そのエルドアン大統領が最も警戒しているのが、2016年7月にクーデター未遂事件を起こしたとされるギュレン派の支持者と、トルコがテロ組織と分類するクルド労働者党(PKK)支持者の動向です。もちろん、ギュレン派として立候補している候補者も、PKK代表として立候補している候補者もいないので、直接的な支持者の割合は不明ですが、前者については、少なくともAKPを含む与党連合には投票せず、共和人民党(CHP)や国民連合を組む優良党(IYI)ほかに流れるとみるのが自然で、後者については、クルド系の人民民主主義党(HDP)支持者の層の大きさをみることで、PKKに心情的に近い人々がどの程度いるのかを推測することができます。
この選挙結果の詳細は、アナドール通信のウェブサイトから閲覧することができます。議会選挙の在外投票で、HDPの得票率が他の政党との比較で最も高かった国は、英国(49.21%)、フィンランド(48.05%)、イラク(47.89%)、日本(44.29%)、スイス(40.78%)、スウェーデン(37.1%)、ウクライナ(29.52%)の7か国でした。投票数で言えば、独の母数が一番大きく、65万票のうち9万6千票がHDP支持、次に仏で15万9千票のうち、約3.9万票がHDP支持。3番目に英国で、2万5百票がHDP支持でした。因みに日本は母数が小さいため、HDP支持票は7百票強でした。大統領選挙をみると、HDPの元共同代表で、トルコの刑務所に収監中でありながら立候補したデミルタシュ候補が1位を取った国は、日本とイラクだけでした。イラクは、投票率が10%強で、投票者数も3百数十なので、インパクトは小さいですが、極東の国で、トルコ政府とも良好な関係にある日本は、なぜかクルド系の支持率が世界の中でもひときわ目立っているといえます。因みに、法務省の在留外国人統計で、2017年6月1日現在のトルコ人の在留者数は、5167名でした。
Posted by 八木 at 15:34 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)