルによる権力の継承を目指すものであると反体制派から見られていた。
●当時、エジプトポンドの価値は低下し、失業率は、批判の多い民営化計画のために増加していた。国民の不満は根強かったが、非常事態法のおかげで、不満が目立つ行動に結びつくことはなかった。
●ムバラク自身に対する最初の異議の主要な兆候は2005年のデモであり、キファーヤ(「もう十分」)と呼ばれる運動がムバラクの退陣と息子ガマルの継承計画を非難した。
2005年には34件の憲法が改正され、この変更の下で、複数の候補者による大統領選挙が認められたが、競合するための資格はほとんどなかったため、現実の対抗馬となる候補者は立候補できなかった。
●2008年、ナイルデルタの工業都市マハラでの大規模な労働運動は、ムバラクの支配、つまり彼の支配に反対する地上での最初の効果的な政治的かつ大衆的な反対運動とみなされた。
●2011年1月25日、チュニジアでの民衆運動を契機とする「アラブの春」の波が、エジプトに押し寄せ、18日間におよぶ政権打倒運動に発展し、政権側はデモ隊約数百名を殺害したと非難され、2月11日、ムバラクは大統領職から追放された。
●2012年、ムバラクは蜂起中に抗議者を殺害したことで有罪判決を受け、終身刑を言い渡されたが、2017年に抗議者殺害共謀についてはエジプトの最高控訴裁判所で無罪判決を受け、マアディ軍病院から釈放され、自由の身となった。
●2015年、彼は2人の息子、GamalとAlaaとともに、家族の蓄財のために大統領官邸の改修のために割り当てられた公的資金を横領した嫌疑で、3年の懲役刑を言い渡された。この判決は最高裁判所によって支持され、大統領職追放後の多くの裁判でムバラクに対する唯一の最終的な有罪判決となった。
●ムバラクは、2月25日に91歳で、軍事病院で波乱の生涯に幕を下ろした。
http://english.ahram.org.eg/NewsContent/1/64/364132/Egypt/Politics-/Mubaraks-life-and-death.aspx
(コメント)エジプト・アラブ共和国の4代目の大統領として、30年間エジプトを統治したムバラク大統領が、2月25日死亡した。ムバラク大統領は、自由将校団の一員として王制を打倒し、スエズ運河を国有化したナセル大統領、イスラエルとの戦争に踏み切り、その後、アラブ陣営の中にあってイスラエルとの単独和平を決断したサダト大統領ほどのカリスマ性はなかったが、イスラエルとの和平を維持する中で、米国の支援を得て、長らく政権を維持してきた。印象に残っている出来事を3つ挙げておく。ひとつは、1988年11月28日のイラク大統領サッダーム・フセインのエジプト電撃訪問である。サッダームにとっては、1979年以来初のエジプト訪問であった。ムバラクは、サッダームのカイロ空港到着で最後まで誰が乗ってくるのか知らなかったとされる。空港出迎えには遅れたものの、ムバラクは、自ら運転し、助手席にサッダームを座らせて、大統領府に向かったとされる。2年後、イラクによるクウェート侵攻を受けて、エジプトはクウェート解放のための多国籍軍に参加し、アラブ諸国の中でサッダーム打倒の急先鋒となった。二番目は、チャウシェスク・ルーマニア大統領との関係である。チャウシェスク大統領は、1987年11月25日、エレナ夫人同伴でエジプトを公式訪問し、ムバラク大統領が出迎えた。二年後の12月25日、チャウシェスク大統領と夫人エレナは、革命軍により公開処刑され、夫妻の銃殺後のむごたらしい遺体の画像がメディアで公開された。それをみたムバラク大統領は、独裁者が権力を失ったらどうなるかをまざまざと認識し、身を震わせたとされる。三番目は、1995年6月26日、エチオピアの首都アジス・アベバで開催されるOAU(アフリカ統一機構)首脳会議出席のため、来訪したムバラク大統領の車列が会議場に向かう途中、パレスチナ大使館の前で、2台の車に行く手を阻まれ、エジプト人原理主義者とみられるグループから銃撃を受けた事件である。2人の護衛官と襲撃者2名が殺害された。ムバラクは襲撃者のひとりが自分に向かって銃撃するのを目撃したとされる。銃弾のひとつはムバラク乗車のリムジンを貫いており、ムバラクは、会議出席を取りやめ、直ちにカイロに帰国し、無事であったことを神に感謝したとされる。晩年想定外の出来事で無念にも権力の座を追われたムバラク元大統領であったが、獄中で命を落としたムルスィー大統領、軍事パレード中に原理主義者の銃弾に倒れた前任のサダト大統領に比べ、ベットの上で亡くなったことは、完全に神に見放されたわけではなかったといえる。

Posted by 八木 at 13:20 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

記者会見中にコロナウイルス感染の症状が出たイランの保健副大臣[2020年02月26日(Wed)]
2月25日、イランのコロナウイルス対策で陣頭指揮をとってきたイラジ・ハリルチ(Iraj Harirchi)保健副大臣の感染が確認された。副大臣は、24日実施されたイラン政府のスポークスマン、アリ・ラビエイと一緒の記者会見で咳と発汗する姿が認められていた。イランでは、急速に感染者数と死者が拡大しており、シーア派市民が多いバーレーンでも感染者数拡大がみられた。北アフリカの国アルジェリアでも、入国したイタリア人1名の感染が確認された。イランのザリーフ外相は、ウイルスは国境を知らず、民族や宗派を区別しないものであり、域内国は、疾病管理予防センターを含む感染症対策で協力すべきであると訴えた。
(イラン保健副大臣記者会見の模様)https://twitter.com/i/status/1232272542968184832

1.バーレーン(17件、前日の1件から増加)
バーレーンでは、25日、前日の1件から17件へと感染者数が急増した。バーレーン政府は、同国民のイランへの渡航を禁止した。バーレーン保健省は、2月24日にイランから到着した市民が新たな症状に基づいてウイルスに感染した疑いがあるとして、初のコロナウイルスの症例を報告した。患者は「即時検査」のために医療センターに移送されたが、感染に対して陽性と判定された。バーレーン国民の約6割はシーア派イスラム教徒であり、頻繁にイランに巡礼旅行している。
2.エジプト(1件、変化なし)
2月19日、WHOは1週間前に感染者と特定された男性が回復し、陰性になったことを確認したが、同人は14日間は隔離される。
3.イラン(最新数95件、死者16名、死者数は前日の12名から増加)
中国以外の最大の死者発生国イランでは、少なくとも16人がコロナウイルス感染で死亡した。感染症対策の指揮をとっていたイラジ・ハリルチ保健省副大臣の感染も確認された。国会議員のマフムード・サーデグ(Mahmoud Sadeghi)も感染したことを明らかにした。現在、イラク、トルコ、アフガニスタン、パキスタン、アルメニアの5つの隣国がイランとの国境を閉鎖している。2月24日、イランの国会議員は、政府がイランでのウイルスの広がりの程度について「嘘をついている」と非難し、宗教都市コムだけで50人が死亡したと述べたが、イラン保健省は否定した。ただし、当局の発表以上に感染が広がっているとの見方があり、感染を疑われる人は900人に達するとの報道もある。
4.イラク(5件、24日の1件から増加)
イランからキルクークに戻った4人家族の感染が確認された。イラクは、2月24日にコロナウイルスの最初の症例を報告した。保健当局は、患者は南部都市ナジャフに住んでいるイランの神学の学生であることを明らかにした。同じ神学校で勉強しているすべての学生が隔離された。また、ナジャフで最も重要な宗教施設の1つは消毒のため一時的に巡礼者に閉鎖された。イラクは、23日クウェートの要請で、バスラの南にあるサフワンでクウェートとの唯一の国境検問所を閉鎖した。
5.イスラエル(2件、変化なし)
2月21日イスラエル当局は、イスラエル人女性が、深刻な影響を受けたクルーズ船から戻った後、ウイルスの検査で陽性であったと発表した。イスラエルはその後、180人の韓国人観光客を帰国させ、韓国との旅行を一時的に閉鎖した。イスラエル国内を巡礼した韓国人旅行者9名が自国に戻った後、感染が確認されたことで、イスラエル当局の措置が強化された。イスラエルのメディアによると、政府は軍事基地内でさらに200人の韓国人を隔離することを検討している。
6.クウェート(3件、変化なし)
クウェート保健省は、2月24日にコロナウイルスの最初の症例を報告した。同省はツイッターに投稿された声明の中で、イランの聖都マシュハドから来た人々に対して実施されたテストの結果、3例のコロナウイルス感染が確認された。保健省は、感染者は、53歳のクウェート人男性、61歳のサウジアラビア人、21歳の無国籍アラブ人であり、3名は保健当局の監視下に置かれていると述べた。先週、クウェートはイランからのすべての船舶の入国を禁止し、同国への発着便を停止した。クウェートはまた、イランから来訪する外国人が湾岸諸国に入ることを禁止し、チャーター便を運航して、イランから何百人ものクウェートの巡礼者を呼び戻した。クウェートの140万人の国民の約3分の1はシーア派イスラム教徒であり、イランに定期的に巡礼する。 クウェートでは、約50,000人のイラン人労働者も受け入れている。
7.レバノン(1件、変化なし)
レバノンで最初に確認された感染者は、イランを旅行した45歳の女性で、イランで感染が広がっている都市コムから飛行機でレバノンに到着していた。
8.オマーン(4件、24日から2件増加)
2月25日オマーンの厚生省は、同国で二名の追加感染者を報告した。最初に感染が確認された2人のオマーン人女性はイランを訪問した後帰国したが、彼らは安定した状態にある。25日にはイラン旅行者2名の追加感染が確認された。オマーンの民間航空当局は、オマーンとイラン間のすべてのフライトを停止した。
9.UAE(13件、変化なし)
アラブ首長国連邦は、ウイルスの拡散を恐れてイランとタイへのすべての旅行を禁止した、と州通信社WAMは2月24日に報じた。13件のうち最初のケースとして、1つの中国人家族のメンバー4人が1月28日に感染が報告されている。
10.アルジェリア
保健省によれば、2月17日、アルジェリア入りしたイタリア人の感染が確認され、同人は隔離措置を取られている。
(その他参考)トルコは23日にイランとの国境を閉鎖し、イランとのフライトを一時停止した。トルコは、テヘランからアンカラに到着する乗客と乗組員を乗せたイスタンブール行きのトルコ航空便は、別の地点で、コロナウイルスの検査が実施されたとされる。ヨルダンは中国、イラン、韓国、およびこれらの国から旅行する他の外国人の入国を禁止すると発表。アUAEの航空会社は、首都北京を除き、中国へのほとんどのフライトを一時停止した。しかし、イランとの旅行を制限するための措置をまだ講じていない。UAEには、約50万人のイラン人が在住している。サウジアラビア、オマーン、カタールの3つの湾岸諸国は中国へのフライトをすべて停止している。カタール航空は24日、韓国からドーハに到着した人々を14日間隔離する予定だと述べた。
https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-middle-east-iran-israel-kuwait-bahrain-iraq-uae
https://www.presstv.com/Detail/2020/02/25/619496/Iran-health-official-coronavirus-infection-parliament-member-Passive-Defense-Organization
(コメント)記者会見中に、汗をぬぐい、せき込むハリルチ保健副大臣の様子を映像で眺めた人々は、一様に同人の様子がおかしいと気づいたはずである。コロナウィルス対策の陣頭指揮に立つ政府高官でさえ、適切な防護体制なしに、感染症の拡大と闘っていたことを物語っている。さらに、国会議員一名も感染を表明しており、他の国の感染者と死者数の対比においても、イランが死亡率で群を抜いており、改めて緊急の国際的な支援が求められている。

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イランを起点として中東で急速に拡大するコロナウイルス感染[2020年02月25日(Tue)]
2月24日、バーレーン、クウェート、オマーン、イラクの4か国で初の感染が報告された。24日までに中東で感染が確認されたのは、9か国に達している。イランでは、当局の発表で24日現在感染者が61名、死者が12名に達しているが、感染者の数は約900名に達しているとの報道もあり、イラン国内ばかりでなく、周辺諸国への感染の拡大が懸念されている。イラン司法高等人権評議会のアリ・バケリ・カニ氏は、2020年2月24日にジュネーブで開催された第43回人権理事会で演説し、イランへの医薬品の供給に制裁を課している国は「人類の殺人者」であり、国連人権理事会(HRC)のメンバーになる資格がないと人権理事会で訴えた。
(参考1) 中東各国別の感染者と対策
1.バーレーン(1件)
バーレーン保健省は、2月24日にイランから到着した市民が新たな症状に基づいてウイルスに感染した疑いがあるとして、初のコロナウイルスの症例を報告した。患者は「即時検査」のために医療センターに移送されたが、感染に対して陽性と判定された。バーレーン国民の約6割はシーア派イスラム教徒であり、頻繁にイランに巡礼旅行している。
2.エジプト(1件)
2月19日、WHOは1週間前に感染者と特定された男性が回復し、陰性になったことを確認したが、同人は14日間は隔離される。
3.イラン(61件、死者12人)
中国以外の最悪の被害を受けた国であるイランでは、少なくとも12人がコロナウイルス感染で死亡した。現在、イラク、トルコ、アフガニスタン、パキスタン、アルメニアの5つの隣国がイランとの国境を閉鎖している。2月24日、イランの国会議員は、政府がイランでのウイルスの広がりの程度について「嘘をついている」と非難し、宗教都市コムだけで50人が死亡したと述べたが、イラン保健省は否定した。ただし、当局の発表以上に感染が広がっているとの見方があり、感染を疑われる人は900人に達するとの報道もある。
4.イラク(1件)
イラクは、2月24日にコロナウイルスの最初の症例を報告した。保健当局は、患者は南部都市ナジャフに住んでいるイランの神学の学生であることを明らかにした。同じ神学校で勉強しているすべての学生が隔離された。また、ナジャフで最も重要な宗教施設の1つは消毒のため一時的に巡礼者に閉鎖された。イラクは、23日クウェートの要請で、バスラの南にあるサフワンでクウェートとの唯一の国境検問所を閉鎖した。
5.イスラエル(2件)
2月21日イスラエル当局は、イスラエル人女性が、深刻な影響を受けたクルーズ船から戻った後、ウイルスの検査で陽性であったと発表した。イスラエルはその後、180人の韓国人観光客を帰国させ、韓国との旅行を一時的に閉鎖した。イスラエル国内を巡礼した韓国人旅行者9名が自国に戻った後、感染が確認されたことで、イスラエル当局の措置が強化された。イスラエルのメディアによると、政府は軍事基地内でさらに200人の韓国人を隔離することを検討している。
6.クウェート(3件)
クウェート保健省は、2月24日にコロナウイルスの最初の症例を報告した。同省はツイッターに投稿された声明の中で、「イランの聖都マシュハドから来た人々に対して実施されたテストの結果、3例のコロナウイルス感染が確認された。保健省は、感染者は、53歳のクウェート人男性、61歳のサウジアラビア人、21歳の無国籍アラブ人であり、3名は保健当局の監視下に置かれていると述べた。先週、クウェートはイランからのすべての船舶の入国を禁止し、同国への発着便を停止した。クウェートはまた、イランから来訪する外国人が湾岸諸国に入ることを禁止し、チャーター便を運航して、イランから何百人ものクウェートの巡礼者を呼び戻した。クウェートの140万人の国民の約3分の1はシーア派イスラム教徒であり、イランに定期的に巡礼する。 クウェートでは、約50,000人のイラン人労働者も受け入れている。
7.レバノン(1件)
レバノンで最初に確認された感染者は、イランを旅行した45歳の女性で、イランで感染が広がっている都市コムから飛行機でレバノンに到着していた。
8.オマーン(2件)
2月24日オマーンの厚生省は、同国で二名の最初の感染者を報告した。感染が確認された2人のオマーン人女性はイランを訪問した後帰国したが、彼らは安定した状態にある。オマーンの民間航空当局は、オマーンとイラン間のすべてのフライトを停止した。
9.UAE(13件)
アラブ首長国連邦は、ウイルスの拡散を恐れてイランとタイへのすべての旅行を禁止した、と州通信社WAMは2月24日に報じた。13件のうち最初のケースとして、1つの中国人家族のメンバー4人が1月28日に感染が報告されている。
(その他参考)トルコは23日にイランとの国境を閉鎖し、イランとのフライトを停止した。ヨルダンは中国、イラン、韓国、およびこれらの国から旅行する他の外国人の入国を禁止すると発表。アUAEの航空会社は、首都北京を除き、中国へのほとんどのフライトを一時停止した。しかし、イランとの旅行を制限するための措置をまだ講じていない。UAEには、約50万人のイラン人が在住している。サウジアラビア、オマーン、カタールの3つの湾岸諸国は中国へのフライトをすべて停止している。カタール航空は24日、韓国からドーハに到着した人々を14日間隔離する予定だと述べた。
https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-middle-east-iran-israel-kuwait-bahrain-iraq-uae

(参考2)イラン司法高等人権評議会アリ・バケリ・カニ氏の発言骨子(2020年2月24日、於:ジュネーブ)
●イランへの医薬品の供給に制裁を課している国は「人類の殺人者」であり、国連人権理事会(HRC)のメンバーになる資格がない。
●イランはそのような違反行為の主要な犠牲者である。米国は国際レベルでの人権の体系的な違反に相当する国際制裁制度を設けた。実際にこの新しい政策は、困っている人々たちの医療へのアクセスと基本的なニーズを妨害している。
●米国は、医薬品や商品などの基本的なニーズは制裁されていないと主張しているが、国際的な金融取引や銀行に課された制裁により、最も基本的な人間のニーズへのアクセスはブロックされている。
●米国の同盟国は、米国の制裁政策に屈し、サポートした。これらの行為は、ある国家に対する集団的処罰であるだけでなく、人権侵害の現代的な方法でもあり、人権理事会で優先的に議論すべき議題である。
https://www.presstv.com/Detail/2020/02/24/619445/Baqeri-Kani-Judiciary-High-Council-Human-Rights-HRC-medicine-sanctions

(コメント)以上のとおりイランの周辺国でもコロナウイルス感染が急速に拡大しており、また、イランの保健当局発表のの61名感染中、12名死亡という死亡率の高さは、イランが感染者の数を十分把握していない、あるいは確認する体制、器具、拡散を防ぐために必要な防具も整っていない可能性を示唆している。イランにおけるコロナウイルス感染拡大防止のために、米国によるイランに対する「最大圧力」行使の下でも国際社会が協力することは、米国の同盟国である湾岸諸国の安全のためにも必要であり、国際機関が強力なイニシアティブを発揮して、迅速に対応することが望まれる。

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イランで急速に拡大する新型コロナウィルス感染者と死者[2020年02月24日(Mon)]
新型コロナウィルスへの感染が、中東の国イランで拡大している。イランでの感染者の発生は、2月19日宗教都市コムで初めて確認され、その後、感染者の死者の数は、2月23日現在、中国以外では、韓国の6名を抜いて最大の8名に達している。2月23日、イランと国境を接するトルコ、パキスタン、アフガニスタン、アルメニアはすでに一時的に国境閉鎖の措置に踏み切った。イラクはすでに封鎖措置をとっている。UAEとレバノン当局は、イランからの旅行者にウィルス感染が発生していることを明らかにした。
(参考)2月23日付アルジャジーラ・オンライン関連記事骨子
●イランは、新しいコロナウイルスによる8人の死亡と43人の感染を報告し、当局が急速に広がる流行に十分に対応できなかったという懸念の中で、近隣諸国はイランとの旅行リンク切断を加速させている。
トルコ、パキスタン、アフガニスタン、アルメニアは、イランの当局が、わずか1日で3人の新たな死亡と15人の新たな感染者発生を報告したため、23日にイランとの国境を閉鎖した。
●公式にはCOVID-19として知られる新型コロナウィルス感染が19日にイランの宗教都市コムで最初に検出されて以来、レバノンとアラブ首長国連邦(UAE)ではイランからの旅行者が 入国後、陽性であると判定された。
●ウイルス感染がイランで広がり始めたため、イラン当局は流行を食い止めるために学校を閉鎖し、芸術や映画関連イベントをキャンセルした。 当局はまた、感染症を治療するために、全国の少なくとも230の病院を指定した。
●イランでは、病院での適切な機器や装備の欠如に対して懸念があり、一部の国民は、政府が適切な予防措置を講じなかったと非難している。一方、世界保健機関(WHO)の高官は、「最大圧力」キャンペーンの一環として米国によって課されている甚大な影響を与えている制裁が、感染症流行に対処するイランの能力に悪影響を与える可能性を指摘した。あるテヘランの医師は、匿名条件で、「当局はこの病気に取り組む準備がまったくできていない。病院でさえも設備が整っていない。」と述べている。
●イランの重要なシーア派の宗教都市であるコムでは、26件の感染と数人の死亡が記録された。ある報道関係者は保健当局が潜在的なアウトブレイクに備えられていない兆候の1つは、「死者が出た後に初めて感染症診断テストを実施した」ことに示されている述べたうえで、コムでの状況は「さらに悪化するだろう」と指摘した。
●一部の人々は、なぜイラン当局がイランの最も緊密な貿易相手国の一つである中国との航空リンクを切断するのが遅かったのかとの疑問を呈した。イランは、WHOが中国の中央都市である武漢での世界的な緊急事態の発生を宣言した4日後、2月3日に北京へのフライトを中断した。
https://www.aljazeera.com/news/2020/02/neighbours-close-borders-iran-virus-concerns-rise-200223160135283.html

(コメント)米国からの最大限の経済圧力を受けているイランで、新型コロナウィルスの感染と死者が急速に拡大し、イラン国民の苦難が増している。とりわけ、今回のイラン国内でのコロナウィルス感染拡大は、シーア派十二イマーム派の聖地で重要な宗教学校のある人口120万人のイラン第7番目の都市コムから始まった。世界各地からシーア派イスラム教徒の学生は、コムに留学し、出身地に戻る。この関連でも、とりわけ近隣国へのウィルス感染のリスクが高まる。イランは、2018年5月にイラン核合意から離脱した米国からの経済制裁により、西側主要国との貿易・金融取引が大きく制限される中で、新型コロナウィルスの感染が拡大し、イランと国境を接し、イラン国民への主要物資の輸送口であるトルコやイラク、パキスタン、アフガニスタン、アルメニアの国境が閉ざされたことは、イラン国民が必要としている医薬品、医療用器具、マスクその他の供給を制限し、感染症対策に致命的な打撃を与えるおそれがある。また、国境閉鎖が長引けば、近隣国との間の密輸を助長し、感染の近隣諸国への拡大にもつながりかねない。今求められるのは、政治的対立を一時的に棚上げし、国際機関が中心になり、国際社会が協力してイラン国内での感染症の拡大に取り組むことである。イランに最大圧力を行使する米国も、人道支援のための国際的取り組みを妨害しないとの度量を示すべきであると考えられる。

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トランプ大統領が新和平プランで提示した「パレスチナ国」はスイスのチーズのようだと反論したアッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領[2020年02月12日(Wed)]
2月11日、国連安保理は、パレスチナ人とイスラエル人の数十年にわたる紛争、および1月28日にドナルド・トランプ米大統領がイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相立会いの下発表した新和平プラン「世紀の取引」について議論した。パレスチナ暫定自治政府のマフムード・アッバース大統領はトランプ政権の新平和プランで示された「パレスチナ国家」はスイスのチーズのように穴だらけであると批判し、安全保障理事会にそれを断固拒否するよう促した。一方、イスラエルの国連大使は、アッバース大統領の下での交渉は困難であるとして辞任を促した。新和平プランについては、アラブ連盟とイスラム諸国会議機構が緊急会合で拒否しているが、アラブ陣営の中心的親米国家サウジのトゥルキー・アルファイサル元総合情報庁長官(元駐英、駐米大使)は、CNBCとのインタビューの中で、米国の新和平プランには反対で、同プランは前進しないであろうと述べたことが注目される。

1. トランプ大統領の新中東和平プランに関する国連安保理でのやりとり(2月11日、於NY)
(1)アッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領の発言要旨
●トランプ大統領の和平プランは、イスラエルへの贈り物であり、交渉のための国際的な基礎になるものと見なされるべきではない。それはパレスチナの問題に終止符を打つための、イスラエルと米国との先制プランである。
●(トランプ大統領が構想する「独立」パレスチナ国家の地図を示して)イスラエル領土内のパレスチナ領土の散り散りになったパレスチナ領に関する提案は、「違法であったものを合法化」し、「アパルトヘイト体制」を強化することのみを意図している。パレスチナ国は実際にはいかなる主権も持たず、その「陸、海、空」に対するコントロールを欠くであろう。これは彼ら(米国)が与えてくれた計画である。(穴だらけの)スイスチーズのように見える
●イスラエルとパレスチナの和解に関する国際会議を開催するよう呼びかける。米国だけが唯一の調停者になるわけではない。パレスチナ人は平和を求めている。和平はイスラエルとの「公正なパートナーシップ」に基づいており、海外から強制されたプランに基づくものではない。和平は平和が強制されると、それは長続きしない。 これらの(パレスチナの)地を併合する権利はどこにあるのか。
(2)イスラエルのダニー・ダノン国連大使発言
●イスラエルは和平を求めており、「話し合い」の準備ができている。パレスチナ自治政府の現在の指導者が(イスラエルとの)和平の「パートナー」になることはできず、停滞した交渉プロセスは、アッバース大統領が辞任したときにのみ活性化される。(パレスチナ人は)トランプ大統領のプランの詳細に完全に同意していなくても、「その精神を受け入れる」べきである。
https://www.rt.com/news/480578-abbas-trump-palestine-plan-unsc/

2.サウジの元総合情報庁長官であるトゥルキー・アルファイサル王子のCNBCとのインタビューでの発言(2月11日、於:アブダビ)
●(米国が示したパレスチナ国家の構想は)一般的には国家の怪物的な概念にすぎず、これ以上前進することはない正当な首都エルサレムが同国から剥ぎ取られているので、その心は奪われ、国境は未定義であり、魂は奪われる。それゆえ、世界の中の我々の地域だけでなく、全世界がそれを拒否している。
●新和平プランは、数十年の紛争の間にイスラエルが求めていたもののほとんどをイスラエルに与えることになる。これには、論争の的であるエルサレムと、占領されたヨルダン川西岸地区の入植地に対するイスラエルの主権の認識が含まれる。私は、トランプ大統領の中東政策に関して、個人的には、イランに対する政策は正しい方向に進んでいると考えるが、パレスチナ問題に対しては、米国のプランに反対の立場である。同プランに対しては、アラブ連盟、イスラム諸国会議機構が拒否したが、イスラエルの中にさえ、反対意見がある
●私がこれまで目撃してきたことは、パレスチナで「フランケンシュタインの創造」と呼ぶことができるものを作ろうとしているということである。
●米国のプランは、パレスチナ・イスラエル紛争をめぐる交渉の歴史の中での「後退」とみなされる。交渉の基本は、安保理決議242、338という国際的正当性に基づく必要がある。
https://www.cnbc.com/2020/02/11/middle-east-peace-plan-saudi-prince-sharply-criticizes-trump-proposal.html

(コメント)トランプ大統領の新和平プランについては、すでにパレスチナ側は拒否する立場を鮮明にしており、アッバース大統領の国連安保理での発言も驚きではない。しかし、親米国家サウジのファイサル王子が、公然とトランプ大統領の新和平プランに反対を唱えたことは驚きである。アラブ陣営内でもとりわけサウジ、UAEは水面下でイスラエルとの関係を強化してきており、ファイサル王子のように米国やイスラエルともパイプをもつサウジの要人が公然とトランプ和平プランに反対を唱え、それが前進することはないと断言していることは意外である。少なくともサウジやUAEやエジプトの指導者は、アラブ連盟等における形式的立場を離れれば、一方的に新和平プランを拒否するのではなく、交渉のテーブルについて、プランの修正を図っていくことが適当であると考えているものとみられる。トランプ政権は、パレスチナ側の立場にかかわらず、米国の新年度予算案には西岸、ガザ支援にはゼロ予算で臨み、一方、新和平プランには2億ドルを計上しようとしている。すでに、米国によるパレスチナ難民支援のためのUNRWAへの拠出は停止されており、米国は、和平案をパレスチナ側が拒絶する限り、兵糧攻めを続けるとともに、入植地の維持、拡大等既成事実の積み上げにより、交渉参加が遅れれば遅れるほど、パレスチナ人の取り分はどんどん減らされることになろうとのメッセージを発信している。

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トランプ政権が後押しするイスラエルとアラブ諸国との接近[2020年02月10日(Mon)]
1月28日、トランプ大統領よるイスラエルとパレスチナ人との新中東和平プラン「世紀の取引」が発表され、アラブ連盟やイスラム諸国会議機構は、同プランをイスラエル寄りでパレスチナ人の権利を無視しているとして拒否したが、その一方で、「パレスチナの大義」を支持してきたアラブ諸国の結束が崩されイスラエルとの関係修復の方向に大きく舵を切ったことが明らかになってきた。ひとつは、2017年に立ち上げられた米国のニュース・ウェブサイトAxiosがスクープとして最近報じた昨年12月の米、イスラエル、UAEのホワイトハウスでの三者会合で、もうひとつは、本年2月のウガンダでのネタニヤフ・イスラエル首相とスーダンのブルハン主権評議会議長との会談である。
(参考)
1.米、イスラエル、UAEの三者会合(2019年12月17日、於ワシントンD.C.)の開催
●ホワイトハウスは12月17日、イランに対する米、イスラエル、UAEの政策調整のため、米国、イスラエル、UAEの間で秘密三国間会合を主催した。
●なぜそれが重要なのか:同会合は、イスラエルとアラブ諸国の緊密な関係を促進するためのトランプ政権がとってきた一連のステップの一つである。会合ではUAEイスラエル間の不可侵協定の議論が含まれており、それは両国間の外交正常化への道のりの暫定的な一歩であるとみなされる。ちなみに、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問(大統領娘婿)は、ホワイトハウス内のこのイニシアチブの主要な推進者となっている。
●会合参加者:
@米国チーム:国家安全保障顧問のロバート・オブライエンと彼の補佐ビクトリア・コーツならびに、イラン問題担当ブライアンフック特使。
Aイスラエルチーム:ベンジャミン・ネタニヤフ首相の国家安全保障顧問であるメイル・ベン・シャバットがリーダーを務めた。
BUAE:ユーセフ・アル・オタイバ駐米UAE大使(アラブ首長国連邦の事実上の支配者であるムハンマド・ビン・ザーイド皇太子に非常に近い人物)が代表を務めた。
●UAE外相のツイートとネタニヤフ首相の反応:2019年12月21日にアブドッラー・ビン・ザーイドUAE外相は、「イスラムの改革、アラブ・イスラエル同盟が中東で具体化しつつある」という見出しの異例の記事を発信した。翌日ネタニヤフ・イスラエル首相は毎週の閣議の開始時に、「アブドッラー・ビン・ザーイドUAE外相は、中東における新たな同盟、すなわちイスラエル・アラブ同盟について語った。この発言は、現時点までの多くの接触や取り組みの結果であるとだけ語ることができるが、現時点では沈黙を保つごとが最も利益にかなうと強調する」と反応した。
●この会合に至る経緯:
@このブレークスルーは2019年2月にワルシャワで行われ、イスラエルと湾岸諸国が出席した米国主導の反イラン会合で口火が切られた。
Aワルシャワ会議の後、トランプ政権はイランに対する協力を強化するために、米国、イスラエル、UAEの三カ国フォーラムを設立することを決定。
B昨年(2019年)は少なくとも3回の会合が行われた。そのうちの一つは、ウォールストリートジャーナルによって報じられた。
CUAE当局者はこの報告に対するコメントを拒否した。
●関係進展のもう一つの兆候:先週のトランプ大統領による新中東和平プランの発表式典に、オタイバUAE大使が出席した。ネタニヤフ首相とトランプ政権は、このプロセスをさらに前進させたいと考えており、UAEや他の湾岸諸国との不可侵協定締結や、イスラエルからの湾岸諸国への直行便就航やイスラエル政府関係者による湾岸諸国への公式旅行を推進している。
●課題:ネタニヤフ首相は、関係修復を推進するには、時間的に余裕がない。首相は3月に3件の汚職起訴と厳しい総選挙を迎えることになる。
●米国の立場:ホワイトハウス高官は、「米国は確かに我々の重要な同盟国と中東のパートナーとの関係拡大を歓迎するだろうが、我々はプライベートな外交的対話の詳細に入るつもりはないし、発表するものもない」とコメント。
https://www.axios.com/israel-uae-white-house-meeting-iran-trump-kushner-ec81aa24-02db-4920-b4f2-88eec301222c.html

2.スーダン・イスラエル関係
ベンジャミン・ネタニヤフ首相とスーダン主権評議会のアブデル・ファッターハ・アル・ブルハン議長は、2月3日夕方にウガンダの首都エンテベで会談し、スーダンとイスラエル関係の正常化プロセスを開始することに合意した。イスラエルのハアレツ紙は、首脳会談は2時間続いたこと、会談はUAEのアレンジでセットされたと報じた。
●会合直後の首相府声明:両国間の関係の正常化につながる協力を開始することが合意された。ネタニヤフ首相はスーダンが前向きな方向に動いていると信じており、首相は米国務長官にその見通しを伝えた。
●ネタニヤフ首相ツイート:エンテベでスーダン主権評議会のアブデル・ファッターハ・アル・ブルハン議長と会い、両国関係の正常化につながる協力を開始することに合意した。
●スーダン軍高官補足発言:会談はアラブ首長国連邦によって調整され、1990年代にスーダンがオサマ・ビン・ラディンと他の指名手配過激派をホストしたことで掲載されたテロ支援国リストからの削除を助けることを目的としていた(イスラエルの情報筋によると、(イスラエルとスーダン、ウガンダとの関係改善は)まもなくイスラエルからの飛行ルートに影響を与え、2018年にすでに案が浮上していたもののイスラエル航空機がアフリカの国を飛行できるようになると予想されている)。
●PLO執行評議会事務局長サイエブ・エラカート(元監視委員会議長)発言:スーダン主権評議会議長とネタニヤフ首相の会談を強く非難する。これはパレスチナ国家を背中から刺すものであり、アラブのコンセンサスとアラブ平和イニシアチブからの逸脱である。トランプ政権とネタニヤフ首相は、アル・サクサ・モスクやエルサレムの他の聖地を攻撃し、ヨルダン川西岸を併合してパレスチナ問題を根絶しようとしている。
●同エラカート発言:大使館をエルサレムに移すことを検討するとのウガンダの決定を非難する。アフリカ諸国に、国際社会の立場に基づいたイスラエル・パレスチナ紛争に関して歴史的に保持してきた決定と立場を保持するよう求める。
●イスラエルの情報筋:関係の正常化は、イスラエルに避難を求めているスーダン国民を国外追放しようとするイスラエルの助けにもなることを示唆している。国連による評価によると、現在約7,000人のスーダン人がイスラエルに住んでいる。 4,500人はもともとスーダンのいわゆる「危機発生地域」から来たもので、国際社会のほとんどは強制送還に同意していない。イスラエルが亡命希望者を国外追放しないと決定したエリトリアとは異なり、スーダンの庇護希望者に関する公式の立場は、彼らの帰還を妨げるものは、両国間の外交関係の欠如であるということであった。国際条約は庇護希望者をスーダンの紛争地域に送ることを禁じており、それぞれの事件を個別に調査するよう勧告しているにもかかわらず、関係の正常化はイスラエルの立場を変える可能性がある。
https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-alongside-netanyahu-ugandan-president-says-he-s-considering-embassy-in-jerusalem-1.8492154

3.ウガンダ・イスラエル関係:2月3日ネタニヤフ・イスラエル首相と会談したムセベニ・ウガンダ大統領は、ウガンダ大使館のエルサレム移転を検討する意向を表明した。一方、ネタニヤフ首相は、テルアビブとカンパラ間の直行便を発表した。ネタニヤフ首相は、2016年7月、1976年のエンテベ空港でのイスラエルのコマンドによる人質救助であるエンテベ作戦の40周年を記念した式典に出席した経緯がある。イスラエルの特殊部隊は、パレスチナ解放のための民衆戦線のメンバーによってハイジャックされた航空機から102名の人質を解放することに成功したものの、作戦部隊を率いたネタニヤフ首相の兄弟ヨナタンが殺害された。

(コメント)トランプ政権に勇気づけられたイスラエルは、イランに対する懸念を共有するほか、イスラエルとの関係強化に安全保障ならびに潜在的な経済的利益を見出している以前は敵対的であったアラブ諸国やイスラム教徒の国々との良好な関係を追求してきた。この動きは、とりわけ、湾岸のアラブ諸国との関係で顕著である。2018年10月には、ネタニヤフ首相夫妻は湾岸諸国にあってイランとも良好な関係を有するオマーンを電撃訪問した。2019年6月には、バーレーンの首都マナーマで、トランプ政権が掲げるイスラエルとパレスチナ人との新和平プラン「世紀の取引」の経済分野に焦点をあてたワークショップをバーレーン政府がホストして開催された。UAEについても、2018年10月、イスラエルのレゲブ・スポーツ・文化相が国際柔道選手権出席との名目で、アブダビを訪問した。今回、Axiosが暴露したワシントンでの米・イスラエル・UAE三者会談は、3国共通の敵イランの封じ込めで三国の政策の調整を図るとともに、イスラエルとアラブ諸国の関係正常化に向けた第一歩として、「不可侵」協定締結に向けての協議を進める目的であったことが明らかになった。一方、スーダンは2015年にイランとの関係を断ち切り、サウジアラビアが率いるスンニー派アラブ陣営接近した。サウジアラビアは現在、イラン対峙の試みで米国と共同歩調をとっている。また、スーダンは、サウジの要請に応えて、イエメンでフーシー派と戦うアラブ連合軍に地上部隊を派遣している。 2016年、イスラエルは米国と欧州の同盟国に対して、経済的に苦戦しているスーダンに対する制裁を解除するようアピールしていた。イスラエルの当局者は、特にオマル・アル・バシール大統領失脚後、いくつかの機会にスーダンとの公式な外交チャンネルを開こうとする意図を隠そうとはしなくなっていた
1月28日にトランプ大統領が発表したパレスチナとイスラエルの新和平プラン「世紀の取引」については、パレスチナ暫定自治政府は直ちに受け入れを拒否し、アラブ諸国やイスラム諸国もアラブ連盟やイスラム諸国会議(OIC)の緊急会合で、全会一致で受け入れを拒否したものの、水面下では、米国の働きかけもあり、イスラエルとアラブ諸国関係が不可逆的かつ着実に強化されていることが認識される。そのような状況もあり、トランプ大統領は、新和平プランについて、最初は、パレスチナ人は拒否しても、結局は受け入れざるをえなくなるとタカをくくりはじめている。

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