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イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。
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社会デザイン学会で承認された中東イスラム世界社会統合研究会が運営する団体ブログです。
中東イスラム世界社会統合研究会公式サイト http://meis.or.jp
社会デザイン学会研究会案内 http://www.socialdesign-academy.org/study/study_application.htm
日本とイスラム世界とのネットワーク強化を目的として、以下の項目で記事を発信していきたいと考えています。
日本とイスラム世界との出会い:日本人や日本がどのようなきっかけでイスラム世界への扉を開いていったかを紹介します。
イスラム世界で今注目されている人物:イスラム教徒であるか否かを問わず、イスラム世界で注目されている人物を紹介していきます。
イスラムへの偏見をなくすための特色のある活動:イスラムフォビア(Islamophobia)と呼ばれるイスラム教への偏見、イスラム教徒排斥、イスラム教徒警戒の動きが非イスラム世界で高まっています。これらの偏見や排斥をなくすための世界の各地で行われている特色のある活動を紹介していきます。
中東イスラム世界に関心を抱くあなたへの助言:さまざまな分野で中東・イスラム世界に関心を抱き、これから現実に接点を持っていこうと考えておられるあなたへのアドバイスを掲載します。

情報共有:当研究会のテーマに関連したイベント、活動、寄稿などの情報を提供しています。

新着情報:中東イスラム世界社会統合研究会公式サイトの「中東イスラム世界への扉」に、現地駐在の本田圭さんから投稿のあった2020年11月の「UAE、ある日の砂漠」と題する紀行文を掲載しました。UAEの砂漠がとても魅力的なので、ぜひ一度アクセスしてみてください。
http://meis.or.jp/products/door2me/OnceUponATimeInUAEDesert01.php




3月23日は、イスラエルで過去2年間4度目となるイスラエル総選挙[2021年03月23日(Tue)]
本3月23日はイスラエルで全国区の比例代表制によりイスラエルの国会であるクネセト議員の議席(定数120)を争う総選挙が実施される。イスラエルでは2019年4月と9月に総選挙が実施されたが連立工作に失敗し、その後、2020年3月の総選挙後、リクードとガンツ代表が率いる「青と白」の大連立でネタニヤフ氏が率いる政権が発足した。しかし、政権は、予算案を巡る対立で昨年12月にクネセトを解散した。過去2年間で4度目の総選挙となる。イスラエルの総選挙は、1948年の建国以来、単独過半数を獲得した政党はない。
ネタニヤフ首相の続投が焦点で、リクードを率いるネタニヤフ首相は、(1)新型コロナワクチンの人口当たり接種率世界最速と国民の生活を正常化させるグリーン・パスの発行、(2)2020年後半のアラブ諸国4か国との国交正常化、の実績を掲げ、総選挙に臨む。追い風の一方で、昨年リクードを離党したサール元内相の右派新党「新たな希望」立ち上げで、保守分裂が起きており、さらに、自らが抱える汚職疑惑も懸念材料である。検察は収賄、詐欺、背任の罪で2019年にネタニヤフ首相を起訴し、2020年に初公判が開かれている。
1.新型コロナ・ウイルスへの対応
(1)イスラエルは世界最速のワクチン接種実施国
●国・地域別の人口100人あたり累計接種回数(3月22日更新)
第一位 イスラエル107.0回
第二位 UAE73.5回
第三位 英国44.7回
第四位 チリ44.7回
第五位 米国37.5回
(2)国民生活正常化への取り組み
●保健省によるグリーンパス等の発行
@ワクチン接種証明書:予防接種証明書は、2回目の接種を受けたことを確認する公式文書。 2回目のワクチン接種を受けた場合は、証明書を申請することができる。 2回目の接種後1週間後から6ヶ月間有効。
Aグリーン・パス:グリーンパスは、2回目のワクチン接種またはコロナからの回復を確認する公式文書。 回復証明書または予防接種証明書の資格がある場合は、グリーンパスを申請できる。 ワクチン接種を受けた個人のパスは6か月間有効。 回復証明書所持者は、2021年6月30日まで有効
・ジムとスタジオ
・プール
・レストランやカフェ
・ホテル
・スタジアム、ピッチ、スポーツイベント、会場
・劇場、映画館、文化施設
・文化行事
・展示会(美術館以外)
・イベントガーデン
・アトラクション
・男性のためのミクヴェ(ユダヤ教において、水槽に浸る行為)

Bコロナ回復証明書:回復証明書は、COVID-19ウイルス感染がなくなったことを確認する公式文書。 この証明書は、回復したコロナ・ウイルス患者であったすべての人に与えられ、2021年6月30日まで有効。
https://corona.health.gov.il/en/green-pass/

2.2020年後半のアラブ諸国4か国との国交正常化
●イスラエルは、1979年のエジプト、1994年のヨルダン後ながらく、アラブ諸国との関係正常化は実現しなかったが、トランプ政権の働きかけもあり、2020年以下の4か国が新たにイスラエルとの国交正常化に踏み切った。今回の総選挙直前にネタニヤフ首相は、UAEに乗り込んで、国交正常化を実現した取り組みを国民にアピールしようとしたが、ヨルダンが特別機の領空通過を認めなかったことを理由として、選挙前の訪問を断念した。
2020年8月13日 UAEがイスラエルとの国交正常化発表
2020年9月11日 バーレーンがイスラエルとの国交正常化発表
2020年9月15日 ホワイトハウスで、UAE、バーレーン、イスラエル、米国間の「アブラハム宣言」に署名
2020年10月23日 スーダンがイスラエルとの国交正常化発表
2020年12月10日 モロッコがイスラエルとの国交正常化発表

Posted by 八木 at 11:11 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

ローマ教皇の古代都市ウル訪問の意味[2021年03月10日(Wed)]
3月6日、イラクを訪問中であったフランシスコ・ローマ教皇は、預言者アブラハム生誕の地であると信じられている古代イラクの都市にある巨大なシュメール神殿があるウルのジグラット(神殿)で異なる宗教間の融和行事に臨んだ。MEEがウル訪問の見ごたえのある写真を公開しているので、URLを紹介する。
https://www.middleeasteye.net/news/pope-francis-visit-ur
(MEEの関連記事)
●教皇のウルでの行事は、世界が注目する中、ウルの考古学的な価値を浮き彫りにし、歴史的な教皇の訪問の中で最も重要な瞬間の1つとなるように設定されていた。
●ウルはイラク南部のジーカール県にあり、県都ナシリヤから17kmの場所にある。エリドゥ、ギルス、ラガシュと並んで、この県にある4つの古代シュメールの都市の1つである。ウルはシュメール人の首都であり、彼らが灌漑システムを開発し、洗練された農業手法を実践し、メソポタミア周辺の都市と広範囲に交易した場所であった。
●かつて楕円形だったこの街は、紀元前3800年にまでさかのぼると考えられており、最初は1千年以上後にテキストで記録された。もともと、ウルはイラク南部のユーフラテス川の河口の位置にあった。しかし、何世紀にもわたって地形は大きく変化し、現在は川の南岸から離れた内陸に位置している。
●19世紀になると、欧州の考古学者は、聖書や他の古代のテキストで言及されているように、テルアルムカイヤルの遺跡をウルの街と結び付け始めた。英国の副領事であるジョン・ジョージ・テイラーは、1853年に大英博物館に代わってジッグラト神殿の発掘を始めた。1922年、英国の考古学者であるレオナード・ウーリー卿が最も大規模な発掘調査を行い、10年間に泥レンガで造られた16の王墓を発見した。
●ジッグラトは、泥レンガの3層の固い塊と、瀝青にセットされた焦げたレンガの表層で構成されている。 下の層は元の構造の一部であり、上の2つの層は紀元前6世紀の新バビロニアの修復物の一部である。
●寺院は、ウルの守護神である月の神ナンナールに捧げられている。その表層と記念碑的な階段は、1980年代にサダムフセインの下で復元された。
●聖書では、ウルという名前の都市は、紀元前2千年紀に住んでいたと考えられているユダヤ人、キリスト教徒、イスラム教徒の信仰の総主教であるアブラハム(アラビア語でイブラヒーム)生誕の地であると言われている。
●20世紀初頭の発掘調査中に、ウーリー卿は、アブラハムという名前の付いたジッグラトに隣接する複合構造物で円筒形のシールを発見した。紀元前1900年頃に建てられたこの複合構造物は、アブラハムの家であると彼は信じるようになった。
●ナシリヤ文明博物館の館長であるアメル・アブドルラザックは、ウルがアブラハムの生誕の地である限り、それは世界中のすべての人々、すべての宗教にとって重要な場所である。この場所を訪れることは、キリスト教の巡礼者にとって非常に重要である。何年もの間、エルサレムの聖墳墓教会とウルとの間に巡礼路を設けるための計画が滞っていた、と語った。
●何年にもわたる内政不安により、イラクのキリスト教徒の人口は大幅に減少した。 2003年時点では、イラクの4,000万人のうち150万人がキリスト教徒であった。今日、キリスト教徒の人口は約150,000〜400,000人とみられている。バスラのカルデア教会の大司教であるハビブ・ホルムズは、教皇フランシスコの訪問がキリスト教徒の帰国を促すことを望んでいると述べたが、彼らの帰還を促すには、さらに多くのことを行う必要があるとして、教皇の訪問後も、治安、良好なインフラ、法執行、正義、人権の尊重の進展が見られない限り、キリスト教徒が帰国するかどうかはわからない、と語った。
https://almasalah.com/ar/news/61378/%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%B3%D9%84%D8%A9-%D9%81%D9%8A-%D8%A8%D9%8A%D8%AA-%D8%A7%D9%84%D9%86%D8%A8%D9%8A-%D8%A5%D8%A8%D8%B1%D8%A7%D9%87%D9%8A%D9%85-%D9%85%D9%86-%D9%87%D9%86%D8%A7-%D8%A8%D8%AF%D8%A3-%D8%AA%D8%A3%D8%B1%D9%8A%D8%AE-%D8%A7%D9%84%D8%AA%D9%88%D8%AD%D9%8A%D8%AF

(コメント)昨年9月15日、ワシントンD.C.のホワイトハウスで、トランプ大統領がネタニヤフ・イスラエル首相とアブドッラーUAE外相、ザヤニ・バーレーン外相と署名した関係正常化のための宣言文書は、「アブラハム合意」宣言と呼ばれている。アブラハムは、一神教の父と呼ばれ、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒すべてに共通する預言者である。預言者とは、神の言葉を預かられた人という意味で、イスラム教の聖地メッカのグランドモスク内のカーバ神殿の前にもイブラヒーム(アブラハムをアラビア語で表記するとイブラヒームとなる)の足跡があるモニュメント(マカーム・イブラヒーム)が祀られている。ユダヤ教徒は、アブラハムが、神から現在のイスラエルに位置するカナンの地を与えられたと信じている。
https://vid.alarabiya.net/images/2017/01/23/ef2ee2e1-7b15-4dd9-bbfe-127654dc6453/ef2ee2e1-7b15-4dd9-bbfe-127654dc6453.jpg
https://english.alarabiya.net/features/2017/01/23/The-story-behind-Abraham-s-shrine-at-the-Kaaba

Posted by 八木 at 11:07 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

韓国・イランは凍結イラン資産の一部を新型コロナ・ワクチン供給による返済で合意[2021年03月09日(Tue)]
KBSならびにイラン国営通信などによると、韓国は、トランプ政権下で、凍結させていたイラン資産の一部を、自国内で製造しているアストラゼネカ・ワクチンのイランへの供給を通じて返済することで合意した模様。韓国は、イラン産原油の主要輸入国の一つであったが、トランプ政権が宣言した2019年5月以降のイラン産原油輸入による第三国への金融制裁を回避するため、イランに支払うべき代金70億ドル分を韓国の銀行内に凍結していた。トランプ政権下でも、医薬品や人道的物資のイランへの輸出は、禁止されてはいなかったが、事実上、貿易停止状態に置かれていた。韓国側は、事前に米政府に連絡をとり、凍結イラン資産の一部解除につき、米国の了承を得ていた趣き。本年1月、韓国のケミカル・タンカーが、イランのIRGCに拿捕(下記URL参照)され、船員の一部は解放されたが、船と船長は解放されておらず、イラン韓国間の外交問題に発展していた。同問題の解決に向けても、良い影響が期待される。
https://blog.canpan.info/meis/monthly/202101/1
(参考1)イランは韓国からアストロゼネカ・ワクチン調達
イランは韓国で製造されるアストラゼネカ(AstraZenaca)ワクチンを300万回分以上輸入する予定である。
3月8日のイラン国営通信社IRNAによると、イランの保健省は、世界保健機関が支援する世界的なワクチン供給プロジェクトCOVAXファシリティを通じて、今年韓国からアストラゼネカのワクチンを310万回分輸入すると発表した。先月、同省は、イランが今年、COVAXファシリティを通じてアストラゼネカ・ワクチンを420万回分を輸入すると発表していた。
アストラゼネカとオックスフォード大学が共同で開発したワクチンは、韓国のSKBioscienceを含む世界中の12のサイトで製造されている。
イラン保健省は、韓国の食品医薬品安全省がアストラゼネカ・ワクチンの安全性を検証したと述べた。 先月、イラン保健省は韓国が製造したワクチンの使用について緊急許可を与えた。
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=e&Seq_Code=160020

(参考2)韓国の銀行に凍結されていたイラン資産解放の動き
イラン中央銀行によると、韓国のイランに対する債務総額は70億ドル。トランプ(前)大統領が包括的共同行動計画(JCPOA)から撤退した後、2018年以降、米国がイランに制裁を課した後、韓国はソウルの銀行とともに70億ドルのイラン資産を凍結した。
イランは、米国との交渉を行うことなく、食品や医薬品を含む制裁下にない商品をバーター(物々交換)メカニズムを利用することができる。
イラン保健省は韓国にCOVID-19のワクチンを含む医薬品のリストを提示示、リストは韓国が債務を支払うために使用できると付け加えた。
韓国外交部は、資金の一部を解放することでワシントンと合意に達したと発表していた。韓国の外交部とイラン中央銀行の当局者は、米国財務省の承認後、金額とその送金メカニズムに関する合意を発表した。
ヘマティ・イラン中央銀行総裁によると、合意に基づいて、最初に10億ドルが解放され、その一部は、イランの延滞金1,600万ドルを手当てするために国連に支払われることになる。
さらに、イランと韓国は、トランプ政権の承認を受けて2020年2月に設立されたスイス人道貿易協定(SHTA)が提供するチャネルを通じて、さらに多くの資金を移転することに合意した。
https://en.irna.ir/news/84244993/South-Korea-to-pay-Iran-s-frozen-funds-based-on-requested-items

Posted by 八木 at 10:51 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

スイスで「ブルカ禁止」国民投票案が僅差で可決 [2021年03月08日(Mon)]
3月7日、スイスで実施された国民投票で、公共の場で顔を覆い隠す服装を禁止する案が賛成51.2%、反対48.8%の僅差で可決された。表面上は、ムスリム女性の衣装を特定していないものの、禁止対象にはムスリム女性が顔全体を覆うブルカや顔を覆い目だけを出すニカーブなどが含まれる。

有権者のうち、1,426,992人が禁止に賛成し、1,359,621人が反対するという僅差の投票結果であった。スイス政府は、案に反対するとの立場を表明していた。

イスラム教中央委員会は、今日の決定は古傷に触れ、法的不平等の原則をさらに拡大し、少数派のイスラム教徒を排除するという明確なシグナルを送るものだ」と、声明で述べた。

この案は右派のスイス国民党(SVP)が提案したもので、同党は「過激主義を止めろ」と主張するスローガンを含むポスターを掲げていたが、イスラム教徒と過激主義を結びつけていたのは明らかであった。
https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/1546C/production/_117484178_066080821.jpg
この案は、レストラン、スポーツスタジアム、公共交通機関、または通りを歩く際など公共の場所で顔を覆うことを禁止することを規定している。一方、宗教的な場所や、COVID-19から保護するために人々が現在着用しているフェイスマスクや、伝統的なカーニバルのお祝いなど、セキュリティや健康上の理由から、例外が予想されている。当局は実施細目の法律を作成するまで2年の猶予がある。

ルツェルン大学の推定によると、スイスでは実際にブルカ(顔も覆う全身ベール)を着用している人はおらず、ニカーブを着用しているのは約30人の女性だけであるとのこと。 ムスリムは、860万人のスイスの人口の5%を占めており、そのほとんどはトルコ、ボスニア、ヘルツェゴビナ、コソボにルーツがある。

仏は2011年にフルフェイスのベールの着用を禁止し、デンマーク、オーストリア、オランダ、ブルガリアではフェイスカバーの着用を全面的または部分的に禁止している。
https://www.aljazeera.com/news/2021/3/7/swiss-look-set-to-approve-ban-on-facial-coverings
(参考)BBCは、ムスリム女性が着用する様々なべールは、@ブルカ(体や顔を完全に覆うタイプ。目元はメッシュカバーで覆われている)、Aニカーブ(顔を覆うタイプ。目元は見える)、Bヒジャーブ(頭と首を覆うスカーフ)、Cヒマール(髪の毛、首、肩を覆うケープ型のもの)、Dアル・アミラ(ツーピースのヘッドスカーフ)、Eシャイラ(頭に巻く長いスカーフ)、Fチャドル(全身を覆うマント型のもの)を紹介している。日本語版記事の図を参照
https://www.bbc.com/japanese/56316923

Posted by 八木 at 15:36 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

メッカ巡礼者に適用される見通しが高まるコロナ・パスポート[2021年03月08日(Mon)]
サウジアラビアのタウフィーク・アル・ラビーエ(Tawfiq al-Rabiah)保健相は、本年7月に予定されるイスラム教徒にとっての5日間の行である大巡礼(ハッジ)に参加するすべての巡礼者にはCovid-19に対する「強制的予防接種」が必要であると述べた。サウジアラビアは、王国外からの巡礼者がメッカ巡礼を行うことを許可されるかどうかを明確にしなかったが、ワクチン接種が参加の「主な条件」になると述べた。サウジでは、昨年7月の宗教的義務である大巡礼の参加者をサウジ王国内の1000名に限って実施していた(参考1)。昨年10月には、宗教的義務ではない小巡礼(ウムラ)が再開された(参考2)。人口比でワクチン接種が世界で最も進んでいるイスラエルでは、すでに公共の施設入場の際に、コロナ・グリーンパス(ワクチン接種証明書)の提示が求められており(参考3)、新型コロナ・ワクチン接種の有無が、人々の旅行、行動に今後大きく影響する可能性が広がっている(但し、イスラエルはグリーン・パス所有者の海外旅行を推進しようとしているが、ジェルサレム・ポストは、グリーン・パスを有するイスラエル人旅行者を認めている国は、3月7日時点では、ジョージアだけであると報じている)。
(MEEオンライン)https://www.middleeasteye.net/news/hajj-saudi-arabia-covid-vaccine-pilgrims-must
(JPオンライン)https://www.jpost.com/israel-news/coronavirus-georgia-only-country-to-recognize-green-passports-report-661180
(参考1)2020年のハッジの模様(AFPを引用したMEE記事。記事掲載の写真に注目
@ ハッジ(大巡礼)は毎年5日間の巡礼であり、通常、何百万人(注:2年前は外国人巡礼者約250万人)ものイスラム教徒が世界中からサウジアラビアの聖地メッカに旅行する。今年(2020年)は、コロナウイルス(AFP)の蔓延を防ぐため、巡礼者の数を1,000人に制限した。

A ハッジはイスラム教徒にとっての義務である5行の1つ。身体的および経済的に能力のあるイスラム教徒は、生涯に少なくとも1回はそれを実行しなければならない。サウジアラビアは今年の巡礼者(1000人のうちから)、巡礼者の3分の2は王国の外国人居住者、3分の1は王国の治安および医療スタッフから選んだ。

B 巡礼への参加者は、オンラインポータルを介して選ばれ、20〜50歳である必要があった。免疫不全、末期疾患、またはコロナウイルス症状を示す人は誰でも参加を禁じられた。

C ハッジの最初の儀式の間に、イスラム教徒は神への祈りを暗唱しながらカーバ神殿を反時計回りに7回周回する。イスラム教徒は、世界中のどこにいても、毎日5回の祈りを捧げるときにマスジド・ハラームとして知られるメッカのグランド・モスクに位置するカーバ神殿の方向を向いている。社会的距離を維持するために、巡礼者は地上の指定された線を使用してカーバ神殿を周行するように求められた。

D 巡礼者には、メッカ巡礼中に着用するための独自の祈りの敷物と特別な服装も与えられた。サウジアラビアは、巡礼者にバクテリアを殺し、衣服を耐水性にするのを助けるために銀ナノテクノロジーを組み合わせた服装を与えた。

E 巡礼は通常、世界中から少なくとも250万人を引き付ける。

F 巡礼者はペットボトルに詰められた聖なるザムザムの水のみを飲むことができ、通常メッカ巡礼のルートで拾われる小石は事前に滅菌され、袋に入れられる。ハッジの儀式の一環として、アブラハムがサタンを拒絶したことにちなんで、メッカの東にあるミナの3本の柱に向けて小石が投げつけられる。)

G 巡礼者が安全な距離にとどまるのを助けるために、社会的距離のステッカーもメッカのグランド・モスクのさまざまな部分に貼られている。

H サウジ・メディア省からの配布資料の写真は、巡礼者が他の巡礼者からそれらを分離する色付きのリングに沿って色付きの傘を持っていることを示している。

➉メッカのグランド・モスクは3月から閉鎖されていた。清掃チームは、グランド・モスクのタワーフエリア(巡礼者がカーバ神殿を一周する場所)を定期的に消毒する。
https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-hajj-2020-saudi-arabia-muslim-pilgrims-mecca

(参考2)ウムラ解禁
2020年10月、サウジアラビア当局はコロナウイルスの制限を緩和し、何千人もの巡礼者がメッカのグランド・モスクに立ち入り、7か月ぶりに一年中行うことができるより小巡礼と呼ばれるウムラを行うことを許可した。
巡礼者はメッカとメディナの都市を訪問することを許可されたが、コロナウイルスの拡散を防ぐためにさまざまな制限が設けられていた。医療従事者はグループに同行し、緊急時には医療チームが立ち会いことになった。その他、巡礼者がカーバ神殿(注:神殿の一角に黒石があり、巡礼者はそれに接吻するのが常になっていた)に触れることを禁止することが含まれる。

(参考3)イスラエルのコロナ・グリーンパス(NHK報道骨子)
@イスラエルでは、去年12月中旬から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、世界でも速いペースで接種が進んでいる。イスラエルは、接種を2回受けてから1週間以上経過したことを示す証明書「グリーン・パス」を発行した。
A「グリーン・パス」は、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたことを示すイスラエルが発行する証明書で、2月21日からワクチン接種を2回受けた人なら誰でも証明書を受け取ることができる。イスラエルでは、政府の公式ウェブサイトで自身のIDカードの番号や電話番号を入力することで発行されるほか、政府が開発したスマートフォンの専用アプリでも表示できるようになる予定。
Bインターネットを使わないユダヤ教の教えを厳格に守る「超正統派」と呼ばれる人たちや高齢者は、公的な保険機関の窓口などで受け取ることができる。
Cグリーン・パスはスポーツジムやプール、それにイベント会場などで提示が義務づけられていて、利用にあたっては施設側が専用のアプリで利用者のグリーン・パスに掲載されているQRコードを読み込むと、ワクチンの接種時期などについて確認できるようになっている。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210224/k10012882101000.html

Posted by 八木 at 10:22 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イラク訪問中のローマ教皇とシーア派最高権威であるシスターニ師との会見[2021年03月07日(Sun)]
3月6日、前日から歴代教皇としては初めてイラクを訪問中のローマ教皇フランシスコは、イラク・シーア派の聖地であるナジャフでイラク・シーア派最高の権威である大アヤトラ・アリー・シスターニ師との間で50分間に及ぶ「歴史的な」会見を行った。そこでは、両者は宗教的寛容へのコミットメントを強調した。
(参考)ナジャフとは:イスラム教4代目正統カリフでシーア派初代イマームである預言者ムハンマドの甥で娘婿であるアリーの廟があり、シスターニ師の本拠でもある。
●シスターニ師が外国要人と会見することはめったにないが、宗教間対話の率直な支持者であるフランシスコ教皇の会見を受け入れた。シスターニ師との会見実現には、半年間の調整を要したとされる。
●宗教間対話の強力な支持者である教皇フランシスコは、バングラデシュ、モロッコ、トルコ、アラブ首長国連邦など、イスラム教徒が多数を占めるいくつかの国でスンニー派の聖職者トップと会見してきたが、世界で2億人を占めるシーア派(イスラム世界内では少数派ながら、イラクでは過半数を占めている)宗教指導者トップと会見するのは初めて
●シスターニ師は5歳で宗教学を始め、1990年代にシーア派の聖職者の仲間入りをしてシーア派最高権威である大アヤトラに登りつめた。サッダーム・フセインが政権を握っている間、彼は何年も自宅軟禁で苦しめられたが、2003年のサッダーム政権崩壊後、イラク・シーア派に最も影響力を有する宗教指導者として、公的役割を担い、2014年6月のISISのカリフ国宣言に対しては、ISISを打倒し、イラクを過激派の支配から救うために公式動員勢力(PMF、PMU、ハッシュド・シャアビィともいう)立ち上げを呼びかけた
(ローマ教皇のイラク訪問マップ)https://www.aljazeera.com/wp-content/uploads/2021/03/INTERACTIVE-POPE-VISIT-TO-IRAQ2_1-x-1-with-photos.jpg?w=770&resize=770%2C770
(関連記事)https://www.middleeasteye.net/news/pope-francis-meets-iraqs-top-cleric-ali-sistani-historic-meeting
(参考)ローマ教皇とイスラム世界とのこれまでの接触
1.ローマ教皇とイスラム世界との接触を振り返りたい。パウロ6世は1964年に最初の聖地巡礼を行い、ヨハネ・パウロ2世は2001年にモスクに足を踏み入れた最初の教皇であった。フランシスコ教皇は、在任開始後トルコからパレスチナ、エジプト、ヨルダン、バングラデシュ、中央アフリカ共和国やアラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、現場のモスクでイスラムの指導者と共に祈り、二つの信仰の崇拝者たちの間の寛容と平和を呼びかけてきた
2.2019年2月3日夜、ローマ・カトリック教会の第266代教皇であるフランシスコ教皇は、就任後初めてアラビア半島に足を踏み入れ、UAEを訪問した。空港では、UAEの実質的な最高指導者であるシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン(通称MBZ)アブダビ皇太子兼UAE国軍副司令官(注:UAEのトップ兼国軍最高司令官はハリーファ大統領であるが、行政の執行は弟のMBZに委ねている)による出迎えを受けた。教皇は3日間のUAE滞在中、アブダビのザーイド・スポーツシティ・スタジアムで約13万5千人の信者を対象にミサを行い、2月3日から2日間の日程で、2019年を「寛容の年」として宣言したUAEのアブダビにおいて開催されている「人類の友愛に関する世界会合」に出席した。同会合出席の機会に、フランシスコ教皇は、イスラム世界での最高の宗教的権威のひとつであるエジプトのアズハル機構を代表するシェイク・アハメド・アル・タイイブ・グランド・イマームとも会合した。
3. 湾岸諸国が、宗教対話を主導するのは今回が初めてではない。2007年11月には、アブドッラー・サウジ国王がバチカンを訪問し、ローマ教皇と対話した。翌2008年6月、アブドッラー国王は、メッカにおいて、イランのラフサンジャニ元大統領をはじめとするシーア派代表も招き、イスラム対話を実施。その成果を踏まえ、7月には、イスラム、キリスト、ユダヤ教の融和を目的とする世界宗教対話会合をマドリッドで開催した。それは、同年11月の国連における世界信仰対話会合の開催に結びついた。日本も河野洋平外務大臣のイニシアティブの下、外務省が2002年に「イスラム世界との文明対話」との称する対話を開始し、板垣雄三東大名誉教授らが中心となり計8回対話会合を実施した。文明間対話サウジ会合では、対話出席者へのアブドッラー国王による接見が実現した。
4.ここ数年間は、イスラム世界との間で、スンニー派の代表格であるサウジとシーア派世界を代表するイランとの確執が目立っているが、アブドッラー国王時代は、イランとの間で様々な問題を抱えつつ、イランとの間でも必要以上に関係が悪化しないよう努めてきたことが伺われる。今回のフランシスコ教皇のイラク訪問が、異なる宗教間、民族間の融和を促し、緊張と対立を緩和させるきっかけとなることが期待される。

Posted by 八木 at 10:42 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

ジャマール・カショギ氏殺害に関する米国国家情報局要約版報告書公開[2021年02月27日(Sat)]
2月26日、米国国家情報局(ODNI)は、2018年10月2日にトルコのサウジ領事館内で殺害された、ワシントンポストのコラムニストで著名なサウジ人ジャーナリストであったジャマール・カショギ氏をサウジアラビア皇太子ムハンマド・ビン・サルマン(MBS)が、同人を「捕捉するか殺害する」ことを目的としたトルコのイスタンブールにおける作戦を承諾していたと分析評価した報告書の4頁の要約版を公開した。
(主要点)
• カショギ殺害の時点で、皇太子は、側近たちが託された職務を果たすことに失敗した場合、解雇されるか、逮捕されるかもしれないとの恐怖を利用したものとみられる。これは、側近たちが、MBSの命令に逆らったり、彼の了承なしに機微な行動をとることは出来そうにもないことを示している。
• 2018年10月2日、15名で構成されるサウジのチームは、イスタンブールに到着した。チームには、王宮のサウジ調査・メディア問題センター(CSMARC)で勤務し、あるいは関連する役人が含まれていた。作戦時、CSMARCは、MBSの身近な側近であったサウード・カハタニが長を務めていた。カハタニ氏は、2018年央時点で、皇太子の承諾がなければ、決定を下すことができないと公に述べていた
• チームには、サウジ王宮府護衛隊の一部である急速介入部隊(RIF)として知られるMBSのエリート護衛部隊メンバー7名が含まれていた。この部隊は、MBSのみに従い、王国内外での反逆者を抑圧するための早くからの作戦に、皇太子の指示で直接関与していた。我々は、RIFのメンバーは、MBSの承諾なしにはカショギ作戦に参加できなかったと判断する。
皇太子は、カショギを王国への脅威とみなした。彼を黙らせるために必要であれば、暴力的な手法をとることを広く支持した。サウジの役人たちがカショギに対する作戦を事前に練っていたものとみられるものの、どれくらい前から彼らが彼を傷つけようとしていたのかはわからない。
• 我々は、以下の人物が、MBSに代わってカショギ殺害に関与し、命令され、責任を有することに高い確信を有している。我々は、これらの人物が作戦がカショギの死に至ることを事前に承知していたのかについてはわからない。
@ サウード・カハタニ(元王宮府顧問)
A マーヘル・ムトリブ(チーム代表格。カショギと在英大使館同僚)
B ナーイフ・アルアリーフィ
C ムハンマド・アルザハラーニ
D バドル・アルウタイバ
E アブドルアジーズ・アルハウサーウィ
F ワリード・アブドッラー・アルシヒリー
G ハーリド・アルオタイバ
H サアル・アルハラビィ
I ファハド・シハーブ・アルバラウィ
J メシュアル・アルブスターニ
K トルキー・アルシヒリー
L ムスタファ・アルマダニー(殺害当日カショギに変装)
M サイフ・サアド・アルカハタニ
N アフマド・ザイド・アッシーリ(元情報部副長官)
O サラーハ・アルトゥバィギ(法医学者)
P ムハンマド・アルオタイバ

(コメント)ヘインズ国家情報長官は、上院のヒアリングで、2019年に議会で可決された法律を遵守し、カショギ殺害に関する報告書を公開することを約束していた。報告書は、サウジ王室と緊密な関係を共有し、サウジを米国の対中東戦略の中心に据えたトランプ政権によって、1年以上にわたって公の場から遮断されていた。2月25日、バイデン大統領はMBSの父親サルマン国王と電話会談して、報告書を公表する旨通報した。サウジ外務省は報告書の内容を虚偽であり、その評価を完全に拒否するとしたうえで、王国は、その指導者、主権、および司法制度の独立性を侵害するいかなる措置も拒否する、と補足した。ブリンケン国務長官は、この報告書の評価にもかかわらず、MBS皇太子自身に対しては、制裁を科さないことを明言した。一方、アッシーリ元情報部副長官と「タイガー部隊」として知られる組織としてのRIFが財務省の制裁リストに追加された。
https://www.axios.com/khashoggi-report-365166be-7092-483c-b739-411193a91d2a.html
国家情報局https://www.dni.gov/files/ODNI/documents/assessments/Assessment-Saudi-Gov-Role-in-JK-Death-20210226v2.pdf
https://www.middleeasteye.net/news/khashoggi-murder-advocates-decry-us-failure-impose-sanctions-mbs
https://home.treasury.gov/policy-issues/financial-sanctions/recent-actions/20210226

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サウジの女性活動家ルジャイン・アルハスルールの解放確認[2021年02月11日(Thu)]
2月11日、サウジ人の女性活動家ルジャイン・アルハスルールが1001日ぶりにサウジの刑務所から釈放され、自宅に帰還したことが確認された。2020年12月28日、リヤドの特別刑事裁判所は彼女に有罪判決を下し、刑期の半分を停止して5年8か月の禁固刑を言い渡していた。これをうけて、バイデン米大統領をはじめ世界の政治家、人権活動家が歓迎のメッセージを発出。但し、彼女の家族によれば、彼女は、未だに保護観察中で、旅行を禁止され、控訴プロセスの知らせを待っている状態で、完全に「自由」になったわけではないとのこと。
(アルハスルールについて)
@サウジアラビア国内で最も活発な女性の権利活動家の1人。 その活動は、サウジ国家の制限的な男性保護制度の廃止、女性の運転の許可、家庭内暴力の犠牲者のための避難所の設立を含む3つの分野に焦点をあてたものであった。
A国家治安部隊は2018年5月15日にハスルールを逮捕し、以後、彼女は、拘束され続けていた。彼女は、刑務所で拷問・虐待を受けていたと主張している。
https://www.middleeasteye.net/news/saudi-arabia-loujain-hathloul-activist-returns-home-prison

(参考1)バイデン大統領釈放歓迎コメント(米時間2月10日、国防総省)
はじめに、サウジアラビア政府が著名な人権活動家であるルジャイン・ハズルー− -loul −、l-o-u-l −を刑務所から釈放したという歓迎のニュースがある。 彼女は女性の権利を擁護する強力な人物であり、彼女を釈放したことは正しいことである
Before I begin, I have some welcome news that the Saudi government has released a prominent human rights activist, Loujain al-Hathlou − -loul − excuse me, l-o-u-l − from prison. She’s a powerful advocate women’s rights, and releasing her was the right thing to do.
https://twitter.com/i/status/1359600888902516743
(参考2)国務省コメント(米時間2月10日 プライス報道官)
QUESTION: And last one on Saudi Arabia, the release of Loujain al-Hathloul – do you have any comment on her release?
MR PRICE: Well, we have – we have seen those reports. And certainly her release would be a very welcome development. What I can say is that promoting and advocating for women’s rights and other human rights should never be criminalized. We have watched this case very closely. And certainly as we continue to monitor developments there, her release would be a very welcome development.

Posted by 八木 at 09:59 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イランによる韓国籍タンカーの拿捕[2021年01月07日(Thu)]
1月4日イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、ペルシャ湾で韓国籍の7,200トンの石油化学製品を運搬するタンカー「ハンクック・ケミ(MT Hankuk Chemi)」が「海洋環境法違反」の疑いで拿捕し、バンダル・アッバース港沖に搬送させたことが確認された。イラン側声明によると、船の乗組員は韓国人、ベトナム人、インドネシア人、ミャンマー人20名で構成されていた。この船はサウジアラビアのジュベイルからアラブ首長国連邦のフジャイラまでの運航を予定していた。船は釜山を拠点とする船会社DM Shipping.Coによって運営されている。
1月5日、韓国の外交部は、駐ソウル・イラン大使を招致し、タンカーの即時解放を要求した。韓国政府は、軍がすでに海賊対策で派遣している駆逐艦をこの海域に向かわせるとともに、即時釈放を求めて、交渉のためにイランに代表団を派遣した。
イランは、IRGC海上部隊がホルムズ海峡近くで船の進行を妨げ、乗組員を人質として保持していることを否定した。しかし、イラン政府のスポークスマン、アリ・ラビエイは、今回の行動が米国主導の制裁措置のために韓国の銀行で凍結された約70億ドルの資産の差し押さえに関連していることを確認したようで、5日の記者会見で、「我々は、そのような主張に慣れているが、仮に人質取りがあったとしても、我々が所有者である70億ドルを根拠のない理由で人質に取っているのは韓国政府である。」と指摘し、韓国政府が本来、イラン側に戻すべき差し押え資産の解放を求めた。
(コメント)2019年5月、6月にペルシャ湾周辺で、6隻のタンカーが被弾し、その後、7月にイランタンカー「グレース1」のジブラルタル当局による拿捕を受けて、英国のタンカーであるステナ・インペロがIRGC海上部隊によって拿捕されたこと等を踏まえ、2019年11月7日米主導で、海上交通の安全を守るための有志連合(International Maritime Security Construct :IMSC)が正式に発足し、その連絡事務所が米第五艦隊が本部を置くバーレーンに設置された。韓国は、有志連合を構成する8か国の1か国とみられている。韓国政府は、駆逐艦の派遣を決定したものの、軍事的解決は望んでおらず、外交的に問題の解決を図りたいとの考え。イラン側は、乗組員を人質にしていることを否定したが、トランプ政権の終了を控え、米国の経済制裁によって、諸外国に凍結されていたイランの資産の返還を今後各国に求めていくものとみられる。
https://youtu.be/StvdHJv8OL8

Posted by 八木 at 16:26 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

カタールとアラブ封鎖4か国との関係修復のアル・ウラー宣言[2021年01月06日(Wed)]
1月5日、サウジ北西部のアル・ウラーで開催されたGCC首脳会議で、参加各国代表は「連帯と安定」宣言に署名した(注:宣言の具体的内容は公表されていない)。GCCの封鎖3か国(サウジ、UAE、バーレーン)と今回外相を派遣したエジプトはカタールへの封鎖を解除し、カタールはサウジアラビア、UAE、バーレーンに対する世界貿易機関(WTO)への提訴を取り下げるとみられている(注:5日の現地報道によれば、サウジ・カタール国境は開かれたものの、未だ往来する車両はない模様。またサウジ以外の3か国がどのタイミングで、どのように封鎖を解除するのかは、今後見守る必要がある)。 各国はまた、お互いを攻撃するメディアキャンペーンを終了することに同意した模様。
第41回GCCサミットの参加者は、次のとおり。
@ クウェート:ナワーフ首長(Emir Sheikh Nawaf Al Ahmad Al Sabah)
A カタール:タミーム首長(Sheikh Tamim bin Hamad Al Thani)
B オマーン:ファハド副首相(Deputy Prime Minister Fahd Bin Mahmoud),
C サウジ:ムハンマド皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)
D バーレーン:サルマン皇太子(Crown Prince Salman bin Hamad Al Khalifa)
E UAE:ムハンマド副大統領兼首相(ドバイ首長)(UAE Vice President Sheikh Mohammed bin Rashid Al Maktoum)
F GCC事務局:ナーイフ事務局長(Nayef al-Hajraf, secretary-general of the Gulf Cooperation Council (GCC) )
G シュクリー・エジプト外相
H クシュナー米大統領特別顧問
(コメント)タミーム首長のアル・ウラー空港到着時、MBS皇太子が空港に出迎え、抱擁を交わした。湾岸諸国では、外国要人の来訪時、誰が空港に出迎えるかが重要で、それが、受け入れ国が、来訪者をどのようにみているかを如実に物語っている。今回のサミットでは、サウジ側のトップは、サルマン国王ではなく、MBS皇太子であった。3年半の断交を経て、サウジは、カタールが、封鎖4か国が課した13項目の要求のいずれにも応じなかったにもかかわらず、何事もなかったかのようにカタールのトップを迎え入れたことになる。封鎖4か国の中でも、カタールに対して最も厳しい立場をとってきたのは、サウジではなくUAEであったとみられている。UAEは米政府がカタールを「テロ支援国」に指定するようロビイングをしていたことが明らかになっている。UAEは、エジプト同様、テロ組織に指定しているムスリム同胞団に同情的なカタールへの批判的な見方を変えていない。今回のGCCサミットでは、UAEを代表してムハンマド・ビン・ラーシドUAE副大統領が出席したが、UAEの実質的指導者であるムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子が、ハリーファ大統領代行として、GCC首脳会議に出席してもおかしくないが、MBZは出席を見合わせた。MBZは、未だカタールと全面的な和解を実現したいとは思っていないのではないかと推測される。むしろ、イスラエルとの関係を促進し、カタールとその後ろ盾になってきたトルコの影響力を削ぐ形で、今後の地域戦略を進めていくものとみられる。サウジの実質的指導者MBS皇太子は、米国のバイデン新政権発足を控えて、対米関係の軌道修正を迫られている。イエメンでのハーディ政権と南部暫定評議会の連立政府樹立や今回のカタールとの和解は、サウジが主導する形で、地域の不安定要因を予め取り除いておきたいという思惑がにじみ出ている。さらに、12月28日、サウジの特別犯罪法廷がサウジ国内での女性への運転免許解禁前に解禁を訴えて拘禁されたサウジ人女性活動家ルジャイン・アルハスルール(Loujain al-Hathloul)に5年8か月の刑期を宣告し、人権団体から批判を浴びたが、彼女はこれまでの拘束期間を含めれば、あと2か月で釈放されるものとみられており、バイデン新政権に対してひとつのファイルを閉じることを意味する。MBS皇太子が気にしているもうひとつのファイルは、ナーイフ元皇太子の側近のジャブリ氏殺害未遂に絡みMBS皇太子が米国の連邦地裁に訴えられている件では、トランプ政権に免責を認めてもらいたいとの思惑もあったとみられる。今回のGCCサミットに出席したクシュナー・トランプ大統領上級顧問は、最近のアラブ4か国のイスラエルとの国交正常化の立役者であるばかりでなく、昨年12月に関係国に根回しを行って、今回のカタールと封鎖4か国との外交関係再開の最大の貢献者となった。因みに、今回のカタールと封鎖4か国の和解については、アラブ4か国の封鎖に際して、カタールを支援してきたトルコ、イランは、いずれも関係修復に対して歓迎の意向を表明している。
https://www.aljazeera.com/news/2021/1/5/saudi-says-full-ties-restored-between-qatar-and-embargo-nations
https://www.aljazeera.com/news/2021/1/5/gulf-states-sign-solidarity-and-stability-deal-at-gcc-summit
https://responsiblestatecraft.org/2021/01/05/gulf-states-end-blockade-on-qatar-now-the-heavy-lifting-begins/

Posted by 八木 at 14:10 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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