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イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。
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社会デザイン学会で承認された中東イスラム世界社会統合研究会が運営する団体ブログです。
中東イスラム世界社会統合研究会公式サイト http://meis.or.jp
社会デザイン学会研究会案内 http://www.socialdesign-academy.org/study/study_application.htm
日本とイスラム世界とのネットワーク強化を目的として、以下の項目で記事を発信していきたいと考えています。
日本とイスラム世界との出会い:日本人や日本がどのようなきっかけでイスラム世界への扉を開いていったかを紹介します。
イスラム世界で今注目されている人物:イスラム教徒であるか否かを問わず、イスラム世界で注目されている人物を紹介していきます。
イスラムへの偏見をなくすための特色のある活動:イスラムフォビア(Islamophobia)と呼ばれるイスラム教への偏見、イスラム教徒排斥、イスラム教徒警戒の動きが非イスラム世界で高まっています。これらの偏見や排斥をなくすための世界の各地で行われている特色のある活動を紹介していきます。
中東イスラム世界に関心を抱くあなたへの助言:さまざまな分野で中東・イスラム世界に関心を抱き、これから現実に接点を持っていこうと考えておられるあなたへのアドバイスを掲載します。

情報共有:当研究会のテーマに関連したイベント、活動、寄稿などの情報を提供しています。

新着情報:中東イスラム世界社会統合研究会公式サイトの「中東イスラム世界への扉」に、現地駐在の本田圭さんから投稿のあった2020年11月の「UAE、ある日の砂漠」と題する紀行文を掲載しました。UAEの砂漠がとても魅力的なので、ぜひ一度アクセスしてみてください。
http://meis.or.jp/products/door2me/OnceUponATimeInUAEDesert01.php




バイデン大統領、MBS皇太子、プーチン大統領の来る重要会談に向けての思惑[2022年07月13日(Wed)]
バイデン米大統領は、7月13〜16日の中東訪問の一環としてサウジアラビアを訪問します(他は、イスラエルとパレスチナ。なお、イスラエルでは、6月30日にクネセトが解散され、11月1日に総選挙が実施されます。ベネット首相は退陣し、現在外相を務めていたラピド氏が暫定首相を務めています)。米大統領の中東訪問直後、ロシアのプーチン大統領が7月19日にイランを訪問します。関係国首脳の今次訪問と会談にむけての思惑を勝手に考えてみました。これは、あくまでも筆者の想像で、現実のものではありません。念のため

1.バイデン大統領:2022年11月の中間選挙で民主党が上下両院で過半数を失えば、バイデン政権は一挙にレイムダック化するおそれがある。米国民の生活苦を軽減するため、これまで、著名なサウジ人ジャーナリスト・カショギ氏殺害やサウジのイエメン軍事介入を理由に、サウジの実質的指導者であるムハンマド・ビン・サルマン(通称MBS)皇太子とは距離を置いてきたが、サウジ訪問中、MBSと握手して関係を修復し、サウジによる原油増産を働きかけ、原油価格を低下させ、あわよくば、2016年以来OPECプラス(注:サウジ主導のOPEC13か国プラスロシア主導の非OPEC10か国)の枠内で原油生産調整を維持してきた非OPECの主要産油国ロシアとの間に亀裂を生じさせ、ロシアの石油収入に打撃を与えるとともに、原油価格低下によるガソリン価格下落を実現し、中間選挙での民主党の勝利を実現したい。そのためには、今次サウジ訪問においては、カショギ氏殺害という人権問題への追及を棚上げする。

2.MBS皇太子:2018年10月2日のカショギ氏殺害をサウジ政府、就中、MBSの承認の上で実行したとの見方を米国情報機関に発表させ、サウジと米国との関係を冷却化させたバイデン大統領は許しがたい。しかし、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、石油価格が高騰し、世界の指導者による世界の原油市場の動向に大きな影響を有するサウジアラビア詣出でが続いている。4月28日、エルドアン・トルコ大統領が、紅海の都市ジッダを訪問し、アッサラーム宮殿でサルマン国王ならびに自分と会談した。エルドアン大統領は、自分と抱擁を交わし、イスタンブールで進んでいたカショギ氏殺害容疑者の欠席裁判の裁判権を放棄し、サウジ側に移行すると宣言した。過去3年以上自分は、このせいで、西側諸国との関係発展に大きな障害に直面していたが、トルコのエルドアン大統領が追及を放棄し、サウジとの経済関係強化を選択した。今や、バイデン大統領も同様の選択を行うべきだ。米国がもはや過去の問題にこだわらず、サウジの協力を得たいということであれば、サウジも応分の対応を行う用意がある。6月のOPECプラス会合では、米国の増産要請を受け入れる形で、ロシアを説得した。OPECプラスは、8月までは日量64万8,000バレルの増産ペースを維持する(注:2020年春にOPECプラスで合意した970万b/dの減産自体は、8月で解消するとのこと)。一方で、サウジはこれからもOPECプラスの枠組みは維持する。ロシアのプーチン大統領は、カショギ事件を問題視したことはなく、自分との友好関係を維持してきた。米国へのカードを維持するためにもロシアとの関係は重要である(注:サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は6月にロシアで開催された国際経済フォーラムで、ロシアとサウジの関係は「リヤドの天気のように良好だ」と発言。ロシアのノバク・エネルギー相も、ロシアは2022年より先までOPECプラスと協力できると強調した、とのこと。)。さらに、米国の中間選挙結果を見極める必要もある。将来の共和党政権誕生を期待しており、バイデン大統領との関係でハードルを引き下げる考えはない。

3.プーチン大統領:自分にとって、イラン訪問は、ウクライナへの特別軍事作戦開始後、2回目となる外国訪問(旧ソ連域外は初めて)である。今回の訪問は、2017年1月にシリアでの停戦、緊張緩和を実現するために設けられたロシア、トルコ、イラン三者で構成されるアスタナ・プロセスの一環としてテヘランを訪問するものである。自分は、2015年11月23日、ガス輸出国フォーラム首脳会議に出席するためテヘランを訪れた機会に、ハメネイ最高指導者とも会談した。今回は、7月19日にエルドアン大統領、ライシ大統領との三者会談が予定されているほか、ライシ大統領、ハメネイ最高指導者、エルドアン大統領とも個別に会談する予定である。イランとの間では、シリア問題のほか、エネルギー、軍事、イラン核合意を巡っても突っ込んだ話し合いを行う予定。イランが、ロシアに対して、数百機の軍事用ドローンの供給を行う用意があると聞いており、それについて確認を行う予定。また、欧米の経済制裁を受けている国同士として、経済金融面でどのように協力できるかも話し合う予定。ロシアはメインテナンスのため、ノルドストリームを通じた天然ガスのドイツへの供給一時停止を発表したが、1ユーロがほぼ1ドルと記録的なユーロ安を記録している。西側の対ロシア制裁は、西側にとっても大きな代償を支払うものとなることを思い知らせたい。この点で、ロシアとイランの考えは完全に一致している。しかし、調整すべき点もある。ロシア産原油とイラン産原油の販売先が一部の国で競合している。両国の利益を損なわないよう調整したい。
トルコのエルドアン大統領とは、シリア内戦、リビア内戦、ナゴルノ・カラバフ紛争で立場の違いを乗り越えて協議し、停戦を実現してきた実績がある。エルドアン大統領とは頻繁に電話会談を行っており、7月11日にも電話会談し、黒海での穀物輸送のための安全な「回廊」を設けるための方策を協議した。トルコは、NATOメンバーであるにもかかわらず、欧米の対ロシア制裁には加わらず、ロシア産天然ガスの供給、原発の建設、ロシア人観光客の受け入れなどの経済面での協力関係を続けている。スウェーデン、フィンランドのNATO加盟問題でのエルドアン大統領の両国への譲歩については驚いたが、クルド人関係者のトルコ送還実現には司法の判断が求められる問題が関わっており、この問題は「決定」ではなく、入り口に入ることが許されたに過ぎない。また、トルコが、穀物を輸送するロシア船舶の停船を、ウクライナ側の要請をうけて実行したことには怒りを覚えたが、トルコ側がロシア側の抗議をうけて、船の航行を認めたことを評価している。トルコは、ロシアにとって重要な隣国であり、首脳レベルでの協議は今後とも継続する。

Posted by 八木 at 10:38 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

2022年のハッジ(メッカ巡礼)開始 [2022年07月07日(Thu)]
本7月7日から参加の機会が与えられたイスラム教徒はサウジアラビアのメッカでのハッジ(巡礼)の行を開始する。メッカ巡礼は、信仰告白、礼拝、喜捨、断食とならんでイスラム教徒にとって実践すべき義務的宗教行為である5行のひとつで、健康な男女は一生のうち、一度は、メッカ巡礼を行うべきとされている。イスラム暦ズーウルヒッジャ月の7日目からの行に参加する場合のみがハッジであり、それ以外のタイミングでメッカ巡礼を行う場合は、ウムラと呼ばれている。ハッジとウムラを区別するために、前者を大巡礼、後者を小巡礼と呼ぶこともある。コロナ禍で、ハッジも2020年にはサウジ在住者のみ1千人(報道によっては1万人)、2021年はサウジ在住者でワクチン接種者のみ6万人(実行者は58745人)であったが、2022年は、人数制限は大幅に緩和され、100万人まで受け入れられることになった。 因みに、巡礼参加者の多数は、巡礼の機会に、もうひとつの聖地メディナ(預言者ムハンマドの墓が存在する)を訪問する者も多いが、メディナ訪問は、巡礼の一行事には位置付けられていない7月9日には犠牲祭(イード・アルアドハー)が通常3日の予定で開始される。今年の巡礼は、65歳未満かつCOVID-19の予防接種を接種済みであることが参加の条件で、海外からの参加者は、サウジアラビアへの出発前に受けたPCR検査で陰性であることを証明する必要がある。

サウジアラビアのハッジ省は、2022年6月6日、欧米(豪州を含む57か国)からのすべての巡礼希望者は新しい電子ポータル方式のプラットフォームであるモタウィフ(Motawif)を介して申請しなければならないという土壇場での決定を発表した。 その名前は、何世紀にもわたってメッカで巡礼者に奉仕する独占的権利を享受してきた伝統的同業者協会名に由来しているとのこと。一夜にして、ポータルは巡礼者数に対する継続的なCovid関連の制限によって必要とされ、57の欧米諸国在住ムスリムにとって、メッカ巡礼パッケージを購入する唯一の場所になり、欧米のムスリムが初めて電子抽選にかけられることになった。因みにメッカ巡礼者を抽選で決める方式は、ムスリムが多数を占める国では、100万人あたりわずか1,000人の巡礼者が当該国に割り当てられるために一般的であり、マイシール(賭け事)とはみなされていない。なお、この方式によって、メッカ巡礼に参加しようとした欧米人ムスリムの一部は技術的な問題に直面し、渡航フライトの限られた数の座席を確保できないなどの複数の問題が生じ、部分的な混乱が生じた趣き。

(参考)欧米ムスリムのモタウィフを通じてのハッジ申し込みの手順
@電子申請方式で応募用紙に記入
A必要書類を6月10日〜13日に電子申請方式で提出
B抽選結果が6月15日〜18日の間に知らされる
C当選者は、ポータルを通じて所定の金額を支払う
D支払いが確認されれば、サウジ外務省を通じてe−ビザが発行される。

巡礼の流れは、概ね次のとおり。
(主な大巡礼の行事行程)
@メッカ聖域入域:男性はイフラームという聖域入域の際、2つの縫製のないイフラーム用の衣装を身にまとい、女性もゆとりのある衣装で体を覆い、ミカート(Miqat)というゲートから入場する。
A その後、メッカのグランドモスク内にあるカアバ神殿の周りを反時計回りに7回回る(タワーフと呼ぶ)。その後、サファとマルワという2つの丘を7往復する(サアイと呼ぶ)。
B メッカから行程8kmのテント村のあるミナ(Mina)に向けて出発する。
C ミナから夜明け前に出発し、約14.4km先の預言者ムハンマドが最後の説教を行ったとされるアラファト山で祈りを捧げ、1日過ごす。イスラム教徒の多くは、断食する。
D 日没後、移動を開始し、約9km先の岩山の荒野「ムズダリファ」で平地を探して一泊する。その際、翌日に備えて小石を拾う。
E 夜明け前に出発し、ミナで悪魔に見立てたジャマラートと呼ぶ3本の石の柱に小石を投げる(圧死事故等が多発したため、現在は柱の前は構造物が5層になって、交通整理されるようになっている)。巡礼者は、悪魔に石を投げて追い払う。
F神がアブラハムに息子イサックを犠牲にささげよと命じ、それに従おうとしたアブラハムに、神は天使を遣わして、それを停止させ、息子にかわって羊をささげることを許した逸話にちなんで、巡礼者は、羊やヤギなど動物を犠牲にして、神にささげる
G 男性は髪の毛を剃り、イフラームの衣装を脱ぎ捨てる。
H カーバ神殿に戻り7回周回するとともに、タワーフとサアイの間を7回往来する。
I さらに、ミナに移動し、ジャマラートの柱に小石を投げる。
J 最後にカーバ神殿で、お別れのタワーフを行い、巡礼の行を終了する。
https://www.aljazeera.com/news/2022/6/29/when-are-hajj-and-eid-al-adha
https://www.motawif.com.sa/home/en-sa
https://www.middleeasteye.net/opinion/hajj-saudi-arabia-new-online-portal-fails-western-pilgrims

Posted by 八木 at 11:21 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

北欧2カ国のNATO加盟要請に高いハードルを課して外交的勝利を収めたトルコ(PKK対策で一致した3国間覚書の注目点)[2022年06月29日(Wed)]
6月28日、スペインでのNATO首脳会議を前に、トルコ、フィンランド、スウェーデン三国首脳会談の後、トルコは、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟を支持すると発表した。トルコは、これまで、北欧両国が、トルコがテロ組織に指定しているクルド労働者党(PKK)を支持しているとして、両国のNATO加盟に難色を示していた。
ストルテンベルグNATO事務総長は、記者会見で、「NATOへの加盟のための具体的な手順は、今後2日間の首脳会議でNATOの同盟国間で合意される予定であるが、その決定は目前に迫っている、NATO加盟に向けたプロセスの重要な段階が完了したことを嬉しく思う。フィンランドとスウェーデンが来たる首脳会談でNATOのオブザーバーとして参加する」と述べた。一方、エルドアン・トルコ大統領は、声明のなかで、「トルコは望んだものをすべて手に入れた」と述べた。

フィンランドとスウェーデンは、シリアへのトルコの軍事介入(トルコ軍がシリア領に越境進軍した2019年10月の「平和の泉」作戦や前年1月ののアフリンへの越境進軍「オリーブの枝作戦」)をめぐって、2019年にトルコに対して武器禁輸を課していた。トルコは、ストックホルムとヘルシンキがギュレン教団(FETO)の事務所を閉鎖し、FETOに属する出版物を禁止し、テロリストとして指定したグループに関連する資産を凍結し、さらには公の場でのデモを禁止するよう要求したと伝えられている。

6月28日、マドリードで3国間で交わされた覚書の注目点は次のとおりである。
1. フィンランドとスウェーデンは、PKKがテロ組織であることを確認し、PKKならびにその他のテロ組織とその関連組織ならびにそれらの組織と連携する個人、団体、ネットワークによる活動を阻止する。3国は、これらのテロ組織の活動を阻止するための協力を強化することに合意した。
2. この関連で、フィンランドは、2022年1月1日から施行された犯罪法規の改定によりテロ犯罪処罰の対象を拡大した。スウェーデンも7月1日からより厳しい対テロ法が施行されることを確認した。
3. トルコ、フィンランド、スウェーデン間では、この時点から武器の禁輸措置は撤廃された。今後、両国からの武器の輸出は、同盟間の連帯と、ワシントン協定の書簡ならびに精神に基づき、実施される。
4. トルコとフィンランド、スウェーデンは次の措置をとる。
@ 法執行機関、インテリジェンス機関を含む政府のあらゆるレベルで、テロ対策、犯罪対策面等で、対話と協力のメカニズムを構築する
A フィンランド、スウェーデンは、決意と信念をもって、テロとの戦いに取り組む
B フィンランド、スウェーデンは、トルコ側からの情報、証拠、インテリジェンスに基づき、テロ容疑者の国外追放要請に対処する。
5. フィンランド、スウェーデンは、PKKや他のテロ組織の資金調達、リクルート活動を調査し、禁止する。
6. トルコとフィンランド、スウェーデンは、トルコに対しての暴力を煽るようなテロ組織の利益になるような国内法の乱用を阻止し、偽情報に立ち向かうことにコミットする。
7. フィンランド、スウェーデンは、武器輸出に関する国内法規が同盟国に可能になるようにし、NATOメンバーとしての地位に反映されることを確保する。
8. フィンランド、スウェーデンは、トルコの軍事的モビリティに関するPESCOプロジェクトへの参加を含め、トルコや他の非EU加盟国が、EUの共通安全保障防衛イニシアティブに加わることができるよう完全に支持する。
9. 三カ国は上記の措置を実現するために、外務、内務、司法、インテリジェンス、治安機関を含む専門家が参加する常設共同メカニズムを構築する。

(コメント)2018年6月のトルコ総選挙の在外投票で、フィンランドは、クルド系の人民民主主義党(HDP)が第一位の48.05%を占め(与党公正発展党AKPは3位の17.67%)で、スウェーデンは、HDPが第一位の37.1%(AKPは、2位の36.42%)を占めており、両国にはクルド系支持者が多いことをトルコ政府は十分認識していた。クルド系市民はPKKに同情的であると考えられており、欧州におけるクルド系のエルドアン政権への反対の声をどう抑制するのかが、2023年6月に大統領選挙で再選を目指し、与党公正発展党の安定多数を目指すトルコのエルドアン政権にとっての課題である。4月のフィンランド、スウェーデンのNATO加盟要請に対して、一旦待ったをかけたエルドアン政権は、今回、両国に高いハードルを課して、両国からクルド系市民の活動を抑制するためのコミットメントを得るという望外の目標を達成したことになる。トルコが望むPKK支持者の国外追放、トルコへの送還や関連事務所の閉鎖、資金調達の禁止実現に向け、設置されることになる治安やインテリジェンス関係者を含む覚書履行メカニズムを通じて、トルコ側は、フィンランド、スウェーデンに圧力をかけてゆくことになる。2014年以降、ISISのシリア、イラクの一部の実効支配に際して、欧米は多国籍軍を形成し、トルコからみればPKKと同根のテロ組織の範疇に入れられたシリアのクルド人民防衛隊(YPG)を地上での最も信頼できるパートナーとして、ISISの実効支配を終了させた。YPGとYPJ(女性部隊)は1万1千名の犠牲を払ったとされる。そして、PKKと関係をもつYPGは、もはやお役御免ということで、欧州はトルコの主張を全面的に受け入れようとしている。トルコは、このメカニズムをてこに欧州に逃れているギュレン教団(FETO)関係者のトルコ送還や関連施設閉鎖も実現していこうとするものとみられる。
https://twitter.com/ragipsoylu/status/1541856195257966592?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1541856195257966592%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.rt.com%2Fnews%2F558027-turkey-finland-sweden-nato-deal%2F

Posted by 八木 at 08:31 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

トルコの英語名の標記変更に関する新井春美さん投稿[2022年06月23日(Thu)]
6月1日、国連はトルコ政府の要請を受け入れて、Turkey という英語表記をトルコ語の Türkiye に変更すると発表したそうです。当研究会の新井春美さんの投稿をお読みください。新井さんは、「トルコは2023年に建国100周年を迎える。この節目に Türkiye という名を示すことにより、国際社会で Türkiye ブランドを確立し、国内の社会、経済の活性化にも弾みをつけたいという政権の意向、また、国名からもヨーロッパ色をできるだけ減じたいというエルドアン大統領の思惑もあると考えられる」と指摘しています。
http://meis.or.jp/products/Turkey/RenameTurkey2Turkiye.php

エルドアン大統領は、予定通りであれば、2023年6月に大統領選挙と国会議員選挙を迎え、そこで勝利することを目指しています。強いイスラム国家の指導者として、2020年7月アヤソフィアをイスラムのモスクに戻し、ウクライナ危機に際しては、ロシアと培ってきたパイプを利用し、ウクライナ・ロシア間の直接協議のアレンジを行ったり、黒海からのウクライナ産穀物輸送の途を模索する世界で数少ない国としてその存在感をアピールしています。この英語名の変更には、欧州の支配下にはない、独自の路線をとりうる能力を有するトルコの国としての自負が滲み出ています。

Posted by 八木 at 15:04 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

パレスチナ解放運動と重信房子[2022年05月27日(Fri)]
本日の朝日新聞第二面の下欄に、幻冬舎から、重信房子の本「戦士たちの記録」という大きな広告が目に入りました。世界同時革命を目指し、その後、30年間中東でパレスチナ解放運動に参加し、そして、2000年11月8日に潜伏していた大阪府高槻市において旅券法違反容疑で逮捕された重信房子が、21年7か月の刑期を満了して、5月28日に出所します。その機会に、彼女がたどってきた生き様を、彼女が執筆した本3冊「革命の季節」「ジャスミンを銃口に重信房子歌集」「りんごの木の下であなたを産もうと決めた」の三冊を紹介しています。重信のとってきた行動は犯罪行為であり、それゆえ、その代償として刑に服してきたわけですが、彼女が、パレスチナ人との接触の中で、国際同時革命という熱病から解放され、何を思い、パレスチナ人の置かれた厳しい状況の中で、どのように現実的な考え方を持つように変化していったのか、また、外部からしか見えてこなかったレバノンにおけるパレスチナ人武装勢力のイスラエルとの戦いがどのようなものであったのかを知るうえで、3冊の本は、彼女の行動への立場の相違を超えて読む価値があると思われます。

1948年5月のイスラエル建国から70年以上を経過してもまだ解決の糸口が見いだせないパレスチナ問題。いまも、イスラエルに1967年に占領された地区は、西岸とガザに分断され、パレスチナ人は、行動の自由を大きく制限されています。ヨルダン川西岸地区のジェニンでは、5月11日、中東の衛星テレビ局アルジャジーラのパレスチナ人記者、シリーン・アブアークレさんが、頭部に銃撃を受け死亡し、改めて現地のパレスチナ人が置かれた厳しい状況を思い起こさせています。

1970年代にも日本人もパレスチナ解放運動に共感して、ジョージ・ハバシュが設立したパレスチナ人民解放戦線(PFLP)と協力して、過激な行動に出た者たちがいます。日本赤軍です。パレスチナの解放を目指して1964年に設立されたPLOは、1970年9月(パレスチナ人は、ブラックセプテンバーと呼んでいます)には、同胞のアラブの国ヨルダンを追われて、レバノン南部に移動し、そこからイスラエルに対する武力闘争を続けていました。しかし、イスラエルは、1982年6月、突如レバノン南部に進攻(イスラエルの軍事作戦名「ガリラヤの平和作戦」)し、その後PLOの戦闘員をベイルート近郊に追い詰め、砲弾の雨を降らせました。日本赤軍リーダーの重信房子をはじめとする日本赤軍メンバーもPLOと一緒にイスラエル軍と戦い、ベイルートを脱出しました。重信の著書「りんごの木の下であなたを産もうと決めた」の「あなた」とは、パレスチナ人との間で儲けた娘の重信メイさんです。

かつては、日本国内でも政治家を含め、パレスチナ人の権利を擁護し、友好を強化しようとする動きがありました。日・パレスチナ友好議員連盟には、かつて女優の李香蘭として名を馳せた大鷹(山口)淑子議員(故人)や柿沢弘治議員(元外相)(故人)などもいました。

ロッド空港事件の実行犯である岡本公三を含む日本赤軍メンバー5名が、1997年2月に潜伏先のレバノンで突然拘束されました。重信も、レバノンの著名なローマ遺跡のバールベック神殿で、写真をとっていますので、彼女は岡本たちと行動をともにしていたことは確実です。結局、岡本公三を除く4人は、2000年3月に国外退去処分となり、警察は、帰国と同時に逮捕・収監されました。岡本は、1985年イスラエルとパレスチナ人の捕虜交換でイスラエル側から解放されましたが、日本に戻されると大量の殺人の罪で、死刑になる可能性もあり、その時点で、力をある程度残していたPFLPをはじめとするパレスチナグループが、当時レバノンに影響力を有していたアサド政権やヒズボラを通じて、レバノン政府に「アラブの英雄」として岡本を国内に残すよう働きかけた結果、レバノン残留が認められたと思います。ただ、本人の望郷の思いは強いという記事を目にしたこともあります。

最後にパレスチナ解放運動の歴史で、最初に航空機をハイジャックした女性として、世界中に名を馳せたライラ・ハーリドの有名な言葉を紹介しておきます。彼女は、PFLPの著名なメンバーであり、パレスチナ民族評議会のメンバーです。 彼女は、現在は家族と一緒にヨルダンに住んでいるそうで、自由の身になって活動を続けています。その言葉とは、「パレスチナ解放運動の究極の目標は、アラブ人、ユダヤ人を問わず、パレスチナの地で、すべての人々が平等に、平和で、調和した生活ができることである」

Posted by 八木 at 09:36 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

イード・ムバラク[2022年05月02日(Mon)]
イスラム世界では、4月30日時点で、シャッワール月開始の新月が目視されなかったことをうけて、ラマダン月は5月1日まで続き、ラマダン明け大祭(イード・アルフィトル)の開始が5月2日となった。

イスラム世界では、ラマダン期間中、エルサレムのアルアクサーモスクでの衝突が発生し、トルコのエルドアン大統領とサウジアラビアのMBS皇太子との関係修復があり、また、イエメン停戦が本格和平に結びつくのか、イラン核合意の行方、イラク新政権が発足できるのか等、ラマダン明け後、目が離せない事案が山積している。

しかし、本日は、すべてのイスラム教徒に対して、イード・ムバラク!

Posted by 八木 at 15:58 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

MBSとの関係修復を決断したエルドアン大統領の思惑[2022年04月30日(Sat)]
4月28日、トルコ大統領府はエルドアン・トルコ大統領が、紅海の都市ジッダのアッサラーム宮殿でサウジアラビアのサルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン(通称MBS)皇太子と公式会談したと発表した。
その後MBS皇太子がエルドアン大統領とテタテ会談を行い、MBSとエルドアン大統領の和解を意味する抱擁の写真が公開された。
トルコ司法当局は、著名なサウジ人ジャーナリストで、ワシントンポストのコラムニストでもあったジャマール・カショギ氏が2018年10月2日、イスタンブールのサウジ領事館で、本国から派遣された15名のグループによって殺害された事件に関し、容疑者26名に対して実施してきた欠席裁判をサウジアラビアに移管する決定を行っており、両国関係を修復する上でサウジアラビアが求めていた主要な条件のひとつをクリアーしていた。
2018年の事件直後からエルドアン大統領は、カショギ氏殺害をうけて、その真相究明と責任の所在を徹底的に追求し、当初は、カショギ氏行方不明として、殺害を否定していたサウジアラビア政府が、殺害の事実を認めざるをえないまでに追い詰め、その後実施されたサウジ国内での裁判とその結果についても認めず、サウジ側裁判とは別に、トルコ国内で裁判プロセスを進行させていた。エルドアン大統領は、サウジの「最高レベル」が殺害命令を出したと非難し、MBSの責任を強く示唆していた。
エルドアン大統領は、今次訪問にあたり、「補強の月」であるイスラム教徒の聖なるラマダン月の終わりを訪問の適切な時期として選び、両国共通の努力で、我々は過去の関係を乗り越え、同胞間の絆が強まると述べた。
(コメント)今回のエルドアン大統領のサウジ訪問と、MBSとの和解は、2018年10月に起きた世界を震撼させたカショギ氏殺害事件を、トルコは忘却の彼方に追いやり、サウジアラビアとの間で、新たな経済発展のための関係強化に取り組むということを意味する。世界の人権擁護者やカショギ氏のトルコ人婚約者にとっては、「驚き」かつ「信じたくない」エルドアン大統領の動きであったに違いない。しかし、世の中は、プーチン大統領のウクライナ侵攻により、過去の「人権侵害」にとどまっているわけにはいかない、もっと大規模な「人権侵害」が行われているではないか、という雰囲気で、カショギ殺害事件も過去のものにしようとする流れが強まっている。長年ロシアのエネルギー供給に頼ってきた欧米は、原油の代替供給元として、サウジアラビアに期待をかけている。ウクライナ侵攻後、サウジでの受刑者の大量処刑直後、ジョンソン英国首相は、サウジを訪問し、対面で、原油の供給増をMBSに要請した。就任前には、MBSの責任を追及するとしていたバイデン大統領も、MBSが殺害に関与した可能性が高いというインテリジェンスレポートの要旨を公開したものの、その後、MBSに制裁をかけることは控えた。今次ウクライナ危機を発端とするエネルギー価格高騰にあたって、バイデン大統領は、MBSに要請を行おうとしたが、サウジ側から電話会談を断られたそうである。エルドアン大統領も、ロシアからの天然ガス供給、原発建設に頼っている一方、エネルギー供給元の多様化の必要、ならびにトルコの通貨リラの下落でインフレが加速し、国民生活が困窮、2023年に予定されている大統領選挙での再選に黄色信号が灯りはじめており、背に腹は代えられないという思いで、サウジとの関係修復を決断したものとみられる。
https://www.middleeasteye.net/news/turkey-saudi-arabia-erdogan-trip-revive-ties-khashoggi

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シーア派調整枠組みにイラク新内閣発足に向けた主導権を明け渡すと宣言したサドル師の狙い[2022年04月02日(Sat)]
3月31日、ムハンマド・アル・ハルブシイラク国民議会議長が、大統領選出のためのセッションに出席した議員の数を明らかにすることなく、第6回通常会期を開始した。大統領選出セッションには、152名の議員が議会場内にいたとみられているが、定足数の220には明らかに不足していたため、大統領選出セッションを成立させるための定足数確認は行われなかった。3月26日のセッションでは、202名が出席した(注:定足数を満たすには329議席の2/3となる220名以上の議員の出席が必要となる)とされるが、今回で3回続けて、イラク議会での大統領選出は出来なかったことになる(注:第一回目は、多数派連合が推していたKDP所属のズィバーリ元副首相、元財務相、元外相が過去の腐敗疑惑等で、連邦裁判所から立候補資格を暫定的に否定されたことにより、サドル潮流などが出席を見合わせた)。
3月31日、サドル潮流のリーダーであるムクタダー・アル・サドル師は、彼のブロックが共和国大統領選出と、新政府形成のための交渉から撤退し、「1/3ボイコット・グループ」として知られている多数派内閣形成に反対する勢力に新政府形成に向けて、4月2日に始まるラマダン月からムシャワル(イスラム暦新年月)の9日までの40日間の機会を与えると表明した。
これをうけて、シーア派調整枠組みの各派は、4月1日法治国家会連合の代表であるヌーリー・マーリキー元首相宅で、緊急会合を催し、以下の方向性で、新内閣の形成に取り組んでいくことを確認した模様。
@ サドル潮流の参加なしで、新内閣の形成は不可能であり、サドル潮流の参加を求めていく
A 但し、第一副議長は、シーア派調整枠組みから指名する(現在は、議長がスンニー派のハルブシ議長で、第一副議長がサドル潮流、第二副議長がクルド民主党(KDP)から就任している。また、新内閣の監視のため、首相指名のために形成される最大ブロックの長は、シーア派枠組みから出す
(参考)ムクタダー・サドル師の発言(3月31日)サドル師はツイッター上で、私が選挙で前例なき勝利を収めることができたのは、神が私に与えてくれた祝福である。そして我々は、すべての人に受け入れられる首相を指名するための最大の国民救済ブロック形成に成功した。しかし、1/3ボイコット・グループは、新政府形成の取り組みを妨害し、今も妨害している。このため、イラクが安全保障や経済、各種サービス提供に必要な政府が、成立しないままの状況にとどまり続けることがないよう、同グループにラマダンの月の初日からシャッワールの聖なる月の9日までサドル潮流の参加なしで、例外なくすべてのブロックと交渉して国民多数派政府を形成する機会を与える、と発言した。そして、サドル潮流の議員に、この間、この件に「積極的にも否定的にも」干渉しないよう求めた。
(コメント)昨年10月10日のイラク総選挙からまもなく半年になろうとしているにもかかわらず、イラク新内閣を発足するためのプロセスは、遅延を重ねている。この渦中の中心人物であるムクタダー・サドル師は、10月の選挙の一か月半前までは選挙ボイコットを表明していたが、突然、ボイコットを撤回し、選挙制度の変更点をうまく利用し、緻密な選挙戦を展開し、得票数では、シーア派調整枠組みの獲得数とほぼ同数ながら、獲得議席数では、サドル潮流が73議席(前回54議席)と、シーア派内2位の法治国家33議席、3位のファタハ連合17議席(前回の48議席から激減)らを圧倒した。今回のサドル師の提案は、過去3回の大統領選出のための議会セッションがいずれも定足数を満たすことなく、成立しなかったことをうけて、新たな展望を開くためのショック戦法を見られている。サドル師の提案は、大統領選出セッション成立を妨害するシーア派調整枠組みに新内閣形成の主導権を明け渡したかにみえるものの、同枠組みは、サドル潮流とそれと同盟関係のスンニー派タカッダムならびにKDPを説得して、大連立を形成することができない、必ずとん挫するということを見越しての提案であり、サドル潮流主導の新内閣形成を断念したわけではない。サドル師は、自身がこれまで主張してきた議会での多数の議席を占めるグループで連合を組む多数派内閣の成立を目指している。一方、マーリキー元首相を中心とするシーア派調整枠組みは、シーア派の各派のいずれも排除しない利益分配型内閣の継続を目指している。サドル師は、シーア派の一部派閥が新内閣形成に参加することは排除するものではないが、マーリキー元首相率いる法治国家連合の参加を認めるわけにはいかないという点で一致している。サドル師の提案は一言でいえば、「やれるものならやってみろ」という意思表示である。中東イスラム世界では、本4月2日からイスラム教徒にとって聖なる月のラマダン月の断食に入る。40日目のシャッワール月の9日があけた10日は、三代目イマーム・フサインがカルバラでウマイヤ朝軍に囲まれて無念の死を遂げたアシューラにあたる。サドル師は、アシューラに合わせたシャッワール月10日に、シーア派調整枠組みに機会を与えたが、彼らは失敗したとして、独立系の議員たちや一部シーア派議員にこの不毛なプロセスを断ち切り、新内閣発足に力を合わせようと訴え、プロセスを再活性化させていくものとみられる。
https://shafaq.com/en/Iraq-News/The-Shiite-Framework-s-leaders-meet-to-discuss-the-political-deadlock
https://shafaq.com/en/Iraq-News/Al-Sadr-withdraws-from-negotiations-to-form-the-government-Al-Maliki-starts-talks
https://shafaq.com/ar/%D8%B3%DB%8C%D8%A7%D8%B3%D8%A9/%D8%A7-%D8%AA%D9%84%D8%A7%D9%81-%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%A7%D9%84%D9%83%D9%8A-%D9%8A%D8%B5%D8%AF%D8%B1-%D9%88%D9%84-%D8%AA%D8%B9%D9%84%D9%8A%D9%82-%D8%B9%D9%84%D9%89-%D8%B1%D8%A8%D8%B9%D9%8A%D9%86%D9%8A%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D8%B5%D8%AF%D8%B1-%D9%88%D8%A7%D9%84-%D8%B7%D8%A7%D8%B1-%D8%A7%D9%84%D8%AA%D9%86%D8%B3%D9%8A%D9%82%D9%8A-%D9%8A%D8%A8%D8%AD%D8%AB-%D8%A7%D9%84%D8%AA%D9%81%D8%A7%D8%B5%D9%8A%D9%84

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混迷のイラク内政(3月26日イラク国民議会大統領選出セッション定足数満たさず)[2022年03月27日(Sun)]
3月26日、イラク国民議会大統領選出のためのセッションに議員が召集された。その結果全体329議員のうち202名の議員が出席し、定足数の220を満たすことができず、大統領選出セッションは成立しなかった。サドル潮流、主権者連合、KDPを中核とする「救国運動」グループは、基礎票といわれる190を超えることができたが、直前の予想の210を下回った。一方、シーア派調整枠組みを中心とするグループは、直前の130の予想には届かなかったが126名のボイコット議員を確保して、定足数成立を阻止した。但し、議事運営の主導権は、主権者連合のハルブシ国会議長が握っているため、3月30日(水)に改めて大統領選出のためのセッションが開催されることになった。
1. 多数派連合 合計202
サドル潮流グループ75(注:昨年11月の当選確定段階では73議席)、主権者連合グループ61(注:主権者連合はもともと51議席で、アズムの大半が抜けたとすれば、小ブロック・独立系多数を取り込んだことになる)、 KDP(レーベル・アハマドKRG内相を連邦大統領候補に推している)31、 イムティダード9、 新世代9、独立派17
2. ボイコット・グループ 合計126
シーア派調整枠組み81、PUK(クルド愛国者同盟;バルハム・サーレハ現大統領を押している)18、アズム12、イシュラーカ・カーヌーン6(但し、同党声明では、出席は見合わせたものの、調整枠組みが提出したボイコット・グループ名簿に参加はしていないと言明)、独立派の声3、独立派1
https://afaq.iq/contents/view/details?id=168066
https://www.rudaw.net/english/middleeast/iraq/26032022
https://shafaq.com/ar/%D8%B3%DB%8C%D8%A7%D8%B3%D8%A9/%D8%B1%D8%BA%D9%85-%D8%AA-%D9%83%D9%8A%D8%AF%D9%87%D8%A7-%D8%B9%D9%84%D9%89-%D8%AA%D8%B9%D9%84%D9%8A%D9%82-%D8%AD%D8%B6%D9%88%D8%B1%D9%87%D8%A7-%D8%B4%D8%B1%D8%A7%D9%82%D8%A9-%D9%83%D8%A7%D9%86%D9%88%D9%86-%D8%AA%D9%86%D9%81%D9%8A-%D8%AA%D9%88%D9%82%D9%8A%D8%B9%D9%87%D8%A7-%D9%85%D8%B9-%D8%A7%D9%84-%D8%B7%D8%A7%D8%B1-%D8%A7%D9%84%D8%B4%D9%8A%D8%B9%D9%8A

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イラクの大統領、首相選出に向けての主導権を巡る争い(鍵を握るティシュリーン・ブロック)[2022年03月26日(Sat)]
本3月26日に予定されているイラク国民議会大統領選出のためのセッションが、総議席329の2/3(220)以上の議員の参加を得て、定足数に達するか否かが今後のイラク内政、とりわけ大統領、首相選出の方向を占う上で、最大の焦点となっている。シーア派サドル潮流、スンニー派主権者連合、KDPの多数派内閣を目指す3者連合は、「祖国救済」ブロックを形成し、独立系議員を取り込んで定足数を確保すべく取り組んできた。最低でも190名の基礎票があり、直近では、210名を確保したとの報道もある。一方、定足数達成をブロックしようとするシーア派調整枠組みとPUKは、小ブロックや独立系を取り込んで、ボイコット予定議員130名を確保したとも伝えられている(110以上の議員が欠席すれば定足数に達しない)。すなわち、20〜30の議員の取り込みで死闘が繰り広げられている。この鍵を握るのが、2019年秋の抗議デモで頭角を現したテシュリーン・ブロックを構成するエムティダード9議席、イシュラカート・カーヌーン10議席、アルジール・アルジャジード(新世代)9議席、アルクトラ・シャアビーヤ(人民ブロック)5議席の30余の議員の動向である。どちらの陣営がとりあえず勝利するかは、明日(3月27日)になれば判明する。
「祖国救済」ブロックが勝利すれば、大統領がKDP出身のレーベル・アハマド(現クルド自治政府内相)、首相がムクタダー・サドル師の親戚で、大アヤトラでサッダーム・フセインに1980年に処刑されたムハンマド・バーキル・サドル師の息子のジャーファル・サドル(現イラク駐英大使)となる見通しである。カーディミ現首相は、二期目も首相を務める有力候補であったが、シーア派調整枠組みを構成する民兵組織からの強い反対があり、シーア派各組織の懐柔を図る意味合いもあり、レバノン出身のシーア派12イマーム派の本流の血を受け継ぐジャーファルに白羽の矢がたった。
https://www.middleeasteye.net/news/iraq-tishreen-sadr-maliki-court-independents-kingmakers-become
https://shafaq.com/en/Iraq-News/Homeland-Rescue-210-MPs-will-attend-Saturday-s-session-so-far
https://shafaq.com/en/Iraq-News/New-initiative-by-CF-to-reach-a-Solution-before-tomorrow-s-session

Posted by 八木 at 14:52 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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