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米国連邦地裁の押収令状に加え、新たに財務省の制裁対象にも指定されながら、東地中海を漂うイランの大型タンカー「エイドリアン・ダリヤ1」号[2019年08月31日(Sat)]
8月30日、米国財務省は、イランの大型タンカー(「グレース1」改め)「エイドリアン・ダリヤ1」号を米国外国資産管理法(OFAC)に基づく資産凍結義務を課すSDNリストの「カウンター・テロリズム」の分類の下で指定したと発表。「テロ」対策指定での制裁は、米国が同タンカーは「外国テロ組織」に指定するイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)がタンカーを支配しているとの見方に基づくものとみられる。タンカーは、7月4日、英国領ジブラルタル当局により、シリアへの原油輸送を禁止するEU制裁違反の疑いで拿捕・拘束されていたが、ジブラルタル当局は、タンカーの積み荷はシリアに届けないとのイラン側からの書面の確約に基づき、8月15日解放した。米国は直ちに反応し、8月16日米国連邦地裁がタンカーの押収令状を発出したが、ジブラルタル当局は、解放の決定を覆さなかった。同タンカーは、ギリシャのカラマタ港に進路を定め航海を開始したが、その後、トルコのメルシン港に進路を変え、さらに自動識別装置AISの設定情報によれば、8月30日早朝トルコのイスカンドルーンに再度進路を変更したとされる。イスカンドルーンは、タンカーの当初の目的地とされるシリアの製油所のあるバニヤス港から200kmの距離にあるとされる。オスロ訪問中のチャブシュオール・トルコ外相は直ちに反応し、同タンカーはイスカンドルーンには向かっておらず、レバノンの港湾であるとは言えないものの、レバノン水域に向け航行しているとの見方を示した。一方、レバノンのナダ・ブスターニ・エネルギー相は、レバノンは製油施設を有しておらず、原油の購入の予定はない、またタンカーからも、レバノン水域通過、レバノンへの入港の要請は受けていないと言明した。8月26日イラン当局関係者は、「エイドリアン・ダリヤ1」号積載の210万バレルの原油は、未公表のバイヤーに売却し、バイヤーが船の行先を決定すると述べていた。船舶は現在キプロスの西方を航行中とされる。喜望峰・ジブラルタル海峡を経由したタンカーが積み荷をどこにも下すことなくイランに帰国することを望まないイランと、イランの原油取引を何としてでも阻止したい米国とのすさまじい闘いが、東地中海で展開されている。
(OFAC指定関連URL)https://www.treasury.gov/resource-center/sanctions/OFAC-Enforcement/Pages/20190830_33.aspx

(OFACのSDNリストとは)
米国には外国資産管理法(Foreign Assets Control Regulations)という法律があります。米国大統領が、国家の安全保障を脅かすものと指定した国や法人、自然人などをSDN(Specially Designated Nationals and blocked Persons)リストとして公表すること、および同リストに記載された制裁対象が米国内に保有する資産を凍結できること等について規定しています。
この法律によって、米国人(米国法人、米国籍保有者、米国居住者)には、資産凍結の義務が課せられ、義務を怠った場合には厳しい罰則が科せられます。この法は、米国の外交・国家安全保障政策に基づく経済・通商制裁プログラム(Economic and Trade Sanctions Programs)を管理・運営する米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Asset Control:OFAC)によって執行されていることから「OFAC規制」と呼んでいます。
(出所)JETRO解説よりhttps://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-011104.html

Posted by 八木 at 08:48 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

多面化し、ますます複雑化するイエメン内戦の構図[2019年08月30日(Fri)]
8月29日、イエメンの国際的に認められた政府を率いるハーディ大統領は、イエメンの暫定首都アデンとその周辺地域の支配のために戦っている南部分離主義者に対する支援を提供するアラブ首長国連邦(UAE)に支援の停止を求めるとともに、アラブ連合軍率いるサウジに介入するよう求めた(参考1)。

29日イエメン国防省は、イエメン政府軍に対するUAEのアデンおよびアビヤン県サンジバルへの28日夜半からの10回の空爆により、300名以上の死傷者が発生したと発表。UAE外務省は、29日夕の声明の中で、空爆の事実を認めて、連合軍に脅威を与えている標的を狙ったと主張。アデンでは、ここ数週間、政府軍とUAEが支援する南部暫定評議会(STC)の武装勢力とがアデンやアビヤン県で一進一退の激しい戦闘を繰り返していた(参考2の経緯参照)。28日には、政府軍が一旦アデンを奪還したと伝えられたが、その後、UAE空軍の支援をうけたSTC武装勢力の反撃が始まり、政府軍がシェイク・オスマン、ダルサード、ブレガ、大統領官邸の地区を支配し、STCがクレーター、マンスーラ、タワヒ、アデン空港地区を支配しているとされる。

(参考1)ハーディ・イエメン正統政府大統領声明(8月29日)
@ 正統政府は、イエメンの憲法上の合法性に挑戦するUAE支援のSTCの民兵によって実行された「武装反乱」に直面している。
A STCは国を分断するため、不法行為、侵略を冒し、UAEの兵器を活用し、南部県のイエメン人に対して武力を行使した。
B これらの民兵による露骨な不法侵入と我が軍への空爆を停止させるため、サウジ政府に介入を呼び掛ける
C 空襲の後、政府軍はSTC民兵による「狂気の破壊」からアデンおよびその住民を救うためにアデン郊外に撤退した。
(関連記事アルジャジーラURL)https://www.aljazeera.com/news/2019/08/yemen-southern-separatists-regain-control-port-city-aden-190829073935248.html
(参考2)経緯
1. アデンは、英国の植民地であったが、1967年の独立により、南イエメンと呼ばれたイエメン人民民主共和国はソビエト連邦の陣営に加わった。1980年代末の共産主義の崩壊により、1990年の南北の統一が達成された。しかし、富の恩恵が北に偏っていることに南の住民は反発し、1994年に北の支配からの離脱を試みたが、内戦はサーレハ(元)大統領率いる軍に鎮圧され、分離の試みは失敗した。
2. 2007年に南部の分離独立を目指す運動ヒラークが結成された。アラブの春で、ヒラークは、サーレハ追い落としに一役買った。
3. 2015年ホーシー派・サーレハ連合がアデンの制圧を目指した際、ヒラークはアラブ連合軍に加わり、アデンの防衛に貢献した。
4. 2017年5月11日、同年4月にハーディ大統領によってアデン県知事を解任されたアイダロウス・アル・ズバイディが、南部暫定評議会(STC)創設を宣言した。
5. 2018年1月には南部分離主義者とハーディ政府軍との衝突が発生。分離主義勢力がアデンのほぼすべてを占領し、大統領官邸を取り囲んだ。サウジとUAEが包囲を解除するために調停する前に、少なくとも38人が3日間の戦闘で死亡した。
6.8月1日アデンで開かれた軍事パレードがホーシー派の無人機で攻撃され、STC傘下の民兵組織「安全ベルト(security belt」」の司令官ムニール・アブ・ヤンマーマ・アルヤフェィ(Munir "Abu al-Yamama" al-Yafei )を含むSTC民兵組織の司令官ら40人近くが死亡した。民兵側は、政権側と連携するイスラーハがホーシー派に軍事パレード襲撃をけしかけたと疑った。
7.STCと政府軍の対立は、アルヤフェィ司令官の葬儀が行われた7日から市街戦に発展。少なくとも40名が死亡した。
8.8月10日、民兵組織「安全ベルト」が、アデンの大統領宮殿や軍事キャンプを制圧した。一方ハーディ政権側は、今回のSTCの行動は、正当な政府への反逆であるとみなし、連合軍を指導するサウジ、UAEに直ちに介入し、正統政府に従うよう緊急の声明を発した。
9.8月12日、UAEのムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子(通称MBZ皇太子。UAE国軍最高副司令官。病気の兄のハリーファUAE大統領に替わってUAEを実質的に指導する)は、急遽メッカを訪問し、サルマン国王、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(通称MBS皇太子)と会談し、対立する双方に対話を呼び掛けた
10.8月17日、STC民兵組織「安全ベルト」はアデンのいくつかの公共施設を明け渡したが、付近での軍事的プレゼンスは維持した。
11.8月20日、「安全ベルト」の戦闘員は、アデンから約60 km離れたアビアン県の県都ザンジバルの特殊部隊キャンプを包囲し、近くの軍事キャンプを支配した。
12.8月20日、イエメン政府は、UAEが武装勢力の反乱に全面的責任を負うと声明。
13.8月24日、政府軍はシャブワ県アタク市を奪還。
14.8月28日、政府軍はアビアン県を奪還したと述べ、イリアーニ・イエメン情報相は、政府軍が大統領宮殿を含むアデンを完全に制圧したと発表。
15.8月28日夜、UAE軍は、STC民兵部隊を支援して、政府軍への空爆を開始300名の死傷者が出たとされる。

(コメント)2015年3月に、サウジ主導のアラブ連合軍によって開始されたイエメンの反政府ホーシー派への軍事作戦は、4年半を経て、「国際的に認められたハーディ政権軍+アラブ連合軍」対「ホーシー派武装勢力」という構図から、@「ハーディ政権軍+サウジ軍」対「ホーシー派武装勢力」、A「南部分離主義者+UAE軍」対「ハーディ政府軍+イスラーハ部隊(イエメンの同胞団系の部隊)」への複数戦線への戦いに変貌しようとしている。経緯にあるようにすでに、2018年1月の段階で、ハーディ政権軍とSTCの対立は顕在化していたが、今回、UAE軍が、8月12日のサウジ・UAEの首脳会談の実施により、事態の鎮静化で合意したにもかかわらず、アデンを制圧した政府軍部隊を空爆し、300人規模の死傷者を出したことで、サウジ、UAE間の亀裂が覆い隠せない状況になっている。UAEが支援する南部分離主義者は、もともとサウジに避難し亡命政権化しているハーディ政権に忠誠を尽くす気はなく、イエメン内戦の当初こそ、アデン防衛もあり、有志連合側で戦ったが、ハーディ政権にイエメン全土を支配する能力はないとみて、南部の分離を推進し支配地拡大に注力している。UAEも、ホーシー派以上にイスラーハを嫌っており、両者の利益が一致していること、UAEは、ソコトラ島を含め、インド洋側に勢力圏を拡大するには、STCとの連携が得策であると判断したものとみられる。このUAEの動きに対して、ハーディ大統領は怒りを露わにするとともに、スポンサーであるサウジの介入を強く望んでおり、一方、サウジ指導部もUAEの動きに苛立っていることは間違いない。

Posted by 八木 at 11:10 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

トルコ文化年2019 トルコフェスティバル開催情報の共有[2019年08月29日(Thu)]
トルコフェスティバルが、トルコフェスティバル2019実行委員会の主催、ユヌス・エムレ・トルコ文化センター共催で、トルコ文化年にあたる2019年9月7日(土)、8日(日)代々木公園イベント広場で第1回が開催されるとのことです。東京にいて異文化体験のできる良い機会なので、当研究会としても開催情報を拡散します。
(公式サイトURL)https://www.torukofestival.com/
◆内容
@広場では多彩なトルコ料理(ケバーブだけではないようです)が堪能できます
A野外ステージでは、オスマン帝国時代の軍楽隊の演奏、民俗音楽やダンスなどのパフォーマンスが楽しめます
Bトルコの伝統的芸術ワークショップの体験コーナーに参加できます
・エブル(水の上に落としたインクで植物などの様々な模様を描き、紙に写し取る絵画)、
・オヤ(手芸)
・ハット(書道)
Cモザイクランプ、絵皿、アクセサリー等の珍しい雑貨を購入できます

Posted by 八木 at 10:46 | 日本とイスラム世界の出会い | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

清田明宏 UNRWA保健局長 の講演の注目点[2019年08月29日(Thu)]
8月27日夕刻、国立国際医療研究センター研究所会議室に清田明宏 UNRWA保健局長を招いて「考える力と怒る力:国際保健の現場で私が学んだ最も大事なこと」と題する講演会が開催された。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)については、昨年8月の米国による拠出金の完全打ち切り宣言、昨年末にまとめられた倫理報告書で、一部の幹部職員の人事面等での不適切な行動の指摘、ならびにトランプ政権が進める「世紀の取引」と称する新和平プランの提案等、UNRWAを巡る情勢が急展開しているおり、UNRWA内部で保健部門を監督している責任者が、UNRWAの将来に強い危機感を抱いているのかどうかに関心があり、講演会に出席した。結論的にいえば、米国の決定にもかかわらず、UNRWAの活動は今後とも存継続するであろうとの感触を得ることができた。その理由として、@UNRWAの活動は、3年ごとに更新される国連のマンデートで実施されており、本年の国連総会では、米国の呼びかけに応じる国は少なく、マンデートが更新されることは確実なこと、A米国政府も少なくとも2017年11月の時点では、ニッキー・ヘイリー米国連大使(当時)は、UNRWAへの360百万ドルの支援を表明しており、UNRWAの活動自体を評価しており、その後のUNRWAへの支援停止は、政治的決定であること、B550万人ものパレスチナ難民への教育、医療等のサービスを引き継ぐキャパシティは現時点で存在していないこと、があげられる。

米国トランプ政権が打ち上げた新和平プラン「世紀の取引」は、パレスチナ難民の帰還の権利消滅を狙ったものではないかと考えるが、現地の感覚としてこれは現実的と思えるかとの傍聴者としての当方の質問に対して、清田局長は、1993年のオスロ合意でプロセスが開始された「2国家共存」を目指す和平協議は、エルサレムの帰属をはじめとする核心的問題でとん挫し、進展が得られなかった中で、米国でトランプ政権が誕生して、エルサレムはイスラエルに帰属すると宣言し、米大使館もエルサレム移転を強行してこの問題を一方的に片づけ、次に、パレスチナ難民の帰還を諦めさせようとしているが、ハマースが実効支配するガザも、財政難に悩むパレスチナ自治政府も、ホスト国であるヨルダン、レバノン、シリアもパレスチナ難民を自分たちだけで面倒をみるキャパシティは存在せず、UNRWAのサービス継続に頼ることになるとの見方を表明された。

8月28日、ジェーソン・グリーンブラット米大統領中東特使は、9月17日のイスラエル総選挙前には、(「世紀の取引」の)和平部分は公表しないことを決定したとツイートした。トランプ政権は、6月25、26日、バーレーンのマナーマで、世紀の取引の果実をアピールする経済ワークショップを開催し、パレスチナ人を含む地域の人びとは新和平プランにのっかれば、500億ドルの経済的恩恵を受けとることになると説明したが、パレスチナ人の多くは参加をボイコットしていた。一方的にイスラエル寄りの政策を次々に実行するトランプ政権に対して、「過去を忘れて未来の果実をつかめ」といわれても、パレスチナ難民が、トランプ政権への不信感を拡大している中で、歩み寄ることは困難であり、現状に変化が生じるとすれば、イスラエルの総選挙で予想外の結果が出ることしか考えが浮かばない。
文責:八木正典

(参考1)UNRWAとは(数字は清田局長プレゼンのレジメによる)
●UNRWAは、1949年に国連総会で設立が承認され、1950年から活動を開始し、主に教育、保健、社会保障分野で登録したパレスチナ難民にサービスを提供している。当初70万人のパレスチナ難民は、第二世代、第三世代へと引き継がれ、現在の難民数は550万人に達している(ヨルダン川西岸90万人、ガザ130万人、ヨルダン220万人、レバノン50万人、シリア60万人(注))とのこと。
(注)シリアのパレスチナ難民は、シリア内戦で約10万人が国外に出て、残りの1/3が国内避難民になっているとのこと。

(参考2)ナウアート米国務省報道官(当時)の声明(2018年8月31日)
●米国政府はこの件を慎重に見直し、米国がUNRWAに追加拠出しないことを決定した。 本年1月に米国が6,000万ドルを拠出したとき、我々は長年にわたって担ってきたUNRWAの経費負担を不釣り合いなほど過度に負担したくはないという立場を明確にした。ヨルダン、エジプト、スウェーデン、カタール、アラブ首長国連邦などいくつかの国々がこの問題に対処したが、全体として国際的な対応は不十分である。
●予算ギャップの存在自体ならびに適切かつ適当な負担分担を行うための資金調達の失敗に加えて、UNRWAが長年にわたって行ってきた基本的なビジネスモデルと財政運営は、UNRWAの無限でかつ指数関数的に膨張する(パレスチナ難民)コミュニティの有資格者となる受益者数と結びついて、簡潔に言って持続不可能であり、長年危機にあった。米国は、「この救いがたいほど欠陥のある」運営に、追加資金をコミットすることはない。我々は、UNRWAと地域および国際的なドナーの主要メンバーがUNRWAの事業を改革し、再設定することが出来なかったことによる無辜のパレスチナ人、とりわけ学校に通う子どもたちに及ぼす影響をとても考慮し、深く懸念している。これらの子どもたちは中東の未来の一部である。パレスチナ人はどこに住んでいても、無限なき危機に誘発されたサービス提供モデル以上の扱いをうけるに値する。彼らは自ら将来を計画するに値する。
●米国は、米国と他のパートナーからの直接的な二国間援助を含む新たなモデルと新たなアプローチについて、国連、ホスト国政府、国際的な当事者との対話を強化し、現在のパレスチナの子どもたちに明るい未来に向けたより持続性のある信頼できる行程を提供できるよう取り組んでいく所存である。

(参考3)2017年のUNRWAへのプレッジ国別ランキング
第1位 米国  3.64億ドル(32%) (参考:2019年ゼロ、2018年6千万ドル)
第2位 EU   1.43億ドル(12.8%)
第3位 独    0.76億ドル(6.8%)
第4位 英    0.67億ドル(6.0%)
第5位 スウェーデン 0.62億ドル(5.5%)
第6位 サウジ  0.53億ドル(4.7%)
第7位 日本   0.43億ドル(3.8%)
世界全体     11.21億ドル

Posted by 八木 at 10:00 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イラクの親イラン民兵組織へのドローン攻撃は、イスラエルによりシリア北部のクルド支配地域から実施されたとの見方[2019年08月28日(Wed)]
8月27日付ミドル・イースト・アイ(MEE)オンライン記事は、7月19日以降現在まで5回に亘って実施(参考1)されたイラクのシーア派武装組織である人民動員部隊(PMFないしPMU。アラビア語呼び名:ハッシュド・アルシャアビィ)の武器庫等への空爆は、シリア北部のクルド人民防衛隊(YPG)主導のシリア民主軍(SDF)が支配する基地から発進したイスラエルの攻撃用ドローンによるとの見方をイラク政府筋を引用して報道している。これまで、イスラエルは、シリア国内においては、イランのカーセム・ソレイマニ司令官率いるイスラム革命防衛隊(IRGC)コッズ軍部隊やヒズボラならびにその他のシーア派民兵組織に攻撃を繰り返してきたが、イラク国内のイランとの強い関係にあるシーア派民兵組織に公然と攻撃を加えることになると、イラク政府の反発は必至で、イスラエルの行動を抑えきれない米軍のイラク撤兵圧力が強まり、さらには、2017年にイラク、シリアでほぼ拠点を失った「イスラム国(ISIS)」の復活を招きかねないことが危惧される。

(参考1)ドローン攻撃を受けた5地点。

@ アル・カイム
A バラード空軍基地
B アル・サクル軍事基地
C アル・シュハダー基地
D アシャラフ・キャンプ

同報道によれば、本年6月にアルシャブハーン・サウジ湾岸担当相がシリア北東部のSDF支配地域を訪問し、その際、SDFへの資金協力と引き換えに、基地の一部をドローン攻撃の発進基地に使用することに合意した。かつての仇敵イスラエルとサウジは、イランの域内でのプレゼンス拡大を両国にとっての共通の脅威ととらえ、内々軍事的協力を強化しているとされる。イスラエルのドローンは、イスラエル本土から直接イラク国内の標的を攻撃する飛行能力を有していないため、北部シリアが攻撃の発進地点に使用された可能性が高い。イラク当局者は、イスラエル軍事要員は、SDFが管理する基地からドローンを操作していた、と指摘している。
https://www.middleeasteye.net/news/exclusive-israeli-strikes-iraq-launched-sdf-bases-baghdad-believes

PMFは公式にはイラク首相を最高司令官とするイラクの軍隊の一部であるが、実質的にはイラク政府からほぼ独立して活動し、独自の構造および指揮組織を持っている。PMFは、ハッシュド・アルシャアビィ委員会の権限の下にあり、同委員会は、ISISとの戦い中においてイラク議会によって承認された団体である。PMFには、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)と密接な協力関係を有するグループ(バドル軍団、アサーイブ・アハル・アルハックほか)やイラク・シーア派の宗教主導者アリー・シスターニ師に近いグループ、ならびにムクタダ・サドル師に忠誠を尽くすグループに大別される。政治的代表は、PMF委員会のファーリフ・アル・ファイヤド委員長であるが、軍事部門の実質的な代表は、アブー・マハディ・アルムハンディスで、IRGCコッズ軍のカーセム・ソレイマニ司令官とも親交が強い。

PMFを標的にした空爆が繰り返される状況の悪化をうけて、8月26日、イラクの首相、大統領、および国会議長は、PMF代表を招き、緊急会合を開いた(参考2)。会合では、イスラエルを直接名指ししていないが、イラクが米・イスラエルとイランの間の代理戦争の部隊になることへの警戒感が滲み出ており、とくにシリア・イラクに駐在する米主導の多国籍軍が、イラクの主権を尊重して、外国部隊のイラク国内における軍事活動を抑制するよう求めるとともに、外国部隊からPMFを防衛していく決意を明らかにしている。因みにイスラエルは、イラクでの攻撃を実施したか否かを確認しないとしているが、ネタニヤフ首相は、シリア国内のみならず、イスラエルへの安全保障上の必要があれば、IRGCとその協力部隊をいつでもどこでも攻撃する意図を隠していない(参考3)。
(参考2)イラク首相・大統領・国会議長会合の概要(8月27日付RUDAW報道)
●イラクのバルハム・サーリフ大統領、アーデル・アブドル・マハディ首相、およびムハンマド・アル・ハルブーシ国会議長は、26日にPMF委員会のファーリフ・アル・ファィヤド委員長と会談した。イラク大統領メディア局によると、彼らはISISとの戦いにおける、アラビア語で「ハッシュド・アル・シャアビィ」として知られるPMFの役割を称賛した。
●最近、PMFが直面した攻撃は、部分的にPMFと国防機構を、ダーエシュ(ISIS)の残党を破壊し、イラクに対するテロとその危険を完全に取り除くという継続的な重要な役割から逸脱させることを狙ったものである。
●イラク政府は、国家はあらゆるPMFを標的にする攻撃から彼らを保護し擁護する。PMFと国軍は、イラク北部における明らかなISISの復活を阻止することを目的としたイラクの反ISISキャンペーンという焦点を見失うべきではない。
●PMFに対する「言語道断の」攻撃は、強力で有能なイラクを標的にしている。イラクは、政府を通じて、すべての利用可能なチャネルを通じて、多国籍ならびに地域の組織を通じて、攻撃者を防ぎ、イラクの安全保障と主権を守るため、あらゆる手段を講じる。
●外国の紛争にイラクが巻き込まれることを回避するため、政府が国内の最高権威であることを確認し、国民の団結を求める。大統領、首相、および国会議長、米国主導の多国籍軍と協議を行い、イラクの空域を保護する方針に同意した。イラクは、イラクの主権、独立、安全保障、安寧に対するコミットメントを遵守するとの多国籍軍による合意と理解をフォローアップする。
https://www.rudaw.net/english/middleeast/iraq/260820192

(参考3)米国務省発表文(8月25日付)
8月25日、ポンペイオ国務長官は、ネタニヤフ首相に電話し、最近のシリア国内で実施したイスラエルの空襲について話し合い、イランのIRGCからの脅威に対するイスラエルの自衛の権利と地域におけるイスラエルの権益に対する差し迫った攻撃を防ぐ行動への支持を表明した。長官と首相は、イランがシリア国内の拠点を足場として如何にイスラエルや隣国に脅威を与えているかを議論した。ネタニヤフ首相は、イスラエルは、たとえどこであろうと同国に脅威を与えるIRGCの標的を攻撃すると言明した。

Posted by 八木 at 14:57 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

G7首脳会議における米・イラン首脳会談実現に向けたマクロン仏大統領の演出[2019年08月27日(Tue)]
今回のG7ビアリッツ・サミットについては、最終首脳宣言が発表されず、その意義に疑問を呈する声も強い。しかし、今回のサミットの特徴は、全首脳が各テーマに儀礼的に一致した声明を読み上げるというよりは、むしろ、個別の問題で成果があったといえる。それが顕著に現れた例が、第一に、世界の20%の酸素を輩出するアマゾン熱帯雨林の火災への対応である。ブラジル大統領との関係悪化を顧みないマクロン大統領のイニシアティブがなければ、この問題の深刻さに世界が今の段階でこれほど注目することはなかったであろう。第二にイラン問題の扱いである。8月26日の米・仏首脳による共同記者会見で、数週間のうちにトランプ大統領とローハニ大統領の直接会談が実施される可能性があることが明らかにされた。今回のサミット以前の段階では、昨年5月米国がイランの核合意から離脱し、米国が対イラン制裁を再開し、「イラン原油輸入ゼロ」をはじめとする最大限の圧力キャンペーンを開始し、さらにホルムズ海峡では米国主導の有志連合構想が打ち上げられ、イランとの緊張拡大はとどまるところを知らない状態であった。イラン側も対抗上、イラン核合意の義務履行の離脱第一弾、第二弾を決定し、このまま放置すれば、イラン核合意が最終的に崩壊し、イランは核兵器製造への歩みを早めることが確実な情勢となっていた。こうした中で、国際社会は、イランに自制を求めるだけで、緊張緩和に向けた有効な対策を打ち出せないでいた。今回のマクロン大統領の演出は、単なるパフォーマンスではないかとの冷めた見方もあり、具体的成果に結びつくのか現時点で確証はないものの、米イラン間の直接対話への途を開いたことは評価できる。マクロン大統領は、フランス2-TVとのインタビューで「割れた窓ガラスは、皆で支えることが必要だ」というドゴール将軍の言葉を引用して、この問題に世界が一致して取り組む必要性を強調した。マクロン大統領は事前に米側、イラン側と密接に意見交換し、世界の多くの人々が驚いたザリーフ外相のサミット開催地への来訪もトランプ大統領は事前に聞いており、反対していなかったことが明らかになった。また、マクロン大統領は、ザリーフ外相来訪の前日、トランプ大統領と約1時間にわたって、側近を交えず、イラン問題を直接話し合ったとされる。ローハニ大統領のトランプ大統領との直接会談実現には、イラン国内では、トランプ政権の直接対話に懐疑的なハメネイ最高指導者のお墨付きを得て、対米強硬派の反発を抑え込む必要がある。そのために、米国はイラン産原油輸入禁止措置を暫定的・部分的にも解除してイランに善意を示す用意があるのか、欧州は、報道されたように、イランとの貿易促進のための150億ドルのクレジットライン創設を進めることができるのかがカギとなる。また、イラン側は、既にマクロン大統領に、米側とは@弾道ミサイル開発の制限、A地域問題への介入停止、B地域内でのイランのプレゼンス解消、については話し合う用意はないと伝えたとしており、米国が関心を有するこれらの問題で、部分的に譲歩する用意があるのかが、直接首脳会談実現へのハードルになるとみられる。首脳会談が実施されるとすれば、9月下旬のニューヨークでの国連総会の機会が最も可能性があるとみられる。
(参考)仏米イラン首脳の関連発言(8月26日)
1.マクロン大統領発言:我々にとって2つのことが非常に重要である。イランは決して核兵器を持ってはならず、この状況が地域の安定を脅かすことがあってもならない。 今回の話し合いに基づいて、今後数週間のうちに、ローハニ大統領とトランプ大統領の間の首脳会談が実施できるようになることを期待している。
2.トランプ米大統領発言:首脳会談が今後数週間のうちに、状況が整えば、実施されるのは現実的である。但し、イラン側もそれに向けて努力する必要がある。私は、[ザリーフ外相]が来訪することを知っていたので、彼が来訪したという事実に敬意を表する。我々は、イランが再び豊かになることを望んでいる。彼らが望めば、再び豊かにしたい。
3.ローハニ大統領発言:我々は、機会を逃すべきではない。我々の国益のために、我々はあらゆるツールを使用しなければならないと信じている。そして、我が国の繁栄と人々の問題を解決することにつながる誰かと会うことが判れば、私は躊躇しない。核心は、我が国の国益である。
(関連報道アルジャジーラ8月26日付電子版)
https://www.aljazeera.com/ajimpact/macron-hopes-trump-rouhani-summit-coming-weeks-190826144429638.html

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ジブラルタル海峡での拿捕から解放されたイラン大型タンカー積載の石油売却の発表[2019年08月27日(Tue)]
8月26日、イラン政府の広報担当官アリ・ラビエイ氏は、米国が押収令状を発出して追跡するイランの大型石油タンカー(「グレース1」改め)「エイドリアン・ダリヤ1」号に搭載された210万バレルの原油が、未公表のバイヤーに売却されたと発表。
ラビエイ広報担当官は、石油の買い手の名前と販売条件を明かにしなかったが、市場価格では、積載の原油は約1億3,000万ドル相当とみられている。ただし、その購入者は誰でも、米国の金融制裁、入国制限規制の対象となるリスクを冒すことになる。アリ・ラビエイ氏は、石油の購入者が(タンカーの最終)目的地を決定することになる、世界は他国の内部事項への監視と介入を行うという米国の間違った政策を目の当たりにしていると付言。

当該タンカーは、船舶追跡データによれば8月24日の時点では、解放後予想されたギリシャ南部のカラマタ港ではなく、トルコ南西部の石油ターミナルのあるメルシン港に向けて航行しており、8月31日に到着するとみられていた。メルシン港は、ジブラルタル海峡での拿捕前の目的地と考えられていたシリアのバニヤスの製油所の北西約200キロメートル(125マイル)にある。米国務省は、この船に便宜を与えないよう各国に圧力をかけている。8月26日時点で、「エイドリアン・ダリヤ1」号の寄港予定地からトルコは外れたとされる。

イランタンカー解放の条件として、英国領ジブラルタル当局は、石油貨物をEUの制裁対象地シリアに届けないことの書面によるイラン政府からの確約を得たとしており、イランがシリアに直接石油を輸送することは考えにくい。トルコと米国は、トルコによるロシア製S-400の購入問題を巡って摩擦が生じているが、一方で、シリア北部国境地帯からクルド人武装勢力の排除を意図する「安全地帯」設置で米国と協力しており、米国のメンツをつぶすような形で、イラン原油を購入することも考えにくい。イランの広報担当官は、タンカーの行き先は、原油購入者が決定すると述べており、購入者は、いつ、どこで、どのような形で石油を受け取るのか、米国が購入者を特定できるのか今後の展開が注目される。
(AP電子版報道)
https://apnews.com/b232cd53919b4697940d2dbb4b2910ad

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涙と笑いのドイツ映画「おじいちゃんの里帰り」紹介[2019年08月26日(Mon)]
8月25日、代々木上原の「東京ジャーミィ」モスクに隣接したユヌス・エムレ・インスティトゥート東京で、KeyNoters主催、ユヌス・エムレ・インスティトゥート東京共催で、映画上映イベント「第6回トルコ発シルクロード・シネマ・トリップ〜『おじいちゃんの里帰り』が催された。イベントは、映画上映、映画の背景、トルコ料理を囲んだ交流会の三部で構成されていた。
(映画紹介)ドイツで7ヶ月ものロングラン、動員150万人の大ヒットを記録した映画。 監督は、トルコ系独人2世になるヤセミン・サムデレリ。脚本は、ヤセミンとその妹のネスリン・サムデレリ共同作品。主人公フセイン・イルマズ(ヴェダット・エリンチン)は、トルコの南東部の貧しい農村の出身のイスラム教徒で、村長の娘ファトマとの結婚を村長から強く反対されたにもかかわらず、無理やりさらって結婚してしまう。やがて腕白少年の長男のヴェリ、色白の次男のモハメド、活発な長女のレイラを授かる。フセインは、1960年代半ば戦後の復興が進む中、労働力不足に悩む独が、「ゲスト労働者」を求めていることを知る。一年で家が建つほどの資金を手に入れることができると聞いたフセインは、単身赴任を決意する。入国の際、フセインは、隣の人に入国審査の順番を譲ったために、100万人目の移住者の名誉を逃し、「100万+1人」目の移住者として入国し、過酷ながらも真面目に働き、収入を定期的に得て、故郷の妻に送金する。フセインは、ある日、一回目の里帰りを果たす。長男は自分を覚えていたが、二男と長女は誰が来たのかすぐにはわからなかった。家族が一緒に暮らす重要性を認識したフセインは、家族同伴許可をとり、家族を連れて、独に移住することを決心する。妻も、子どもたちも村の隣人や友人に別れをつげる。隣人たちが、旅の安全と早期の帰還を祈念して「水撒き」を行う姿が印象的である。
独に到着して、家に入ったフセインの家族は、独の習慣や生活様式に戸惑う。まず、洋式トイレに驚くファトマが、独人が座っていたであろう便器を「不潔であるとして」徹底的に磨く姿や、はじめてパンを買うためにお店に行ったが、ドイツ語が話せず戸惑いながらも、ジェスチャーでミルクを購入できた姿が印象的である。独到着前に友人からの話でキリストの像の悪夢に悩まされていたモハメドが、家にキリストの像をみつけて悲鳴を上げて、外してもらう姿も印象的である。しかし、やがて子どもたちも独の生活に慣れて、クリスマスの贈り物も楽しみにする。生活もなれた中で、フセイン一家は家族としては初めての里帰りを行う。村の人びとへのお土産をたくさん持っていこうとするファトマの姿が印象的である。モハメドは、トルコを離れる前に友達と約束したコーラを一本持ち帰り、再会した友達に渡す。しかし、友達はもっと高価なお土産を要求し、コーラ受け取りを拒否する。昔の自宅に戻ったファトマや家族は、独のトイレになれて、昔のしゃがみこむトイレに違和感を覚え、時の流れと人の気持ちの変化を実感させられることになった。
やがて、年月が過ぎ、フセインは70歳になり、孫も2人できた。長男は今では離婚問題を抱えている。モハメドは、何かにつけて不器用で現在は失業中。ライラは、チャナンという22歳の女子学生の母親となった。孫のチャナンはまだ学生だが、つき合っている英国人青年との間で妊娠したことを知る。独で生まれた三男のアリは、独国籍の妻のガビとの間に、6歳になる息子のチェンクがいる。チェンクは、トルコ語が話せない。6歳のチェンクは、学校でもトルコ系扱いをされて、自分が独人なのかトルコ人なのか真剣に悩んでいる。長男・次男のヴェリとモハメドは、仲が悪く、いがみあっている。フセインとファトマは、長年独に暮らしてきて、ついに国籍取得の権利を得る。わくわくするファトマと、トルコ国籍を捨て去ることに当惑するフセインの葛藤が印象的である。フセインは、国籍取得と引き換えに、イスラム教の禁忌の豚肉を週2回は食べるという条件を突きつけられ、国籍取得の際、お皿に盛られた豚肉を出され、無理やり口にする悪夢をみる。しかし、国籍と心の故郷は別と割り切るファトマの気迫に押されて結局独国籍を取得する。

 ある日、フセインは突然、「家族全員でトルコに行こう。故郷の村に家を買った。」と提案する。妻をはじめ、みんなは乗り気ではない。それでも、おじいちゃんの気迫に押されて、全員孫2人も入れてトルコに出かけることになる。そんな時、おじいちゃんに政府から手紙が届く。なんと100万1人目の移民として、メルケル首相の前でスピーチをして欲しいという内容だ。最初はスピーチなどしないといっていたおじいちゃんだが、まんざらでもなさそうで練習を始めた。家族それぞれの思惑が交錯する中、フセイン一家はバスを借りて、フセインの運転で陸路トルコへの里帰りが始まる。
旅行途中で、チャナンは、妊娠の事実を母親レイラになかなか言えないでいた。おじいちゃんは、レイラに理解を示し、早く母親に報告するよう促す。しかし、バスを運転しているフセインが無口になり、気を失い、突然死亡する。一家は、途方に暮れる。トルコで埋葬しようにも、独国籍をとったフセインの埋葬を当局は、賄賂なしでは許可しようとしない。全員悲しみに沈む中、チャナンはついにレイラに妊娠の事実を告げる。激怒した母親も、祖母ファトマに促され、受け入れる。長男のヴェリと二男のモハメドは関係を修復し、ひさびさにひとつのベッドで頭を逆方向にして眠った。チェンクは、おじいちゃんはどこに行ったのかと父親に質問する。アリは、おじいちゃんは水が凍りとなり、温度が上がれば蒸発するように、姿をかえるがいつも存在していると説明する。帰国の路を走っていた際、突如、おばあちゃんのファトマは、フセインの故郷に戻り、そこで埋葬すべきだと主張する。結局全員がおばあちゃんの気持ちを汲んで了承し、故郷の村に戻り、村人を集めて、ムスリムの導師に頼んで、村で埋葬する。次男モハメドは、ひとり村に残り、荒れ果てた家の再興を決意し、家族のバスを見送った。
独帰国後、100万1人目の移民として、フセインに替わっておじいちゃんの演説内容を暗記していたチェンクが、メルケル首相の前でスピーチを行い、拍手喝さいをうける。孫のチャナンは、おじいちゃんがその場面を見に来ていることを感じて、映画は終わりを迎える。
この映画は、国籍とは何か、家族とは何か、故郷は何かを語りかけるとともに、自分とは何であるのか、過去から現在へのつながりの中でそれぞれが存在していることを訴えている。そして、たとえ国や場所はどこであろうと、人間には、本来、働く権利があり、働いている国に家族とともに住める権利があることを示そうとしている。

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ザリーフ・イラン外相がG7開催中のビアリッツに突如姿を現した意味[2019年08月26日(Mon)]
1.8月25日、イランのザリーフ外相は、G7でイラン問題が話し合われている中で仏のビアリッツを事前の公表なく突然登場し、現地で約5時間過ごし、専用機で出発した。ザリーフ外相の今次来訪は、ル・ドリアン外相の招待に応えた形をとっており、滞在中、マクロン仏大統領やル・ドリアン外相と会談した。会談後、ザリーフ外相は、仏・イラン会談内容を、仏とともに英、独側に説明されたとされる。イランのスポークスマンは、ザリーフ外相は米国との関係では、トランプ大統領とも米国代表団の誰とも会談しなかったと述べた。トランプ大統領は、記者団に対して、ザリーフ外相の来訪について、「コメントしない」と語った。米国はザリーフ外相を制裁対象に指定し、米国内での行動制限も課しており、トランプ大統領のかつての側近は今回の根回しなしのザリーフ外相のビアリッツへの招待を不快にあらわにしている。
(参考)ニッキー・ヘイリー元米国連大使ツイッター(8月25日):これは、トランプ大統領とG7の他のリーダーに対してまったく無礼である。イランはあらゆる場面でテロリズムを支援し、「米国に死を」のスローガンを追求し続けている。今回のマクロン大統領の小細工は、非常に不誠実である。
(8月25日付ロシアトゥディ報道)https://www.rt.com/news/467261-iran-plane-biarritz-g7/?utm_source=browser&utm_medium=push_notifications&utm_campaign=push_notifications

2.仏側はザリーフ外相との会談内容を伏せたまま、協議は「前向きで今後も続く」と語った。ザリーフ外相は、「これからも困難な途が続くが、試してみる価値はある」とツイートした。メルケル独首相は、ザリーフ外相との対話はG7の延長線上で実施されたものであり、彼女自身と彼女のG7のカウンターパートはイランとの緊張を緩和する方法を見つる努力を続けるとコメント。今回の会談に先立ち、8月21日、マクロン大統領は欧州側で、状況の打開を図る新たな提案があると述べていた。大統領は、詳細に触れることなく、我々は、イランの人々の生活改善のため、制裁の緩和または補償メカニズムのいずれかを提案し、イラン政府に伝える意向を示していた。これをうけて22日、ザリーフ外相は、欧州側と協議する意思があることを明らかにしていた。会談後、マクロン大統領は、G7首脳からイランにメッセージを送るという正式なマンデートを与えられていたわけではないが、今後数週間は緊張を和らげるためにイラン側との会談を続けると語った。

(コメント)G7で共同文書を発出しないと予め宣言していたマクロン大統領にとって、今回のG7での最も重要なテーマは、米中の対立に起因する貿易問題のほか、アマゾンの熱帯雨林の火災への対応とイラン問題であったとみられる。イラン問題は、8月24日の夕食会で取り上げられイランの核兵器所有を阻止すべきこと、イランとの緊張緩和に取り組むべきことで概ね意見の一致をみたとされる。今次ザリーフ外相の招待は、形式的には、24日のG7首脳間の議論をイラン側に伝え、イランが核合意にとどまるよう説得することにあったとされている。しかし真の狙いは、米・イラン間の直接対話の開始にむけての突破口を探ることにあったとみられる。マクロン大統領は、トランプ大統領を説得して、イランに限定的な石油輸出を容認し、それをきっかけに直接協議の途を開こうとしたのではないかとみられる。米国は、イランに対して、「原油のゼロ輸出」をはじめ、最大限の圧力キャンペーンを展開しているが、トランプ大統領はあわよくばイランの体制崩壊を実現したいとの思惑に駆られる側近の強硬派と必ずしも立場が一致しているわけではなく、大統領にとっては、オバマ(前)大統領の外交的成果とされるイラン核合意を廃棄しただけでなく、イランを新たな交渉の場に引きずりだして、イラン核合意を上回る成果を誇示して、大統領再選につなげたいとの意向があると思われる。それゆえ、6月の安倍総理のイラン訪問にも異議を唱えなかったと思われる。しかし、イランの最高指導者ハメネイ師が、安倍首相を通じてトランプ大統領に伝えたのは、トランプ政権は信頼できず、直接交渉しないというメッセージであった。マクロン大統領の提案は、米・イランの直接接触の開始には、米側からなんらかの善意のメッセージがあって初めて、米国の意図に疑念を有するハメネイ最高指導者による直接接触開始のゴーサインが得られるとのザリーフ外相の示唆を踏まえたのではないかとみられる。米国国務省や大統領側近は、ザリーフ外相の来訪を知らされていなかった可能性が強いが、トランプ大統領がマクロン大統領から事前に訪問を聞かされていたことは確実であり、それが、トランプ大統領の「コメントしない」という反応に現れている。

Posted by 八木 at 14:54 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

シリア北東部からのクルド人部隊の撤退開始[2019年08月25日(Sun)]
昨8月24日は、トルコ軍がISIS駆逐とトルコ国境の安全確保のため、シリアへの越境軍事作戦「ユーフラテスの盾」作戦実施からまる3年にあたる。トルコ軍は、2018年1月に「オリーブの枝」作戦を開始し、シリア北西部アフリーンに侵攻し、クルド人勢力を一掃した。そして、本年8月23日米中央軍(CENTCOM)が明らかにした(下記参考1)ところによれば、8月22日クルド人民防衛隊(YPG)主導のシリア民主軍(SDF)は、国境付近の軍事ポストを破壊し、8月7日のトルコ・米国間のシリア北部国境地帯に「平和の回廊」を設けるとの合意(参考2)に基づき、シリア北東部の安全地帯からの撤退を開始した。これは、アカル・トルコ国防相とエスパー米国防長官の間で作戦の第一段階の開始が電話会談で合意されたあと実施された。
(参考1)米中央軍公式ツイッター(8月23日):シリア北東部の安全保障を議論するための米国国防長官とトルコ国防相の間の電話会談終了後24時間以内の8月22日、SDFは軍事要塞を破壊した。

(参考2)トルコと米国の軍事当局者は8月7日に、ユーフラテス側以東のシリア北部国境地帯に「平和の回廊」を設置し、クルド人武装組織を排除するとともに、監視活動調整のためにトルコ国内に合同作戦センターが設立されることに合意。

2.シリア民主軍(SDF)の年次会議が、8月24日シリアのハサケで開催された。 SDFに参加している軍事関係組織ならびに地域の政治・市民団体からの招待客約600人の代表者は、非公開の会議でISISとのさらなる戦いとSDFの再編について議論した。 SDFのマズラム・アブディ総司令官、YPJのネイルーズ・エフメド司令官、および対IS有志連合を代表してニコラス・ポント米国将軍らが行った。会議においては、SDFの再編について議論された(参考3)趣で、「平和の回廊」設置に対応し、クルド人勢力は、地元に軍事評議会を結成し、対ISIS掃討作戦継続とトルコの更なるクルドへの軍事作戦に備えて、軍事的態勢を整えるとともに、米国が受け入れた「平和の回廊」については、トルコの侵略の口実を回避するための緩衝地帯として、必ずしも拒否していないことが認識される。

(参考3)SDFの司令官ハサン・カミシュロ発言
@ 現在、セレカニエ(アラブ名:ラス・アルアイン)およびギレ・シピ(アラブ名:タル・アブヤド)間の内陸5キロメートルまでの地域(具体的位置は、次のURL参照)に、YPG / YPJ部隊の代わりに、地元軍事評議会の部隊が配置される。https://i2.wp.com/www.offiziere.ch/wp-content/uploads-001/2017/07/Rojava_october_2016.png?ssl=1
A SDFは非常に重要な時期を迎えている。我々はSDFのシステムを最終的な形にすることができないでいた。SDFは、ISへの勝利のあと、SDFを最終形態にする機会をもった。市と地域の軍事評議会が基地内で結成された。我々は、(最終的軍事組織の)法的形態、プログラム、組織形態に最後の仕上げをするために最善を尽くす。
B SDFはシリア北部の国境に沿った地域の安全保障を提唱しており、我々は、トルコが攻撃しないように国境全体を安全な地域に含めたい。トルコは侵略の権利を持たない

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