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イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。

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サウジ人ジャーナリスト・カショーギ氏殺害の公判を巡る状況[2019年04月30日(Tue)]
4月29日、ポンペイオ国務長官は、ボブ・キューザックThe Hill 編集長とのインタビューにおいて、イランへの対応やイエメン内戦への立場等中東関連でも見解を表明している中で、サウジ人ジャーナリスト・カショーギ氏の殺害を命じたのは、サウジ政府なのかと質問を投げかけられたのに対して、概略1.のとおり、新たな事実が判明すれば、追加制裁はありうる旨示唆した。それでは、昨年11月にサウジ検察当局が起訴した11名の公判はどのように進んでいるのであろうか。公開ではないので、裁判の状況はほとんど明らかになっていないが、アルジャジーラの記事によれば、注目点は2.のとおり。

1. ポンペイオ国務長官発言関連部分
●私はずっと言い続けてきた。我々は、この件について我々ができるあらゆる事実をひとつひとつ見つけ続けている。私たちは、その責任を実質的に担っていた人物を、我々は、一人一人に責任を負わせることを決意している。国務省がそれをし(注:2019年4月8日、カハタニ元王宮府顧問を含む容疑者16名の入国等を制限する制裁を課したとの意味)、財務省もそれをした(注:サウジ検察の容疑者11名の起訴をうけ、2018年11月15日、カハタニ元王宮府顧問およびオタイビ在イスタンブール・サウジ総領事を含む17名に対して資産移動・所有禁止等の制裁を課したとの意味)、そして我々はその取り組みを続けるであろう。新しい事実が判明するにつれて、米国にとっての真実、それらが確かであると判明すれば、我々は、ジャマール・カショーギの殺害に対して責任があるすべての者に責任を負わせ続けるであろう。期間はない。大統領はそれについても非常に明確である。
https://www.state.gov/secretary/remarks/2019/04/291395.htm

2.公判の関連でこれまでに明らかになった状況
@国連安保理の常任理事国である米、英、仏、中国、ロシアならびにトルコの外交官は、公判のやりとりを傍聴できる。但し、公判は完全にアラビア語で実施され、通訳の同行は認められず、しかも公判の案内は、極めてショートノーティスの連絡がくる。
A被告は弁護士の帯同が認められている。
B被告の多くは、元サウジ情報部(GIP)副長官であったアッシーリ准将の命令で犯行に及んだとして、自らの行動を擁護し、同元副長官が作戦の「首謀者」であったと述べている。
C暗殺団一行がサウジに出発する前に面会し、情報機関員であり、暗殺団の現場責任者とみられているマーヘル・ムトリブを本国から指揮したとみられているムハンマド・ビン・サルマン皇太子の側近であったカハタニ元王宮府顧問は公判には登場しておらず、起訴もされていない
D公判がいつまで続くのかは明らかになっていない。

Posted by 八木 at 14:44 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

同盟国との関係をビジネスの金額で判断する米大統領の衝撃発言[2019年04月29日(Mon)]
トランプ米大統領は、4月27日、ウィスコンシン州グリーンベイの「米国を再び偉大な国にする」(MAGA)集会で彼の支持者に対して、サウジアラビアへの断固とした支持を継続する意向を繰り返した。ここで、トランプ大統領は、サウジ国王との最近の電話内容を、支持者に対して、あたかも自分(大統領)は「金のなる木を持っている」とばかりに暴露した。最近、人権問題等で批判を受けるサウジであるが、メッカ、メディナの2つの聖地を頂くイスラムの盟主的存在であり、国王は、とりわけ2聖モスクの守護者として、世界中のムスリムの敬意を集めるべき存在である。如何に支持者への集まりの場とはいえ、サウジをお金の支払機としてしか見ていないかの如き、大統領の発言に違和感を覚えるのは、少数派なのであろうか。

(サウジとの関係に関する大統領発言の主要点)
●見なさい。サウジアラビアは、非常に豊かな国で、我々は彼らを守り、補助している。彼ら(サウジ)には現金しかない。我々は、補助する。そして、彼らは我々(米国)から多くを購入した。4,500億ドルも購入したのだ。サウジとの関係を断ち切りたい人々がいるのをご存知だと思う。彼ら(サウジ)は4,500億ドルも購入したのだ。私(トランプ大統領)は、これを失くしたくない。しかし、軍事面で我々はサウジを補助する。
●私(トランプ大統領)は、彼(サルマン国王)に対して、国王のことが好きである。しかし、我々(米国)は、あなた方(サウジ)を守るために毎年45億ドルを失い、もうこれ以上続けることはできない、これはばかげたことである、と伝えた。彼(サルマン国王)は、大変興奮し、怒り、それはフェアではないと言った。私(大統領)は、もちろん、それはフェアであるといった。そうすると、彼(国王)は5億ドル以上を与えると言った。私はもっと欲しいと言った。そこで我々は議論した。それで彼ら(サウジ側)は、たった一回の電話で5億ドル以上支払うことになった。たった1回の電話の結果である。正直なところ、ニューヨークの悪い場所にあるテナントから113.57ドルを集めるよりも(サウジから資金を得ることは)簡単であり、しかもそれはより安全である。
彼(国王)は、これまで25年間、誰からもこのような電話を受けたことはなかったとして、なぜ電話してきたのかと私(大統領)に尋ねた。私(大統領)は、彼(国王)に対して、それは、彼ら(歴代の大統領や各国首脳)が馬鹿だからである、と答えた。
(アルジャジーラ関連報道リンク)https://www.aljazeera.com/news/2019/04/trump-saudi-arabia-buys-lot-don-lose-190428094048617.html

Posted by 八木 at 11:11 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

トランプ大統領の国連武器貿易条約署名撤回宣言の中で、全米ライフル協会総裁を退くかつてのイラン・コントラ事件の主役オリバー・ノース元海兵隊中佐[2019年04月28日(Sun)]
4月26日、トランプ米大統領は米インディアナポリスで開かれた全米ライフル協会(NRA)の年次総会で、米国は国連武器貿易条約への署名を撤回すると宣言した。同条約は通常兵器の輸出入の規制を目的として2013年に採択され、130か国が署名しているが、批准を済ませた締約国は101か国。締約国には英、仏、独が含まれるが武器輸出大国である米国、中国、ロシアは未加入。また、中東の多くの国々も署名していない。米国はオバマ政権時代に同条約に署名したが、議会の反対で、批准の目途は立っていなかった。条約は紛争地帯への通常兵器の流入を規制することを目指しており、2014年12月に発効した。締約国には、対象兵器の輸出に関する記録を保存することや、人権侵害や民間人への攻撃に使用され得る場合に武器輸出を許可しないことが義務付けられている。トランプ大統領は発表の中で、同条約は、米国の主権を侵害するものだと述べた。ホワイトハウスは「大統領は米国の主権と権利を明け渡すことは決してないことを明確にした」との声明を発出した。米国での銃規制の議論の際に必ず出てくるのが、「国民が武器を保有する権利」を定めた「Second Amendment (Second Amendment to the United States Constitution)合衆国憲法修正第2条」であり、これを盾に銃規制への反対キャンペーンの先頭になっているのがNRAであり、そして大統領選再選のために銃規制反対を唱える人々の支持がどうしてもほしいのが、トランプ大統領である。

この大統領の宣言に、国内の銃規制に強く反対してきたNRAは総裁以下一致して祝杯をあげ、大いに気勢を上げているとばかり思われたが、NRA総裁であるオリバー・ノース氏の総裁辞任表明という驚くべきニュースが飛び込んできた。ノース総裁は、4月27日、インディアナポリスでのNRAの年次総会に宛てた、第二副総裁が代読した書簡の中で、彼の任期が4月29日に終了する際、再度選挙に立候補するつもりはない、と述べるとともに、NRAは現在明確な危機の中に置かれており、この銃支持グループが生き残るためには適切に対処される必要があり、NRAの財政を見直すために委員会が設立されるべきであると信じている、と述べた。ノース総裁の発表は、NRAの古参の第一副総裁であるワイン・ラピエール(Wayne LaPierre)氏が4月25日、ノース総裁から、同副総裁にダメージを与える情報を握っているとして強制的に辞任を迫られているとのメッセージを理事会メンバーに送付したことを受けて行われた。
4月27日、ニューヨークタイムズ紙は、4月26日ニューヨークの検事総長がNRAとそのチャリティ団体を含む関連団体に書簡を送付し、財務記録を保護するように命じ、NRAグループの非課税ステータスの調査を開始したと報じた。ノース氏の辞任表明は、NRAを実質的に支配してきたラピエール副総裁との権力闘争に敗れたことを意味するとみられている。 

ところで、2018年5月にNRA総裁に就任したオリバー・ノース氏は、1986年当時共和党大統領であったロナルド・レーガン政権時代に発覚したイランへの武器の秘密の売却とニカラグアの反政府勢力への武器売却資金の違法な転用を含むイラン・コントラ事件の中心人物のひとりであった。この事件の構図は、@米国が、1980年のテヘランの米大使館占拠事件等をきっかけに国交がなく正式の接触も禁じられているイランの革命政権に対してTAWミサイル等の米国製武器を、イスラエルを経由して売却する(当時、イラン・イラク戦争の真っただ中にいたイランは、米国製武器をのどから手が出るほど欲していた)、Aイランは、見返りにイスラム聖戦(イスラミック・ジハード)らによってレバノンで拘束されていた米国人人質(1984年ごろから85年ごろにかけて、CIAのベイルート支部長やベイルート・アメリカ大学関係者、AP記者、牧師等少なくとも7名)を、イランの影響力を行使することによって解放させる、Bレーガン政権下の米国家安全保障会議(NSC)補佐官の了承の下実行責任者となったオリバー・ノース中佐を通じて、二カラグアの反共ゲリラであるコントラに資金を提供する(米議会の承認なしの隠密裏の支援)、というものであった。この取引には、先般イスタンブールのサウジ総領事館で殺害されたジャマール・カショーギ氏の叔父で有名なサウジの武器商人であったアドナーン・カショーギ氏が関与していた。事件発覚後、レーガン政権は窮地に立たされ、一大政治スキャンダルに発展した。1980年代当時は、今よりはるかにイラン・イスラム革命の輸出に周辺国が神経を尖らせていた時期であり、米国や湾岸諸国も公式には、イラクのサッダーム・フセイン政権を支持していた。それにもかかわらず、30数年を経過した今イラン政権を不倶戴天の敵とみなすイスラエルとサウジ、ならびに米共和党政権が一致協力して、将来的にイランよりも大きな脅威になりうるイラクを抑制する観点があるにせより、ホメイニ師を最高指導者とするイランに秘密裏に武器売却を行っていたという事実は忘れ去るべきではない

Posted by 八木 at 10:19 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

スリランカ同時多発爆弾テロ事件[2019年04月27日(Sat)]
4月21日、スリランカの教会やホテルで発生した同時多発テロ事件は、状況が明らかになるにつれ、253名殺害(当局は、当初の359名殺害報告を遺体が散乱していたため殺害者数が過大にカウントされていたとして訂正)という犠牲者の多さもさることながら、それ以外にも驚愕すべき点がいくつか観察される。いくつか列挙すれば次のとおりである。

1. 同時多発性
主要な爆発は、8か所で発生したが、うち5か所は、午前8時45分〜50分の間にほぼ同時に発生している。さらにスリランカ東部の都市バッティカロアで午前9時5分に爆破が起き、午後に2か所で発生している。このことは、テロ行為が事前に綿密な計画と連絡体制のうえで、実施されたことを物語っており、地元の小規模なイスラム過激派組織の能力を超えていると認識される。
8時45分 ネゴンボ市(コロンボ北方37km) 聖セバスチアン教会
8時45分 コロンボ市 シャングリラ・ホテル
8時45分 コロンボ市 聖アンソニー寺院
8時45分 コロンボ市 キングスベリー・ホテル
8時50分 コロンボ市 シナモン・グランドホテル
9時05分 バッティカロア市 シオン教会
13時45分 コロンボ市 トロピカルイン・ホテル
14時15分 コロンボ市 警察部隊による捜索中に爆発

2. マイノリティが別のマイノリティを攻撃するという図式
今回の事件は、イスラム教過激派のナショナル・タウヒード・ジャマーア(NTJ)が実行犯とみられている。2012年の国勢調査によると、スリランカの総人口約2200万人のうち、70%が仏教徒、13%がヒンズー教徒、10%がイスラム教徒、7%がキリスト教徒である。スリランカで、37年間続いた内戦の当事者は、仏教徒が多いシンハラ族が主流のスリランカ政府軍と、分離独立を求めて武装闘争を行っていたヒンズー教徒が多い少数派タミール族のイーラム解放の虎であり、イスラム教徒もキリスト教徒もこの戦闘からは距離を置いていた。2019年の時点で、少数派のイスラム教徒が、やはり少数派のキリスト教徒を狙わないといけない政治的動機に乏しい。

3. 実行グループとされるNTJのキリスト教徒攻撃の非合理性
NTJは、厳格なイスラムの教えに回帰すべきと主張するワッハービズム・イスラムを信奉するスリランカ・タウヒード・ジャマーア(Sri Lanka Thowheed Jamath:SLTJ)から離脱した後、2014年頃に結成されたとされる。NTJの首領は、ムハンマド・ザハランは仏像破壊を行ったことがあり、近年仏教徒との間で摩擦が生じていた。しかし、キリスト教徒を大々的に抹殺する合理性も動機もないはずである。

4. 実行犯の境遇とISILとの関連
4月23日、ISILは系列のアーマク(AMAQ)通信を通じてビデオ画像を発表した。8名が登場し、ISILの象徴である黒い旗の前に立って、過去3-4年姿を隠したまま表舞台に登場しないISILのリーダーであるアブー・バクル・バグダーディ(Abu Bakr Al-Baghdadi)に忠誠を宣言した。画像では、8名のうち、1名のみが顔を表に出していたが、同人は、今回の襲撃事件の実行犯のリーダーであるムハンマド・ザハランであった。残り7名のうち、1名は、女性であるとみられている。スリランカ国防相は、9人の自爆テロ犯がおり、うち、8人の身元が特定されており、大部分の襲撃犯は十分に教育されており、経済的に恵まれた家庭の出身であり、中には、法学の研究のため、英国、豪州に留学した者がいると発言。今回の襲撃事件にISILがどの程度関与しているのかは現時点で不明であるが、襲撃の規模、強力な爆発物の使用、襲撃の同時多発性、キリスト教徒住民ならびに外国人を標的にしていることにかんがみて、ISILのネットワークが、事件に深く関与していることは、ほぼ疑いようがない。

5. 現地イスラム団体による襲撃事件非難
4月21日、現地のスリランカ・ムスリム評議会(The Muslim Council of Sri Lanka)は、総裁名で声明を発出し、復活祭という神聖な日に我々の兄弟姉妹であるキリスト教徒の礼拝所とコロンボのホテルへの襲撃を非難した。一方、4月25日、もともとのNTJの母体であったとされるスリランカ・タウヒード・ジャマーア(SLTJ)は声明を発出し、一部報道機関が無責任に、そして誤ってSLTGを爆弾テロ事件に結びつけるようとしているが、それは絶対に間違っており、SLTGは事件に関与したと疑われるいかなる組織とも無関係であると強調した。

6. 襲撃実行犯の落ち着いた様子
ネゴンボ市の聖セバスチアン教会で、キリスト教徒が集まり、復活祭のミサが執り行われようとしていたその直前、ひとりのバックパッカーがミサ会場に近づいてきた。その様子は一部始終、カメラに収められていた。男は、教会の敷地で、小さな女の子の頭を撫でて、静かに集会場に入り、自爆した。今回の襲撃実行犯は9名で、比較的恵まれた家庭環境で育った者が含まれているとのこと。

7.外国インテリジェンス機関による警告の無視
スリランカ当局は、スリランカの警察が外国のインテリジェンス機関から、4月11日にNTJが教会への自爆攻撃を計画しているとの警告を受けた後、それ以上の予防措置が取られなかった理由を調査している。

Posted by 八木 at 15:51 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

トランプ政権のイラン原油輸入国に対する取引「ゼロ」への圧力行使[2019年04月24日(Wed)]
米国ポンペイオ国務長官は、4月22日記者会見し、5月2日をもって、イラン原油輸入を、昨年11月から一時的に認めた8か国を含め、例外的措置を一切認めない旨宣言した。声明文、記者会見の注目点、コメント次のとおり。

1.ポンペイオ国務長官の声明
本日(4月22日)、米国は、イランの石油の既存の輸入者に対して、追加の大幅な削減に例外を認めないと発表した。トランプ政権はイランの石油輸出を歴史的に最低の水準にまで落ち込ませた。そして我々は、世界の石油市場で原油の十分な供給を維持しながら、我々の国家安全保障目標を満たすよう調整された方法で圧力キャンペーンを劇的に加速している。輸入国がイランの原油から他の(ソースの)代替品へと移行するとき、我々は、同盟国とパートナーを支持する。この移行を容易にし、十分な供給を確保するために、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、および他の主要生産者と広範囲かつ生産的な議論を重ねた。これは、米国の(原油)生産量の増加に加えて、エネルギー市場で依然十分な量の原油が供給されているという我々の確信を強調するものである。
本日の発表は、我々の圧力キャンペーンがすでに大きな成功を収めたことに基づいている。我々は、イランの指導者たちが彼らの破壊的な行動を変え、イランの人々の権利を尊重し、そして交渉テーブルに戻るまで、イランの体制に最大の圧力をかけ続けるであろう。
https://www.state.gov/secretary/remarks/2019/04/291272.htm
2.ポンペイオ国務長官記者会見注目点
@米国の措置は、MEK(注:仏に拠点をおくイラン反体制派組織ムジャヒディン・ハルクを指す)を含む外部の特定の団体を支援するものではない。我々は、イランの人々を支援している。
Aカーシム・ソレイマーニ(IRGCコッズ軍司令官)であれ、イランの指導者であれ、あるいはシーア派民兵であれ、米国人に敵対するものは、米国の権益を守るため適切な方法で対応する。
B我々の圧力キャンペーンの結果としてイランは、世界中で害を及ぼす彼らの能力は絶対に明らかに減少させている。例えば、ヒズボラは、定期的に要員に給与を支払えない状況に追いこまれている。
C我々がイランに求めている12項目の要求(下記参考参照)が満たされれば、イランを通常の国として交渉することが可能になる。
Dイランとの原油取引禁止に従わなければ、制裁を受けることになる。原油取引には、ほとんどの場合、金融市場に参加する必要があるからである(注:そうしなければ、ドル取引ができなくなり、また、国際的な決済システムからも締め出されることになるという意味)。
E(原油取引に関する8か国に与えた)例外措置は、5月1日を超えて継続しない

3.コメント
イランの国家収入の4割は、石油からもたらされているとみられる。イランはイランの原油輸出は、昨年4月の日量250万バレルから本年3月の日量約100万バレルまで落ち込んでおり、先般の米国務長官の記者説明でも、従来取引のあった23か国がすでに原油輸入ゼロになったとされる。昨年11月に米国から180日間の制裁免除を認められた主要原油輸入国8カ国は、中国、インド、トルコ、日本、韓国とギリシャ、イタリア、台湾。うち、ギリシャ、イタリア、台湾はすでにイランの石油輸入をゼロに減らしている。また、韓国と日本は輸入ゼロに向けての対応をとったとされる。残りは、トルコ、中国とインド。中国とインドはイラン原油の最大の輸入国であり、トルコを含む3か国の対応が最も注目されている。中国は、外務省スポークスマンが、中国は一貫して米国の一方的制裁の実施に反対し、米国は、その管轄権限外にまで手を伸ばしすぎている、と批判している。トルコも、米国の一方的な措置を非難し、そのままの形で従うことは拒否している。一方、インドは代替輸入先への切り替えを検討中との報道がある。原油の安定供給、価格安定の観点からは、米国は、サウジおよびUAEとの間でイラン減少分の補填につき、協議を開始していることを明らかにしている。米国は、先日、イランの国家機関であるイスラム革命防衛隊全体を、国家機関に対するものとしては史上はじめて、テロ支援機関に指定した。そして、5月から世界のあらゆる国々に対して、イランの国家収入の基本である原油の輸入をゼロにするか、さもなければ、それらの国々が米国の制裁を受けると宣言した。ポンペイオ長官は、イランの国外にいる特定勢力を支援しているわけではなく、イラン国民を支援していると説明しており、体制転覆を目指しているわけではないとしているが、以下の12項目は、イランが現体制のままで受け入れることはありえず、そうであるとすれば、米国は、イランの現体制が崩壊するまで、世界中を巻き込んで制裁を強化すると宣言したのと同様であると認識される。中国は、このトランプ政権の理屈を受け入れれば、自分たちも標的にされかねないことを認識しており、原油の自国通貨や、独自の決済システムを利用し、米国の制裁を回避する方向に動くものとみられる。

(参考)米国がイランに突き付けている12項目の要求(2018年5月21日ヘリテージ財団の会合におけるポンペイオ国務長官発言)
@イランの核兵器プログラムのこれまでの軍事的側面について完全に説明できるようにするとともに、そのような活動を永久に、かつ恒久的に検証可能な形で放棄することを国際原子力機関(IAEA)に宣言する。
A濃縮を停止し、重水炉の閉鎖を含めプルトニウム再処理を決して追求しない。
BIAEAに、イラン国内の全てのサイトへの無条件のアクセスを認める。
C弾道ミサイルの拡散を止め、核弾頭搭載ミサイルシステムのさらなる打ち上げや開発を停止する。
Dすべての米国市民ならびに米国のパートナーおよび同盟国の市民を解放する。
Eヒスボラ、ハマース、イスラム聖戦(イスラミック・ジハード)を含む中東の「テロリスト」グループへの支援を止める。
Fイラク政府の主権を尊重し、シーア派民兵の武装解除、解体、再統合を認める。
G反体制ホーシー派に対する軍事的支援を終了し、イエメンにおける平和的で政治的な解決に向けて努力する。
Hイランの指揮下にあるすべての部隊をシリア全土から撤退させる。
Iアフガニスタンならびに(中東)地域においてタリバーンやその他の他の「テロリスト」の支援を終了し、アルカーイダの幹部指導者に庇護を与えることをやめさせる。
J世界中の「テロリスト」と「武装」同盟者に対するイスラム革命防衛隊コッズ軍の支援を終了させる。
Kイスラエルを破壊するとの脅しや、サウジアラビアやアラブ首長国連邦に向けてのミサイルの発射、国際的な輸送への脅威ならびに破壊的なサイバー攻撃を含む、多くが同盟国である近隣諸国に対する脅迫行為を終了させる。

Posted by 八木 at 15:28 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

「パレスチナ難民の帰還権」否定で成立するクシュナー大統領上級顧問の「世紀の取引」の裏付けメールの暴露[2019年04月22日(Mon)]
米国フォーリン・ポリシー誌が、4月19日オンライン上で暴露した2018年1月11日午前7時50分にジャレット・クシュナー大統領上級顧問が、マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官(当時)やニッキー・ヘイリー国連大使(当時)ほかに宛てたメールには、パレスチナ難民問題に関して、パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)からの脱却によってパレスチナ難民問題の解消を目指すことを提唱したウォールストリートジャーナル紙上に掲載された意見にリンクをはったうえで、「我々の目標は物事を現状のまま固定させ続けることではなく、物事を大幅に改善することである。時には、そこにたどり着くために戦略的に物事を壊す危険を冒さなければならない。UNRWAを崩壊させるために誠実で真剣な努力をすることが非常に重要である。それ(UNRWA支援)は、腐敗し非効率な現状を永続させ、平和の実現を助けない」と記述されている。
https://foreignpolicy.com/2019/04/19/document-of-the-week-jared-kushners-mideast-peace-email/

2018年初頭、クシュナー顧問はトランプ政権内で、500万人以上のパレスチナ難民に学校教育と救済を提供する12億5000万ドルの大規模なプログラムへの米国の資金援助を打ち切る政策への支持を結集しようとしていた。このため、政権内で、クシュナー顧問の意見に懐疑的なティラーソン国務長官(当時)を封じ込め、UNRWAへの資金削減、あるいは打ち切りで集約させる必要性を感じていた。この直後に、以下のタイムラインからわかるように、トランプ政権は、まず、1月中旬UNRWAへの援助を半減させたことを皮切りに、同年8月末には、UNRWAへの援助の全面停止に踏み切った。クシュナー顧問は、「難民の帰還権」を維持する機関がUNRWAであり、UNRWAを崩壊させ、難民の帰還権を否定すれば、イスラエルとパレスチナ人の和平実現に向けての大きな障害が取り除かれることになると考えていたことが、このメールの内容からも看取される。
(タイムライン)
【2017年】
12月6日 エルサレムをイスラエルの首都と宣言し、米大使館のエルサレム移転を宣言
【2018年】
1月17日 米国は、本年1月パレスチナ人への支援を行うUNRWAへの拠出を60百万ドルと当初予定の半分以下(65百万ドル凍結)にすることを決定
5月14日 エルサレムの米大使館開設記念行事
8月25日 米国は、2018年予算で良いガバナンス、医療、教育、市民社会の資金調達のために 2.51億ドルの供与を計画していたものの、パレスチナ人に対する2億ドルの援助削減を決定。
8月31日 米国、UNRWAへの拠出全面停止を決定
9月9日  米国は、東エルサレムの6つの病院ネットワークへの2500万ドルの支援停止を決定。
9月10日 米国はワシントンD.C.のPLO事務所閉鎖を決定。

UNRWAは、1948年にイスラエルが建国され、居住地を追われた当初70万人のパレスチナ人への生活支援のため1949年の国連総会で設立が決定され、1950年5月から活動している国連機関で、3万人以上のスタッフを雇用し、ヨルダン川西岸やガザ、ヨルダン、レバノン、シリアで、教育や医療サービス、困窮者への食糧支援を行っている。事実上封鎖状態にあるガザでは、失業率が44%に達し、UNRWAは100万人に食糧援助を実施し、1万3千人を雇用してきた。米国のUNRWA拠出停止の狙いを言い換えれば、イスラエル建国当初難民となったパレスチナ人を除いて、世代を重ねたパレスチナ人は、支援の対象から外すべきであり、「帰還の権利」も認めるべきではないということである。米国は、パレスチナ難民として認定すべき適正な人数は50万人とみているようで、当時のヘイリー米国連大使は、難民数が適切な規模になれば、支援再開の用意がある旨表明していた。
クシュナー顧問は、4月のイスラエル総選挙でのネタニヤフ首相の勝利をうけ、ネタニヤフ政権発足後、ラマダン明けの6月に、イスラエルとパレスチナ人との新和平プランである「世紀の取引」の内容を公表すると表明している。その「世紀の取引」とは、想像の域を超えないものの、@パレスチナ人が二国家共存を断念し、エルサレムを首都とするイスラエルの主権の中で、現在イスラエル支配地内に留まるパレスチナ人に二級市民として領域内で生活する選択をするのであれば、一定の自由・経済的恩恵を与える、Aイスラエル支配地外(レバノンやヨルダン、シリア等)に居住するパレスチナ難民の帰還の権利は認めない(すなわち、これらの近隣アラブ諸国が吸収する)、Bガザを支配するハマースは解散する(解散を拒めば、永久的に「天井のない監獄」に閉じ込め続ける)、Cイスラエルの入植地は、イスラエル領地としてそのまま維持する、とのラインを大きく外れることはないとみられる。これを受け入れさせる前段階として、パレスチナ人をとことん追い詰め、その後、湾岸諸国からの援助の可能性というニンジンを目の前にぶらさげ、パレスチナ人に、この途しか残されていないと譲歩を強いるのが、クシュナー戦術であると思われる。

Posted by 八木 at 12:59 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

米国の世界金融支配体制綻びの兆候(トルコにおけるロシアMIRカードの導入)[2019年04月21日(Sun)]
米国は最近のイラン制裁再開で如実に示されたとおり、米ドル取引や米国が支配するSWIFT等の国際決済システムを、制裁の効果を拡大するための武器として積極的に使用することをためらわなくなっている中、ロシアと中国は、二国間および国際貿易における自国通貨の使用を高め、米ドルとSWIFT等の国際決済システムへの依存を減らそうとしている。

この顕著な例として、4月18日、トルコの大手銀行であるIs Bankが、ロシアが発行しているMIR電子決済カードの国内受け入れを発表した。2018年トルコには、580万人のロシア人旅行者が訪問しており、MIRカード所有者は、Is Bankがトルコ国内に設置する6500か所以上のATMを利用し現金を引き出せるほか、ショッピング、航空券の購入、交通費の支払いその他のサービスをロシア国内にいるのと同様にうけることが可能になる。MIRカードは、すでにロシア語が使用される一部の国々で利用可能になっているが、非ロシア語圏で、NATOメンバー国で初めて導入されたという点が注目される。MIR国民決済システムは、ロシアによるクリミア併合で、ロシアの銀行が米国に拠点を有するVisaやマスターカードのサービスから締め出されたことをきっかけに開発され、その運営主体は、2014年7月23日に設立された国民決済カード・システム合同会社(NSPK JSC)であり、同社の株式は100%ロシア中央銀行が保有している。MIRパイロット・カードは、2015年12月に初めて作成され、ロシア国内に急速に普及している。
ロシアの支払いシステムの主な目的は公式サイトによれば次のとおり。
@国内の支払い手段を使用した信頼できる送金サービスの提供
Aキャッシュレス支払い手段に対する信頼の構築
B外国企業から独立したロシアが影響を行使できる決済地域の創設
CMIR国民決済カードの発行
D国際市場でのMIRカードの普及

メドベージェフ・ロシア首相は、昨年末中国とロシアの二国間貿易が2,000億米ドルに達すると予想していると述べたほか、両国が国境をまたがる中国人民元およびロシアルーブルでの貿易取引の直接支払が可能になる決済システムの立ち上げについて議論を開始していると述べた。さらに同首相は、既にロシア国内で中国のUnionPayクレジットカードの運用が開始されており、中国でもロシアのMirカードの使用を拡大する方向で、議論が進行中であると述べた。

米国のイラン核合意離脱後、米国の厳しい経済制裁をうけ、70以上の金融機関が国際決済システムから締め出され、イラン革命防衛隊を含め970以上の個人・機関が制裁対象になったイランは、外貨不足に苦しんでおり、米国の支配するSWIFT等を回避した代替の国際決済の利用を模索している。この関連で、ロシア下院の金融市場に関する委員会の議長が、ロシアのMIR決済システムは今年末までにイラン国内で運用を開始する可能性があることを示唆した。過去6ヶ月間にロシアとイランの銀行が60以上の相互に利用可能な口座を開設し、同口座を含む送金の量は過去2年間で7倍増加していると述べた。

米国の他国に対するドル支配体制を利用した制裁の強化は、制裁の対象となった国々を、ドルや米国の支配する決済システムによらない取引の新たなシステム構築に追いやっている。メドベージェフ・ロシア首相は、「米国の制裁措置のいくつかは、我々が、10年前にしなければならなかったことをやらせることになっており、有益だと思う」、と米国に対する最大級の皮肉を述べた後、過去ずっと石油とガスの取引を、ルーブルを介さずにドルとユーロでしてきたのは解せずルーブルでの取引は我々の絶対的な優先事項であると述べた。米国の金融支配は逆らうことはできないと受け止められてきた。しかし、ロシアのみならず、10億人以上の人口を有する中国やインドが、自国の経済主権と安全保障の確保の観点から、米ドル以外の決済システムの開発と国外展開を加速させれば、米国の地位も徐々に地盤沈下を起こす可能性が否定できない。

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注目のモラー特別検察官報告書の中の中東関連部分[2019年04月19日(Fri)]
4月18日、注目のロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官の捜査報告書が非公表部分を黒塗りにしたうえで、公表された。この報告書の中の中東関連部分のみ次のとおりである。同報告書全文は、以下のサイトからアクセス可能である。https://www.justice.gov/storage/report.pdf
1.イスラエル入植地に関する国連安保理決議(167-168頁)
2016年12月21日、エジプトは、イスラエルに対してパレスチナの領域における入植活動を終了させるための国連安保理決議案を提出した。ロシアを含む安保理は、翌日決議への投票を行う予定であった。オバマ政権が、決議案に反対しないのではないかとの観測がメディアに流れていた。マイケル・フリン氏(注:元陸軍中将。2017年トランプ大統領により国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命されたが、同年2月ロシア疑惑との関連で辞任)によれば、移行チームはこの投票を重要な問題であるとみなして、決議に反対して、イスラエルを支援することを望んだ。移行チームの複数のメンバーとトランプ次期大統領は、決議に対する彼らの見解を決定し、投票を遅らせるか決議を敗北させるための支持を集めるために、外国政府高官と連絡を取った。ジャレッド・クシュナー氏(注:トランプ大統領の娘であるイバンカ・トランプと婚姻関係にある義理の息子であり、もともとは実業家。現在はホワイトハウスの上級顧問)が、エジプトの決議案が投票に出るのを阻止するための努力を主導した。フリン氏は、ロシアを担当することになった。12月22日早朝、フリン氏は、クシュナー氏と電話で数分話したのち、セルゲイ・キスリャク(Sergey Kislyak)駐米ロシア大使に電話した。フリン氏によれば、彼は大使に、投票の件と移行チームが決議に反対していると伝達した。そして、ロシアに決議に反対するか、延期してほしいと伝えた。同日遅く、トランプ次期大統領がエルシーシ・エジプト大統領に電話し、結局、エジプトは、投票を延期した。12月23日、マレーシア、ニュージーランド、セネガル、ベネズエラの4か国が決議案を再提出した。同日中、移行チームメンバーは外国政府高官と決議案についての協議を続けた。フリン氏は、キスリャク大使を通じて、ロシア政府に働きかけを継続した。フリン氏が同大使と改めて話した時、大使は、フリン氏に対して、決議案が投票にかけられた場合、ロシアは拒否権を発動しないと伝えた。決議案は、追って、米国が棄権に回る中、14-0で採択された。
(フリン氏は、決議案に関して外国政府に特定の措置をとるよう依頼したことはなく、接触の目的は、外国政府の立場の確認のみであったと語っていたことが虚偽であったことが、195頁に記載されている)
2.シリアに関する通信ラインの確保(160-161頁)
2016年11月30日、クシュナー氏、フリン氏がトランプタワーで、キスリャク・ロシア大使と会談した。3名は、シリアに対する米国の政策について議論した。キスリャク・ロシア大使は、機密性のある通信ラインを通じて、ロシアの将軍たちが移行チームに対して、このトピックについてブリーフするアイデアを提示した。フリン氏が、移行チームの事務所内には、機密性が保たれる通信ラインはないと説明した後、クシュナー氏は、ロシア大使館内の機密性のある設備を利用し、通信することは可能かと尋ねたところ、大使は直ちにこのアイデアを拒絶した。

Posted by 八木 at 10:46 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

米議会に提出されたムスリム入国禁止令廃止法案(NO BAN ACT)[2019年04月17日(Wed)]
4月10日、米議会のクリス・クーンズ上院議員(民−デラウェア州)とジュディ・チュウ下院議員(民-カリフォルニア州)は大統領の既存のムスリム入国禁止命令を撤回し、イスラム教徒多数の国からの入国を阻止し、他の根拠のない差別的な入国禁止措置が再びとられることを妨げるために、上院と下院双方で同じ内容の法案を提出した。出身国に基づく非移民者差別禁止法(National Origin-Based Antidiscrimination for Nonimmigrants Act:NO BAN ACT)はトランプ大統領が過去に発出した3回のムスリム入国禁止令(下記参考参照)を廃止し、宗教に基づく差別を禁止するための移民国籍法を強化し、将来の旅行禁止令を発出する過度に広範な行政権限を制限することによって権力の分離を取り戻そうとするもの。この法律は、90名を超える議員、約400の多様な市民の権利擁護、信仰、国家安全保障およびコミュニティ・ベースの各機関、ならびに民間企業および50名を超える移民法専門の教授連によって支持されている。この法案には、昨年の中間選挙で当選し、イスラム教徒として初の連邦下院議員となったイルハン・オマル議員、ラシーダ・トライブ議員も共同提案者として名を連ねている。一方、90名の支持を表明した議員は、すべて民主党議員であった。
(法案の骨子)
@イスラム教徒の入国禁止した各大統領命令、ならびに難民や庇護を求める個人に害を与える権力の乱用を直ちに撤回する。
A宗教に基づく差別を明示的に禁止し、すべての非差別保護を移民ビザおよび非移民ビザに同様に適用するために、移民国籍法に無差別規定を盛り込むよう改正する。
B信頼できる事実に基づいて、やむにやまれぬ利益にぎりぎり沿うように調整され、可能な限り制限の少ない手段に限定された停止や制限が一時的なものになるよう、将来の禁止を発出しうる大統領の過度に広範な権限を制限する。
C個人の入国の制限ないし停止にあたって、大統領に国務長官および国土安全保障省長官と協議するよう求める。そして、議会への義務的な報告の必要性を強化する。
D人道的および家族的配慮による例外規定付与に有利な推定を支持する。

米国最高裁判所は2018年6月26日、トランプ大統領によるイラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメンの5カ国を含む特定の国からの入国禁止令を5-4で支持した。禁止令が完全に施行された初年度の2018年、国務省は禁止対象国からの約37,000のビザ申請を拒否した。 2017年は、1,000件未満が拒否されていたとされる。
(参考)トランプ大統領による3回のムスリム入国禁止令
2017年1月27日 トランプ大統領は、イスラム教徒が多数を占める7カ国(イラン、イラク、シリア、リビア、ソマリア、スーダン、イエメン)の国民に対して、90日間の入国を禁じ、すべてのシリア難民の米国内への入国を無期限に禁止し、その他の難民について120日間入国することを禁じた大統領令に署名。
2017年3月6日 既存の査証取得者およびグリーンカード(注:米国に自由に出入国ができ、滞在も無制限、職業選択も自由なビザ)所持者を制限対象から免除。さらに、7つの入国禁止対象国からイラクを解除。
2017年9月24日 イラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメン、チャドの6カ国に対する入国を禁止。この他、北朝鮮、ベネズエラの政府関係者も入国禁止措置の対象となった。一方、上記イスラム教徒多数の国の国民のグリーンカード取得が禁止された。

Posted by 八木 at 10:24 | イスラムへの偏見をなくすための特色のある活動 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

米議会内で出る杭を打たれるイスラム教徒のイルハン・オマル米下院議員[2019年04月15日(Mon)]
2018年11月の米中間選挙において、ミネソタ州5区で、ソマリア出身の12歳の時に米国に移民してきたイスラム教徒女性であるイルハン・オマル民主党候補が圧倒的な得票率で共和党候補者を下して当選した。そして本年1月、オマル議員は、同じく中間選挙で下院議員として当選したパレスチナ系米国人女性であるラシーダ・トレイブ氏とともに、米国連邦議会史上初のイスラム教徒議員となった。オマル議員は、イスラム教徒女性のアイデンティティであるヒジャーブで頭を覆って登院した。

オマル議員は、2月10日夜のツイッターでのメッセージで、米国の対イスラエル政策は資金とAIPACの影響を受けているとの意見を表明したことに対して、共和党のみならず、自らが所属する民主党からも厳しい批判を受けた。ペローシ下院議長をはじめとする民主党指導部は、オマル議員に対して、「オマル下院議員による反ユダヤ主義的発言と、イスラエルの支持者についての偏見を抱かせる批判はひどく侮辱的だ。こうした発言をわれわれは非難すると同時に、オマル議員にこうした中傷的発言について即刻謝罪を求める」と伝え、翌11日オマル議員は、「地元の有権者あるいはユダヤ系米国人全体を不快にさせるつもりはなかった」として謝罪に追い込まれ、連邦議員としての活動開始の出鼻をくじかれる形となった。しかし、同時に、「AIPAC等のロビイスト団体が米国政治に果たす問題ある役割を私は再確認する」と付け加え、問題意識は否定しなかった。これに、トランプ大統領は、オマル氏の投稿内容を批判し、「彼女は自分を恥じるべきだ。とても不快な発言だった」と述べた。
オマル議員は、3月下旬、イスラム擁護市民団体であるアメリカ・イスラム関係評議会(CAIR)が開催したイベントでおよそ20分のスピーチし、その中でイスラムフォビアに焦点をあてて、あまりにも長い間、我々は、二流市民であるという不快感を抱いて暮らしてきた。率直に言って、私はそれにうんざりしている。この国のすべてのイスラム教徒はそれにうんざりしているはずである。彼らは(9.11について)幾人かの人々が何かをした(some people did something)こと、そして我々全員が市民としての自由へのアクセスを失い始めていることを認識し始めた。それゆえ、今日誰かが私を変な人とみなしているにもかかわらず、自分自身が不快ではないと語るだけでは不十分である。 「この人は私を変な人であると見ている」と声をあげる必要がある。私は愉快ではないので、(変な人とみなす人に対して)「なぜなのか」と尋ねるつもりである。それはそうする権利があるからである、と語った。
この発言の中の「幾人かの人々が何かをした(some people did something)」という一文に反応して、オマル議員に対して、命を脅かすツイートやメッセージが寄せられることになった。そして、トランプ大統領、共和党、右派系メディアが、「9.11がそんなに軽い言葉で扱うべきことなのか」とかみついてきた。4月12日、トランプ大統領は、ニューヨーク同時多発テロ事件の被害を受けたツインタワーが燃え盛る映像の中に、オマル議員の一文を引用し、「我々は決して忘れることはないであろう」とツイートした。右派系のニューヨーク・ポスト紙は、一面にツインタワーが炎上する写真を掲載し、これが2977名がテロの犠牲になった「あなた(オマル氏)が語る何か」であるとして、オマル議員への非難に油を注いだ。これに対して、13日外遊中のペローシ下院議長は、大統領は政治的な攻撃のために9.11の痛みを伴う画像を使用すべきではない、と大統領を非難した。

米国の連邦議会史上初めてのイスラム教徒議員となり、タブーとされている事項についても発言するオマル氏へのバッシングが厳しさを増している。この1年生議員の発言に、軽率な部分があるにせよ、命の脅迫を受けている議員に対して、火に油を注ぐような発言を、大統領をはじめとして、共和党議員、右派系プレスが容赦のかけらもなく、揚げ足をとって押しつぶそうとしている様子は、異常だと受け止めるのは、あまりにナイーブすぎる見方であろうか。

Posted by 八木 at 17:01 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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