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希望の光を手に入れたハサン・コンタル Alf Mabruk to Hassan Kontar[2018年11月29日(Thu)]
クアラルンプール空港ターミナル・搭乗機乗り換えスペースから7か月間ソーシャル・メディアへの発信を続け、ついにカナダの難民認定を勝ち取ったハサン・コンタル氏の物語を、同人のツイッター投稿から追跡してみたい。リルハムド・リッラー。
 Alf Mabruk(千回おめでとう)الف مبروك

1981年7月13日シリア・スウェイダ県でドルーズ教徒の家庭で、機械技師の父親、看護婦の母親の息子として誕生。英語教師の姉と弟あり。
2006年、UAEで保険マーケッティング・マネジャーの仕事をしていた。2011年シリア内戦ぼっ発。2012年1月在UAEシリア大使館は、兵役を拒否したハサン・コンタルの旅券更新を拒否。国籍喪失し、ホームレス状態となる。2016年10月逮捕。同年末父親死去。2017年1月、旅券が暫定2年間更新される(2019年1月24日失効の予定)。2017年10月マレーシアに向け出国。2018年1月観光ビザ期限切れ。2018年2月28日、トルコ航空は、エクアドル行き便への搭乗を拒否。カンボジア行きも試みたが失敗し、3月3日カンボジア当局はコンタルをマレーシアに送り返した。コンタルは、3月7日以来身動きがとれなくなり、クアラルンプール空港ターミナル2の乗り換えスペースに滞在を余儀なくされた。4月24日UNHCRが接触するも進展なし。4月26日、カナダのボランティア・グループが本人に替わって、カナダ政府に難民申請(通常の処理期間は20-24か月)。コンタルは最悪の事態に直面。10月ついにマレーシアの入管に拘束され、収容所に入れられ、シリアに戻すと脅された。しかし、カナダの支援者の当局への働きかけが功を奏し、カナダ政府から難民認定をうけ、永住権を獲得した。空港ターミナルに滞在した7か月間、もらった機内食を食べて生き延び、トイレで体を洗ったり髪を切ったりしている様子をソーシャルメディアに投稿。コンタルの苦境は世界中に広く知られるところとなった。11月26日バンクーバー空港に到着したコンタルは、ツイッターに動画を投稿し、ふさふさした顎ひげをなでながら「石器時代か中世からやって来た人みたいだろう」とほほ笑んだ。同時に「この8年間、つらく長い道のりだった。直近の10か月間は本当につらく、寒かった」と吐露し、同人の過酷な2018年が幕を閉じようとしている。2019年が彼にとっての希望と再出発の年になることを祈念したい。

Posted by 八木 at 15:44 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イラン外務次官のSPFにおける講演会注目点[2018年11月22日(Thu)]
21日、笹川平和財団で実施されたイランのセイエッド・カーゼム・サジャドプール外務次官来日を記念した講演会「イランの外交政策:課題と展望」を傍聴したところ、注目点の一部を次の通りご紹介します。                 文責:八木正典

1. 講演内容
●イランに対しては、「矮小主義者(reductionist)」によって、危険な国であるとか、テロを支援する国であるとか、ミサイル開発を進め、地域で無法な行動をとり、イエメン等で代理戦争を煽る国であるとの根拠のない仮説(assumption)を、さまざまなシンクタンク等を通じて押し付けている。
●イランは、地政学的に重要な位置にあり、15の多様な隣国と国境を接している。すなわち、イランは、インド亜大陸と接しているが、亜大陸にはなく、中央アジアと接しているが、中央アジアの国ではなく、カスピ海沿岸国であるが、沿岸の他のイスラム諸国やアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージアでもなく、トルコと接するが、地中海沿岸国ではなく、ペルシャ湾岸国ではあるが、アラブ湾岸諸国ではない。隣国は変えられないのであり、イランはこれらの諸国との結び目の役割を担っている
●40年前のイラン革命の前の政権は、米国の傀儡であった。イラン革命によって、憲法が制定され、国家の組織化が進められた。イランは議論を重視する社会であり、コンセンサスで物事を決定する。
●イランは、100%独力で、自国の安全保障を実現している域内唯一の国である。他の国々はすべて、同盟国が提供する安全保障に頼っている。
●イラン核合意JCPOAは、P5+1による多国間の枠内で2年半の交渉を経て得られた成果物である。IAEAもイランが合意を順守していると述べている。
●イランは、ロシア、トルコと協力して、シリアに関しても状況改善を支援している。
●イラン革命の成果のひとつは、教育であり、現在20万人の技術者が存在し、イラン人学生の6割は女子学生である。

2. 質疑
Q 11月5日に開始されたエネルギー、金融等の分野での米国のイラン制裁発動について、米国は原油取引の一時免除を、8か国に適用したが、一方で金融制裁も発動している。中国、インド、トルコは、イランとの原油取引を続ける意向と報じられているが、イランは原油売却の代金をどのように回収するのか、例外的に貿易相手国に設けられるエスクロー勘定を利用するのか。
A 米国のJCPOA離脱と制裁再開は、地域の同盟国の働きかけや米国の国内事情に基づくもので、再開された制裁に「正当性はない」ことをまず強調したい。核合意は、多国間の枠内で、技術的な課題を克服するための難交渉を経て到達したものである。イラン原油取引の制裁については、イランだけでなく、日本や独や欧州ほかの問題でもある。エスクロー勘定(下記参照)の詳細は承知していないが、もし、これらの諸国が受け入れれば、米国大統領がこの取引はよくて、これはダメであるとかを指示するという新たな国際法を押し付けることになり、大変危険である。
(参考)エスクロー勘定:復活制裁の下で免除を受ける国は、原油代金の支払いをエスクロー勘定へ自国通貨で行わなければならない。 すなわち、資金は直接、イラン側には渡されない。イランは、原油の輸入国から食糧、薬品、その他の制裁対象外の物品・サービスを購入するためにしか使用できない。 米国政府は、これらの口座をイランの収入を制限し、さらに経済活動を制限する重要な方法と見ている。

Q イランのイエメンにおける役割如何。
A イエメンへの軍事介入は、サウジのムハンマド・ビン・サルマン(通称MbS)皇太子が始めたのであり、国際社会は、事実関係に注意を払わず、他方の当事者の行為を過少評価すべきでない。イエメンとイランはスケープゴートにされている。サウジの空爆で被害を受けているのは、同情すべきイエメンの民衆である。サウジとそれを支えている米国が、爆撃を止める必要がある。イランは、当初から一貫して政治的解決の必要性を訴えてきた。

Posted by 八木 at 11:08 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

【カショーギ殺害(トランプ大統領の見解)】[2018年11月21日(Wed)]
トランプ大統領は、11月20日声明を発出し、サウジ人ジャーナリストでコラムニストのカショーギ氏殺害を受けたサウジアラビアとの関係について、大統領の見解を発表した。タイム誌が報じた全文の邦語仮訳は下記のとおりである。カショーギ氏失踪後1か月半を経過し、また、サウジ政府が殺害を明らかにした後1か月を経過したものの、トランプ大統領の当初のコメントと今回の見解にはほとんど変化はない。すなわち、イランという「無法者国家」を封じ込めるためには、ムハンマド・ビン・サルマン(通称MbS)皇太子というサウジの最上層部が関与したか、しなかったにかかわらず、莫大なビジネス・軍事産業のお客さまであるサウジとの既存の関係を、これまでどおり、何事もなかったように続けるという、ある意味で非常に率直な見解の発表である。世界は、確かにトランプ大統領が指摘するように「危険な場所」である。しかし、それは、在外公館に暗殺団15名を送り込んで、日中、善良な市民を殺害し、ばらばらに切断し、遺体のありかもわからないようにするといった前代未聞の明らかに国家の「一線を越えた行為」に、現場のみに責任を取らせ、あとは「当該国に任せます」では、世界はますます「危険な場所」になることは明らかで、米政府自体、MbS体制との一時的な経済的利益を確保することができるにせよ、倫理的な規範や民主主義、自由の推進者としての米国の地位の地盤沈下を招くのは明らかと考えられる。トランプ大統領は、「MbS体制=サウジ」とみなしているが、MbS皇太子の就任は、2017年6月であり、それまでも米国・サウジ関係は強固であり、また、今後何十年後も見据えた安定した関係を築く必要があり、一切の責任を否定するMbS体制のサウジとこれまで通りの関係を続けることで本当にそれでよいのかが、米国にとっても、国際社会にとっても問われている。

1. 世界は非常に危険な場所である。

2.例えばイランという国は、イエメンにおいてサウジアラビアに対する血なまぐさい代理戦争の責任を負っており、イラクの民主主義を求める脆弱な試みを不安定にし、レバノンのテロ集団ヒスボラを支援し、(何百万人もの自国の市民を殺害した)シリアの独裁者バシャール・アサドを支え、そしてその他数多くを行っている。同様に、イラン人は中東全域で多くの米国人や他の無実の人々を殺害した。イランは公然と、大声で、「アメリカに死を」、「イスラエルに死を」と叫んでおり、イランは「世界一のテロのスポンサー国」とみなされる。

3.一方、サウジアラビアは、イランが退去することに同意するならばイエメンから喜んで撤退するだろう。彼らはすぐに必要な人道援助を提供するだろう。さらに、サウジアラビアは、過激派イスラムテロとの戦いに数十億ドルを支出することに合意した。

4.昨年訪問したサウジアラビアとのタフな交渉を経て、王国は米国に4500億ドルを支払い、投資することに合意した。これは記録的な金額である。それは、数十万人の雇用、莫大な経済発展、そして米国にとってさらに豊かな富を生み出すものである。4500億ドルのうち1100億ドルはボーイング、ロッキード・マーティン、レイセオン、その他多くの米国の優れた防衛産業の軍事機器の購入に費やされることになる。われわれがこれらの契約を愚かにも取り消すと、ロシアと中国は大きな受益者となり、この新しいビジネスのすべてを獲得して非常に喜ぶことであろう。米国から彼らに対する直接の素晴らしい贈り物になるであろう。

5.ジャマール・カショーギ氏に対する犯罪はおぞましいものであった。我々の国として許しがたいものであった。実際に、我々はすでに殺人に加わったとされる者たちに対して強力な措置を講じている。独立した大きな調査の結果、この恐ろしい犯罪の多くの詳細が判明した。我々は、カショーギ氏の殺害と遺体処分に関与していることが知られている17人のサウジ人に対して制裁を課した。

6.サウジアラビアの代表者たちは、ジャマール・カショーギは「国家の敵」であり、ムスリム同胞団の一員であると述べたが、私の決断は決してそれに基づいているわけではない。これは容認できない恐ろしい犯罪である。サルマン国王と王子ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、カショーギ氏の殺害の計画や実行に関しては強く否定している。我々の情報機関はあらゆる情報の評価を続けているが、皇太子はこの悲劇的な出来事を知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない。結局、我々はジャマール・カショーギ氏殺害を取り巻く事実のすべてを知ることはできないだろう。いずれにせよ、我々の関係はサウジアラビア王国との関係である。彼らは、イランに対する我々の非常に重要な戦いにおいて、偉大な同盟国であった。米国は、イスラエルとその地域の他のすべてのパートナーの利益を確保するために、サウジアラビアとの堅固なパートナーであり続けるつもりである。世界中のテロの脅威を完全に排除することが我々の最重要目標である。
http://time.com/5460580/trump-full-statement-saudi-arabia-jamal-khashoggi/
これに関する電子書籍はこちらにあります。

Posted by 八木 at 12:03 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

【カショーギ殺害(サウジの捜査概要公表にさらなる情報リークで対応するトルコ)】[2018年11月17日(Sat)]
1.11月15日、サウジのシャアラーン副検事総長は、カショーギ氏殺害事件で拘束された21名の供述等に基づく捜査結果概要を発表した。その中で、事件は、説得または強制によりカショーギ氏を本国に連れ戻すための計画が失敗し、現場レベルで殺害が決定され、実行されたものと結論付け、現場で殺害を決定、実行した容疑者5名に死刑が求刑され、その他6名を起訴することを明らかにした。
 
2.これに対して、トルコ側は、カショーギ氏が9月28日に最初にイスタンブールのサウジ総領事館を訪問してから、10月2日の殺害当日、さらにその後3日間の通話記録を保持しているとの情報をメディアにリークした。その中では、@これまで表舞台に出てこなかったが、オタイビ総領事とサウジの治安アタッシェのアハマド・アブドッラー・アルムザイニという人物の会話が注目されていること、Aカショーギ氏殺害のための暗殺団リーダーであるマーヘル・アブドルアジーズ・ムトリブ(MbS皇太子の護衛も務めた側近)が、事件当日の10月2日にリヤドに19回電話したこと、うち4回は、MbS皇太子事務所で指揮をとっていたカハタニ王宮府顧問であったこと、BCIAのハスペル長官が10月23日にトルコを訪問し、カショーギ殺害に関し、トルコ側と協議した際、録音、言語学者、サウジアラビアのアクセントに慣れ親しんでいる人々、そしてオーディオを強化することができる人々を解読する専門家を含む約35人のチームを同行させ、トルコ側も見落としていた米側から殺害成功を示唆する「ボスに報告してほしい」との会話を明らかにした、とされる。

3.ニューヨークタイムズは、米国CIAは殺害指示は、MbS皇太子からであると結論付けたと報じている。一方、エルドアン大統領は、16日トランプ大統領と電話会談し、カショーギ氏殺害については、真相究明を徹底的に行うことで一致し、さらに、トルコ側が、2016年7月15日のクーデター未遂事件の首謀者とみなすフェトフッラー・ギュレン師の送還問題、トルコがPKKと同根のテロ組織とみなすクルド人民防衛隊(YPG)の影響力排除を狙ったマンビジ・ロードマップ実行の加速化を話し合ったとされる。

4.エルドアン大統領は、カショーギ殺害事件解明のリーダーシップをとることで、サウジのMbS体制を支えてきた米国のトランプ政権を揺さぶり、また、イスラム世界での強いリーダーであることを内外に示すてこにしている。

(参考)サウジ検察当局による捜査結果概要発表(11月15日サウジ国営通信)
●サウジ検察は、記者会見で、サウジアラビアの市民ジャマール・カショーギ殺害の容疑者21名に対する捜査により、以下の捜査結果が得られたことを明らかにした。
1.事件は、説得によって被害者(注:カショーギ氏)を本国に連れ戻すよう、そして説得が失敗した場合は、強制的に連れ戻すようにとの命令が発出されたイスラム暦1440年1月29日(西暦2018年9月29日)に開始された。総合情報庁(GIP)の前副長官がこの命令を一団のリーダーに発出した。
2.一団のリーダーは、被害者を説得し本国に連れ戻すため3つのグループ(交渉/情報/ロジッスティック)から成る15人のメンバーチームを結成した。一団のリーダーは、(アッシーリ)前GIP副長官に対して、被害者とつながりがある元同僚をチーム内の交渉グループの長に任命するように提案した。
3.前GIP副長官は、前顧問に連絡して、被害者と以前から関係を持つ個人の任命を要請した。前顧問はこの要請に同意し、任務のリーダーと会うことを依頼した。
4.前顧問は、一団のリーダーおよび交渉チームと会見した。メディアで特定された一団に関連する情報を共有した。前顧問は、被害者がサウジ王国に敵対的な組織や国家によって操られており、サウジ国外における被害者の存在が国家の安全保障への脅威であるとの考えを表明し、彼の帰還を説得するよう一行に促すとともに、彼の帰還が、一団が達成すべき任務であると述べた。
5.一団のリーダーは、被害者の帰還を強制するようになった場合に備えて現場から証拠を取り除く目的で、法医学専門家にチームに加わるよう連絡をとった。法医学の専門家は上司が承知することなくチームに加わった。
6.一団のリーダーは、被害者の帰還が強制された場合の安全な場所を確保するために、トルコ側の協力者に連絡をとった。
7.領事館を調査した後、交渉チームの長は、被害者との交渉が失敗した場合には、被害者を安全な場所に移動させることができないと結論付けた。交渉チームの長は、交渉が失敗した場合、被害者を殺害することに決定した。この捜査は、この件が殺人の原因となったと結論付けた。
8.捜査は、被害者との殴り合いの後に犯行が実行され、強制的に押さえつけられ、大量の薬物が注射され、過剰投与により死に至ったと結論づけた。
9.捜査は、殺人を命じ、実行した人物を特定した。5名が殺害を告白した。
10.殺害後、被害者の遺体は、殺人を犯した者たちの手で解体され、領事館の外に移された。
11.捜査は、遺体が5名によって領事館から移動させられたと結論づけた。
12.(トルコ側)協力者に遺体を引き渡した者が特定された。
13.協力者に遺体を引き渡した個人によって提供された描写に基づいて、協力者の似顔絵が作成された。
14.捜査は、殺害後、被害者の衣服を身につけ、領事館を出た後、腕時計や眼鏡を含むゴミ箱に犠牲者の遺物を処分した人物を特定した。さらに、捜査では、彼に連れだった個人を特定した。
15.捜査は、領事館の監視カメラが無効にされていることを確認し、責任者を特定した。
16.調査は、4名の容疑者が犯罪実行者にロジステックな支援を提供したことを明らかにした。
17.捜査は、一団のリーダーが交渉グループおよび(被害者の殺害を決定し、犯罪を実行した)長との間で、被害者が同人の帰還の交渉と強制失敗後に領事館を立ち去ったとの虚偽の報告書をGIP前副長官宛てに作成することに合意したと結論付けた。
これに関する電子書籍はこちらにあります。

Posted by 八木 at 11:07 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

【カショーギ氏殺害(エルドアン大統領による音声記録存在の確認)】[2018年11月11日(Sun)]
11月10日エルドアン・トルコ大統領は、第1次世界大戦の終結100周年の記念式典出席のため仏に向けて出発を前に、これまで、メディアにリークされていたサウジ人ジャーナリスト・カショーギ氏殺害現場での音声録音の存在を初めて公式に確認し、それをサウジ、米、独、仏、英と共有したことを明らかにした。エルドアン大統領は、10月2日の事件発生以来、先頭にたって真相解明をサウジに要求してきたが、1か月以上を経過しても、捜査結果が明らかにならず、国際社会やメディアの関心の低下を狙った時間稼ぎ戦術に出ているのではないかとの懸念から、第一次世界大戦終結の記念式典で、仏で米、英、仏の指導者との会談が想定される中、直前に各国指導者にリマインドする形で、トルコはこの件を忘れてはいない、この件で、米、英、仏は、サウジに対して圧力を行使すべきとのメッセージを発したものとみられる。米国との関係では、10月トルコを訪問したハスペルCIA長官が、殺人現場の音声録音を聞いたと報じられており、録音の存在はメディアにリークされていたが、今までは公けには確認されていなかった。
(エルドアン大統領のテレビ・メッセージ骨子)
音声録音をサウジの他、米国、独、仏、英国に渡した。彼らはすべて(録音された)会話を聞いており、彼らはすべて知っている
●サウジから(殺害直前)イスタンブールに来訪した15人は、サウジ当局に拘留された18人に含まれるが、誰がカショーギ氏を殺害したのか、遺体がどこにいるのかを確実に知っている。サウジはこの15人の供述をとることでこの件を解決しうる。 殺人犯はこの15人か18人の中にいるのであり、他を探す必要はない。
●今、サウジは、我々の善意に反する行動をとることなく、汚点を取り除くべきだ。
(11月10日付トルコのディリーサバーハ紙報道)
https://www.dailysabah.com/diplomacy/2018/11/10/turkey-shared-recordings-of-khashoggis-murder-with-saudi-us-germany-france-britain-erdogan

これに関する電子書籍はこちらにあります。


Posted by 八木 at 10:31 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

【カショーギ氏と米国の対イラン制裁発動】[2018年11月07日(Wed)]
11月5日、米国政府は、5月のイラン核合意からの離脱に伴い、これまで解除していたイランに対する制裁を復活させた。制裁は、エネルギー、金融、造船、海運の4分野を標的としたもので、700以上の個人、団体、銀行、航空会社、航空機、原子力機関を制裁対象リストに掲載し、イランの国庫収入の主要な部分を占める原油輸出ゼロを目指すとともに、人道的取引を除いてイランとの取引を継続する外国企業には厳しい制裁を課すことを宣言している。米国を除くイラン核合意当事国である英・仏・独・中国・ロシアとEUはいずれも、イランに2015年7月に結んだ核合意の違反行為は見当たらないとして、米国による一方的な制裁発動を非難した。米国政府は、今次制裁発動に際して、イランの現政権が核合意による制裁解除で手に入れた資金を、イラン国民のために使うのではなく、弾道ミサイル開発やシリアやイエメン等地域の不安定化を招く悪意ある行為に投入することを止めさせることを狙いとするものであると説明している。いまや、イランの政権は、米国のトランプ政権や同盟国のイスラエル、サウジアラビアの現指導部からは「悪の権化」のように位置付けられている。
それでは過去を少し振り返ってみよう。10月2日にイスタンブールのサウジ総領事館に入って失踪し、その後殺害が明らかになったジャマール・カショーギ氏のおじにアドナーン・カショーギという人物がいた。サウジの武器商人として知られたこの人物は、晩年パーキンソン病を患っていたものの、昨年ロンドンで、81歳の生涯を閉じた。同人はサウジの武器購入の仲介者として、ノースロップやグラマン、ロッキード社などとの関係を構築していたが、同人の名前を世界中に轟かせたスキャンダルが、イラン・コントラ事件である。この事件の構図は、@米国が、1980年のテヘランの米大使館占拠事件等をきっかけに国交がなく正式の接触も禁じられているイランの革命政権に対して、TAWミサイル等の米国製武器を、イスラエルを経由して売却する(当時、イラン・イラク戦争の真っただ中にいたイランは、米国製武器をのどから手が出るほど欲していた)、Aイランは、見返りにイスラム聖戦(イスラミック・ジハード)らによってレバノンで拘束されていた米国人人質(1984年ごろから85年ごろにかけて、CIAのベイルート支部長やベイルート・アメリカ大学関係者、AP記者、牧師等少なくとも7名)を、イランの影響力を行使することによって解放させる、Bレーガン政権下の米国家安全保障会議(NSC)補佐官の了承の下実行責任者となったオリバー・ノース中尉(2018年5月に米国ライフル協会総裁に就任)を通じて、二カラグアの反共ゲリラであるコントラに売却資金の一部を提供する(米議会の承認なしの隠密裏の支援)、というものであった。事件は1986年に発覚し、レーガン政権は窮地に立たされる一大政治スキャンダルに発展した。この闇取引の構図を設計したのが、アドナーン・カショーギとイラン人仲介者ならびにイスラエル政府関係者であったとされ、隠密裏に協議し、米国大統領、イラン革命政府指導部、イスラエル首相の承認を取り付けて、この取引が実行されたとされる。カショーギは、武器代金の融通に関わり、当然多額の仲介料をとっていたものをみられる。
1980年代当時は、今よりはるかにイラン・イスラム革命の輸出に周辺国が神経を尖らせていた時期であり、米国や湾岸諸国も公式には、イラクのサッダーム・フセイン政権を支持していた。イスラエルは、将来的にイランよりも大きな脅威になりうるイラクを抑制する観点もあり、イランへの武器売却を積極的に行っていたとみられる。
すなわち、共和党政権下の米国政府が、サウジの武器商人を介してイスラエル政府と協力して、イラン革命勢力を支援していたということになり、イラン革命後40年を経て、イランの政権を地域の不安定の元凶と断じることには、違和感を感じる。
殺害されたジャマール・カショーギの祖父で、アドナーン・カショーギの父親であるムハンマド・カショーギは、サウジの初代国王アブドルアジーズの主治医であり、ジャマールはジャーナリストとして、アルカーイダの指導者オサマ・ビン・ラーデンのインタビューを実施したほか、ビン・ラーデンとサウジ政府との関係修復を試みたとされ、カショーギ一族はサウジの反体制派ではなく、むしろ本流であったといえる。最近、CNNとインタビューしたジャマールの息子たちは、カショーギ氏がムスリム同胞団に所属する危険分子であったとの見方を全面否定した。
因みにジャマールのまたいとこのドディ・アルファイドは、1997年8月31日、同乗していたダイアナ妃とともに、パリのアルマ橋下のトンネル内で起きた交通事故で命を落とした。カショーギ一族の数奇な運命を感じざるをえない。

これに関する電子書籍はこちらにあります。


Posted by 八木 at 12:28 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

【カショーギ氏殺害(隠蔽工作要員を派遣したとの見方)】[2018年11月06日(Tue)]
カショーギ殺害事件の真相解明を先延ばしし、時間稼ぎにより国際社会やメディアの関心の低下を狙った行動は許さないとして、トルコ当局からのメディアへのリークが続いている。
1. 隠蔽チームを派遣したとの見方
11月5日、政権筋に近いトルコのディリーサバーハ紙は、サウジ政府からカショーギ氏殺害に関し、イスタンブールに派遣されたグループは、殺害に直接関与した第1、第2グループの15名だけでなく、11日に来訪した11名の第3チームのうち、化学専門家アハマド・アブドルアジーズ・アルジャノービィ(Ahmed Abdulaziz Aljanobi)と毒物専門家ハーリド・ヤヒヤ・アルザハラーニ(Khaled Yahya Al Zahrani )の2名は1週間総領事館に通い続け、隠蔽工作を行ったとみられると報じた。また、カショーギ氏の遺体が酸で溶かされた可能性がある点についても捜査が行われていると報じた。これまでの推移を眺めると、暗殺団の派遣と殺害を命じた人物は確定していないが(チャブシュオール・トルコ外相は、日本のメディアとのインタビューで、MbS皇太子の関与を質問された際に、証拠が固まらない時点で、関与したとも関与していないとも言えないと回答)、少なくとも、サウジ政府の代表であるオタイビ総領事は、総領事館で殺害行為が実行されたのを承知していながら、別途総領事館車両の内部外部の徹底した洗浄を含め、ロイター記者をミスリードするために隠蔽をしたこと(10月6日)は明らかであり、さらに、10月15-16日にサウジ側が、トルコ側に総領事館内部の捜索を認める前の4日間に、総領事館や総領事公邸内で専門家による隠蔽工作が行われていたとすれば、暗殺チーム以外の、本国政府の高いレベルから隠蔽工作が指示されていたことになる。
https://www.dailysabah.com/investigations/2018/11/05/saudis-sent-chemist-toxicologist-to-clean-up-khashoggi-murder-report

10月1日 サウジ先遣隊3名到着。⇒遺体遺棄の場所の探索を行った可能性
10月2日 サウジ暗殺隊12名イスタンブールに到着。同日出国。
10月3日 MbS皇太子は、(カショーギ氏は)数分あるいは1時間して総領事館を立ち去ったと発言(ブルームバーグ・インタビュー5日に配信)。⇒偽装工作を認識していた可能性否定できず。
10月6日 トルコ当局は公式に捜査を開始。オタイビ総領事は、ロイター記者を総領事館内に招いて、誰もいないことを説明。⇒在外公館の長として殺害の事実を隠蔽
10月9日 ポンペイオ国務長官(9日)がMbS皇太子に電話。
10月11日 11名で構成されるサウジの捜査チームが来訪。サウジチームには、化学専門家と毒物専門家の2名が含まれ、10月17日まで、毎日総領事館を訪問。
トルコ側は、捜査協力ではなく、家宅捜索前の隠蔽工作のために来たものとの見方
10月15-16日 トルコ当局は、トルコ総領事館内を捜査。直前にオタイビ総領事、トルコを出国し、サウジに帰国。
10月17日(及び18日) トルコ当局は、トルコ総領事公邸を捜査。
10月19日 サウジの検察官は、サウジの当局として初めてカショーギ氏死亡を認める
10月25日 サウジ当局は、カショーギ氏殺害が計画的なものであったと認める

2. カショーギ氏の携帯電話の通話記録を気にするサウジ当局
カタール系のメディアarabi21は、トルコの当局筋がワシントン・ポストにリークしたところとして、トルコ側に捜査協力を行っているとされるサウジ検事総長は、カショーギ氏の携帯電話の行方に関心を示し、カショーギ氏の通話情報を得ようとしたとされる。トルコ検察当局のリークによれば、カショーギ氏は、10月2日総領事館に入る直前、彼の携帯をトルコ人婚約者Haticeに預けたが、暗殺団は、カショーギ氏殺害後、携帯が見当たらないことにパニックになったとされる。さらに、arabi21が接触したサウジ指導部に批判的なサウジ人が、カショーギ氏が殺害される前の段階でも、MbS皇太子は、カショーギ氏のあらゆる行動に関する情報を手に入れようとしていたとされ、カショーギ氏がワシントンD.C.のサウジ大使館やイスタンブールの総領事館はじめ、どのような接触を持っていたかという情報から、サウジ当局側の事件への関与の一部が明らかになる可能性があり、トルコの当局はその情報を解析し、証拠として維持することになろうとの見方を吐露している。

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【米国の対イラン金融制裁発動と脱ドル支配体制の動き】[2018年11月05日(Mon)]
本5日米国東部時間午前零時(日本時間午後2時)、米国はイラン核合意離脱に伴う対イラン制裁の第二弾再開に踏み切る。この制裁は、エネルギー、造船、海運、金融分野を対象とし、米国が指定するイランの金融機関との取引を行うあらゆる金融機関や企業にも制裁を課そうとするもので、イランの輸出収入の約8割を占めるといわれる石油収入を枯渇させようと試みるものである。イランが2015年7月に結んだイラン核合意(JCPOA)については、米国以外のすべての当事国が同合意を支持し、米国の一方的な制裁再開に懸念を表明している。ロシアのようにすでに欧米の制裁を受けている国は、懸念表明にとどまらず、自国の安全保障の観点から具体的に米国ドル支配体制と国際決済システム支配からの脱却の方策を模索し始めている。米国は、イラン原油輸入ゼロ政策を掲げ、中国、インド、トルコや韓国、日本等大口輸入国に禁輸を求めてきたが、主要8か国については、当面(180日間毎に見直し)、暫定輸入を認める方針を明らかにした。これはおそらく、輸入量第一位の中国、第二位のインド、ならびにイラン産原油が自国の国内総原油輸入の一位を占めるトルコが米国の方針に従わず、ドル決済によらない方式で、原油輸入を継続することが明らかになったため、日本や韓国、一部欧州諸国のみを犠牲にして、方針を貫くことを一時的に断念したものとみられる。ドルによらない自国通貨(ないし通貨のプール)による決済は、たとえば、インドによるロシア製対空防衛システムS-400の売却やいくつかの中東諸国におけるロシア製原発建設等で活用されることになるとみられ、世界中の金融機関に君臨するドル支配体制が一夜にして崩壊するわけではないが、中国、インド、ロシア、イラン等人口が大きな国々が軍需産業や大規模インフラ共同事業等で脱ドル化を進めていけば、それなりのインパクトをもち、米国のドル支配体制にくさびを打ち込むことになりかねない。この関連で、10月18日のバルダイ国際討論クラブでのプーチン・ロシア大統領の演説の中で関連部分が興味深いので以下主要点を紹介したい。
(バルダイ国際討論クラブでのプーチン大統領発言関連部分)
●米国人は、イランと協力しているすべての人に、いわゆる二次制裁という制裁を課そうとしている。米国市場で働いている企業は損失を被るべきなのであろうか?去っていく者もあれば、米国に縛られていない他の誰かがそこ(イラン)で働くことを喜ぶだろうが、決済方法は手配されなければならない。このため、現在の国際決済システムであるSWIFTの代替案が作成され、より多くの取引が国内通貨で完結されようとしている。
●途上国市場の変動性(ボラティリティ)、すなわち国内通貨の変動性は非常に高く、避けられないことは間違いない。それでも、この変動性を軽減することができる特定の手段が導入されようとしている。例えば、複数の国内通貨プールと共同銀行がBRICSの枠組みの中で創設されようとしている。そのような(決済)手段は作成過程にある。この銀行は将来性においてIMFと比較にならないのは事実であるが、少なくともこの点で何かが行われているといえる。
●実際、通貨のボラティリティは存在する。しかし、我々がこれに取り組んでいけば、まさに今もそれに取り組んでおり、保険のサポートやリスクをヘッジするための他の方法が見つかるであろう。それは本当である。詳細には触れないが、現在でもいくつかの国を扱う際に、これらのリスクを回避するための手段があることが判明した。特定の契約にそれらをリンクすることができる。必要があれば何でもすることができる。
●これは今日や明日には起きない。そして石油・ガス分野のエネルギー商品を取り扱う企業は、現時点でドル取引を放棄し、国内通貨のみに関心を持つわけではない。しかし、これらの手段、すなわち米ドルによらない、国内通貨による、変動性も解消する手段が創出された場合、そのシステムへの移行が保証されることになる。一旦これが起これば、決済の普遍的な単位としての米ドルにとって困難な時が訪れるであろう。
●展開をみてみよう。われわれはまさにこの方向に動いている。それは米ドルを弱体化させることを狙ったのではなく、我々自身の安全保障を保証したいからである。彼らは我々に制裁を課し、米ドルを活用する機会を与えてくれないからである。
(プーチン発言)http://en.kremlin.ru/events/president/transcripts/statements/58848

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【カショーギ殺害事件(エルドアン・トルコ大統領のワシントン・ポストへの投稿)】[2018年11月03日(Sat)]
11月2日、エルドアン・トルコ大統領は、サウジ人ジャーナリスト・カショーギ氏の殺害に関し、「サウジはいまだ多くの回答を必要とする問いを抱えている」と題して、カショーギ氏がコラムニストを務めていたワシントン・ポストに投稿したところ、主要点次のとおり。エルドアン大統領は、サルマン・サウジ国王が事件と無関係であると確信しつつ、殺害命令が、サウジ政府の「最高レベルから発せられた」ことを知っているとして、ムハンマド・ビン・サルマン(通称MbS)皇太子を名指しすることは避けつつ、同人の関与を強く示唆する異例の言及を行った。
●物語はあまりにもよく知られている:サウジ人のジャーナリストであるジャマール・カッショーギは、10月2日に結婚の手続きを整えるため、イスタンブールのサウジアラビア領事館に入った。 その後コンパウンドの外で待っていた彼の婚約者だけでなく、誰ひとり彼をもう一度見た者はいない。
●我々は、加害者がサウジで拘留された18人の容疑者の中にいることを知っている。 我々はまた彼らが、「カショーギを殺害して立ち去る」との命令を実行するために来たことを知っている。 最後に、我々はカショーギを殺害するための命令がサウジ政府の最高レベルから来たことを知っている。
●この「問題」が時間の経過とともに消滅することを願っている人もいる。 しかし、我々はトルコの犯罪捜査に不可欠であるだけでなく、カショーギの家族や愛する人たちのためにも質問を発し続ける。 彼の殺害の1ヶ月がたったが、我々はいまだ彼の遺体がどこであるか知らない。 少なくとも、彼はイスラムの習慣に沿った適切な埋葬に値する。 私たちは彼の家族や友人たちに、ワシントン・ポストの元同僚を含めて、彼らに彼へのお別れを伝え、この名誉ある男に敬意を表する機会を与えるべきである。 世界が同じ質問を発し続けることを確実にするために、米国を含む友人や同盟国と証拠を共有した。
●我々は引き続き回答を探しており、トルコとサウジが友好関係を享受していることを強調したい。 私は、二聖モスクの守護者であるサルマン国王が襲撃を命じたとは一瞬も信じていない。 したがって、私は彼の殺人がサウジの公式の政策を反映していると信ずる理由はない。 この意味で、カショーギ殺害を両国間の「問題」と見ることは間違いである。 それでも、リヤドとの友情は長い間続いているということをもって、我々の目の前で展開されていた計画的な殺人に目を背けるわけにはいかない。 カショーギ殺害は不可解である。 この残虐行為が米国や他の場所で起こった場合、その国の当局は何が起こったのかを知ろうとするであろう。 それ以外の方法で行動することは、ありえない。
●誰もそのような行為をNATO同盟国の土地の上で試みるべきではない。 誰かがその警告を無視することを選択した場合、重大な結果に直面するであろう。 カショーギの殺人事件は、ウィーン条約の明確な違反と露骨な乱用であった。 加害者を罰することができなければ、非常に危険な先例ができることになる。
●これは、サウジの特定の政府関係者が、我々の友情に必要とされるような正義の大義に資するのではなく、カショーギの計画された殺害を隠蔽しようとしていることに衝撃を受け、悲しんでいるもう一つの理由である。 サウジは容疑者18人を拘束したが、メディアに嘘をつき、トルコを逃れたサウジの総領事に対して何の措置も取られていないことについて深く懸念している。 同様に、サウジの検事総長(最近イスタンブールで彼のカウンターパートを訪問した人物)が捜査に協力せず、簡単な質問でさえ答えることを拒否したことは、非常に苛立たせるものである。事件についてのより詳細な協議のためとするサウジの検事総長によるトルコ側のサウジへの招待は、絶望的に練上げられた引き延ばし戦術のように感じられた。
●ウォーターゲートのスキャンダルが乱入事件以上の大掛かりなものであり、9/11のテロ攻撃が単なるハイジャック以上であるのと同様に、ジャマール・カショーギの殺人事件は、治安関係者の一団グループをはるかに超えた者たちの関与がある。 国際社会の責任あるメンバーとして、カショーギ殺害の背後で糸をひく者の正体を明らかにし、殺害を隠蔽しようとしているサウジ関係者が頼りにしている人物を見つけ出さねばならない。

Posted by 八木 at 15:41 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

【カショーギ殺害(トルコ・サウジ両国検事総長協議の結果)】[2018年11月01日(Thu)]
1.10月29日から3日間の訪問予定で、イスタンブール入りしていたサウード・アルモジブ・サウジ検事総長は、2度にわたるトルコ側検察当局との協議、総領事館現場視察、トルコの情報部MIT訪問を終え、10月31日帰国した。同検事総長の出発後、まもなく、トルコ側のイルファン・フィダン・イスタンブール検事総長は声明を発出し、次の2点を公に確認するとともに、「カショーギ氏の遺体の所在」と殺人事件の「地元の協力者」が誰かについて、さらにサウジ側が「暗殺計画段階について何らかの捜査結果を得ているかどうか」を書面で問い合わせたこと、犯行が行われたのはトルコ国内であり、18名の容疑者の裁判はトルコ側で行われるべきであるとの立場を改めて伝えたものの、具体的情報・回答は得られず、サウジ側からは、合同捜査のためイスタンブール検事総長はじめトルコ側捜査関係者のサウジ訪問の招待を受けたことを明らかにした。
(トルコ側イスタンブール検事総長が今回確認した点)
(1)被害者ジャマール・カショーギは、2018年10月2日に結婚手続きのためにサウジアラビア領事館に入った直後に、計画的に絞殺された。
(2) カショーギの遺体は計画的な方法で解体されて処分された。
2.以上のとおり、カショーギ氏殺害の捜査はサウジとトルコの腹の探り合いにより、両国検事総長間協議では、具体的進展がなかったが、米国のサウジへの1100億ドルにおよぶ武器売却取引と売却した武器がイエメン内戦でサウジ軍により使用され、市民にも被害をもたらすとの懸念から、これまで、イエメン内戦の終結に向けて積極的イニシアティブが示されてこなかったトランプ政権の重要閣僚2名から、イエメンでの停戦、政治協議再開に向けた極めて強いメッセージが発出された。30日マティス国防長官は、ワシントンD.C.の会合で演説し、長らく泥沼状態にあったイエメンの停戦を実現させるため、すべての関係当事者が国連特使の下、スウェーデンに集まり、30日以内に結果を出す必要があると強調した。米国務省もこれに呼応してポンペイオ国務長官がイエメンにおける敵対行為の停止と国連特使の下での政治的協議の再開を呼びかけ、11月中に第三国で開始するよう関係当事者に要請した(下記URLの国務長官声明参照)。https://www.state.gov/secretary/remarks/2018/10/287018.htm
カショーギ氏殺害事件を契機に、米国のみならず、英、仏、独、スペイン、カナダでもサウジへの武器売却の是非を問う議論が沸き上がっており、この関連で、2015年3月のサウジ主導のアラブ連合軍のイエメンへの軍事介入開始以来、解決の兆しが全く見えないイエメン内戦の停戦と政治協議の再開により、米国政府は、「死の商人」として武器売却に奔走しているわけではなく、国際平和のために尽力しているとの姿勢をアピールするとともに、イエメン和平の推進により、カショーギ氏殺害事件への関与が疑われているムハンマド・ビン・サルマン(MbS)皇太子への国際的な信頼回復を後押ししようとの狙いも看取される。

Posted by 八木 at 11:22 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)