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イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。

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米・イラン間の緊張拡大の中でのUAE沿岸警備隊代表団のイラン訪問[2019年07月31日(Wed)]
7月30日、米国がペルシャ湾等の航行の自由と安全を守るためとして、「有志連合」構想を具体化する「海の番人(Sentinel)」作戦への友好国の参加を促している(7月25日ポンペイオ国務長官は、英、仏、独、ノールウェー、豪州、日本、韓国の7か国については、要請済とコメント)中で、米国のアラブ湾岸諸国内の同盟国であるUAEの沿岸警備隊当局者が、イランを訪問して、海上の安全を確保するための実務協議を行ったことが確認された。UAEは、米国にとって対イラン包囲網を構成する最強硬国グループ(米国−イスラエルーサウジ−UAE)の一角を占める友好国である一方、ペルシャ湾・ホルムズ海峡の安全航行、ならびに密輸対策では、本来的にオマーン、イランと協力せざるを得ない立場にある。今回の会合は、沿岸警備関係者の実務会合であり、それが直ちに、米・イラン間の対立の構造に影響を及ぼすものとはみられないが、米国が、友好国とともに軍事力を誇示して海上交通の安全を守るという選択肢を取ろうとする中で、イランを巻き込んで、沿岸国で海上交通の安全を守るというもうひとつの選択肢があることを示しているように思われる。
(関連報道骨子)
https://www.presstv.com/Detail/2019/07/30/602265/Iran-UAE-maritime-security-meeting-Tehran
●イラン国営通信によれば、7月30日イランとUAEの沿岸警備当局者は、テヘランで会合し、二国間の海上安全保障協力を強化することに合意した。会合は、ムハンマド・アリ・メスバハ・アル-アフバビィ(Mohammad Ali Mesbah al-Ahbabi)UAE沿岸警備隊准将を代表とする7名の代表団とイラン国境警察の准将カーセム・レザエィ(Qassem Rezaei)を代表とするイラン治安当局者の間で実施された。この会合は、両国間の沿岸安全保障協力に関する第6回目の合同沿岸警備隊会合であり、2009年に開始され、その後毎年開催されていたものの、2013年10月のテヘラン会合以来中断されていた。因みに、UAEの安全保障代表団がテヘランを訪問したのは過去2週間以内で2度目とされる。
●イラン側代表は、我々は共通の国境を管理し、国境を越えた交流を強化することによって(互いに)共同で国境を挟む地域の安全を確立するべきであると述べるとともに、当該水域でますます密輸の試みが多く発生しており、イランとUAEは国境の相互行動と管理の強化を目的とした共同海軍演習に従事する必要があると発言。一方、UAE代表は、イランが麻薬密輸に対する地域的な取り組みの最前線に立っていると評価した。
●5月12日にUAEのフジャイラ沖で、サウジのタンカー2隻、ノールウェーのタンカー1隻とUAEのバージ船1隻が爆発損傷の被害をうけ、UAEは、事件が「国家主体」によるものとみられるとの報告書を国連安保理に提出し、イランの関与を滲ませていたが、一方で6月15日、UAEのアブドッラー外相は、5月の船舶襲撃で、特定の国を非難するのに十分な証拠を持ち合わせていないと述べ、米国のイランへの圧力が高まっている中で、慎重な姿勢を示した。
●今月22日、イランのテレビ局は、イランに対するスパイネットワークはUAEをベースにして、米国の情報機関がイラン人のスパイ要員をリクルートしていると発表したこと、6月20日イランが撃墜した米国のドローンもUAE領内から打ち上げられたこと、7月14日IRGCがUAEをベースにする小型タンカー「Riah」を拿捕したことで、両国間の緊張はますます拡大していた。

Posted by 八木 at 15:13 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イランのエネルギー取引所(IRENEX)を通じての近隣諸国への石油製品輸出開始[2019年07月30日(Tue)]
イランの最大の収入源である原油輸出は、イラン産原油輸入国は本年5月2日以降米国の制裁に受けるリスクにさらされているため、激減しており、原油輸入を部分的に継続する国は、中国を除き、ほぼ無くなっている。中国でさえ、本年6月のイラン産原油輸入量は、昨年比60%減少したと報じられている。こうした米国からの厳しいエネルギー・金融分野の制裁下にあるイランは、エネルギー取引所(Iran Energy Exchange:IRENEX 専用サイト http://en.irenex.ir/)を通じて、イラン国内で製造されるガソリンをはじめとする石油製品を近隣国に販売することで、石油収入の確保を狙っている。7月29日Fars通信は、最初のガソリン輸出が近くアフガニスタン向けに開始されると報じている。
●イラン当局は石油製品の販売を通じて石油業界に対する米国の制裁措置の影響を相殺するため、イランは、長らく待ちわびられていたガソリン輸出計画を正式に開始した。輸出用ガソリンの最初の貨物は、7月31日にイランのエネルギー取引所(IRENEX)で取引が開始される。1万トンのオクタン価91のガソリンがアフガニスタンに販売される予定で、決済はイラン・リアルと主要国際通貨の両方で行われる。
●港湾都市バンダルアッバースの西側にある主要施設であるペルシャ湾スター製油所(the Persian Gulf Star Refinery)の第3フェーズが開始され、8月21日までにガソリン輸出ができるようになる。同計画は、イランの燃料輸入を削減し、国内需要の増加に対応することを目的としている。米国は2015年の核合意以前の2009年からイランへのガソリンの輸出に禁輸措置を課していた。これらは、イラン国内のガソリン需要を満たし、残余分を輸出に回そうとするもの。ガソリンの輸出先は、イラクとアフガニスタンならびに、カスピ海沿岸のいくつかの国々を想定している。
https://www.presstv.com/Detail/2019/07/29/602151/Iran-gasoline-exports-energy-exchange-market
(参考)新たな石油製品取引機関の発足(国営イラン石油会社のIRENEX代表発言)(2019年7月9日)
@ IRENEXは当初、イランの民間部門による原油輸出を許可する試みで設立された。その後、外国のバイヤーもIRENEXを通じての石油製品購入に携わる意欲を表明。体制を整えることとなった。
A NIOCは、2018年11月4日にイランの石油部門に対する米国の新たな制裁措置が発動される直前の2018年10月28日に、初めてIRENEXに原油を提供。第1ラウンドでは、NIOCは1バレルあたり74.85ドルでの約28万バレルの原油を売却。現在まで、15ラウンドの石油(重質および軽質原油を含む)オファーがIRENEXで出され、それを介して110万バレルの石油が売却されたが、コンデンセートの第6オファーは売却されなかった
B 現在のイラン暦年(2月21日に始まった)に軽質原油の2回のオファーが失敗した後、NIOCは、主に価格設定、バイヤーのリスク低減および購入の促進に関する新しい商品オファーのガイドラインを体系化した。
C 国内外のバイヤーに関する情報は完全に機密情報化される。
D石油製品の価格は、アジアの価格と比較して最も低い価格で知られる地中海の石油製品価格を取引の基本価格として設定。
E出荷の配達と輸送には、次の3つの方法が用意されている。@カーグ島の輸出ターミナルからの積み込み、A船の積み替えによる輸送、Bタブリーズ(Tabriz)製油所を通じた陸上輸送(注:陸上輸送の場合は、小規模の輸送になる)
F購入された石油製品は、イスラエル政権支配地を除いて、世界中のすべての国に自由に輸送し輸出することができる。
G取引申込者が最初に契約の総価値の6パーセントを支払わなければならない。前払いは現金またはクレジットの形で行われ、クレジット支払いの場合、入札者は国営イラン石油会社によって承認された銀行保証を提供する必要がある。
H利用可能な購入用の通貨は、NIOCが決定したイラン・リアル、中国人民元、ユーロとイラク・ディルハムを含む通貨バスケットの通貨に基づき、米ドルは除外されている。
Iイランの証券保管振替機関(CSDI)が、購入者が国内の外貨で購入代金を支払うために必要な便宜を提供し、海外からの支払いを可能にするために必要な措置も講じる。
https://en.mehrnews.com/news/147403/New-financial-instruments-to-be-activated-for-oil-sales-at-IRENEX

Posted by 八木 at 13:49 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

94歳にして聡明さが際立つイスラム世界有数の指導者マハティール首相[2019年07月27日(Sat)]
7月26日、トルコ訪問中のマハティール・マレーシア首相は、国営アナドール通信のインタービューに応じ、トルコとの二国間関係のほか、イスラム世界の諸問題に対して、自身の見解を表明したところ、後者の主要点次のとおり。マハティール首相は、1925年12月20日生まれの94歳で、もともとは医者であったが、政界に身を転じ、1981年7月に初めて首相に就任し、以後5期連続して首相を務めた後、2003年にいったん政界から引退。しかし、2015年に再び政治の舞台に戻り、2018年5月9日の下院議員選挙で自らが議長を務める野党連合が勝利し、首相に返り咲いた。日本との関係では、1981年に「ルック・イースト」政策を発表したことで知られ、また、息子や娘を日本の大学に留学させたりした親日家としても知られている。世界の最も高齢な現役政治家でありながら、イスラム世界の機微な問題にもためらうことなく発信を続けており、イスラム世界の稀有な指導者として敬意を集めている。エルドアン・トルコ大統領とは親密な関係を続けている。

1.パレスチナ問題
●(パレスチナ問題に対する考え方)パレスチナ問題に関しては、それについての明確な真実がメディアでもテレビでも十分取り上げられていない。それはメディア側にパレスチナの問題を浮き彫りにしないという(暗黙の)合意があるように思われる。確かに、イスラエル国家を建国するために、どのようにしてパレスチナ人の土地が彼らから押収されたかについての言及はない。そしてその後、イスラエルはパレスチナでより多くの土地を支配することで、国際法に違反した。これらはめったに言及されることはない。我々が常に強調すべきだと考える主要点は、テロリズムの原因である。今日、テロをイスラム教徒のせいにするというコンセンサスがほぼ存在する。しかし、パレスチナの土地の押収と、イスラエルによる国際法の無視が、いわゆる「テロ行為」に結びついている。「テロ」をなくすためには、なぜ彼らが「テロ」を起こしたのかを知る必要がある。マレーシアでは、マレーシアのすべてのテロリストを含む人々の心と気持ちに寄り添うことを計画し、テロリズムは終焉を迎えた。テロの原因を扱わない限り、テロを止めることができない
●(米国や湾岸諸国が推進する「世紀の取引」構想について)それは、彼ら自身の(都合のよい一方的な)計画を推し進めるためのものである。彼らがしていることは、明らかに国際法違反であるという事実にもかかわらず、何であれそれを正当化したいと望んでいる。何よりも、それは民主的なプロセスを無視している。パレスチナ人の土地の差し押さえは国民投票または世論の支持を得た結果ではない。パレスチナに住んでいた当時の人々の思考や感情を考慮することなく、土地は奪われイスラエルに引き渡された。
●(パレスチナ問題に対するマレーシア・トルコの協力)ひとつはもちろん問題を存続させることである。あたかも何ごともなかったかのように問題を完全に抹殺する試みがある。しかし、事実は、パレスチナ人に対して不法行為が大規模に実行されているということである。トルコとマレーシアの両方がこの問題を存続させることにより、世界が、パレスチナ人に対してなされている不正義を認識することにつながると期待している。
●(イスラエルの違法な形での建国)それがそもそもの主な原因である。しかし、今ではイスラエル国家が存在することが確立された事実となっている。少なくともイスラエル国家は、以前からのパレスチナの人々が彼らの財産を取り戻すために帰還することを許すべきである。少なくとも二国家を共存させ、イスラエルがパレスチナ自治地区に入植地を建設するのを阻止しなければならない。これが、我々がなすべきことである。テロの原因を認識し、対処し、パレスチナ人に対する不公正を阻止するための行動を起こせば、世界中のテロは減少するか、なくなる。
2.ロヒンギャ問題
●マレーシアは一般的に他の国の内政に干渉したくない。しかし、この場合、虐殺や集団殺戮が関係しており、マレーシアは集団殺戮に反対し、ミャンマーの市民に対する人種差別の不当な扱いに反対している。ロヒンギャはミャンマーの市民でもあるということを認識して、この問題を解決する必要がある。ミャンマーは、かつて、多くの異なる国家で構成されていた。しかし英国はミャンマーを一つの国として統治することを決定した。彼ら(ロヒンギャ)は国民の一部として扱われるべきであるか、あるいは彼ら自身の国を建国するために領土を与えられるべきである。
3.中国による新疆ウイグル自治区のイスラム教徒への扱い
●我々は、中国にこれらの人々を自国の市民として扱ってほしいと伝えるべきである。彼らが異なる宗教を持っているという事実をもって、彼らに対する扱いに影響を与えるべきではない。マレーシアは多宗教の国であるが、すべての宗教は同じ基準で扱われる。しかし、暴力が起きたとき、中国側の言い分を聞けば、彼らはこれらの人々に異なる扱いを行っているのは暴力のせいであると主張するであろう。したがって、我々は、(暴力行為に訴えるのではなく)常に交渉、仲裁または法廷を通じての紛争の解決を主張する。暴力に訴えた場合、暴力が目的を達成したケースがなく、良い結論を見出すことは非常に困難である。
https://www.aa.com.tr/en/analysis/exclusive-mahathir-malaysia-sees-turkey-as-alternative-trade-partner/1542439

Posted by 八木 at 10:09 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

サウジへの武器供与が「イエメン紛争終結」に役立つとのトランプ大統領の拒否権発動の奇妙な理屈[2019年07月26日(Fri)]
7月24日、トランプ大統領は、イエメンへの軍事介入に使用される可能性が高いサウジ、UAEを含む諸外国への米国製武器関連機器、技術の移転を認める許可証発行を禁止する決議案3本への拒否権を発動した(参考1参照)。同決議案は最初に上院で可決され、先週、下院で可決されていた。トランプ大統領は、拒否権発動の説明の中で、許可証を与えないことは、むしろイエメン紛争と、イエメン人の苦しみを長引かせることになるとの奇妙な理屈で、拒否権を正当化している。拒否権をうけて、エンゲル下院外交委員長は、武器供与が、(イエメンにおける)無辜の命を犠牲にするであろう。これらの武器は暴力の無謀で残忍なキャンペーンを後押しし、世界で最悪の人道的災難を悪化させ続ける、とコメント(参考2参照)し、トランプ大統領の拒否権発動を糾弾した。
(参考1)上下両院共同決議案の内容と拒否権発動の理由
1.上下両院共同決議案36号は、Paveway II、改良型 Paveway II、およびPaveway IVの兵器生産を支援するための電子誘導探知器アセンブリ(Guidance Electronics Detector Assemblies)、コンピューター制御グループ(Computer Control Groups)、翼形部グループ(Airfoil Groups)、航空機相互接続(Umbilical Interconnect)システム、ヒューズ、およびその他のコンポーネントのサウジアラビアでの製造を行うための許可証発行を禁止するもの。
(理由)第一に、イエメンのホーシー派から攻撃を受けているサウジアラビアに在留する8万人の米国民の安全を守ること、第二に、共同決議はサウジアラビアの軍事的準備とその主権を守る能力を低下させ、そこにホストされている米国の軍人を防御する能力に直接影響を与えること、第三に、サウジアラビアは、イランとその地域におけるその代理機関(注:ホーシー派等を指すとみられる)の悪意のある活動に対する防波堤であり、共同決議の許可証発行禁止は、これらの脅威に対するサウジアラビアの抑止力と防衛力の強化を妨げることになる。最後に、私達のパートナーが精密誘導兵器を製造し購入する能力を制限することによって、イエメンの紛争を長引かせ、それが引き起こす苦しみを深めるであろう。合衆国の二国間関係を損ない、危機的な時期に、主要なパートナーを支援する我々の能力を妨げることによって、共同決議はイエメンの紛争を終結させるための努力を害し、助けにはならない。
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/s-j-res-36-veto-message/
2.上下両院共同決議案37号は、UAEほかへのPaveway IIキットの輸出許可証の発行を禁止するもの。
(理由)第一に、イエメンのホーシー派から、ミサイル、武装無人機、爆装船舶により 攻撃を受けているサウジアラビアに在留する8万人の米国民の安全を守ること。UAEは、サウジアラビアのリヤド空港のように米国民が頻繁に訪れる施設を含む民間および軍事施設に対するイラン支援のホーシー派の攻撃から米国民を守ることを助けているサウジ主導の連合軍の重要な一翼を担っている。第二に、共同決議はUAEの軍事的即応性とその主権を守る能力を低下させ、そこに駐屯している何千人もの米軍要員を守る能力に直接的な影響を与える。第三に、UAEは、イランとその地域のその代理機関の悪意のある活動に対する防波堤である。UAEはイエメンをはじめとする国々でのテロとの闘いにおいても、米国の積極的なパートナーである。許可証の禁止は、これらの脅威に対する我々のパートナーの防衛、抑止能力の向上を妨げるものである。
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/s-j-res-37-veto-message/
3.上下両院共同決議案38号は、Paveway IV精密誘導爆弾計画のためのオーロラ起爆システム(Aurora Fuzing System)の製造に関する防衛物品、防衛サービス、および技術データの移転提案に対する輸出許可証の発行を禁止するもの。
(理由)決議案第36号と同様
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/s-j-res-38-veto-message/

(参考2)エリオット・エンゲル下院外交委員長(民主党、NY)コメント
●大統領の拒否権発動は、米国の外交政策はもはや我々の「人権尊重」という中心的価値観 に基づいていないことを意味し、議会は政府と対等な立場ではなく、避けられ、無視されていることに苛立っている、さらに悪いことに、この拒否権は無辜の命を犠牲にするであろう。これらの武器は暴力の無謀で残忍なキャンペーンを後押しし、世界で最悪の人道的災難を悪化させ続けるであろう。

Posted by 八木 at 16:12 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イラン問題で岐路にたつ英国の中東外交[2019年07月25日(Thu)]
7月24日、英国では、保守党党首に選出されたボリス・ジョンソン元外相が首相に就任した。同23日、米国では、マーク・エスパー新国防長官が誕生した。このような中で、イランのローハニ大統領は、英国が拿捕したイラン・タンカーとイランが拿捕した英国タンカーの交換による問題解決を示唆した。ジョンソン政権は、トランプ政権との関係を重視し、イランとの対立の途を進むのか、米国の最大圧力行使の陣営には加わらず、EUとの協調路線をとり、緊張緩和の途を選ぶのか岐路に立たされている。
1. イランの動き
(1)安保理へのイランの立場に関する書簡
●7月24日、イラン政府は国連代表部を通じて、安保理に対して書簡を発出し、その中で、@7月19日、英国のタンカー「ステナ・インペロ(Stena Impero)」がイランの小型漁船に衝突し、ひどくその乗組員を負傷させた - そのうちの何人かは危険な状態にある、A同タンカーは、船からの遭難の交信やイラン当局からの無線通信に応答する代わりに、トランスポンダーをオフにし、向かってくる船の方向に「危険にも」進路変更を行った。Bそのためイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が介入して、タンカーとその乗組員を拘束した。C船の拘束は、国際法に従ったもので、戦略的な難所であるホルムズ海峡における航行の安全と秩序を保護するために必要であった。Dイランの司法当局は地方当局に、漁船と乗組員に与えた損害の程度ならびに環境上の損害を含む、タンカーの違反行為を調査するよう命じた。EIRGC部隊が「オマーンの領海」で「ステナ・インペロ」に接近して違法に行動したとの英国の主張を拒否する。F今回の行為はすべて、国際法を支持し、ペルシャ湾での安全な航行を確実にすることを目的としている。
(2)英国による欧州の有志連合形成の提案に対する見方
イランの最高指導者ハメネイ師の軍事顧問であるホセイン・デフカン(Hossein Dehqan)准将のコメント
●ホルムズ海峡での英国の提案は、予想外の結果を招く可能性がある。ホルムズ海峡における我々の方程式は、誰もが完全な安全保障を享受するか、さもなければ、誰もが享受しないということである。
(3)ローハニ大統領による英・イラン間の拿捕されたタンカー相互解放の示唆(7月24日閣議での大統領発言)
英国がジブラルタルでの誤った行動を見直せば(すなわち、7月4日に拿捕したイランの大型タンカー「グレース1」を解放すれば)、彼らはイランから適切な対応を受けるであろう(すなわち、イランが拿捕した「ステナ・インペロ」の解放を意味する)。
2.米国の動き
7月23日、マーク・エスパー氏は、米国上院で賛成90-反対8で新国防長官就任が承認され、同日正式に就任した。エスパー新国防長官は、「海の番人」(Sentinel)作戦について骨子次のとおり発言した。
●「海の番人」作戦のポイントは、緊張の高まりを阻止することによって緊張を緩和させる 、すなわち、 不必要な衝突を招きかねない不必要な挑発を阻止することである。 我々は、緊張緩和を試みるとともに、いつでも、どこでも、前提条件なしに、我々がどのようにして交渉に戻るかについて話し合うため、会合する用意があるとの非常にはっきりしたメッセージをイラン側に伝えようとしている。
●米国の船が何らかの種類の脅威にさらされている可能性があると認められる場合(停止または拿捕される場合)、我々はそれが起こらないことを確実にする能力を確保する必要がある。
●それは無人航空機による空中監視を含むかもしれず、あるいはまた近くに米軍艦の展開を意味するかもしれない。我々がその地域にいる限り、挑発を阻止するのに十分な速さで反応することができる、それが鍵である。
●米中央軍(CENTCOM)およびその海軍部隊の司令官と面談して、「海の番人」作戦がどのように機能させるかについてさらに話し合う予定である。紛争の緊張緩和が「海の番人」作戦の最優先事項である一方で、その地域の米国船の安全で自由な航行を確保することもまた、同様である。
●私の見解は、イラン人が船を拿捕したり、停船させたりするのを、どんな理由でも絶対に防ぐべきというものだ。我々は、リスクが要求する程度に我々の船を護衛する。他の国々は彼らの船を自分たちで護衛すると思う。
https://www.defense.gov/explore/story/Article/1915650/esper-operation-sentinel-prevents-escalation-of-middle-east-waterways-conflict/
3.英国の動き
7月22日、ハント外相は、ヨーロッパ主導の有志連合構想を提案し、追って米国の提案を補完するための最善の方法について議論する。世界の石油の5分の1、LNG(液化天然ガス)の4分の1、そして1/2兆ドル相当の貿易が毎年、ホルムズ海峡を通過することを念頭に置いて、新しい部隊は自由航行に焦点を当てる。 我々はイランの核合意を維持にコミットし続けているので、米国によるイランに対する最大圧力政策の一部にはならない、と発言。

Posted by 八木 at 19:49 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

米国によるイラン原油を輸入する中国企業への初の制裁発動[2019年07月24日(Wed)]
7月22日、ポンペイオ国務長官は、米国が5月2日をもってイラン原油輸入国への制裁免除を全面的に終了したにも関わらず、中国の企業が制裁に違反して、イラン原油の購入を続けているとして、当該企業に制裁を課すと発表した。米国によるイラン原油購入を継続する外国企業への制裁発動の最初のケースとなった。これに対して、中国外務省スポークスマンは、中国は、米国およびその国内法による制裁措置を他の国々に対して、一方的に発動することならびに「国境を越えた管轄権」の行使による米国の強制に反対している、我々は、米国が直ちにその不正行為を是正し、他の当事者の法的権利および利益を尊重するよう強く要請する、と強く反発した。米国は、イラン核合意からの離脱に伴う制裁再開の第二弾として、2018年11月5日よりイラン産原油輸入国に対して制裁を発動するとしつつ、中国、インド、トルコ、日本、韓国、台湾を含む8か国・地域の主要輸入国については、180日間の制裁免除を発表していたが、制裁免除は、本年5月2日に失効し、さらなる免除は行わないと言明していた。
制裁を課された珠海振榮公司(Zhuhai Zhenrong Company Limited)は、主にイランの石油を専門とし、北京に拠点を置く企業で、2015年のイラン核合意成立以前イランとの取引に関して、オバマ政権によって2012年に制裁を課された経緯がある。同社は現在、マカオに本拠を置き、国営コングロマリットである南光(Nam Kwong)グループの子会社となっている。珠海振榮公司は中国の金融システムから実質的に切り離されており、制裁が他の団体や銀行システムに拡大される可能性は大きくない赴き。
(参考)ポンペイオ国務長官声明(2019年7月22日)
●本日、米国は、米国の制裁に反して、イランから石油を故意に購入または取得するための中国企業である珠海振榮公司およびその最高責任者に制裁を課すことによって、イラン政権に対する最大の経済的圧力キャンペーンの一環としてさらなる行動をとった。我々は制裁を完全に執行すると述べており、これを真の行動で裏付けている。本日の発表は、世界中のテロへの資金提供、外国の紛争への関与、および弾道ミサイル開発推進のための政権にとって死活的に重要な収入を断つことに役立つであろう。イラン政権はこれらの不安定化をもたらす活動をやめなければならない。
●珠海振榮公司は、周知のとおりイランからの原油の購入または取得のための重要な取引を行っている。問題の取引は、2019年5月2日に中国の実質的な削減の免除(SRE)が終了した後に行われたもので、それは免除(SRE)の対象にはなっていない。とりわけ、これらの制裁措置の適用により、珠海振榮公司の米国内または米国人の所有または支配下にあるすべての財産および財産に対する利益が阻止され、そのような財産および財産に対する利益が移転されることも、輸出されることも、引き落とされることも、取引されることもないと規定されている。また、米国は、珠海振榮公司の執行役員で最高経営責任者であるYoumin Liに対して、いくつかの制限および米国への入国禁止を課している。今日の私の措置を履行するために、財務省は珠海振榮公司と Youmin Liをその特別指定諸国民・ブロック人物の制裁リスト(SDNBP)に加えている。
●我々の制裁措置の回避を考慮する組織は、今日の措置に注意を払うべきである。それは、イラン政権に対する強制と説明責任を果たさせるとの我々のコミットメントを強調している。米国は、富と膨大な資源を使って自らの懐を豊かにし、イランの人々から機会を奪い、その破壊的な外交政策に資金をつぎ込んでいるこの政権への資金供与を阻止し続けるであろう。すべての組織は、懸命さを発揮し、制裁を課されたイランの組織および部門から十分に遠ざからなければならない。イランのイスラム革命防衛隊または当該地域の政権の代理機関を支援するリスクに自らをさらすことを望む企業や国はないはずである。
https://www.state.gov/the-united-states-to-impose-sanctions-on-chinese-firm-zhuhai-zhenrong-company-limited-for-purchasing-oil-from-iran/

Posted by 八木 at 15:38 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

16年ぶりの米軍のサウジへの軍事再展開[2019年07月23日(Tue)]
7月19日、中東・中央アジアを管轄する米中央軍(CENTCOM)は、声明を発出し、サウジの招きにより、16年ぶりに米軍部隊がサウジに再展開する旨明らかにした。米軍筋によれば、500名規模の軍事要員が、サウジのプリンス・スルタン空軍基地に派遣されるとのこと。同空軍基地は、1991年の湾岸戦争において、空軍の作戦司令部がおかれ、2003年の米国のイラク侵攻においても、空軍の前線司令部が置かれていた。しかし、イラク戦争終了後、米中央軍の空軍部隊は、カタールのウデイド基地に駐屯することになり、現在に至っており、同基地に派遣されている要員は約1万人といわれている。米空軍の主力は、引き続き、カタールのウデイド基地におかれ、先般配備されたB-52戦略爆撃機も同基地をベースに作戦を展開する。海上部隊は、第5艦隊司令部がバーレーンのマナーマに置かれている。サウジには、パトリオット・ミサイルが配備され、その要員も派遣される模様。
(参考)
1. サウジ国防省スポークスマン声明(2019年7月19日)
●地域の安全と安定を強化するための努力とサウジアラビア王国とアメリカ合衆国の間の共同の協力関係に基づき、国軍最高司令官であるサルマン国王は、地域の安全と安定を守るために共同の協力を強化し、平和を守るために王国内に米軍をホストすることを承認した。
https://www.spa.gov.sa/viewfullstory.php?lang=en&newsid=1948624#1948624
2.米中央軍声明(2019年7月19日)
●サウジアラビア王国と協調し、同国の招きに応じて、国防長官は、サウジアラビアに派遣するための米国の要員と資源の移動を承認した。この戦力の移動は、わが軍にさらなる抑止力を提供し、切迫した真の脅威からわが軍と地域の利益を防衛する能力を確実にするためのものである。この動きは、作戦の深さと物流ネットワークの改善を生み出し、継続的にその地域の勢力図を評価し、サウジアラビア王国当局と協力して、適切な場所に米国の戦力を展開させる。
https://www.centcom.mil/MEDIA/STATEMENTS/Statements-View/Article/1911277/us-central-command-statement-on-movement-of-us-personnel-to-saudi-arabia/

Posted by 八木 at 15:43 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イラン・英関係の悪化で、イラン核合意最終崩壊の懸念高まる[2019年07月22日(Mon)]
7月21日、イランのPressTVは、同テレビ局の記者による拿捕された英国籍の石油タンカー「ステナ・インペロ」号の乗船レポートの動画を公開した(下記URLからアクセス願いたい)。
https://www.presstv.com/Detail/2019/07/21/601509/Iran-UK-Oil-Tanker

同タンカーの乗組員は23名で、船長を含む18名がインド人、3名がロシア人、そのほかラトビア人、フィリピン人各1名で構成されている。イランのホルモズガン(Hormozgan)州の港湾責任者は、乗組員全員が無事で健康状態は良好であると語ったうえで、彼らのニーズに応じる用意はあるが、船舶に関する調査を進めなければならない、それは船の乗組員による協力と、問題を調査するために必要な証拠へのアクセスにかかっている、と述べ、具体的に調査に何日間かかるかについては言及しなかった。イラン側は、タンカーが、漁船との衝突のあとの交信に応じなかったこと、ならびにその後トランスポンダーをオフにしたことで、国際的な航行のルールに従わなかったため拘束したとの立場を維持している。インド、ラトビア、フィリピン政府は、イラン側に自国民乗組員の解放を求めるよう働きかけた模様。タンカーは、バンダル・アッバース港に曳航された。

21日、イラン国会の160名の議員はIRGCの英船舶拿捕を支持する宣言に署名するとともに、アリ・ラリジャニ(Ali Larijani)国会議長は、ジブラルタル海峡でイランのタンカー「グレース1」が拿捕され、依然拘束されていることを念頭に、「英国人は強盗を犯し、IRGCは当然の対応をした」と語った。

ハミード・バエディンジャド(Hamid Baeidinejad)駐英イラン大使は、「英国政府がイランとイギリスの間の既存の緊張を船舶に関する問題をはるかに超えて拡大したい国内政治勢力を封じ込める必要がある」と警告した。英国は、米国のイラン核合意離脱と制裁再開をうけて、独、仏とともに、イランとの貿易を継続するための特別目的枠組みである貿易取引促進機関(INSTEX)を起ち上げたが、英国とイランの関係悪化に伴い、動き始めようとしているINSTEXにも悪影響が及び、英国が同枠組みから離脱し、イランへの制裁に加われば、イラン核合意(JCPOA)の最終崩壊につながることが懸念される。

Posted by 八木 at 08:15 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イランによる英国タンカー拿捕の瞬間の映像公開[2019年07月21日(Sun)]
イランのIRGC部隊に所属する4隻の船が、英船籍の「ステナ・インペロ」の航行を妨げ、拿捕した事案に関し、ヘリコプターから顔をマスクで覆い、人物を特定できないようにした急襲隊員がロープを伝って甲板に降り立つ動画を公開した。
https://www.presstv.com/Detail/2019/07/20/601418/Iran-releases-footage-of-seized-UKflagged-crude-oil-tanker-in-Strait-of-Hormuz

一方、トランプ大統領や米国防総省が発表していた米強襲揚陸艦ボクサーが危険距離まで接近したイランの無人機を撃墜したとの主張に対して、イラン側は、撃墜の事実を否定し、米国が無人機を撃墜したとする18日グリニッジ標準時05:30(現地時間08:30)をはるかに超えて、無人機モハジャ4号機(Mohajer-4)が運航を継続していたことを示す証拠として、無人機から撮影した米軍艦の画像を公開し、画像に表示される撮影時間は、米国の主張する時間を大幅に過ぎていたと主張した。無人機は、生中継による偵察と目標の追跡用に設計されており、時速最高速度200 kmで飛行し、最大150 km離れた目標を特定することができるとされる。また無人機は、無人機オペレータの指示の下で、または事前に設定された航路を運航することによって、最大7時間作動することができるとされる。
https://www.presstv.com/Detail/2019/07/20/601386/Iran-drone-Mohajer

Posted by 八木 at 07:04 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

ペルシャ湾における更なる緊張の高まり(イランIRGCによる英国タンカーの拿捕) [2019年07月20日(Sat)]
7月19日、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)海上部隊は、英国のタンカー2隻を拿捕。うち1隻はまもなく解放したものの、ペルシャ湾ホルムズ海峡での船舶の航行を巡って更なる緊張が高まっている。

1. 英国タンカー2隻の拿捕に関する事実関係
●IRGCはホルムズ海峡で英国の石油タンカーStena Imperoを拿捕した。英当局は、このStena Bulkが所有する3万トンのタンカーStena Imperoはサウジアラビアのアルジュベイル港に向かうはずであったが、国際的なシーレーンを離れてイランのQeshm島に向かって北上したことが、海上交通追跡データで確認されている。
●イランの軍事筋は国営メディアに対して、英国のタンカーが拿捕された理由は、ホルムズ海峡の海上ルートを守らず、自動識別システム(AIS)をオフにし、国際水域を汚染し、イランの警告無視したためであると語った。
●英国当局は、同船が国際海域を航行してホルムズ海峡を通過中に、正体不明の小型船とヘリコプターの接近を受け、北のイラン側に向かった乗組員23名の船舶に連絡することは不可能であり、現在、事案を評価しているところである、と述べた。
●別のタンカーであるリベリアの旗を掲げたメスダール号は19日夜突然コースを変え、船は英国企業が所有し、サウジアラビアのラス・タヌーラ(Ras Tanura)に向かう予定であった。そのタンカーはその日の後半に解放され、追跡データは船が19日遅くにイランから西へ向かって航行を開始したことを確認。イランのTasnim通信社は、当該船舶が安全性と環境問題について当局から警告を受けた後、進路の航行継続を許可されたと報じた。船舶所有会社は、船舶との交信が再開され、船長は武装した警護員が退去し、船舶は自由に航海を続けることができることを確認。すべての乗組員の状態は、安全で順調である、と声明の中で明らかにした。

(参考)大型タンカー「メスダール」:英国グラスゴーのNew Ocean Shipping Venture Ltdが所有。グラスゴーのNorbulk Shipping UK Ltdが運航。

2.英国政府の反応
英国のジェレミー・ハント外相は、イランにペルシャ湾で2隻の艦船が拿捕された結果について警告を発した。そのうち1隻は解放された。外相は、英国の対応は「断固たるもの」であるが、英国は外交を通じて危機を解決することを望んでおり、軍事的選択肢は考えていないと付言。ハント外相は、すでにマイク・ポンペイオ米国務長官とこの件について話し合っており、イラン人のカウンターパートであるザリーフ外相とも話をする予定であると述べた。同相は、拿捕は断じて容認できない、と非難し、航行の自由が制限されれば、イランが「最大の敗者」になるだろうと言明。ハント外相によれば、どちらの船の乗組員にも英国人はいないものの、駐イラン英国大使がすでに状況の解決に向けイランの外務省と連絡を取り始めていると付言。

(コメント)
米政府は19日、ワシントンの国務省に日本を含む各国代表を招き、中東のホルムズ海峡等で船舶航行の安全を目的とする有志連合構想を説明した。会合には60カ国以上が招待され、非公開で行われた。日本は市川在米大使館公使が出席した。25日、中東を管轄する米中央軍の司令部があるフロリダ州タンパで追加会合を開き、詳細を協議する模様。
 米中央軍は19日の声明(下記参考参照)で、有志連合構想に関し、航行の自由を保全するために中東の主要航路の監視を強化する「センチネルSentinel(番人)作戦」を進めていると表明。「ペルシャ湾出口のホルムズ海峡、紅海出口のバーブ・アル・マンデブ海峡、オマーン湾を通る国際水路における海上航行の安全、無害航行の確保を目指すとしている。
 19日のタンカーStena Impero拿捕については、イラン側は、タンカーが漁船と衝突し、イラン側からタンカー側に通信しようと試みたが、返答がなく、当局の要請でIRGC海上部隊がイランの港に曳航したとされる。乗組員23名のうち、18名はインド人の趣き。
次のタイムラインでもわかるように、今回のイラン側の拿捕は、ジブラルタル当局がイラン・タンカーの30日の追加拘束を決定したことに対するメッセージであった可能性が強い。おりから米国務省で、ペルシャ湾の安全航行等に関する有志連合構想の説明会が行われており、米国は、今回の事件も利用して、「番人」作戦立ち上げと、国際的な連合形成を働きかけていくものとみられる。安全航行枠組みに参加する国々は、米中央軍の声明にもあるとおり、ペルシャ湾等を通過する船舶に護衛船をつけるほか、実施体制維持のための応分の貢献、負担を求められることになり、ペルシャ湾を通じた海上輸送のコストは跳ね上がることになる。
(タイムライン)
5月12日 フジャイラ沖で、サウジタンカー2隻、ノールウェー・タンカー1隻、UAE船舶1隻爆発物によるとみられる損傷発生
6月13日 ホルムズ海峡近郊のオマーン湾で日本所有を含むタンカー2隻が爆発物によるとみられる損傷発生。
7月04日 英領ジブラルタル当局は、英国海兵隊部隊により、イラン・大型タンカー「グレース1」をシリア向け石油輸送の疑いで拿捕。
7月14日 IRGC海上部隊がUAEをベースとする小型タンカー「Riah」を燃料密輸の疑いで拿捕。
7月19日 英領ジブラルタルの裁判所は、4日に拿捕したイラン・タンカーの拘束期間を30日延長することを決定。
7月19日 IRGCは英国のタンカー2隻を、海上航行ルール違反、自動識別システム(AIS)をオフにし、追跡を妨げたこと、国際水域の汚染、イラン側パトロールの警告無視の疑いで拿捕。うち、1隻については、同日中に解放。

(参考)米中央軍声明(2019年7月19日)
●米国中央司令部は、アラビア湾岸地域での最近の出来事に照らして航行の自由を確保するために中東の主要水路の監視と安全性を高めるために多国籍海上「番人(Sentinel)」作戦を展開している。番人作戦の目標は、アラビア湾、ホルムズ海峡、バーブ・エル・マンデブ海峡、オマーン湾の至るまで、海上航行の安定を促進し、安全な通過を確保し、緊張を緩和させることである。
●この海上安全保障の枠組みにより、各国は、調整および海上交通領域の自覚と監視の強化のために参加国の協力を利用しながら、自国の旗艦船舶に護衛を提供することが可能になる。
●米国はこのイニシアチブを支援することを約束したが、成功するためには地域および国際的なパートナーからの貢献とリーダーシップが必要とされる。
米当局は、欧州、アジア、中東の同盟国およびパートナーと、「番人」作戦に必要な詳細および機能について調整を続け、この海域での航行の自由を可能にし、重要な輸送レーンを保護する。
https://www.centcom.mil/MEDIA/STATEMENTS/Statements-View/Article/1911282/us-central-command-statement-on-operation-sentinel/

Posted by 八木 at 15:16 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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