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米軍のイラク人民動員勢力(PMF)の一派カターイブ・ヒズボラ拠点への攻撃[2019年12月31日(Tue)]
12月29日米国防総省は、イラク北部の基地が攻撃を受けて米国人が死亡したことへの報復として、イランの支援を受けるイラクの人民動員勢力(PMF)の一派であるイスラム教シーア派武装組織「カターイブ・ヒズボラ」がイラクとシリアにある5つの拠点をF15戦闘機により空爆したと発表。米当局者は空爆が成功したとの見方を示したうえで、米国は自衛の権利を有し、「追加行動」をためらわないと発言。この空爆については、ポンペイオ国務長官やエスパー国防長官、ミリー統合参謀本部議長からフロリダの別荘滞在中のトランプ大統領にも報告された。ポンペイオ国務長官は報告後、米国人を危険にさらすイランの行為をわれわれは容認しない、とコメントした。イラクの治安・武装組織関係者などによると、29日の空爆でカターイブ・ヒズボラの戦闘員らが少なくとも25人死亡、55人以上が負傷した。12月27日、イラク北部キルクーク近くのイラク軍基地に対して、30発以上のロケット弾が撃ち込まれる攻撃があり、業務を請け負っていた米民間人1人が死亡、米兵4人とイラク治安部隊の2人が負傷し、米国はこれをカターイブ・ヒズボラによる攻撃と非難していた。
(ガーディアン動画)https://youtu.be/7Y7QL6xVSeY
(参考1)ジョナサン・ホフマン米国防総省次官声明(2019年12月31日)
「不動の決意作戦(OIR)」有志連合軍をホストするイラクの基地に対し攻撃を繰り返しているカターイブ・ヒズボラ(KH)に対応して、米軍はイラクとシリアの5つのKH拠点に対して精緻防衛攻撃を行い、KHによる将来のOIR有志連合軍に対して攻撃能力を低下させている。
5つのターゲットには、イラク国内の3つのKH拠点とシリアの2つのKH拠点が含まれる。これらの場所には、KHがOIR連合軍に対する攻撃を計画および実行するために使用する武器保管施設と指揮司令拠点が含まれていた。
最近のKHによる攻撃には、Kirkuk近くのイラクの基地に対する30回以上のロケット攻撃が含まれており、その結果、米国市民が1人死亡し、4人の米国軍人と2人のイラク治安部隊(ISF)が負傷した。
KHはイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)コッズ軍と強力に連携しており、OIR連合軍の攻撃に使用したイランからの強力な援助やその他のサポートを繰り返し受けている。
OIR連合は、ISISの永続的な敗北を保証し、イラク治安部隊(ISF)に助言と支援を提供するためにイラク政府の招きでイラクに駐留している。米国とその有志連合パートナーは、イラクの主権を完全に尊重し、強力で独立したイラクを支持している。ただし、米国は自衛権の行使をためらわない。
KH攻撃は、ISFの複数のメンバーも負傷させたことに留意することが重要である。エスパー長官とマフディ首相は、ISHとOIR連合軍に対するこれらのKH攻撃を完全に停止するというコミットメントを互いに共有している。
イランとそのエージェント部隊KHは、米軍による追加的防衛行動を防ぐために、米国と連合軍に対する攻撃をやめ、イラクの主権を尊重しなければならない。
https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2047960/statement-from-assistant-to-the-secretary-of-defense-jonathan-hoffman/
(参考2)米国のKH攻撃に対する各方面からの声明・コメント
@ アブドル・マハディ・イラク首相声明:イラクの武装勢力に対する米国の攻撃は、危険な結果をもたらす容認できない悪意のある攻撃である。
A ロシア外務省声明:我々はそのような行動は容認できず、逆効果であると考える。我々はすべての関係者に、イラク、シリア、および近隣諸国の軍事政治状況を急激に不安定化する可能性のあるさらなる行動を控えるよう求める。
B シリア外務省声明:シリアは、イラクの主権と独立を擁護する人民動員部隊(PMF)に対する米国の攻撃を非難するとともに、イラクとその国民の主権、独立、自由を標的とする攻撃を非難する。シリアはイラクの人々とその組織との完全な連帯を表明し、イラクの内政に干渉しないよう米国に要求することを繰り返す。
C ネタニヤフ・イスラエル首相:ポンペイオ国務長官に対して、イランとその地域の代理人に対する米国の重要な作戦遂行を祝福
D イラン政府スポークスマン、アリ・ラビエイ:証拠が示されない中での米国の主張は、国際法に違反する爆撃と人々の殺害を正当化することはできない。
E イラン外務省スポークスマン、アッバース・ムサーヴィ:これらの攻撃は、米国がダーエッシュ(ISIS)との戦いにおける虚偽の主張を再び明らかにした。長年にわたって、ダーエッシュのテロリストに大きな打撃を与えてきた部隊の拠点を位置を標的にしているからである。これらの攻撃により、米国はテロに対する確固たる支持と、国家の独立と主権に対する無視を示しており、米国は違法行為の結果を受け入れなければならない。この地域における外国軍の存在が不安と緊張の原因であり、米国は、占領によるプレゼンスに終止符を打たなければならない。
F カターイブ・ヒズボラ声明:米国とその傭兵との戦いにおいては、現在、あらゆる可能性が開かれている。今日、対立以外に選択肢はなく、この犯罪から我々の対応を妨げるものは何もない。
G グランド・アヤトラ・シスターニ師声明:これは米国による「凶悪な侵略行為である。イラクの主権を尊重し、一部の違法行為に対応する口実の下でそれを侵害することないようと呼びかける。イラク当局だけがこれらの振る舞いに対処し、それらを防ぐために必要な措置を取る権利がある(注:イラン系民兵組織が勝手に報復行為を行わないようくぎをさしたものと考えられる)。
H アブ・マフディ・アル・モハンデス(ジャマール・ジャアファル・イブラヒミ)PMF司令官:イラク国内の米軍に対する我々の対応は非常に厳しいものになるであろう。
I IRGC声明:(アンバル州西部の)ハッシュド・アル・シャアビ(PMF)基地に対する米国のテロリストによる空爆は、イラクの国家主権の侵害を構成し、米国がこの地域の不安定、混乱、緊張、戦争挑発の主な要因であることを改めて示している。(イラクの)「自由で独立した国家」は、その若者が外国軍の攻撃と犯罪への欲望のターゲットになることを決して容認しない。当然、イラクの勇敢な人々と英雄的なハッシュド・アルシャビ軍は国際法および国際条約に基づき、最近の米国人の大罪に対する報復および対応の権利を留保する。
https://www.aljazeera.com/news/2019/12/attacks-shia-militias-reactions-region-191230175140132.html
(コメント)カターイブ・ヒズボラ(KH)は、イラク国内で活動するイランの支援を受けた反米シーア派民兵組織で、シリアでも補助的な作戦を行っている。 2003年に始まった米国主導のイラク戦争中、KHは道路沿に埋め込んだ爆弾攻撃で名を馳せた。グループのリーダーで現在PMF司令官でもあるアブ・マフディ・アル・モハンデスは、1983年のクウェートでの米国大使館、仏大使館爆弾攻撃爆撃と1985年のクウェートの首相暗殺未遂に関わったといわれている。2011年12月に米軍がイラクから撤退した後、KHはシリアのアサド政権を支えるために戦闘員を派遣した。 イラクでの米軍との戦いから、イラクとシリアでのスンニ派の反政府勢力や過激派との戦いに至るまで、KHは反米主義を貫いており、KHは、PMFを構成する各組織の中で米国によってテロ組織として指定された唯一のイラク・シーア派民兵組織である。KHは、イランのIRGCコッズ軍、ならびにレバノンのヒズボラとも密接な関係を有する。KHは、イランが支援するシリアおよびイラクの民兵が2017年11月にISISから国境の町アルカイムを奪還して以来、拠点を維持してきた。2019年7月1日、イラク首相アーディル・アブドル・マフディは、PMFの民兵に7月31日までにイラク軍への完全統合または武装解除による政治団体化のいずれかを選択するよう命令を発した。政治団体化を選択する場合、武器を持ち込むことは許可されない。この命令は、12万人に及ぶイランに支援された民兵組織をコントロールしようとするマハディ首相の試みであった。昨年5月にサウジアラビアの石油パイプラインに対するドローン攻撃がイエメンではなくイラクから開始されたと米国当局が結論付けた後、首相の命令は、米国およびサウジアラビアの要請で発出されたと考えられている。マハディ首相は、イラクの領土を他国攻撃の発射台として使用することを阻止する立場である。本年9月14日のサウジ・アラムコ石油施設に対するミサイル・ドローン攻撃について、米国、サウジは、イエメンからの攻撃ではなく、イランからの攻撃であるとしてイランを非難しているが、いまだ発射地点は特定されておらず、イラク国内の親イラン勢力がIRGCコッズ軍と協力して攻撃を実施した可能性も残されている。今回の米国のKH拠点への攻撃は、従来のレバノン南部からイスラエル本土に対するヒズボラからのミサイル攻撃がなされた場合の、10倍返しの報復攻撃にも似通っており、さらに、最近のシリア、イラク国内のシーア派拠点に対するイスラエル空軍機による領空侵犯攻撃にも似通っているが、実行者が、イスラエルではなく、イランへの最大限の圧力を行使中の米軍が直接、対ISIS作戦では事実上の協力関係にあったPMFの一組織であるKIに軍事攻撃を行ったという点に特色があり、マハディ首相自身辞任表明を行い、イラク政府の支配が弱体化している中での米軍の攻撃でもあり、今後の展開次第では、イラクが再び、米国と反米勢力の戦闘が激化し、デモ・騒乱多発で悪化するイラク国内の治安が一層悪化・混乱に陥る懸念が強まっている。

Posted by 八木 at 15:37 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

東地中海天然ガス資源を巡るトルコとギリシャほか沿岸国との権益確保に向けての競合激化[2019年12月28日(Sat)]
東地中海における天然ガス資源の争奪と、その欧州への輸送ルート設定を巡り、トルコとギリシャおよびギリシャ系キプロス共和国との対立が激化している。11月27日、トルコは、リビアのシラージュ政権との間で、軍事・安全保障協定と両国間の排他的経済水域(EEZ)の境界を明確にする海上境界協定に署名した。ギリシャは、キプロス、イスラエル、エジプトと協力して東地中海で生産した天然ガスをイタリアまでのパイプラインを通じて欧州に輸送する計画を進めようとしているが、今回、トルコとリビアが当該パイプラインを防ぐ形でEEZの設定に合意したことで、キプロス、ギリシャ、イスラエル、エジプトは、トルコの同意なしで、天然ガスのパイプライン設定が出来なくなる可能性が出てきた。トルコは、トルコが世界で唯一承認する北キプロス共和国(TRNS)との間で設置を計画している80kmのパイプラインを通じて欧州に天然ガスを輸送することが安全かつコストもはるかに安上がりであるとして、トルコ抜きの欧州へのガス輸送プロジェクトの開始を強くけん制している。リビアのシラージュ政権は、実質的にエジプト、UAE、ロシア、仏が支援するハフタル将軍率いるリビア国民軍(LNA)のトリポリ制圧を目指す軍事攻勢にさらされており、首都防衛のためにもトルコの軍事的・政治的支援を期待しており、そのために、海上境界協定に合意したものとみられる。
(アナドール通信インフォグラフィック;トルコ・リビア海上境界協定)
https://cdnuploads.aa.com.tr/uploads/Contents/2019/12/13/thumbs_b_c_401ca913c6c8f666700749ab4077974b.jpg?v=174352
●地中海東部は、スエズ運河と地中海を結び欧州とアジアを結ぶ物流の経路であるという重要性を担ってきたものの、沿岸にはシリア、レバノン、エジプトとイスラエル、キプロス・ギリシャとトルコ、トルコとイスラエル、エジプトといった歴史的に対立してきた国々が顔をそろえるため、未だ沿岸国の間で、共通の海上境界の設定もできない状態にある。その中で、その状況を更に複雑にするかのように2000年代以降東地中海で、莫大な量の天然ガス田が相次いで発見され、開発への機運が高まるとともに、生産される天然ガスの市場となる欧州にどのようにガスを届けるかに主として、ギリシャとトルコとの思惑の違いが先鋭化させてきた。世界の推定天然ガス埋蔵量の合計が196兆立方メートルであることを考慮すると、この量の約5%、約9.8兆立方メートルの天然ガスは地中海東部にあるとみられている。米国地質調査によると、この量はレバノン沖で3.6兆立方メートル、ナイル川デルタ流域で6.3兆立方メートルと推定されている。
(DWが報じた東地中海で発見された天然ガス田インフォグラフィック)https://www.dw.com/image/43227418_401.png
●キプロス共和国もEEZ内の開発に意欲を有している。東地中海の沿岸国の間には、このような完全な合意は存在しない。ギリシャおよびギリシャ系のキプロス政権は、キプロス島全体について唯一の管轄権を有すると考えているが、トルコはトルコ系住民が多いキプロス島北部の北キプロス共和国(TRNC)を支持し、ギリシャ系キプロス共和国政権の主張を認めていない。ギリシャ、リビア、エジプト、シリア、レバノン、イスラエルはすべて東地中海地域でEEZを宣言。しかし、EUと米国が支援するギリシャ・キプロスの二者と沿岸国イスラエル、エジプトとの間のEEZ協定をトルコとTRNCは、その権利を無視しているとして、正当性がないと考えている。
●キプロス政府は、天然ガスが埋蔵されている可能性がある同国EEZ内を12のブロックに分け,開発に向けて国際入札を行っている。特に有望とされるブロック12(アフロディーテ・ブロック)の探索許可は,2008年10月以降は米国のNoble Energy他が取得している。6月5日、キプロス政府は、アフロディーテ油田の開発に関して生産共有協定(PSA)に達し、95億ドル(83億5,000万ユーロ)の莫大な価値があると主張し、トルコとTRNCと調整なしで、東地中海でEUと他の国際大国の支持を得るために取り組んでいる。ギリシャ系キプロス政権によって提案された東地中海の天然ガスパイプラインプロジェクト(東地中海-EastMED)は、イスラエルからギリシャ、そしてイタリアに至る1,900 kmの天然ガスパイプラインプロジェクトである。プロジェクトの主な目的は、このラインを介してイスラエルと今後の生産が予想される東地中海の天然ガスを欧州に輸送することにより、欧州のエネルギー安全保障にに貢献することを狙っている。このプロジェクトが実現すれば、欧州は、天然ガス供給減を多様化し、特にロシアへの依存をある程度軽減することができる。このラインの容量は年間160億立方メートルになり、イタリア市場に到達するまでのコストは約250億ドルになると予測されている。
●最近、初の東地中海エネルギーシンポジウムがトルコエネルギー経済協会(TRAEE)および中東工科大学(METU)と共同で開催された。このシンポジウムでは、TRNC経済エネルギー大臣のHasan Tacoyが、トルコとTRNCの間に天然ガスパイプラインを建設するプロジェクトを紹介し、2025年にトルコからTRNCに天然ガスを輸送できると述べた。同プロジェクトの最も重要な特徴は、ガスパイプラインは2025年にTRNCとトルコ間の既存の水道パイプラインと並行して建設され、80キロメートル(50マイル)の長さで、双方向でガスの輸送を開始できることである。トルコからTRNCにガスを輸送できることに加えて、パイプラインが地中海東部の潜在的な天然ガスをトルコおよび欧州市場に運ぶことができるようになれば、この地域の地政学的バランスを変化させる可能性がある。上述のキプロス主導のEastMEDプロジェクトの主な問題は、何よりも高価であり、これらの費用をまかなうガスがまだ実際に発見されていないことである。この意味で、現在トルコとTRNCの間で検討中の80 kmのガスパイプラインプロジェクトは、はるかに安全で安価なルートの選択肢となりうる。
●この選択肢は、トルコがより安全で安価な代替手段を提供する唯一のケースではない。 2012年のサウス・ストリームプロジェクトは、2014年にロシアがクリミアに侵攻したことに対するEUの制裁の結果、およびプロジェクトに費用が莫大になり、キャンセルされた。EUは、ロシアへのエネルギー依存のリスクを取り除きたいと考え、ロシアのサウス・ストリームプロジェクトとEU加盟国との二国間協定の両方に反対した。 EUによるこのアプローチはロシアの計画を阻止したため、その後ロシアは新しい代替案を思いついた。 2014年5月25日、プーチン大統領は、トルコを経由してEUにガスを届けるトルコ・ストリーム(Turk Stream)プロジェクトを宣言し、サウス・ストリーム代替計画がEU以外の国から実施されると発表した。トルコを通るこのようなルートはサウス・ストリームよりも短く、したがってコストをさらに削減し、プロジェクトを実行可能にした。この結果、ロシアは海路だけで最大100億ドル節約できることになった。
●さらに考慮すべき最後の側面は、トルコとTRNCの関係である。この天然ガスパイプラインプロジェクトは、トルコとTRNCの関係の規模を示す上で重要であり、TRNCに対するトルコの支援を強調している。最初に水道の建設、次にTRNC首相エルシン・タタールによるケーブル経由でのトルコからの電力の供給、そして双方向の天然ガスプロジェクトトルコが断固としてTRNCを支え続けるとのメッセージを内外に発信している。トルコは、トルコとTRNCの権益を無視したギリシャ系キプロス政権による欧州やエジプト、イスラエルとの合意から、トルコおよびトルコ系キプロス人の権利を保護しようとしており、パイプラインプロジェクトは、このサポートの最も重要な指標の1つと考えている。

Posted by 八木 at 21:42 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

2019年米国の新生男子の名前で、ムハンマドが初めてトップ10入り[2019年12月25日(Wed)]
米国のベイビーセンター(BabyCenter)発表によれば、2019年全米で誕生した男子の名前で、ムハンマド(Muhammad)が初めて、トップ10入りした。ムハンマドは、2013年に初めてトップ100入りし、その後、着実に順位を上げてきた。イスラム教徒(ムスリム)世帯は、イスラム教の開祖である預言者ムハンマドに敬意を表して、一家の中で初めて授かった男子に、ムハンマドと名付けることが多い。例えば、人口1億人を突破したエジプトのカイロの中心部で、ムハンマドと呼びかければ、10人が振り返るといわれる。アラブ世界の指導者にもムハンマドが多い。例えば、サウジの実質的最高権力者である皇太子は、ムハンマド・ビン・サルマン(国王サルマンの息子であるムハンマドという意味)であり、UAEの実質的最高権力者であるアブダビ皇太子は、ムハンマド・ビン・ザーイドである。アブダビの隣のドバイの首長は、ムハンマド・ビン・ラーシドで、エジプトでアラブの春により失脚した元大統領は、ムハンマド・ホスニ・ムバーラクである。
ベイビーセンターは、60万組の親からデータを回収しており、スペルが一部異なっても、ムハンマドについては、Mohammadも Muhammadも他の類似の名前も同じとして扱っているとのこと。ムハンマドについては、スペルが一部でも違えば別の名前として扱う社会保障のリストによれば、「Muhammad 」は2000年の620位から2018年の345位に上昇している。因みに、2019年アラブ系の名前としては、女子の名前は伝統的に多かったライラ(アラビア語で「夜」の意味)を抑えて、アーリヤ(Aaliyah)が10位に入った。

トランプ大統領のムスリム入国禁止政策(いわゆるムスリム・バン)にもかかわらず、これまで米国内に移民・難民として定住するムスリム住民は、預言者への敬意と自分たちのアイデンティティを維持するために、誕生した息子に、ムハンマドを名づけているものとみられる。
男の子に最も多い名前(Most popular names for boys)
1) Liam
2) Jackson
3) Noah
4) Aiden
5) Grayson
6) Caden
7) Lucas
8) Elijah
9) Oliver
10) Muhammad(ムハンマド)
女の子に最も多い名前(Most popular names for girls)
1) Sophia
2) Olivia
3) Emma
4) Ava
5) Aria
6) Isabella
7) Amelia
8) Mia
9) Riley
10) Aaliyah
(12月6日付CNNオンライン記事)https://edition.cnn.com/2019/12/06/us/muhammad-top-10-baby-names-trnd/index.html
(12月3日付ベビーセンターウェブサイト)https://www.prnewswire.com/news-releases/babycenter-reveals-top-baby-names-of-2019-300967917.html

Posted by 八木 at 13:04 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

サウジ人ジャーナリスト・カショーギ氏殺害に関するサウジ第一審の判決[2019年12月24日(Tue)]
12月23日、リヤドの刑事裁判所(第一審)は、著名なサウジ人ジャーナリストでワシントンポストのコラムニストでもあったジャマール・カショーギ氏が、2018年10月2日、イスタンブールのサウジ領事館を、トルコ人女性との結婚に必要な書類を取得するために訪問した際、本国から派遣された15名の暗殺団によって殺害された事件の容疑者への判決を下した。今回のサウジ側の発表によれば、31人が取り調べをうけ21人が逮捕され、11名が起訴されていたが、第一審の刑事裁判所は、起訴された11名のうち、5名に死刑、3名に合計24年までの禁固刑3名は無罪となった。残る11名は証拠不十分で解放した。有罪判決を受けた人物は、最終的な司法の判断が下されるまでは、名前が公表されないとのこと。この判決に対して、サウジ国内やUAEなど友好国は、判決を評価しているが、トルコや国連の人道分野の特別報告者であるカラマール氏などは、裁判が国際的に受け入れられる水準に全く達していない、事件を指示したとみられる上層部にはほとんど調査、審査された形跡もないとして厳しく批判している。控訴審で争われるのかは、控訴裁判所の判断に委ねられるとのこと。

(参考1)リヤド刑事裁判所(一審)での判決結果(12月23日)
検察は、31人を含むこの事件の審査と関連手続きを終了したと述べた。31人のうち、21人が逮捕され、10人が拘留の根拠なしとして、逮捕されずに尋問のために呼び出された。審査の結果は次のとおり。
第一に、この事件では、11人が起訴され、リヤド刑事裁判所における被疑者に対する刑事告発が提出された。
第二に、リヤド刑事裁判所は、以下のとおり起訴された11人に関して判決を下した。
@ 被害者の殺人を犯し、直接関与した5名(参考4.参照)に対する死刑
A この犯罪を隠蔽し、法律に違反した3名に対して合計で24年までの異なる禁固刑
B 裁判所は、3名に対する検察官の告発を却下し、有罪ではないと判断した。
第三に、検察は残る10人に対しては、証拠が不十分であるために告訴をせず、彼らを解放した。
検察は、裁判所の判決を検討し、第二審に控訴するかどうかを決定すると述べた。
https://www.spa.gov.sa/viewfullstory.php?lang=en&newsid=2014204#2014204


(参考2)シャアラーン次席検察官による記者会見要旨(12月23日)
●シェイク・シャアラーン・ビン・ラジェ・ビン・シャアラーン次席検察官は、市民ジャマール・ビン・アハメド・カショーギを殺害した疑いのあるすべての関係者が検察によって審査され、有罪と認められる者は裁判所に送られ、そして、証拠の欠如のために有罪と認められなかった者はすべて、検察または裁判所の判断を経て釈放された、ことを確認した。
●本日(23日)開催された記者会見で、検察官は、控訴裁判所と最高裁判所の承認がない限り、刑事裁判所が被告に対して下した判決は最終的なものではないと指摘した。手続きに残されていることは、控訴裁判所が判決に異議を認めるかだけである。処罰の決定が控訴裁判所によって承認された場合、刑事訴訟制度の第190条に基づいて最高裁判所に提出される。
●検察官は、9回の公判セッションで被告の事案が審理され、10回目のセッションで判決が出されたこと。この事件に関心のある人々、被害者の子供、弁護士、および安全保障理事会の5人の常任理事国の大使館の代表の出席が認められていた、と補足した。
「トルコは協力し、調査に協力したのか」という質問に対して、検察官は、検察官が犯行現場から入手可能な証拠を王国の検察官に提供するためにトルコ側に13通の尋問嘱託書簡を送ったものの、検察により釈放されたサウジアラビア領事、ムハンマド・アル・オタイビに関するもの一件を除いて、如何なる回答の書簡も受け取ることはなかった、と答えた。この嘱託書簡は、サウジ領事が犯罪の日に彼らと一緒にいた休暇取得中だったトルコ国籍の証人の証言を含んでいた。
●検察官は、検察官の調査は、この任務の開始時に殺害する事前の意図がなく、殺害はその場の判断であり、交渉チームの代表が領事館本部を訪問し、犠牲者のジャマール・カショーギを彼との交渉を完了するために安全な場所に移動させることは困難であることが判明したため、それから、領事館内で交渉の責任者と加害者たちが相談し、領事館内で犠牲者を殺害することに合意したものである。検察官は、捜査が加害者と被害者の間に以前からの敵意が存在しなかったことを示したと強調した。
●次席検察官は、ジャマール・カショーギの殺害に関与した疑いのあるすべての人が検察によって審査され、審査により有罪と認められた者は裁判所に送られ、有罪と認められなかった者は検察または裁判所が証拠不十分で釈放されたことを確認した。また、被告人サウード・アル・カハタニは検察により審査され、証拠不十分のため起訴されなかったと補足した。更に被告人アハメド・アッシーリについては、彼は審査され、起訴され、裁判所に送られたが、裁判所が告訴を却下し釈放された。
●この事件で検察が、一審の判決を受けた者の身元を公表しない理由について、次席検察官は、刑事訴訟制度の第68条は、判決がまだ一審であり、名前の公表を禁止しており、最終的な判決で、名前が公表されると述べた。
https://www.spa.gov.sa/viewfullstory.php?lang=en&newsid=2014309#2014309
(参考3)トルコでカショーギ殺害事件を調査し、報告書にまとめたアグネス・カラマル国連特別報告者のコメント
事件の首謀者は自由に歩きまわれるだけでなく、捜査と裁判においてもほとんど触れられていない。それは正義へのアンチテーゼである。それ(裁判を指す)は見せ掛けだけのごまかしである。
(本年6月の国連人権コミッショナー室発出記事)https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=24713
(参考4)サウジ検察からは氏名非公表ながら、23日付MEE記事に基づき死刑判決を受けたとみられる5名
(1)マーヘル・アブドルアジーズ・ムトリブ(Maher Abdulaziz Mutreb)
カハタニ王宮府顧問の情報・治安担当補佐で、暗殺団の交渉責任者。情報当局のシニア職員で、皇太子の欧米外遊にもしばしば同行。ロンドンの大使館で、カショーギ氏と同僚だったこともあり、イスタンブール・オペレーションの一員に抜擢された。事件当日の3時間前に総領事館に入り、のちに総領事公邸の外にいることが監視カメラで確認されている。1971年5月23日生まれ
(2)サラーハ・ムハンマド・アル-トゥバイギ(Salah Muhammed al-Tubaigy)
内務省の犯罪証拠局に所属する法医学専門家。サウジ法医学学会会員。サウジ治安機関とも関係が深い。サウジでは同分野の著名な人物で、メッカ巡礼者の死因を特定するモバイル・クリニック開発にかかわったこともあり、当日、骨を切断する鋸をもちこんだことや、ヘッドホーンをはめて音楽を聴きながら、15分間のカショーギ氏の遺体切断を指揮したことが報じられている。1971年8月20日生まれ
(3)ワリード・アブドッラー・アル-セフリ(Waleed Abdulla al-Sehri): サウジ空軍に所属する将校。2012年に軍関係者集会での詩吟が報じられている。 1980年11月5日生まれ
(4)ファハド・シャビーブ・アル-バラウィ(Fahad Shabib al-Balawi):サウジ王宮ガード隊員。1985年1月24日生まれ
(5)トルキー・ムサッレフ・アル-セフリ(Turki Musarref M al-Sehri):1982年生まれ
https://www.middleeasteye.net/news/saudi-arabia-sentences-five-death-over-jamal-khashoggi-murder

(コメント)今回の裁判は、昨年11月15日にサウジの検察が11名を起訴して、本年1月からリヤドの啓示裁判が開始され、9回のセッションを経て、10回目のセッションで、判決が下された。この裁判は、完全非公開に近い形で進められてきたが、カショーギ氏の家族や、G5+トルコ大使館の代表は傍聴は認められた。但し、裁判のセッションは当然アラビア語で実施され、ローカル・スタッフの同行は認められず、また、傍聴の内容も外部に漏らしてはいけないとの条件で行われたとのこと。この事件では、CIAがサウジの実質的指導者ムハンマド・ビン・サルマン(通称MBS)皇太子の関与を指摘したが、皇太子は、最近でこそ国としての監督責任には言及したものの、殺害への自身の関与を一切否定してきた。今回の判決で特に注目されるのは、@本国から暗殺団を実質的に指揮したとされるカハタニ元王宮府顧問は、起訴もされておらず、証拠不十分として解放されたこと、Aアッシーリ元サウジ情報部次長も起訴はされたものの、無罪になったこと、Bイスタンブールのサウジ領事館の主で、事件の推移をすべて見守り、記者団を領事館内に招き入れて、カショーギ氏はどこにもいないとの虚偽の発言を行ったオタイビ元総領事も罪に問われず、逆に、C一審は、今回の事件は、事前に仕組まれたものではなく、現場のチームがやむを得ず実行したものと判断し、殺人の罪を本国関係者は除外し、現場にいた暗殺団15名の中でも直接殺害に関わったとされる5名に限定していることである。これに対して、サウジ上層部は、今回の裁判を「茶番」ではないか、あるいは「トカゲのしっぽ切り」との見方が出てくるのは、あえて承知のうえで、年内にこの件に一区切りつけたいとの意向があったものとみられる。昨年10月の段階で、当時のジュベイル・サウジ外相は、国王、皇太子は、「レッドライン」であるとして、防衛線を貼っており、この防衛線を高めに設定して、カハタニ、アッシーリも無罪にして、MBS指導のサウジ国家体制の維持のために多少の批判は覚悟のうえで、サウジは、自国流のやりかたで国内での法的手続きを着実に進めていることを印象付けようとしたものとみられる。なお、シャアラーン次席検事の記者会見で、とりわけ、印象的なのは、あえて、トルコに13通の尋問嘱託書簡を送ったにもかかわらず、返事があったのは一通だけであるとして、トルコ側が協力的でないため、証拠不十分で嫌疑を固められなかったケースが多かったことを示唆した。トルコ政府は、サウジ上層部への追求の手を緩めておらず、サウジ政府は、サウジの司法手続きに距離をおこうとするトルコ政府に強いフラストレーションを抱いていることが看取される。

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シリアに続き、リビア情勢でも利害調整が必要になってきたロシアとトルコ[2019年12月23日(Mon)]
中東に関する国際社会の関心は、シリア情勢からリビア情勢へとシフトしている。12月19日実施されたプーチン・ロシア大統領の恒例の年次記者会見でも、シリア情勢への質問が姿を消して、代わりにリビア情勢への質問が、リビア情勢に関する最近の展開に懸念を強めるエルドアン政権を代弁する国営アナドール通信記者から投げかけられた。プーチン大統領は、ロシアの傭兵が、ハフタル将軍の部隊を支援していることには直接言及しなかったが、複雑なリビア情勢の解決にはトルコや欧州との調整が重要であることは認めた(参考1参照)。一方、エルドアン・トルコ大統領は、12月21日トルコ議会が、11月27日にトルコ政府がリビア暫定政府との間で署名した安全保障・軍事協力協定と海事境界協定(参考2)のうち、前者が賛成269票、反対125票で承認されたことを受け、22日のコジャエリ県北西部のゴルチュク海軍造船所司令部で行われた新型潜水艦プロジェクトの式典で演説し、必要に応じて、自国が空軍、海軍、地上軍で国連が認めるリビア正統政府に対する軍事支援のレベルを上げることができると述べた。新年1月、両首脳の直接会談が予定されているが、リビア問題に関しても、両大統領がどのように利害の調整を図るのか注目されている。

参考1.プーチン大統領記者会見でのリビア関連での質疑(12月19日)
(質問)ロシアは、特にシリアや危機的状況が残っている他の国々の合法的な政府を支持していることを何度も強調してきた。リビアにも危機がある。そこには国際社会によって認められた合法的な政府が存在している。西洋メディアは、ロシアがいわゆる「リビア国民軍」を支持し、ロシアの傭兵が彼らを支持していると報じている。これについてコメントを得たい。これを、シリアのトピックを含め、エルドアン大統領と話し合うつもりか。
(プーチン大統領の応答)
●西洋のメディアに書かれていることを信じるのか。彼らがトルコについて書いているものを読んでみなさい。そうすればあなたは気が変わるであろう。
まじめに語れば、もちろん、我々は状況を認識している。我々は、さまざまな国が紛争の当事者双方と関係を持ち、関係のレベルに差があることを承知している。ロシアは実際にシラージュ政権との接触を維持し、ハフタル将軍とも接触を維持している。我々は、トルコ、欧州、その他の国々を含む我々のパートナーと継続的に対話している。我々は、これは非常に深刻な問題であることを理解している。
●我々は、誰がこの国をこのような状態に導いたかをよく知っている。ロシアはリビアで軍事力を使用すること、リビアのカダフィ大佐が、武装反対勢力に対して航空機を使用することを禁止した国連安全保障理事会決議に反対した。一方、西側連合はリビアに対する空軍の使用を開始し、国連安全保障理事会決議を歪曲した。この結果、生活の質が欧州の水準に近い繁栄している国は、終わりのない内戦によって引き裂かれ、破壊され、混乱状態に陥った。誰が正しいのか、誰が間違っているのかを判断するのは非常に困難である。
●私が言ったように、現実にロシア当局はシラージュとハフタルの双方と連絡を取り合っている。我々は、紛争のすべての当事者にとって最善の解決策は、敵対行為を終わらせ、誰が、どのように、どの条件で国を運営するかについて合意することだと考える。リビアはこれに関心があると信じる。これは、欧州のパートナーと間違いなく話し合うべきものである。これについては、独の首相及び仏大統領と電話で話し合ったばかりである。エルドアン大統領と私もこれについて議論した。トルコ代表団は、実務訪問のために数日中にモスクワに到着し、彼らの議題にはこの問題が含まれる。私はリビアとリビア国民に受け入れられる解決策が見つかることを望んでおり、ガッサン・サラーメ国連事務総長特別代表とともに最終的な解決策を見出すことができることを望んでいる。
http://en.kremlin.ru/events/president/news/62366

参考2.リビアとトルコとの海上境界協定について(12月22日のエルドアン大統領の発言に基づく)
●11月27日トルコが署名し、12月8日発効したリビアとの海上境界協定に関して、同22日エルドアン大統領は、協定はトルコの法律および国際法と矛盾しないとして、「大陸棚と排他的経済水域と海上管轄権の問題の両方について、確立された慣行に反するステップはない」と述べた。エルドアン大統領は、トルコが10年前にリビアのカダフィ大佐と協議し、海上管轄権の第一歩を踏み出し、彼と合意に達したが、地域の混乱のため、合意の確定が遅れたと述べた。
●エルドアン大統領は、エーゲ海と地中海の利害関係者はすべての沿岸国であるとして、「(地中海)最長の沿岸国として、我々はここでの権利を守るためにあらゆる手段で取り組むことを決意している。」と述べ、海上境界協定は、ギリシャのキプロス政権による一方的な掘削に直面している東地中海におけるトルコの権利を主張し、北キプロス・トルコ共和国(TRNC)もその地域の資源に対する権利を有していることを確認した。

(コメント)
1.リビアでは、2011年に反体制派の蜂起とNATO軍の軍事介入もあり、カダフィ政権が崩壊したあとも各勢力が入り乱れて国内の分裂と権力闘争が続き、現在、国連やEUを含む国際的に認知されたシラージュ暫定首相率いる首都トリポリを拠点とする国民合意政府(GNA)と、東部トブルクを拠点に暫定政権側と対立している代表議会(HOR)、ならびにHORから権限を与えられ、GNAの指揮下に入ることを拒否するハフタル将軍率いるリビア国民軍(LNA)という複数の権力グループが存在する。リビアは部族社会であり、この権力グループと様々な部族の利害と思惑が複雑に絡み合い、国連等の努力にもかかわらず、国内統一に向けた動きは遅々として進まなかった。こうした中、本年4月4日、LNAは突如トリポリへの進軍を開始した。国連をはじめとする国際社会は、戦闘停止と自制を呼びかけたが、ハフタル軍はその声を無視して、トリポリ近郊に進出し、4月8日にはLNAの軍用機が、首都トリポリで唯一機能しているミティガ空港を爆撃した。当時、LNAとシラージュ暫定首相側の民兵組織との衝突で、数十名が死亡したと伝えられており、ハフタル軍が首都制圧を目指せば、さらに被害が拡大すると懸念されていた。その後ハフタル将軍の進撃は、GNA側勢力により食い止められ、こう着状態に陥っていたが、11月再びハフタル軍は、トリポリへの軍事的攻勢を強めていた。
2.今回トルコが、リビアのシラージュ暫定政権との間で二つの協定に署名し、発効させたことで、中東世界はシラージュ暫定政権を国際的に認められた「正統政府」として同政権を支えるトルコ、カタールと、以前からハフタル軍支援をためらわないUAE、エジプトとの対立の構図が浮き彫りになった。また、中東の大国サウジは、4月のハフタル軍の進軍開始直前の3月27日、ハフタル将軍は突如、リヤドを訪問し、サウジのサルマン国王と会見しており、ハフタル将軍を支援するエジプト、UAEに加えて、サウジが、ゴーサインを与えたことが、ハフタル将軍のトリポリ進軍の決断を促す決定的要因になったのではないかとみられている。UAEの実質的指導者ムハンマド・ビン・ザーイド(通称MBZ)皇太子は、ハフタル将軍のサウジ訪問と相前後してエジプトを訪問し、シーシ大統領と会談しており、ハフタル進軍開始を確認したことは間違いない。今回もハフタル軍の進軍に対して、国連や欧米諸国は自制を呼びかけているが、国際社会のハフタル将軍の行動への非難のトーンは極めて低い。リビアには現在も、国連決議に基づき、制裁委員会が承認した場合を除く武器供給禁止措置がとられているにもかかわらず、ハフタル軍は、UAEから供与された軍事用車両を連ねて進軍していたことが確認されており、ハフタル軍の航空基地の設備・維持にもUAEが支援しており、UAE空軍機が空爆を実施したとも報じられている。ロシアは、プーチン大統領が複数回ハフタル将軍と会談しており、2017年1月には、シリアでの軍事作戦に参加したロシア黒海艦隊の空母アドミラル・クズネツォフ号のロシアへの帰還途次、リビア沖で艦上にハフタル将軍を招き、ショイグ国防相と電話会談を実施したことに象徴される通り、軍事支援を含め緊密な関係を維持しており、現在ロシアの傭兵がリビアに入り、前線でハフタル軍を支えているとみられている。仏は、オランド政権下2016年7月17日、ベンガジ近郊で3名の仏特殊部隊員が搭乗していた軍用ヘリの墜落で死亡した件で、イスラム武装組織ベンガジ防衛旅団と戦うハフタル軍を仏の特殊部隊が支援していたことが明らかになっており、マクロン政権誕生後も、2017年7月25日、マクロン大統領は、シラージュ暫定政府首相とハフタル将軍をパリに招き、直接対話を促し、当時からEUの中でも抜きんでて、ハフタルの立場強化を働きかけてきた。米国については、オバマ政権下の米国はGNAを強く支持してきたが、トランプ政権は、早々に米軍のリビア撤退を宣言し、リビアに大きな関心を示していない。シリアに続き、リビアでも、エルドアン大統領とプーチン大統領の立場の相違をどう埋めるかが重要になってきているが、リビアは、シリアよりも更に欧州の利害が密接にかかわるため、関係当事者の調整が一層複雑になり、簡単な問題解決の方程式を示しえない状態が更に続くことが懸念される。

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国連事務次長は、現時点で9月14日のサウジ・アラムコ攻撃に使用された兵器は「イラン起源」であると特定できないと説明[2019年12月21日(Sat)]
12月19日、米国出身のローズマリー・ディカルロ国連事務次長は、国連安全保障理事会会合で2015年にイランの核取引を承認した決議2231の実施に関する事務総長の8番目の報告書について説明した際に、本年9月14日にサウジ国営アラムコの石油施設アブカイクとフライスに対する攻撃に関する国連側の調査結果に言及した。同攻撃は、サウジの石油生産を一時的に半減させるという大きな損害をもたらした。ディカルロ事務次長は、同攻撃に関連して初期的な調査結果であると強調しつつ、イランが攻撃の「発進源」であると非難する米国の主張を確認できないとする国連事務総長の以前の発言を再確認した(参考1.参照)。9月の攻撃の後、米国は、サウジの要請に応え、パトリオット・ミサイルシステム等の追加配備を行った。サウジは米軍部隊の追加派遣費用をすべて負担する意向を伝えたとみられている。一方で、米国から攻撃の主体であると非難されたイランのタンカーが10月11日紅海ジッダ沖を航行中に飛翔体によるとみられる攻撃を何者かによって受けていたことが明らかになった。サウジは、9月の攻撃のサウジの石油生産への影響は限定的であることを示すため、12月11日サウジ・アラムコの新規株公開(IPO)に踏み切った(参考2参照)。
(参考1)ローズマリー・ディカルロ国連事務次長発言要旨(12月19日)
●(本年のアラビア半島、湾岸地域での緊張の高まりに関して)これらの展開により、地域は危険なほど深刻な対立に近づいた。そのような不測の事態は壊滅的なものであり、何としても防止しなければならない。
●(サウジ・アラムコ施設への攻撃について)現時点では、調査した巡航ミサイルまたは回収された部品がイラン起源であることを独立して確証することはできない。最近、巡航ミサイルの部品のいくつかは、実際には特定されたメーカーによって製造されたものではなく、複製である可能性があるという確認を受けた。同様に、国連事務総長室は、作戦で使用されたドローンが「イラン起源」であるかどうかにつういても独立して裏付けることができない
●一方で、(ドローンで攻撃したとの犯行声明を発出した)フーシー側の説明は妥当性を欠いている。国連事務総長室が観測した衝撃地点の数は、当該攻撃がこれまでと種類の異なるより多くの兵器システムが関係していることを示しており、これは、サウジが提供した情報とも一致している。

https://news.un.org/en/story/2019/12/1054071

(参考2)サウジ・アラムコの新規株式公開
12月9日、主幹事行の幹部がテレビ局アルアラビーヤに対して明らかにしたところでは、サウジの国営石油会社サウジ・アラムコは、国内Tadawul(サウジ・アラビア証券市場)での新規株式公開(IPO)でオーバーアロットメントによる15%の追加売り出しを行った結果、調達額が294億ドルに拡大した。売却株式数は34億5000万株。サウジ・アラムコは12月11日に上場。規模は2014年に上場した中国電子商取引最大手アリババの250億ドルを抜いて過去最高となる。もともとサウジはアラムコ資産の5%約1千億ドルを海外のニューヨークやロンドン、あるいは東京証券取引所への上場も検討してきたが、上場においては資産保有に高い透明性が求められることもあり、当面サウジ国内で上場を急ぎ、9月のアラムコ施設への攻撃の影響はほとんどないことを国内外にアピールする狙いがあったものとみられている。

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分極化するイスラム世界(イムラン・カーン・パキスタン首相のクアラルンプール・イスラム首脳会議の欠席の意味)[2019年12月20日(Fri)]
12月19日52か国のイスラム代表者650人が参加してクアラルンプールで、イスラム首脳会議が開催された。同会合には、ホスト国マレーシアのマハティール首相、イランのローハニ大統領、トルコのエルドアン大統領、カタールのタミーム首長らが参加した。この会合に招待を受けたサウジのサルマン国王は、欠席した。とりわけ注目されるのは、直前まで出席するとみられていたパキスタンのイムラン・カーン首相が開催2日前に欠席を表明し、代わりに派遣するとしていたシャー・マフムード・クレイシ外相も出席を取りやめたことである。世界最大のムスリム人口を抱え、マレーシアとも関係の深いインドネシアもジョコ大統領が出席を取りやめ、同大統領に替わって出席するはずのインドネシア最大のイスラム教団体である「ウラマーの復興(Nahdlatul Ulama )」を代表するマアルーフ・アミーン副大統領も、健康上の理由を理由に土壇場でキャンセルした。今回のイスラム首脳会議は、イスラム世界が抱える現在抱える様々な課題の解決に向けてその取り組みを話し合う場であるとされていたが、パキスタンやインドネシア首脳の欠席は、イスラム諸国会議機構(OIC)をホストするサウジから、イスラム世界の分裂を招きかねないとして、パキスタンやインドネシアに対して、出席を控えるようにとの強力な働きかけがあったためとみられている。イムラン・カーン首相は、今次会合直前、サウジを訪問してムハンマド・ビン・サルマン(通称MBS)皇太子と会談しており、カーン首相の欠席は、重要な援助国であるサウジからの要請を優先した結果と考えられる。一方、バーレーンのハーレド外相は、サルマン国王からの書面の招待が発せられていたにもかかわらず、リヤドでの先のGCC首脳会議出席を見合わせたタミーム首長が遠方のクアラルンプールの会合に出席したことに苦言を呈している。先のGCC首脳会議は、本来アブダビで開催予定であったものが、カタールの出席を勘案して、サウジが開催地となり、開催前には、カタールと断交中の湾岸3カ国との関係修復に進展があるのではないかとの希望的観測も高まっていたが、カタールは首相を出席させ、関係修復には時間がかかることを改めて認識させた。

(TRTが報じたサウジによるカーン首相へのサミット欠席の説明動画)
https://youtu.be/AkkuAyDc8m4

(参考)主な首脳や有力者発言の注目点
1.マハティール・マレーシア首相
●我々は皆、イスラム教徒、彼らの宗教、そして彼らの国が危機状態にあることを知っている。イスラム教徒の国が破壊されるのを目撃し、どの国でも市民は彼らの国から逃げ出し、非イスラム教徒の国に避難を余儀なくされた。第二次世界大戦によって荒廃した他の国々が回復し発展した一方で、多くのイスラム教徒の国々は、うまく統治できず、非常に発展が遅れ、繁栄できないでいる。

2.タミーム・カタール首長
パレスチナの占領は我が地域における不安定の最も重要な原因の1つである。パレスチナの土地の併合、違法な入植、および「エルサレムのユダヤ化」は、都市のアラブ人的性格を一掃し、至る所でアラブ人とイスラム教徒の感情を逆なでする政策の例である。

3ローハニ・イラン大統領
●一部のイスラム教徒の国々(暗にサウジを指す)の「精神的および行動的急進主義」が中東に、外国の介入への道を開いた。シリア、イエメン、そしてイラク、レバノン、リビア、アフガニスタンでの暴動と騒乱は、国内の過激主義と外国の介入の組み合わせの結果である。
●イスラム教徒の国々は銀行と金融協力のための特別なメカニズムを確立し、取引に国の通貨を使用することができるようにすべきである(イランは2018年から米国の制裁下にあり、国際金融システムを使用して他の国との貿易を制限されている)。

4.エルドアン・トルコ大統領
●数多くの機会、石油、人口、天然資源にもかかわらず、いまなおムスリムの大部分が貧困や無知と闘っているのならば、過ちを自分たちの中に模索する必要がある。最も裕福なイスラム国と貧困国の差は200倍以上である。世界全土の識字率が82.5パーセントである中、この割合はイスラム世界では約70パーセントで推移している。世界全土で発生している紛争による死者の94パーセントはムスリムが占めている。現在世界で売却されている兵器の3つに1つは中東に送られている。つまり、ムスリムが互いに発砲する中で裕福な者は欧米の兵器商人になっている。
●ムスリム諸国が国連安全保障理事会の常任理事国である5つの加盟国を含む17億人のイスラム教徒の運命を西側諸国の手に委ねるべきではない。世界は5か国よりも大きい。国連常任理事国の拒否権が小国に有害である。国連の安全保障理事会は、その有効期限を過ぎている

5.オスマン・クアラルンプール・サミット事務局長
●マハティール首相は、サウジのサルマン国王に招待を届けるため個人代表を派遣した。サミットはOICに対抗することを意図していない
(アルジャジーラ関連オンライン記事)
https://www.aljazeera.com/news/2019/12/mohamad-mahathir-muslim-world-state-crisis-191219091837516.html

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駐イスラエル・ブラジル大使館のエルサレム移転の動き[2019年12月16日(Mon)]
12月15日付ロシア・トゥディ(RT)は、エルサレムでのブラジル貿易事務所開所式に出席したボルソナロ・ブラジル大統領の息子が、大統領の意向を踏まえブラジル大使館がエルサレムに移転すると断言し、これをネタニヤフ首相が高く評価したと報じている。
●12月15日、ボルソナロ・ブラジル大統領の息子で国会議員のエドゥアルド氏はエルサレムでのブラジル貿易事務所の開所式において、「私の父(ボルソナロ大統領)が言うように、ブラジル大使館はエルサレムに移転する。それは異常なことではない。それは自然で普通のことだと思われる。」と発言。開所式に出席したネタニヤフ首相は、「イスラエルにとって、ブラジルの人々と政府より以上の良い友人はいない。私が言いたいのは、国際社会でイスラエルを支援するボルソナロ大統領の姿勢をどれだけ我々が感謝しているかということだ。ボルソナロ大統領は直ちに政策を変更し、我々は、イスラエルと共に立つ。我々は、真実と共に立つ、と言ってくれた」と、ブラジル政府のエルサレム問題への対応を賞賛した。
●ボルソナロ大統領は、ユダヤ人国家の支持者であり、選挙運動中にブラジル大使館を首都エルサレムに移すことを約束した。ボルソナロ大統領は、米国大統領ドナルド・トランプとは異なり、まだその約束を果たしていないが、昨年5月、米大使館をテルアビブからエルサレムに移転したトランプ大統領の背中を追うように、ブラジル大使館を来年中にエルサレムに移動する予定とのこと。現在、エルサレムに大使館を置いているのは、米国とグアテマラのみ。更に、ホンジュラスが、今後数週間のうちに移動する予定とみられている。この他、エルサレムには、ハンガリー、オーストラリア、チェコ共和国が今回ブラジルが開設したものと同様の貿易事務所が存在している。
●、ブラジルの輸出のわずか0.1%がイスラエル向けであり、5%近くがアラブ連盟諸国向けであることから、ボルソナロ大統領の大使館移転方針は、政治的なものであるとみられている。
https://www.rt.com/news/475960-brazil-move-embassy-jerusalem-netanyahu/

(コメント)国際社会は、イスラエル・パレスチナの二国家共存を支持し、双方の対話により、中東紛争の包括的、永続的かつ公正な解決を後押しする観点から、大使館をテルアビブにおいて、エルサレムの地位は今後の協議にゆだねられるべきであるとの立場をとってきた。ところが、トランプ米国大統領は、2017年12月、エルサレムはイスラエルの首都であると宣言し、米国大使館のエルサレム移転の決定を行った。それに基づき、イスラエル建国記念日にあたる2018年5月14日に、米国大使館エルサレム事務所が開設した。その2日後の5月16日には、中南米のグアテマラが米国に続いて、大使館をエルサレムで開設した。さらに、5月21日にホラシオ・カルテス(前)大統領が出席し、パラグアイ大使館がエルサレムで開設した。その後パラグアイでは、カルテス大統領が任期を終え、2018年8月退任し、マリオ・アブド・ベニテス新大統領が誕生し、外相には、カスティグリオーニ氏が就任した。トランプ政権誕生と、米国のイスラエルへの強い支持を背景に、外交的得点を重ねてきたネタニヤフ政権にとって、パラグアイの大使館をテルアビブに戻すとの決定は、最近では、2018年8月3日のコロンビアのパレスチナ国承認に続く、外交的失点であるとみなされていた。コロンビアは、同年7月までパレスチナ国を承認しない中南米唯一の国で、イスラエルにとっての最大の友好国とみなされてきた。コロンビアの決定は政権交代の直前であったが、同年9月3日イバン・ドゥケ新大統領は、前政権の措置を覆すことは考えていないと発言。コロンビアのパレスチナ承認決定に続く、パラグアイの大使館をテルアビブに戻すとの決定は、ネタニヤフ首相のメンツを潰すもので、イスラエル政府が即時駐パラグアイ大使館閉鎖を宣言したことからもわかるようにネタニヤフ政権に強い衝撃を与えた。一方、今回、南米の大国ブラジルが、エルサレムに貿易事務所を開設し、2020年には大使館開設に動き始めたことは、ネタニヤフ首相にとっての久々の外交的勝利で、2回に亘る総選挙にもかかわらず、新政府を正式に発足できずにいるネタニヤフ首相にとって、来年に実施される3回目の総選挙をにらんで、ブラジルのエルサレムへの大使館移転の動きは、これ以上ないほどのありがたい贈り物と映っていることは想像に難くない。

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カタールとアラブ包囲網4か国との関係正常化は一旦先延ばし[2019年12月11日(Wed)]
12月10日にリヤドで開幕した湾岸協力理事会(GCC)首脳会議にカタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長は、出席しないことを決定し、代わりに首長はアブドッラー・ビン・ナセル・ビン・ハリーファ・アール・サーニ首相と指名し、リヤドに到着したアブドッラー首相は、サルマン国王の出迎えを受けた。先週、カタールのムハンマド外相はローマでの会議で、湾岸危機は「膠着状態を脱しつつある」と語り、また、カタールとサウジの間で話し合いが行われたことを認め、更に、ホスト国サウジのサルマン国王が書面の招待状をタミーム首長に発出していたことで、今次GCC首脳会議で、包囲網4か国との関係修復が実現するのではないかとの希望的観測も生まれていた。しかし、タミーム首長がGCC首脳会議出席見合わせたことで、今次会合に合わせての関係正常化は無くなった
アルジャジーラは、カタール大学のアンサーリ教授のコメントを引用して、関係正常化には、@カタールと4か国との信頼回復、A関係国の面子を保つこと、B(先行している観のある)サウジ・カタール関係を、サウジ以外の3か国にどう納得させるかがカギになると報じている。カタールは、包囲網4か国が突き付けた(1)断交直後カタールに派遣されたトルコ軍の撤退、(2)イランとの外交関係の縮小、(3)(4か国に関する批判的記事もためらわない)アルジャジーラ等カタール系メディアの閉鎖、(4)テロ組織(注:ムスリム同胞団等を意識)との関係断絶、を含む13項目の要求のいずれも応じる気配を示しておらず、4か国がこのまま、外交関係を復活させ、封鎖を解けば、外部からは小国カタールが、サウジほかの域内大国の圧力をしのいで勝利したという印象を与えかねないことを懸念していると思われる。

4か国からの批判の中心になっているアルジャジーラが、下記引用記事の動画で、カタールと4か国との断絶について解説(8分31秒。解説は英語)しているので、興味ある方は、記事下方の動画画面をクリックしてご覧いただきたい。
https://www.aljazeera.com/news/2019/12/qatar-emir-sheikh-tamim-skip-gulf-summit-saudi-arabia-191210075123465.html

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米国務省は世界人権デーに合わせて、カショーギ殺害の際の現場のサウジ総領事に入国禁止措置を発動[2019年12月11日(Wed)]
12月10日の世界人権デーに際して、サウジ政権に批判的で、ワシントン・ポストのコラムニストであり、2018年10月2日に、イスタンブールのサウジ総領事館にトルコ人婚約者との結婚に必要な書類を取りに行った際に、サウジ本国から送られた15名の暗殺団により殺害されたジャマール・カショーギ氏に関連する米国務省の新たな措置が発表された(下記参考参照)。カショーギ氏殺害については、サウジの検察により11名が起訴され、うち5名に死刑が求刑され、裁判が継続している。裁判の審理は非公開であるが、国連安保理常任理事国5か国とトルコの現地代表がその都度傍聴を認められているとされる(裁判の審理はアラビア語で実施される)。しかし、起訴された人物名を含め、依然、事件の全貌、裁判の現状も公表されていない。今回の米国の入国禁止措置(本人だけでなく、直近の親族も対象となる)の対象となったオタイビ駐イスタンブール・サウジ総領事(当時)は、事件発生直後、事件の展開をすべて承知していながら、記者団を自らの執務室に招き入れ、「カ」氏は既に総領事館を立ち去り、その消息は不明であると説明していた。
そのオタイビ前総領事は、起訴された11名には入っていないとみられている。同様に、本国から暗殺団に指揮をとったとされるカハタニ元王宮府顧問も起訴された形跡はなく、その動向も明らかになっていない。未だにこの事件は深い霧に包まれている。
(参考)米国務省発表(12月10日)
●米国務省は、トルコのイスタンブールにあるサウジアラビアの前総領事ムハンマド・アル・オタイビを、人権の重大な侵害に関与したとして(入国禁止措置の対象に)指定した。ジャマール・カショーギの殺人は凶悪で容認できない犯罪であった。本日の我々の措置は、カショーギ氏殺害への対応における別の重要なステップである。アル・オタイビは、2018年11月15日に、グローバルマグニツキー人権説明責任法に基づいて施行される大統領令(E.O.)13818の下で指定された。国務省は、サウジアラビア政府に対し、カショーギ氏を死に至らしめた責任者の完全で公正かつ透明な裁判を実施し、彼の死に関与した者全員に責任を負わせることを引き続き求める。我々は、関連するすべての事実を探求し続け、議会に諮り、殺害に関与した人々に説明責任を果たさせるために他の国々と協力する。
https://www.state.gov/public-designations-of-current-and-former-foreign-government-officials-due-to-involvement-in-gross-violations-of-human-rights-under-section-7031c-of-the-department-of-state-foreign-operations-and/

Posted by 八木 at 09:42 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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