湾岸産油国の原油貯蔵能力の限界を見越したWTI原油価格120ドル付近への急騰[2026年03月09日(Mon)]
2026年3月8日現在、米国のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物は急騰しており、一部の報道によると、直近の取引では1バレルあたり118.88ドル付近でピークに達し、ロシアのウクライナ侵攻後の原油価格高騰水準に達する2022年6月以来の高値を記録した。米国とイスラエルによるイラン攻撃とイランからの湾岸アラブ諸国への報復攻撃ならびに事実上のホルムズ海峡封鎖により、湾岸産油国の原油貯蔵施設が満杯に近づいているとして市場の不安を煽っていることが主な背景にある。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約2割を占めるエネルギー輸送の要衝である。ホルムズ海峡の安全航行が保証されていない状況下で、ペルシャ湾内ならびにアラビア海に多数の原油タンカーが滞留している状況が続いている。
インテリニュースによれば、湾岸諸国の原油貯蔵容量が満杯になる日数は次のとおり。
イラク:6日分
クウェート:14日
UAE:ルート変更なしで16日、フジャイラ方面へのルート変更ありで19日
カタール:19日
サウジ:36日、西海岸側への一部ルート変更した場合65日
https://www.intellinews.com/oil-production-halts-loom-as-gulf-storage-facilities-rapidly-fill-towards-capacity-429848/?source=iran
(コメント)ホルムズ海峡を原油タンカーが通過できなくなれば、湾岸産油国は、生産された原油をとりあえず陸上の貯蔵タンクに保管することになる。封鎖が短期間であれば、この方式で、湾岸産油国は危機を凌ぐことができる。しかし、タンカーの動きがとまり、積み込みができなければ、陸上貯蔵タンクは次々に満杯になり、パイプラインは滞留し、油井は閉鎖せざるを得なくなる。再開には時間がかかる場合があり、また、コスト面の負担も大きくなるとのこと。特にイラクの古い油田では、長期間の停止は油層への長期的な損傷のリスクを伴うため、最悪の状況におかれる。現状、クウェートやイラクは減産を余儀なくされている。これをうけて、トランプ大統領は、3月3日、米国はタンカー運航会社に対し、海峡通過の再開を促すため、海軍による護衛と追加の保険保証を提示した。しかし、実施時期は示されておらず、海運業界筋は、イランのミサイルおよびドローン能力が湾岸全域で活動を続ける限り、保険会社が十分な戦争リスク補償を提供できるかどうか懐疑的にならざるを得ない。こうした中、WTI先物原油価格が、本年1月のバレル60ドル台から3月8日には、120ドル近くまで跳ね上がった。トランプ大統領は、イランに全面降伏を要求したが、イランは、3月8日88名の聖職者で構成される専門家会議で、殺害されたアリー・ハメネイ最高指導者の後継に、次男のムジュタバ・ハメネイ師を選出した。イランの革命防衛隊IRGCは、直ちにムジュタバ師への忠誠を発表した。これをうけて、イスラエル軍、米軍は、ムジュタバ師の殺害を目論むことは確実である。即ち、イラン情勢は鎮静化に向かうのではなく、近い将来、戦闘が一層激化することが予想される。IRGCは、海軍能力に大きな打撃を受けたとはいえ、最終的には、多数の機雷を撒いて、長期間のホルムズ海峡封鎖を図ることも排除されない。そうなれば、湾岸産油国の原油生産が、本格的な生産停止に追い込まれるリスクが高まる。湾岸からの原油やLNGに頼っている日本を含む東アジアの国々が最も大きな影響をうける可能性が高い。
https://europeanbusinessmagazine.com/business/iraq-is-already-shutting-oilfields-kuwait-is-next-heres-the-gulf-storage-crisis-explained/
https://www.tasnimnews.ir/en/news/2026/03/09/3535332/irgc-says-ready-to-obey-new-leader-s-orders
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約2割を占めるエネルギー輸送の要衝である。ホルムズ海峡の安全航行が保証されていない状況下で、ペルシャ湾内ならびにアラビア海に多数の原油タンカーが滞留している状況が続いている。
インテリニュースによれば、湾岸諸国の原油貯蔵容量が満杯になる日数は次のとおり。
イラク:6日分
クウェート:14日
UAE:ルート変更なしで16日、フジャイラ方面へのルート変更ありで19日
カタール:19日
サウジ:36日、西海岸側への一部ルート変更した場合65日
https://www.intellinews.com/oil-production-halts-loom-as-gulf-storage-facilities-rapidly-fill-towards-capacity-429848/?source=iran
(コメント)ホルムズ海峡を原油タンカーが通過できなくなれば、湾岸産油国は、生産された原油をとりあえず陸上の貯蔵タンクに保管することになる。封鎖が短期間であれば、この方式で、湾岸産油国は危機を凌ぐことができる。しかし、タンカーの動きがとまり、積み込みができなければ、陸上貯蔵タンクは次々に満杯になり、パイプラインは滞留し、油井は閉鎖せざるを得なくなる。再開には時間がかかる場合があり、また、コスト面の負担も大きくなるとのこと。特にイラクの古い油田では、長期間の停止は油層への長期的な損傷のリスクを伴うため、最悪の状況におかれる。現状、クウェートやイラクは減産を余儀なくされている。これをうけて、トランプ大統領は、3月3日、米国はタンカー運航会社に対し、海峡通過の再開を促すため、海軍による護衛と追加の保険保証を提示した。しかし、実施時期は示されておらず、海運業界筋は、イランのミサイルおよびドローン能力が湾岸全域で活動を続ける限り、保険会社が十分な戦争リスク補償を提供できるかどうか懐疑的にならざるを得ない。こうした中、WTI先物原油価格が、本年1月のバレル60ドル台から3月8日には、120ドル近くまで跳ね上がった。トランプ大統領は、イランに全面降伏を要求したが、イランは、3月8日88名の聖職者で構成される専門家会議で、殺害されたアリー・ハメネイ最高指導者の後継に、次男のムジュタバ・ハメネイ師を選出した。イランの革命防衛隊IRGCは、直ちにムジュタバ師への忠誠を発表した。これをうけて、イスラエル軍、米軍は、ムジュタバ師の殺害を目論むことは確実である。即ち、イラン情勢は鎮静化に向かうのではなく、近い将来、戦闘が一層激化することが予想される。IRGCは、海軍能力に大きな打撃を受けたとはいえ、最終的には、多数の機雷を撒いて、長期間のホルムズ海峡封鎖を図ることも排除されない。そうなれば、湾岸産油国の原油生産が、本格的な生産停止に追い込まれるリスクが高まる。湾岸からの原油やLNGに頼っている日本を含む東アジアの国々が最も大きな影響をうける可能性が高い。
https://europeanbusinessmagazine.com/business/iraq-is-already-shutting-oilfields-kuwait-is-next-heres-the-gulf-storage-crisis-explained/
https://www.tasnimnews.ir/en/news/2026/03/09/3535332/irgc-says-ready-to-obey-new-leader-s-orders
Posted by 八木 at 15:12 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)



