40年前のイラン最大の石油輸出基地カーグ島攻撃の妄想を実行に移したトランプ大統領
[2026年03月14日(Sat)]
トランプ米大統領は3月13日、米軍がイラン最大の石油輸出基地カーグ(ハルグ)島の軍事施設を攻撃し「完全に破壊した」と明らかにした。ホルムズ海峡での船舶航行妨害が続けば、石油施設も攻撃対象にする方針を示した。これに対しイラン軍は14日、石油施設が攻撃されれば米国と協力する企業の関連施設を標的にすると警告した。WTI原油価格は、再びバレル100ドル近くまで上昇している。
1.イランの石油産業の中枢カーグ島とは
イランの著名な作家ジャラル・アル=アフマドはこの島に立ち、人里離れた海岸を眺めながら、この地を「ペルシャ湾の孤児の真珠」と名付け、今日、ブーシェル州にある面積22平方キロメートル(8.5平方マイル)のこのサンゴ礁の島は、イラン国民の間で「禁断の島」として広く知られ、シャー時代には、島流しの刑務所として見捨てられていたが、今や、イラン経済にとっての揺るぎない石油積出しの中枢基地となっている。ブーシェル港から北西55km(34マイル)、イラン本土から15海里(約28km)に位置するカーグ島は、イランの石油輸出総量の90%を処理し、年間約9億5000万バレルを取り扱っている。長さわずか8km(5マイル)、幅4〜5km(2.5〜3マイル)の島だが、周囲の深い海域が地理的に有利な条件となっている。この水深のおかげで、巨大なスーパータンカーも安全に接岸し、主にアジア市場向けの原油を積み込むことができる。中でも中国は最大の輸入国である。イラン石油省によると、同島の施設は石油産業にとって極めて重要な中枢機能を果たしている。このターミナルは、アブザール、フォルザン、ドルードという3つの主要な沖合油田から原油を受け入れ、複雑な海底パイプライン網を経由して陸上の処理施設に輸送した後、貯蔵または世界市場へ出荷される。長年にわたる国際制裁によって生産が断続的に阻害されてきたにもかかわらず、イランは島のインフラを積極的に拡張してきた。2025年5月、S&Pグローバル・コモディティ・インサイトは、テヘランがそれぞれ100万バレルを貯蔵できるタンク25号と26号を改修し、ターミナルの貯蔵容量を200万バレル増加させたと報告した。歴史的に見ると、継続的にアップグレードされてきたこれらのターミナルの積載能力は、驚異的な最大700万バレル/日に達しているが、現在のイランの輸出量は国内市場向けの生産量に加え、約160万バレル/日となっている。
2.トランプ大統領のカーグ島攻撃発言
3月13日、トランプ大統領はイランのカーグ島に対し、重要な石油インフラを攻撃せずに強力な空爆を実施したと発表し、ホルムズ海峡の船舶航行を妨害しないようイランに強く求めた。トランプ大統領は声明で、今回の攻撃を「中東史上最も強力な爆撃の一つ」と呼び、イランで最も重要な石油施設がある全長約8キロの島では、軍事施設のみが標的となったと述べた。トランプ大統領はソーシャルメディアで、「私はカーグ島の石油インフラを破壊しないことを選択した」と述べた。「しかし、イラン、あるいは他の誰かが、ホルムズ海峡における船舶の自由かつ安全な航行を妨害するような行為を行った場合、私は直ちにこの決定を再検討する」と付け加えた。
https://www.politico.com/news/2026/03/13/us-kharg-island-trump-iran-hormuz-00829134?cid=apn
3.イラン側反応(準国営通信社ファルス通信による情報をもとに、アルジャジーラが報道)
ファルス通信はカーグ島への攻撃を確認したと報じている。攻撃対象となったのは、陸軍防衛施設、海上基地、ヘリコプター管制塔、そしてヘリコプター空母としている。陸軍司令部からの反応があり、カーグ島の石油施設が攻撃された場合、イランは地域内のアメリカと何らかの形で関係する石油施設や設備に対して報復攻撃を行うと述べている。これは強力な声明であり、ここ数日間、イランはサウジアラビアやカタールなどで散発的な攻撃を行い、これらの施設の一部に対して攻撃を行ってきたが、すべてを混乱させたり、これらの国の石油産業を壊滅させたりするほどの規模ではなかった。今やイランは、これらの施設や湾岸諸国のその他の施設に対する大規模な攻撃を示唆しており、実行されれば地域全体、ひいては世界の石油・ガス産業全体にとって壊滅的な事態となる。イランは、これを切り札として温存しているようで、彼らはこれまで自制を保ってきたが、アメリカが示唆し脅迫しているように、イランの石油施設が攻撃された場合、その自制は終了する可能性を示唆している。
https://www.aljazeera.com/news/liveblog/2026/3/14/iran-war-live-pentagon-vows-to-ramp-up-us-military-campaign-against-iran
(コメント)トランプ氏は、イラン・イラク戦争当時の40年前からイランの石油輸出拠点であるカーグ島を占領することで、湾岸地域における米軍の影響力を誇示し、イラン・イスラム共和国に制圧を与えることを夢見ていた。カーグ島占領構想は、既に40年前にトランプ氏の脳裏に浮かんだものであり、トランプ氏は、「イランには厳しく対処するつもりだ。彼らは我々を心理的に打ち負かし、愚か者扱いしてきた。我々の兵士や船舶に一発でも銃弾が当たれば、カーグ島を徹底的に攻撃する。侵攻して占領するだろう」と、1988年にガーディアン紙に語っている。当時のインタビューは、イランが原油輸出量の約9割を担う同島の占領について、米国とイスラエルが協議していると複数のニュースサイトが最近報じたことで、現在注目を集めている。イラン・イラク戦争の真っただ中の1980年代後半、米海軍はホルムズ海峡を通過する船舶を護衛し、イランの石油施設や機雷を攻撃していた。即ち、40年前のカーグ島占領という亡霊が今蘇ってきたといえる。トランプ大統領は、13日の攻撃を、中東紛争の歴史の中でも、最も強力な爆撃を実行したとしつつ、石油関連施設への直接の攻撃は控えたと述べた。一方で、ホルムズ海峡における船舶の自由かつ安全な航行を妨害するような行為を行った場合、私は直ちにこの決定を再検討すると述べ、石油関連施設への攻撃が排除されているわけではないと警告を発している。仮に、石油輸送の9割を担うカーグ島の石油施設が破壊されれば、イランの経済的生命線が断たれることを意味し、そうなれば、イラン指導部、すくなくとも革命防衛隊やバシジは降伏するのではなく、可能な限りの湾岸産油国の石油施設の破壊を試み、湾岸産油国を巻き込んだ自滅の途を選択するのではないかと悪夢がよぎる。イランの革命政権体制に不満を抱きながらも、歴代の米政権は直接的体制転換を控えてきた。自制が効かなくなったトランプ政権は、世界最大の軍事力をイラン攻撃に投入すれば、革命政権体制は最終的には崩壊するであろうが、その代償として、本来死ななくてもよかった市民のおびただしい犠牲と、未だ経験のないエネルギー価格の高騰に世界中が苦しむことになる。
https://www.middleeasteye.net/news/trump-reportedly-wants-seize-irans-kharg-island-he-floated-idea-40-years
1.イランの石油産業の中枢カーグ島とは
イランの著名な作家ジャラル・アル=アフマドはこの島に立ち、人里離れた海岸を眺めながら、この地を「ペルシャ湾の孤児の真珠」と名付け、今日、ブーシェル州にある面積22平方キロメートル(8.5平方マイル)のこのサンゴ礁の島は、イラン国民の間で「禁断の島」として広く知られ、シャー時代には、島流しの刑務所として見捨てられていたが、今や、イラン経済にとっての揺るぎない石油積出しの中枢基地となっている。ブーシェル港から北西55km(34マイル)、イラン本土から15海里(約28km)に位置するカーグ島は、イランの石油輸出総量の90%を処理し、年間約9億5000万バレルを取り扱っている。長さわずか8km(5マイル)、幅4〜5km(2.5〜3マイル)の島だが、周囲の深い海域が地理的に有利な条件となっている。この水深のおかげで、巨大なスーパータンカーも安全に接岸し、主にアジア市場向けの原油を積み込むことができる。中でも中国は最大の輸入国である。イラン石油省によると、同島の施設は石油産業にとって極めて重要な中枢機能を果たしている。このターミナルは、アブザール、フォルザン、ドルードという3つの主要な沖合油田から原油を受け入れ、複雑な海底パイプライン網を経由して陸上の処理施設に輸送した後、貯蔵または世界市場へ出荷される。長年にわたる国際制裁によって生産が断続的に阻害されてきたにもかかわらず、イランは島のインフラを積極的に拡張してきた。2025年5月、S&Pグローバル・コモディティ・インサイトは、テヘランがそれぞれ100万バレルを貯蔵できるタンク25号と26号を改修し、ターミナルの貯蔵容量を200万バレル増加させたと報告した。歴史的に見ると、継続的にアップグレードされてきたこれらのターミナルの積載能力は、驚異的な最大700万バレル/日に達しているが、現在のイランの輸出量は国内市場向けの生産量に加え、約160万バレル/日となっている。
2.トランプ大統領のカーグ島攻撃発言
3月13日、トランプ大統領はイランのカーグ島に対し、重要な石油インフラを攻撃せずに強力な空爆を実施したと発表し、ホルムズ海峡の船舶航行を妨害しないようイランに強く求めた。トランプ大統領は声明で、今回の攻撃を「中東史上最も強力な爆撃の一つ」と呼び、イランで最も重要な石油施設がある全長約8キロの島では、軍事施設のみが標的となったと述べた。トランプ大統領はソーシャルメディアで、「私はカーグ島の石油インフラを破壊しないことを選択した」と述べた。「しかし、イラン、あるいは他の誰かが、ホルムズ海峡における船舶の自由かつ安全な航行を妨害するような行為を行った場合、私は直ちにこの決定を再検討する」と付け加えた。
https://www.politico.com/news/2026/03/13/us-kharg-island-trump-iran-hormuz-00829134?cid=apn
3.イラン側反応(準国営通信社ファルス通信による情報をもとに、アルジャジーラが報道)
ファルス通信はカーグ島への攻撃を確認したと報じている。攻撃対象となったのは、陸軍防衛施設、海上基地、ヘリコプター管制塔、そしてヘリコプター空母としている。陸軍司令部からの反応があり、カーグ島の石油施設が攻撃された場合、イランは地域内のアメリカと何らかの形で関係する石油施設や設備に対して報復攻撃を行うと述べている。これは強力な声明であり、ここ数日間、イランはサウジアラビアやカタールなどで散発的な攻撃を行い、これらの施設の一部に対して攻撃を行ってきたが、すべてを混乱させたり、これらの国の石油産業を壊滅させたりするほどの規模ではなかった。今やイランは、これらの施設や湾岸諸国のその他の施設に対する大規模な攻撃を示唆しており、実行されれば地域全体、ひいては世界の石油・ガス産業全体にとって壊滅的な事態となる。イランは、これを切り札として温存しているようで、彼らはこれまで自制を保ってきたが、アメリカが示唆し脅迫しているように、イランの石油施設が攻撃された場合、その自制は終了する可能性を示唆している。
https://www.aljazeera.com/news/liveblog/2026/3/14/iran-war-live-pentagon-vows-to-ramp-up-us-military-campaign-against-iran
(コメント)トランプ氏は、イラン・イラク戦争当時の40年前からイランの石油輸出拠点であるカーグ島を占領することで、湾岸地域における米軍の影響力を誇示し、イラン・イスラム共和国に制圧を与えることを夢見ていた。カーグ島占領構想は、既に40年前にトランプ氏の脳裏に浮かんだものであり、トランプ氏は、「イランには厳しく対処するつもりだ。彼らは我々を心理的に打ち負かし、愚か者扱いしてきた。我々の兵士や船舶に一発でも銃弾が当たれば、カーグ島を徹底的に攻撃する。侵攻して占領するだろう」と、1988年にガーディアン紙に語っている。当時のインタビューは、イランが原油輸出量の約9割を担う同島の占領について、米国とイスラエルが協議していると複数のニュースサイトが最近報じたことで、現在注目を集めている。イラン・イラク戦争の真っただ中の1980年代後半、米海軍はホルムズ海峡を通過する船舶を護衛し、イランの石油施設や機雷を攻撃していた。即ち、40年前のカーグ島占領という亡霊が今蘇ってきたといえる。トランプ大統領は、13日の攻撃を、中東紛争の歴史の中でも、最も強力な爆撃を実行したとしつつ、石油関連施設への直接の攻撃は控えたと述べた。一方で、ホルムズ海峡における船舶の自由かつ安全な航行を妨害するような行為を行った場合、私は直ちにこの決定を再検討すると述べ、石油関連施設への攻撃が排除されているわけではないと警告を発している。仮に、石油輸送の9割を担うカーグ島の石油施設が破壊されれば、イランの経済的生命線が断たれることを意味し、そうなれば、イラン指導部、すくなくとも革命防衛隊やバシジは降伏するのではなく、可能な限りの湾岸産油国の石油施設の破壊を試み、湾岸産油国を巻き込んだ自滅の途を選択するのではないかと悪夢がよぎる。イランの革命政権体制に不満を抱きながらも、歴代の米政権は直接的体制転換を控えてきた。自制が効かなくなったトランプ政権は、世界最大の軍事力をイラン攻撃に投入すれば、革命政権体制は最終的には崩壊するであろうが、その代償として、本来死ななくてもよかった市民のおびただしい犠牲と、未だ経験のないエネルギー価格の高騰に世界中が苦しむことになる。
https://www.middleeasteye.net/news/trump-reportedly-wants-seize-irans-kharg-island-he-floated-idea-40-years
Posted by 八木 at 15:01 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)



